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2010年

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新商品
『多軸荷重センサ内蔵ハブベアリング』を開発
2010年1月27日新商品ニュース

世界最高水準の精度!先進車両安全制御の高度化に貢献

写真:『多軸荷重センサ内蔵ハブベアリング』

NTN株式会社(以下、NTN)は、世界最高水準の高度な車両姿勢制御を可能にする、3方向荷重(Fx、Fy、Fz)※1を検出できるセンサを組み込んだ『多軸荷重センサ内蔵ハブベアリング』を開発しました。

自動車には、安全性を高め、運転の容易さを可能にするため、高度な車両制御システムが搭載されています。この制御システムでは、車体に設置された加速度センサ・ヨーレートセンサ※2及びABS※3センサなどの信号を統合して車両の状態を推定しています。しかし、現在の車体上のセンサでは、車体の姿勢が乱れ始めてから制御を開始するため、応答性が遅いという課題がありました。車両制御の高度化には、タイヤ接地面と道路の摩擦力を検知し、接地状態を正確に把握することが有効です。また、より路面に近い位置でリアルタイムに信号を検出することも必要です。NTNは、車両制御に最も重要なコーナリング力(Fy)を検出する「荷重センサ内蔵ハブベアリング」を2007年に開発しましたが、3方向荷重が検出できるハブベアリングも求められていました。

本開発品は、歪(ひずみ)素子検出センサをハブベアリングの固定部材である外輪に取り付けることにより、前記のコーナリング力(Fy)に加え、駆動力・制動力(Fx)、上下方向力(Fz)を検出します。ハブベアリングの外輪は、荷重が負荷されると微小な変形を生じますが、荷重の方向によって変形のしかたが異なります。3方向荷重は、この微小な変形を上下左右4箇所のセンサで正確に検出し、その信号を演算することで±5%FS(フルスケール)の世界最高水準の精度で算出しています。演算アルゴリズムはSNR社と協同で開発しており、NTNとSNR社のシナジー効果の1例です。また、本センサには温度センサが内蔵されており、温度の影響を除外可能です。なお、荷重による外輪変形を検出していますので、車両が静止した状態でも荷重検出が可能です。

本開発品で3方向荷重を検出することにより、タイヤを通じて路面に伝達する力をその方向を含めて検出できるため、路面状態の推定精度が向上し、タイヤの接地能力を十分に発揮するための正確な車両制御が可能になります。また、タイヤ近傍で荷重を検出しますので、車体で検出するのに比べて、路面状態変化の早期検出が可能となり、従来はタイヤに荷重が作用した後、応答に0.2秒程度必要と言われていましたが、本開発品では0.05秒程度に短縮できます。この0.15秒の差は、時速100kmで走行した場合で空走距離4.2mに相当します。従って、本開発品を適用することで、早期の危険予知、および、アクティブサスペンション制御による車両姿勢安定化・乗り心地向上なども可能になります。

NTNは、本開発品を車両安全制御の高度化に貢献することのできる商品として、グローバルに市場展開してまいります。

図:3方向荷重

※1 3方向荷重
Fx:駆動力・制動力
Fy:コーナリング力
Fz:上下方向力

※2 ヨーレートセンサ:車両における旋回方向の角速度を検出するセンサ

※3 ABS:アンチロック・ブレーキ・システム(タイヤのロック防止装置)

特長

歪素子センサをハブベアリングに搭載することで世界最高水準の精度で高度な車両制御が可能

  1. 3軸荷重(Fx,Fy,Fz)の高精度検出(±5%FS)
    ⇒ 路面状態の高精度な推定による正確な車両制御
  2. タイヤ近傍(ハブベアリング)で測定
    路面状態変化の早期検出
    応答時間:従来0.2秒⇒0.05秒(時速100kmで空走距離4.2mの差に相当)
  3. 車両静止状態で荷重検出が可能

用途

乗用車用ハブベアリング

お問い合わせ先

自動車商品本部 自動車企画部

多軸荷重センサ内蔵ハブベアリング製品外観写真

多軸荷重センサ内蔵ハブベアリング製品外観写真

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