コンプライアンス
コンプライアンスに対する基本的な考え方
当社は、持続可能な社会に貢献し、「社会に必要な企業」であり続けるためには、社会からの信用を獲得することが必要不可欠であると考え、経営の基本方針の中にコンプライアンスの重視を掲げています。各国の法令、社会的規範や当社社内規程に則った事業活動を行っていくため、役員および従業員が遵守すべき行動の指針を「業務行動規準」に定め、コンプライアンスに関する諸規程や内部通報制度、コンプライアンス委員会、公正取引監察委員会を含む推進体制を整備・運用しています。
推進体制
当社は、「コンプライアンス委員会」と「公正取引監察委員会」を設置、運営し、両委員会の活動を軸にコンプライアンスを推進する体制を構築しています。
両委員会での取り組みのほか、法務部では、コンプライアンスに係る教育・啓発活動として、役員、従業員への階層別、テーマ別の各種研修を随時実施しています。また、国内のコンプライアンス推進活動管理者向けの集合研修会を年1回開催し、重要課題に関する情報共有や意見交換を行うことで、各事業所での推進活動の充実化を図るとともに、各事業所での取り組みに対する支援を行っています。さらに、贈収賄防止の取り組みといったグローバルなコンプライアンスリスクへの対応については、海外5地区の総支配人室に設置している企画・内部統制部や海外地区の法務・コンプライアンス担当者と定期的に情報・意見交換を行い、活動内容の相互確認や新たな課題設定を行っています。
また、独禁法遵守活動の統括部署である法務部内に公正取引推進グループを設置しており、同グループは公正取引監察委員会の指示のもと、国内の関連部門に対する教育、指導、監査などを実施するとともに、海外子会社については、総支配人室 企画・内部統制部と連携して独禁法遵守活動の実施状況を管理しています。
■体制図
主なコンプライアンス強化施策
分類 | 施策 | 開始時期 |
---|---|---|
体制/方針/ルールの整備 | 安全保障輸出管理に関する社内規程類の制定 | 1993年 12月 |
ヘルプライン(内部通報制度)の設置、運用 | 2003年 4月 | |
「業務行動規準」を制定 | 2003年 5月 | |
業務行動規準ガイドブックの配布(2018年に改訂版を配布) | 2003年 5月 | |
「ヘルプライン管理規程」の制定 | 2006年 11月 | |
公正取引推進室(現・法務部 公正取引推進グループ)を設置 | 2012年 4月 | |
「公正取引管理規程」など、独禁法遵守に関する社内規程類の制定 | 2012年 4月 | |
公正取引監察委員会を開催 | 2012年 5月 | |
「カルテル防止に向けた5原則」を策定、携帯カードの配布 | 2012年 8月 | |
独禁法遵守ハンドブック (現・「独禁法遵守の心得」2016年7月改訂)を配布 |
2012年 12月 | |
CSRグローバル会議を開催 | 2015年 1月 | |
「コンプライアンス推進活動管理規程」の制定 | 2015年 4月 | |
コンプライアンス推進活動管理者を設置 | 2015年 4月 | |
コンプライアンス委員会を開催(年2回) | 2015年 4月 | |
取引先さま向けにコンプライアンスの内容を含む 「NTN CSR調達ガイドライン」を発行 |
2016年 4月 | |
7月26日を「コンプライアンスを考える日」として制定、 社長メッセージを発信(年1回) |
2016年 7月 | |
贈収賄防止に関する社内規程類の制定 | 2017年 4月 | |
贈収賄防止に関する社内手続き(財物・利益の提供管理)を導入 | 2017年 4月 | |
贈収賄防止に関する社内手続き(第三者管理)を導入 | 2019年 4月 | |
贈収賄防止に関する社内手続き(財物・利益の受領管理)を導入 | 2019年 8月 | |
改正公益通報者保護法の施行にあわせて「ヘルプライン管理規程」を改定 | 2022年 6月 | |
