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2019年度のCSR活動をご紹介します。

従業員との関係

多様な人材の育成・活用

人材育成に対する基本的な考え方

当社での人材育成は、「『個』の成長により、人材を通してNTN企業理念を実現する」という人事施策の基本的な考え方に基づき、業務目標を達成し、かつ経営環境の変化に迅速に対処しうる人材の育成を図ることを目的としています。
この目的を達成するための、人材育成の基本方針として、
①国際社会に通用する人材、②個人として自立している人材、③創造力のある人材、の3つの人材の育成を目指しています。また当社の人材育成は、個人の自己啓発と日常の業務遂行に基づいた職場内教育(OJT)を基本としていますが、これを促進するための機会と各種支援制度を設けるとともに、必要に応じた職場外教育(Off-JT)として各種研修を長期的視野に立って、体系的・計画的・組織的に継続して行っています。

NTNの研修体制

マネージメント研修

多様な人材を活用し、自分の課・グループを組織として機能させる職場構想力や課題形成力を習得し、自職場の組織運営へ反映させることを目的に、既任管理職を対象とした研修を実施しています。働き方改革の推進に伴う労働時間制約、ビジネススピードの加速、従業員や雇用形態の多様化に伴い、管理職に求められるマネージメントの難易度は高まっています。自身の今までのマネージメント行動の影響を認識し、現在の変化が激しい環境の中でも成果が出せる組織の設計ができる人材の育成を進めています。

業務シミュレーション研修

新入社員の早期戦力化を図るため、正式配属前に実際の業務を想定し起こりうるトラブル等を模擬的に経験する研修を実施しています。研修では仕事を行なう上で大切となる「目的を持つ」「視野・視座」について学習した後、業務上のトラブルを模擬的に経験、対処することで、ビジネスパーソンとして求められる行動の習得と、自身の強みと弱みである課題を把握し職場実践につなげることで、ビジネスのスピードがますます速くなっている環境の中でも、すぐに活躍できる新人育成を行っています。

新入社員教育担当者研修

新入社員の傾向は年々変化します。昨年とは異なっていることは感じているものの、具体的な指導・育成の方法が分からず、従来通りのやり方になっているケースも散見されることから、正式配属受入先に「今の新入社員の傾向、育成のポイント」を理解して育成に取り組んでもらう研修を実施しています。
研修では、新入社員教育担当者として求められる役割と能力を理解した後、不安を解消するためのコミュニケーション方法の習得や、指導に関する具体的な方法を体得しています。

品質に強い人材の育成

従業員の品質に対する意識向上を目的に「QCベーシックコース」「QCアドバンストコース」などの品質専門教育を2020年3月期は150名の従業員に実施しました。研修では、過去の品質不具合やクレーム事例を用いた教育資料により、品質の重要性を再認識する教育を行っています。
ほかにも、設計・技術部門を対象として、不具合が発生しにくい設計開発に向けた品質教育も実施しています。

オンラインを活用した研修

学卒新入社員は例年、入社後に1週間程度の集合型の導入研修を行い、社会人としての心構えやビジネスシーンでのコミュニケーション能力の開発と併せ同期社員の交流する機会としていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、移動時の感染リスクや3密を防ぐため集合型の研修を中止し、オンラインを活用した研修で従来のプログラムを実施しました。当社の研修はグループワークを多く取り入れているため当初、オンラインを活用した研修で見込み通りの効果が出せるかが課題でしたが、オンラインでのグループワークの機能などを活用し、活発な議論や意見交換ができました。
これを機に、従来の研修を見直し、集合型で実施するものとオンラインで実施するものの棲み分けを行い、研修のオンライン化を進めていきます。

研修体系

WEB採用の実施

2020年の学卒採用活動においては、新型コロナウイルスの感染防止対策として面接選考のWEB化を図り、会社説明会を含む全選考ステップがWEB化されました。これにより、選考参加学生や当社従業員の安全を確保できたほか、長距離移動を伴う遠方からの選考参加学生の負担の軽減にもつながりました。また、選考前後の学生との面談や各種採用イベントにおいてもWEBシステムの活用を図り、あらゆる状況において、学生と企業の接触機会の確保に努めています。今後も、環境の変化に応じてWEBシステムを有効活用しつつ、選考参加学生に配慮した採用活動を通じて、当社を支える人材の確保を図っていきます。

