トライボロジー技術を核に、世界4極体制で研究開発を行っています。日本・欧州の研究開発拠点においては、要素技術をはじめとする基礎研究や最先端技術の研究を進める一方、各地域では顧客ニーズに迅速に対応すべく個々の商品開発や認定評価・調査・分析といった技術サービスを「現地完結型」で展開しています。各地域間では、設計情報や試作、実験情報、生産技術情報、顧客案件情報などを共有化し、入手したお客さまのニーズに敏速に対応し、付加価値商品の創出を行っています。
基盤事業においては、CASEへの対応として、センシング、モジュール商品の開発への着手、さらなる低フリクションを狙ったハブベアリングの開発に取り組んでいます。加えて、成長が見込まれる風力発電事業、先端技術が求められるロボット、航空機、工作機械、鉄道車両、建設機械、農業機械関連の事業を重点業種と位置づけ、市場要求に応える新商品の開発を行っています。一方、2020年4月には、将来のＮＴＮを支える新規事業の礎となり、業態の変革を先読みした一気通貫型開発が行える組織として、新商品戦略本部に新事業探索開発部を新設しました。

日本国内でも中国やASEANなどの海外の取引先さまからの調達が進み、グローバルでの取り引きが拡大しています。グローバルな視点から、現地調達、最適地調達の推進に取り組むことで、自国内の取引先さまだけでなくグローバルでの広い取引先さまを対象にして、品質・価格の優位性や納期の確実性を重視し、市場変動に即応した安定調達を追求しています。また、法令倫理規範を遵守し、公平・公正な取り引きを行うことで、お客さまや社会からの信頼を確実なものにするだけでなく、取引先さまの競争力を向上させ、取引先さまとともに「持続可能な成長」を続けてまいります。
地球環境保全への取り組みや環境品質に優れた取引先さまから優先して調達する「グリーン調達」を推進することで、環境保全と資源保護に十分配慮した取り引きに努め、「持続可能な社会・環境」の構築に貢献してまいります。取り引きを通じて取引先さまとの相互理解を深め、協力関係の構築・強化を図っていきます。

目まぐるしく変化する事業環境の中、マーケティングをはじめとした商品企画から試作、量産へのスピードが今後のお客さま満足度向上のカギとなります。このような状況下、商品企画・開発のイノベーションプロセスと営業・生産・販売のサプライチェーンプロセスの連携を強化し、変化に強いものづくり体制の構築を目指します。デジタル化の推進により、あらゆる情報をつなぐことでさらなる業務のスピード化を図ります。
海外の生産拠点では、生産の立上げ時から安定した品質の確保と世界同一基準の品質保証体制を確立するため、品種移管や工程変更のルールを再徹底し、リスク分析や試作時のデータ管理を強化しています。マザー工場や品質管理部門より支援者を現地へ派遣し、監査、過去トラブル検証、工程改善、現地従業員への品質指導に取り組んでいます。製造設備も自社開発や内製化するなど、NTN独自のノウハウを強化し、これらのノウハウを伝承することを目的とした人材育成活動も積極的に行っています。

営業担当者は、定期的にお客さまとの対面式・オンライン形式での打合せの機会を設け、開発中の新製品のニーズに沿った商品の提案や課題解決への相談に対応するほか、量産中の既存機種の困りごとにもお客さまと社内の関係部署の間できめ細かく対応するコンサルティング型の営業活動を行っています。営業技術担当者は、お客さまの技術ニーズの迅速な把握により、課題解決に必要な技術サービスの提供を行っています。
量産納入を開始した商品は、お客さまの生産計画に見合った最適な在庫の確保や品揃えの充実を図っています。アフターマーケット事業においては、商品の販売後にベアリングの取り扱い方法などを実際にお使いになるお客さまへ訪問して勉強会などの技術サービスも展開しています。また、売れ筋商品であるカタログ品は、常に在庫を確保し供給力を強化し、満足度のさらなる向上に努めています。
軽量化、静粛性、省エネにつながる低トルク化、長寿命など、お客さまのニーズは時代とともに変化しており、これらのニーズや外部環境の変化に俊敏に対応し、高品質・適正価格で当社商品をお客さまにお届けすることで、NTNブランドの信頼と満足度向上に努めています。当社はお客さまの満足度、要望事項などの声を直接聞く機会として、毎年顧客満足度調査を実施しています。

産業機械、自動車のメンテナンスニーズに対応するさまざまな商品を提供しています。産業機械向け補修では、一般機械用軸受のほか、鉱山、製紙、鉄鋼、セメントや食品製造などの設備補修用軸受を供給しています。自動車向け補修では、軸受や周辺部品で構成する補修部品（オートパーツ）のラインアップを揃え、お客さまのニーズに応えています。また、商品の納入のみに留まらず、座学や実習を通じてお客さまに軸受に関する知識を習得頂くための「NTNアフターマーケットアカデミー」の開催や、テクニカル・サービスカーを活用したお客さまの製造現場で技術講習会開催などの技術サービスを提供しています。さらに、生産設備の日々のメンテナンスを容易にする「NTNポータブル異常検知装置」の提供などを通じて、お客さまの設備の生産性向上と安定稼働をサポートしています。

あらゆる産業機械で求められる「長寿命」・「負荷能力向上」・「高速化」などのお客様のニーズに、当社の世界最高水準の新世代軸受である「ULTAGEシリーズ」でお応えします。また、たゆまぬ研究開発を通じて、さらなる低トルク・小型軽量化の軸受を市場に送り出し、産業機械のさまざまな分野での環境負荷軽減を実現しています。
さらに次世代を見据えて、軸受技術の深耕とセンサ・精機技術との融合によるモジュール化・インテリジェント化を進め、高付加価値商品の開発を推進するほか、異常検知技術・状態監視システム(CMS)・IoTの活用により、新たな商品・サービスを生み出してまいります。具体的には、風力発電装置用状態監視システム「Wind Docto️r^®」や、生産現場の自動化や省人化に寄与する手首関節モジュール「i-WRIST^®」の販売を開始しました。
これら商品・サービスの提供を通じて、産業の発展と持続可能な社会づくりに貢献します。

ハブベアリングやドライブシャフト、各種ベアリングの高機能・高付加価値化とともに、これら基盤商品の組み合わせとコア技術の融合によるモジュール商品の開発を推進しています。さらに、自動車の電動化、自動運転に向けて、ボールねじ、モータ、制御装置からなる「電動モータ・アクチュエータ」を展開し、適用部位を拡げてお客さまへの提案を進めています。これらの商品をアライアンスパートナーとの協業のもと、自前主義からの脱却を図りながらグローバルに展開することで、自動車の低燃費化や乗り心地の向上といった従来のニーズならびに急速に進む電動化のニーズにも対応しています。

当社グループは、基盤技術や新商品の開発を通して、あらゆる機器の省エネルギー化に貢献することで、低炭素化社会の実現を目指しています。また、これまで培ってきたコア技術を新たな領域に展開しており、循環型社会に貢献可能な自然エネルギー関連商品の開発にも積極的に取り組んでいます。さらに新たな取り組みとして、少子高齢化が進む社会において、外部連携を活用して、早期発見・早期治療につながる再生医療や創薬を支援する研究開発にも注力しています。

グローバルに事業展開をおこなっているNTNグループは、各地域の期待に応え信頼される企業であり続けるために「環境保全」「次世代育成」「地域貢献」を柱に、従業員が主体となり社会貢献活動を実践しています。