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2010年

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新技術
高度なモータ制御を可能にする『高精度磁気式角度センサ』を開発
2010年4月14日新商品ニュース

 NTN株式会社(以下、NTN)は、磁気エンコーダと磁気センサを組み合わせ、回転軸の回転位置(回転角度)を高い精度で検出可能な磁気式の角度センサを開発しました。磁気エンコーダを軸受と一体化することで設置スペースのコンパクト化となり、対応する磁気センサは高精度でありながら取り付けも容易です。

電気自動車等の駆動モータや電動パワーステアリング等のモータでは、エネルギー効率を高めるために、ロータの回転位置に応じてモータ電流を精密に調整しています。これにはロータの回転位置を正確に検出する角度センサが必要であり、振動や汚れが懸念される環境では磁気センサやレゾルバ※1が使用されています。しかし、レゾルバは信号処理回路を別途用意しなくてはならず、磁気センサを使用した角度センサには回転軸の軸端で測定するタイプが多いため、これまで回転軸の外周に配置して測定できる高精度な角度センサはありませんでした。

開発品には以下の使用上の利点があります。

  1. 磁気エンコーダを軸受の回転輪に一体化することで、軸受に隣接した8mm以下の軸方向スペースにセンサ部全体をコンパクトに配置可能です。これによりモータの小型・軽量化につながります。
  2. 高い精度(角度精度:±0.4°以下)で安定した角度検出を実現し、電気自動車の駆動モータ等への適用が可能です。
  3. 高速回転(最高回転数:15000rpm、24極対磁気エンコーダ使用時)対応可能により、電気自動車の駆動モータへの適用が可能です。なお、磁気エンコーダの磁極対数を少なくすれば15000rpm以上の回転にも対応可能です。
  4. 信号処理回路を内蔵していますので、レゾルバで必要とされる外付け処理回路が不要であり、システム構成を簡略化できます。

開発品は、自動車の車輪速センサなどに広く使用されているリング状の磁気エンコーダを回転体に取り付け、固定側部材に設置した磁気センサと組み合わせて角度を検出する構成です。磁気エンコーダ上には異なる磁極数の磁気パターンが2列に形成されています。この2列の磁気パターンを独立した2つの磁気センサで読み取ると、2つのセンサ信号間のずれ量が回転位置により変化します。このずれ量からバーニア原理※2を用いて回転位置(角度)を精度良く求めています。磁気センサには、磁気パターンを正確に読み取る性能が必要となりますので、SNR社(仏)との共同開発による高分解能磁気センサ技術を応用しています。

NTNでは、主に自動車用モータ向けに、本開発品を広く市場展開していきます。

※1 「レゾルバ」:ロータ、ステーターのコイルから発生する電磁誘導を利用して角度を検出する。

※2 「バーニア原理」:副尺。本尺の1目盛の端数を正確に読み取る装置。ノギス等の読み取りに使う原理。

特長

  1. 角度精度:±0.4°以下(高精度)
  2. 最高回転数:15000rpm(24極対磁気エンコーダ使用時)→ EV駆動モータに適用可能
  3. 信号処理回路を内蔵:外付け処理回路が不要
  4. コンパクト:機器の小型化に貢献
  5. 回転軸の外周に設置可能

用途

自動車用・産業機器用 モータ制御用センサ

お問い合わせ先

NTN株式会社 商品化・知的財産戦略部

解説

(1)実装例:軸受との組合せ

実装例 : 軸受との組合せ

(2)SNR社(仏)との共同開発による高分解能磁気センサ技術

図:SNR社(仏)との共同開発による高分解能磁気センサ技術

(3)角度検出方法(4極対モータの例)

図:角度検出方法(4極対モータの例)

使用するモータの極数に合わせて、磁気エンコーダに形成する2列の磁極数の組み合わせを設定することにより、最適な角度情報を出力可能。

例:4極対モータの場合、磁気エンコーダの磁極対数を32と28に設定
⇒ 90°の範囲に8極対と7極対の磁気エンコーダ磁極が配置される

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