ダイバーシティ

ダイバーシティについての考え方

労働力人口の減少や、Withコロナの生活様式など、当社を取り巻く社会構造や経済状況は大きくかつ急速に変化しています。
当社は持続的な成長に向け「変革」に取り組んでおり、この「変革」に向けた重要な戦略のひとつがダイバーシティの推進です。これにより多様な価値観が融合し、柔軟な発想が生まれることで「変革」を加速させます。国籍、文化や性別、年齢、障がいの有無などにとらわれずにさまざまな人材が自由な発想でより良いアイデアを出し、従業員一人ひとりが会社への誇りを持ち、能力を最大限発揮できるよう職場環境づくりに取り組むことが必要です。それを支える施策として、ライフスタイルや働き方の多様化に対応し、テレワークやジョブリターン制度の導入など働き方改革も進めています。
ダイバーシティを推進することで、企業理念である「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」ことを実現していきます。

女性活躍の推進

女性管理職の登用

当社がこれからも持続的に成長していくには、ダイバーシティを推進し独創的なアイディアを生み出す職場づくりが必要です。その実現のためのテーマのひとつとして、女性活躍推進を掲げ、女性管理職の登用を推進しています。
計画的な管理職登用のための準備として、まずは主任クラスに対してキャリアアップをイメージしやすくする目的で“ステップアップセミナー”や“ネクストリーダー研修”を開催し、セミナーを通じた管理職候補者としての育成・能力開発に取り組んでいます。

女性管理職と主任数の推移(NTNに在籍する従業員) (4月1日時点)

学卒採用女性比率

採用活動

学卒採用女性比率*

学卒採用女性比率

育児と仕事の両立

厚生労働省より「子育てサポート企業」として認定を受け、次世代認定マーク「くるみん」を取得しました。「くるみん」は、次世代育成支援対策推進法に基づく、一般事業主行動計画を策定し、目標を達成し一定の基準を満たした企業に対して認定されるものです。当社は、育児休職中の従業員のための社内情報提供システムの確立、男性の育児休業取得促進に向けた取り組みを盛り込んだ行動計画を策定し、子育て支援施策に取り組んできました。ほかにも、有給休暇取得の促進や、出産・育児事由に限らない退職者の復職制度の整備を行うなど、育児にたずさわらない従業員を含めたワークライフバランス実現への取り組みを推進した結果、今回の認定につながりました。

次世代認定マーク「くるみん」

次世代認定マーク「くるみん」

子育て世代の男性従業員を対象とした「次世代育成支援推進セミナー」

子育て世代の男性従業員を対象とした
「次世代育成支援推進セミナー」

障がい者雇用の推進

障がいのある方々が主役となって安全に働ける職場として、桑名・磐田・岡山の各事業所に専用職場「夢工房」を開設しています。ほかにも、職場のバリアフリー化の推進など、障がいのある方でも働きやすい職場環境の構築に取り組んでいます。
製造現場や事務部門でも、多様な方の持ち味を活かして活躍して頂いており、各職場で「協働」を推進しています。

夢工房での仕事風景

夢工房での仕事風景

シニア雇用の拡大

日本国内では少子高齢化が進む中、重要な働き手となっているベテラン社員の活躍を推進しており、60歳で定年を迎えた後、ベテラン社員のキャリアを活かすことができる環境整備やモチベーションアップにつながるように、待遇面の見直しを行っています。
定年後は、これまでのキャリアや保有スキル、勤務地などを総合的に勘案し、国内のグループ会社すべてを対象に継続勤務を可能にしています。こうした制度のもと、定年後の再雇用率は2019年度に定年を迎えた方全体の84%となり、前年に引き続き、高い再雇用率を維持しています。

働きやすい職場づくり

人権基本方針

当社グループは人権への取り組みをなお一層推進するために、当社グループ全従業員が人権に関し統一した価値観を共有し、日々の行動や業務遂行の拠り所となる人権基本方針を策定しました。
今後は人権基本方針をもとに、持続可能な開発目標SDGsや英国現代奴隷法など、ますますグローバルスタンダード化する人権課題へ取り組み、人権尊重に関する企業責任を果たしていきます。

人権基本方針の骨子

以下の3項目を基本原則にして、経営の基本方針のもと、人権基本方針を策定しました。

  1. 国際的に認められた人権を尊重すること
  2. 他者の人権を侵害しないこと
  3. 自社の事業活動上人権への負の影響に関与した場合には適切に対処すること

働き方改革の推進

すべての従業員がやりがいを持って働き、仕事の責任を果たすとともに、個々人の生活の調和がとれる豊かな社会生活を送ることが可能な「働き方改革」を進めています。従業員一人ひとりがメリハリをつけて働けるよう、労働時間管理の徹底、ノー残業デーやフレックスタイム、インターバル制度を導入しています。また多くの従業員に活躍の機会を提供するため、多様なキャリア志向や育児・介護に対応したコース制度を導入するなど人事制度の改革にも取り組んでいます。

