ニカメットとは
- 樹脂や焼結金属などの材料技術と高精度な着磁技術を組み合わせたNTNオリジナルの磁性材料
- 圧縮成形や射出成形などの技術により、高い形状自由度で量産を実現
- ハード磁性材料は高圧成形により高密度・高磁力化が可能
- ソフト磁性材料は大電流・高周波焼入れ用途に適した特性を実現
磁性材料とは
磁性材料(磁性体)とは磁力が働く磁界の中で磁気を帯びる物質の総称です。通常は磁気を帯びていない釘などの鉄が磁石に引き寄せられるのは、磁石により釘が磁気を帯びる(磁化する)ためです。磁性材料には一度磁化するとその磁気を保持し続ける硬磁性材料(ハード磁性材料)と、磁化を受けた時のみに磁性を持つ軟磁性材料(ソフト磁性材料)があります。ハード磁性材料はモータの永久磁石などに、ソフト磁性材料はコイルの鉄心などの電磁石に使われます。
磁性材用語集
異方性磁石 | 特定の着磁方向でのみ強い磁力が得られる磁石。特殊な成形設備が必要。 |
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等方性磁石 | どの方向で着磁しても同じ強さの磁力を得られる、方向性の制約がない磁石。 |
ボンド磁石 | 磁性材粉末を、ゴムやプラスチックに練りこんで成形した磁石。 |
焼結磁石 | 金属粉末を圧縮成形し、高温で焼くことにより製造する磁石。 |
フェライト系磁石 | 酸化鉄 Fe2O3 が主成分の磁石。安価で耐食性が高い。 |
ネオジム系磁石 | Nd-Fe-B 合金の磁石。非常に磁力が強い。 |
アモルファス磁性材 | 非晶質合金の磁性材。高周波数でも電力と磁力の変換能力の低下が少ない。 |
飽和磁束密度 | その材料が発生できる単位面積あたりの最大の磁力。 |
残留磁束密度 | 材料の着磁後に残った磁力。飽和磁束密度以下の強さになる。 |
保磁力 | 磁力を完全に取り除く為に必要な逆向きの磁力。劣化のしやすさの指標になる。 |
鉄損 | 磁性材に磁力が発生する際に生じるエネルギー損失。熱として放出される。 |
透磁率 | 電力を磁力に変換する能力、または磁力の伝えやすさを示す材料の特性。 |
圧縮成形と射出成形で幅広い形状に対応
- 圧縮成形と射出成形の両方に対応しており、高い形状自由度と量産性を両立
- 特に圧縮成形を高圧に行うことで、ハード磁性材料では高密度・高磁力化を、ソフト磁性材料では低鉄損・長寿命を実現
圧縮成形
射出成形
材料の無駄がない加工方法で大量生産が可能
ニカメットは環境に優しい製造方法が特長です。金属粉末をプレス成形または樹脂を射出成形して製造するため、投入した材料のほぼ100%を製品化することが可能で、資源を有効に活用できます。また、耐久性の高い金型を用いることから、高精度な商品を短期間で大量に生産することができます。
商品ラインアップ
ハード磁性材料
- 圧縮成形により業界最高水準の高磁気・高耐熱で、センサ用磁石やモータ用磁石に最適
他社品(フェライト焼結磁石)との性能比較
ニカメット(ハード磁性材料) | ||||
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射出ボンド磁石 NT-862AS |
圧縮ボンド磁石 NT-852ME |
圧縮ボンド磁石 NT-852AE |
フェライト 焼結磁石 |
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出力 | △ | ◎ | 〇 | ✕ |
耐熱性 | ◎ | △ | 〇 | ◎ |
形状自由度 | ◎ | 〇 | 〇 | △ (切削/研磨) |
コスト | △ | △ | △ | ◎ |
ソフト磁性材料
- 高い形状自由度でさまざまな用途に対応
- 大電流や高周波などの特殊環境にも対応
- 高周波焼入れコアやチョークコイルに最適
他社品(ソフトフェライト)との性能比較
ニカメット(ソフト磁性材料) | |||
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射出アモルファス NT-811AS |
ダストコア NS101ZE20 |
ソフト フェライト |
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大電流化 | 〇 | 〇 | ✕ |
高周波化 | ◎ | 〇 | ✕ |
高効率化 | △ | 〇 | ◎ |
形状自由度 | ◎ | 〇 | △ (切削/研磨) |
コスト | △ | 〇 | ◎ |
代表的な材料の特長と用途
ハード磁性材料
代表品番 | 工法 | 特長 |
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NT-852ME | 圧縮 |
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NT-852AE | 圧縮 |
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NT-862AS | 射出 |
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- *MGOe:最大エネルギー積。永久磁石の性能を表す指標で、反磁界Hdと磁束密度Bdの積の最大値。値が大きいほど反磁界においても磁束が多く残っており、永久磁石としての磁気特性が優れていることを示す。
ソフト磁性材料
代表品番 | 工法 | 特長 |
---|---|---|
NS101ZE20 | 圧縮 |
|
NT-811AS | 射出 |
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使用例
自動車
舵角センサ
圧縮ボンド磁石
等方性Nd-Fe-B系ボンド磁石。高荷重の圧縮成形で、高密度化することにより、高い磁気特性を実現。高精度な成形により広い範囲で磁気回路設計が可能。磁気解析によって最適な形状を設計し、圧縮成形による高磁力の磁石を実現。
排気センサ
圧縮ボンド磁石
等方性Nd-Fe-B系ボンド磁石。高荷重の圧縮成形で、高密度化することにより、高い磁気特性を実現。高精度な成形により広い範囲で磁気回路設計が可能。磁気解析によって最適な形状を設計し、圧縮成形による高磁力の磁石を実現。
電動ステアリングロック
射出ボンド磁石+樹脂ケース
射出ボンド磁石:等方性Nd-Fe-B系ボンド磁石。フェライト系ボンド磁石に比べ磁気特性に優れ、射出成形が可能なため設計自由度に優れる。
樹脂ケース:射出ボンド磁石に樹脂ケースをインサート成形したもの。射出ボンド磁石はケースに沿った形状で設計し、その形状自由度を活かして一体化を実現。
バルブ開度センサ
圧縮ボンド磁石+焼結金属ケース
圧縮ボンド磁石を焼結金属ケースに接着したもの。焼結金属ケースに挿入した状態での提供で磁石の保護とお客様での組立工程を省略。
医療機器
MRI電源用チョークコイルコア
射出成形が可能な独自開発のアモルファス系ソフト磁性材料の採用により、大電流に対応可能で、小型・軽量化を実現。
高周波焼入装置
高周波焼き入れコア
鉄粉の磁性粉末に独自の熱硬化性樹脂をコーティングし、特殊な圧縮成形と加熱硬化を施すことで、業界最高の磁気特性と強度を実現。
最適な鉄粉を選択し熱硬化性樹脂とコンパウンドすることで、必要な磁気特性を確保しつつ長寿命を実現。