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2010年

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新商品
次世代EV向け世界最軽量『インテリジェント・インホイール』を開発
2010年5月19日新商品ニュース

NTN株式会社(以下、NTN)は、インホイールモータ方式の次世代EV(電気自動車)向けに「インホイール型モータ内蔵アクスルユニット」、「電動ブレーキユニットi」、「多軸荷重センサii」を組み合わせた、世界最軽量の「インテリジェント・インホイール」を開発しましたのでお知らせします。

「インテリジェント・インホイール」は、多軸荷重センサ等からの情報により「高精度磁気式角度センサ」iiiを内蔵したインホイールモータ、電動ブレーキを制御することで、最適な回生制御ivや車両安定制御が可能となり、燃費と運転時の安全性を向上させます。また、「インテリジェント・インホイール」に各種X-by-Wireを組み合わせたインホイールモータ方式の電気自動車は、車両の設計やデザインの自由度が飛躍的に高まると共に、高度な駆動制御により横方向への移動やその場での旋回など、ユーザーニーズに応える運動性能を得ることが可能となり、これまでの自動車の概念を大きく変え得るものとなります。

近年、地球環境・エネルギー問題から電気自動車を中心とした次世代自動車の開発が加速しており、NTNは、それぞれのホイールにモータが内蔵される「インホイールモータ」の開発に取り組んできました。インホイールモータ方式は車体にモータを搭載する方式に比べ、室内空間の確保や各輪の駆動力を個別に制御することによる車両安定性の向上という長所がある反面、ばね下重量増加に伴う操縦安定性、乗り心地、さらに電池の一充電当たりの走行距離の延長が大きな課題であり、軽量化を図る必要がありました。

NTNではこの課題を解決するために、小型・高速・高出力・高効率モータと高減速比・高速・高負荷容量減速機の組合せをコンセプトに開発を進めました。小型モータの高速・高出力・高効率を実現するため、ロータ/ステータの損失や質量の配分など、モータの設計や制御ロジックを最適化しました。また軽量化に向けては、内部仕様を最適化し効率を高めることで発熱を徹底的に抑制し、従来必要だった水冷システムを不要にしました。さらに小型モータの特性である高速回転を活かしながら、トルクが小さいという課題を解決するため、モータトルクを増幅してタイヤに伝えることが可能な「サイクロイド式減速機構」を採用しました。NTNの高精度・長寿命転がり軸受技術を用いることで、サイクロイド減速機構の速度限界及び負荷容量の限界を、電気自動車で利用できるレベルまで向上させることに成功しました。

なお、本開発品は2012年からの市場投入を目指しており、5月19日~21日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展」に出展いたします。

特長

電気駆動、電気制動、荷重検出、制御技術によるインテリジェント化
  • 燃費(電費)と運転時の安全性が向上
  • 車両の設計やデザインの自由度が飛躍的に向上
  • ユーザーニーズに応える運動性能を得ることが可能
ユニット化による軽量、高出力、高速、長寿命化
  • 世界最軽量v
  • 本ユニット2台(2輪分)で小型乗用車を駆動可能
  • 最高速度150km/hを達成
  • 30万kmの耐久性を確保
小型、高速、高出力、高効率のモータを搭載
  • 埋込磁石型永久磁石式同期モータ(IPMモータ)の適用
  • 空冷(潤滑油循環冷却):効率を高めることで発熱を抑制し水冷システムが不要
  • CAE技術による最適設計および最適制御ロジックの確立により高性能化を達成
  • ロータ角の検出に磁気式角度センサ(自社開発品)を搭載し小型化を達成
世界最高速、高効率、高負荷容量、高減速比のサイクロイド式減速機構を採用
  • 慣性力の不釣合いによる振動を低減させるためのカウンタウェイト(バランスを取るためのおもり)採用により、許容回転数を向上
  • サイクロイド減速機内部の接触部への転がり軸受の採用による効率向上
  • 転がり軸受で培った材料・熱処理技術の適用による小型・高負荷容量軸受の適用
  • 高い減速比(減速比:1/11)
  1. 独自の遊星ローラねじ式直動機構(押圧力発生機構)により、小型ながら十分な制動力が得られる電動ブレーキ用アクチュエータ。2007年10月18日プレスリリース参照。
  2. 路面―車輪間に働く3軸方向の力をハブベアリングに生ずる微少な歪を測定することで検出する。2010年1月27日プレスリリース参照。
  3. モータ回転角度検出センサ。SNR社が開発した高分解能センサ技術を融合し、軸受一体式とすることでコンパクト化を図る。2010年4月14日プレスリリース参照。
    なお、SNR社(仏,ABSセンサの世界標準技術を保有)はNTNの連結子会社。2008年4月16日プレスリリース参照。
  4. モータを発電機として機能させ、走行に伴う運動エネルギーを電気エネルギーに逆変換し回収するための制御。
  5. 同一出力クラスでの比較(弊社調査)

お問い合わせ先

EVシステム事業部 事業化推進部

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