多様な働き方の実現

テレワークの推進

総務省・経済産業省などが企業などによる全国一斉のテレワーク実施を呼びかける取り組み「テレワークの推進」に参加しました。
また2020年4月より、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、主に公共交通機関を使用している従業員を対象に、在宅勤務や時差勤務を推奨し、従業員の健康と安全の確保を最優先とした対策を推進しています。

NTNジョブリターン制度

やむを得ない事情で退職した従業員の復職制度であり、結婚・出産・育児、介護、留学や転職などのキャリアアップや、配偶者の転勤による退職も再雇用の対象とし、当社に在籍中や退職後に培ってきた経験や知見、ノウハウを活かすことができる環境の整備に加えて、ワークライフバランスを推進しています。これまでにジョブリターン制度を利用して3名が復職しました。

充実した休暇・休職制度

当社は出産や育児、介護などによる休暇・休職の制度を法定以上に整備しており、多くの人材がキャリアを中断することなく、働き続けることができる制度づくりを行っています。
例えば、育児短時間勤務制度では、適用範囲を「小学校3年生の3月末までの子を養育する者」までとするほか、育児時差勤務を東京・大阪地区で導入するなど、法定を超える取り組みを進めています。
こうした制度の整備のみならず、これが従業員にとって使いやすくなるよう制度に血をかよわせること、そして十分に活用できる職場の雰囲気づくりを進めています。

高い有給取得率

有給休暇の取得を促す活動は1980年代から始めました。当初からのキーワードは「ゆとり・豊かさ」で、ワークライフバランスの実現に取り組んできました。平均取得率は25年以上前から80%以上という高い水準を維持し、現在はさらに高いレベルを目指し、多能工化や積極的な職場のローテーション、取得しやすい職場風土づくりに取り組んでいます。

有給取得率の推移

有給取得率の推移

RPAの導入

少子高齢化の進展により労働力人口の減少が避けられない日本社会において、ひとりあたりの生産性向上が大きな課題となっています。
こうした環境の中、持続可能な成長を実現していくためには、これまで以上に生産性向上を図り、業務成果を高める働き方改革の推進が必要不可欠です。
この一環で、基幹システムの再構築を通じ、間接部門の業務改革(BPR)に取り組んでいます。
特に、各部門に共通する給与処理や伝票処理など全社的な共通業務の標準化と共に、RPA(Robotic Process Automation)の活用によるマニュアルワーキングの自動化で時間効率の向上と高付加価値業務への転換を推進しています。RPAを基幹システムの補完システムとして位置づけ、データのアップロードやダウンロード、OCRを介してのデータ化と自動読み取りなど、基幹システムで効率化できない単純作業をRPAが担うことで、一連の業務プロセスの改善、整流化・標準化を実現し、働き方改革の実現に繋げてまいります。

* BPR(Business Process Re-engineering):既存の業務内容や業務フロー、組織構造、ビジネスルールを抜本的に再設計(業務改革)すること

安全な職場づくり

安全衛生基本方針

当社グループで働くすべての人が、安全で健康的に働き、活躍できる職場環境づくりの実現は、経営の基盤であり、あらゆる事業活動に優先する最も大切な価値です。このことを、従業員、株主、お客さま、取引先さまなどへ示すことで、従業員および組織の安全意識を高め、より一層の企業価値向上を図ることを目的に、安全衛生基本方針を策定しました。

安全衛生基本方針の骨子

以下の6項目を基本原則にして、経営の基本方針のもと、安全衛生基本方針を策定しました。

  1. 法令等の遵守
  2. 労働安全衛生マネジメントシステム運用による継続的改善の推進
  3. 危険・有害リスクの排除および低減
  4. 教育訓練の推進
  5. 心と身体の健康推進
  6. 安全文化の醸成

安全と健康を支える仕組みづくり

世界的に関心が高まるEnvironment:環境、Health:健康・衛生、Safety:安全を一体的に進めることで、環境、労働安全衛生のさらなるマネジメント強化を図り、当社グループのより一層の実効性を図っています。
執行役社長を最高責任者、担当役員を会社総括安全衛生管理者とし、日本国内は各事業本部長、海外は各地域の総支配人を管理責任者としたグローバル安全管理体制のもとで、労働災害ゼロの職場づくりを推進しています。
労働災害情報はデータベースを活用して国内事業所および海外事業所で共有しています。特に重傷災害が発生した場合は海外も含め当社グループ全体に対策を展開し安全水準の統一を図っています。
2019年6月までに国内主要事業所の労働安全衛生マネジメントシステム(JISQ45100/ ISO45001*1)の認証取得を完了しました。関係会社においても規模にあわせてマネジメントシステムの取得に着手し2社のOSHMS*2の取得を完了しました。今後、順次認証取得を進めていきます。
従業員のみならず当社で働くすべての人の安全と健康を守り、法令遵守と安全衛生水準の継続的向上を図っています。

*1 JISQ45100:ISO45001に日本独自の要求事項を付加したもの
ISO45001:労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格

*2 OSHMS:厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(OSHMS指針)」に準拠した国内規格

安全に強い人づくり

危険予知トレーナ研修により各事業所に複数人の危険予知トレーナを養成し、各職場に対しトレーナによる危険予知訓練を展開し不安全行動をしないさせない人づくりをしています。また、状況認識・意思決定・コミュニケーション・リーダーシップのように、システムや知識だけではカバーできない社会的スキルをもった人づくりを目指し、ソーシャルスキルの向上を目的とした研修を各職場で実施しヒューマンエラーを防ぐ取り組みをしています。

本質安全を追求した設備づくり

設備の導入時、導入後一定期間経過時、設備や作業変更時、安全パトロール指摘時やヒヤリハット発生時にリスクアセスメント(RA)を行い、安全対策を実施しています。
適切なリスクの見積り・評価を行うためにRAトレーナを養成しRAレベルの底上げを図っています。RAで顕在化されたリスクに対しては、作業の見直しによる本質的対策から安全カバーやインターロックなどの工学的措置による安全対策を実施しています。次に管理的対策(手順書やルールなど)や保護具によるリスク低減を検討します。
残されたリスクは全社統一の残留リスク管理運用に則り、残留リスク管理表に記載、これをもとに設備には残留リスクレベルを表示するシールを貼り見える化し、作業者へは当該設備の残留リスク教育を実施し危険個所の周知をしています。

健康経営*への取り組み

当社は従業員の健康の維持・増進に向けた積極的な取り組みが、会社の持続的な成長に影響を与える経営上の重要な要素であることに鑑み、健康保険組合とも連携しながら、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる働きやすい職場環境の実現を目指し諸施策を推進していきます。

*健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。

具体的な取り組み

職場の健康づくり

・ワークライフバランスの推進と長時間労働の防止
・職場内のコミュニケーションのさらなる活性化
・病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取り組み

こころの健康づくり

・ストレスチェックの実施結果を踏まえた職場環境の改善
・セルフケア、ラインケアによるメンタル不調者の未然防止
・メンタルヘルス相談体制の充実

からだの健康づくり

・健康診断結果による適切な保健指導と生活習慣の改善
・健康保険組合と協業したデータヘルス計画の着実な実施
・配偶者健診受診率の向上

受動喫煙防止対策

当社の健康経営への取り組みとして、禁煙を希望する従業員へ支援と受動喫煙から従業員を守るべく、喫煙率の削減に取り組んでおります。2019年度にNTN国内グループは原則、屋内禁煙とすることを決定いたしました。今後も、喫煙率削減に向けた諸施策に取り組み、2025年に喫煙率20.0%にすることを目指しています。

新型コロナウィルスへの対策

新型コロナウィルスに迅速に対応するため中央対策本部を立ち上げ、国内外の事業場において「従業員の健康を守る」施策を推進しています。従業員の不安を取り除き、コロナウィルスによる危機を乗り越えるべく、大久保社長より全従業員へメッセージを発信しました。
また、行政・地域の皆さんへマスク・フェイスシールドを提供するなどの支援を国内外で実施しております。

スポーツエールカンパニー

スポーツ庁から従業員に向けたさまざまなスポーツ関連施策が評価され、社員の健康増進のための積極的な取り組みを行っている企業として「令和元年度 スポーツエールカンパニー」に認定されました。当社は今後も、スポーツに関連する取り組みや、従業員の健康づくりに向けた施策を通じて、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる働きやすい職場環境の実現を目指してまいります。

社長と従業員のダイアログ

2018年度は、本社において社長と従業員のダイアログを開催しましたが、2019年度は国内各地や米州地区の事業所で開催し、全会場あわせて約170名の従業員が参加しました。

参加者が率直な思いを伝え合ったダイアログ

参加者が率直な思いを伝え合ったダイアログ 参加者が率直な思いを伝え合ったダイアログ