教育/啓発活動 | ニュースレター「法務情報」の発信 | 1997年 1月 |
重要関連部署を対象に法務部などによる特定テーマ(独禁法遵守、贈収賄防止、安全保障輸出管理、ハラスメント防止など)に関する研修を実施(随時) | 2012年 1月 | |
執行役員を対象に特定テーマ(独禁法遵守、贈収賄防止、安全保障輸出管理、ハラスメント防止など)に関する研修を実施(随時) | 2012年 8月 | |
新任管理職、新入社員などを対象に、階層別に法務部によるコンプライアンス研修を実施(随時) | 2015年 4月 | |
事業所ごとにコンプライアンス推進活動管理者による独自のコンプライアンス研修を実施(随時) | 2015年 4月 | |
コンプライアンス推進活動管理者・担当者を対象に、法務部による集合研修会を実施(年1回) | 2015年 4月 | |
子会社社長を対象に、法務部によるコンプライアンス研修を実施 | 2015年 12月 | |
コンプライアンス関連事例や推進体制の紹介など、情報共有のためのデータベース「NTN's Compliance」を運営 | 2016年 8月 | |
eラーニング(贈収賄防止・独禁法)を実施(年1回) | 2017年 4月 | |
監査/モニタリング活動 | 安全保障輸出管理に関する自己監査・内部監査を実施 | 1995年 10月 |
コンプライアンス意識調査を実施 | 2008年 9月 | |
独禁法遵守に関する監査を実施 | 2012年 11月 | |
子会社社長のコンプライアンスに対する姿勢調査を実施 | 2017年 4月 | |
贈収賄防止規程類に関する監査を実施 | 2018年 5月 |
業務行動規準
業務行動規準は、NTNグループ会社の役員および従業員一人ひとりが事業活動において遵守すべき基本的な業務行動の規準を定めたものです。
- 法規範の遵守
- 品質・安全性の追求
- 独占禁止法の遵守
- 調達先との公正な取引
- 契約の遵守
- 取引先との不正行為の拒絶
- 適正な表示
- 知的財産権の尊重
- 機密情報の適切な管理
- 安全保障輸出管理の徹底
- 各種業法の遵守
- 企業会計原則の遵守
- 国際ルールの遵守
- 環境保全の推進
- 積極的な社会貢献
- 労働関係法令・就業規則の遵守
- 安全で働きやすい職場環境の実現
- 人権尊重
- セクシュアル・ハラスメントの禁止
- 個人情報の適切な管理
- 公私の峻別
- 反社会的勢力との関係断絶
- 情報システムの適切な使用
- インサイダー取引の禁止
- 接待・贈答の自粛
- 適法な寄付・政治献金
社内風土に関する調査の実施
当社グループは、2018年3月期より不正防止活動の一環として、関係会社社長のコンプライアンスに関する姿勢と組織風土について、従業員の評価を調査しています。
企業内における不正は、動機・プレッシャー、機会、正当化のトライアングルが成立した場合に発生確率が高くなると言われており、規則・ルールや罰則の整備を進めると同時に、組織風土および環境の整備も重要なため、従業員の評価を通して、関係会社の組織風土の変化を定期的に確認しています。
本調査結果は、関係会社社長に対して公開することで、常に社内や本社から見られているという意識づけによる「不正を起こす気にさせない」風土づくりと、従業員とのより良い関係づくりに活用しています。
2023年3月期は、社長交代などがあった関係会社12社(国内6社、海外6社)の従業員約680名を対象に、調査を実施しました。
■関係会社の社長の姿勢を「良い」と評価した従業員の割合(平均)
贈収賄防止の取り組み
国内における取り組み
当社では、日本および海外各国の贈収賄関連法令、社会規範を踏まえた社内規程類を整備し、運用しています。社内規程類では、国内外の公務員や取引先さまとの贈収賄を禁止するだけでなく、役員・従業員による財物・利益の提供に関するルールと手続き、ビジネスパートナーを介した贈収賄を防止するためのルールと手続きを定めています。また、民間の企業間の財物・利益の授受を規制する国もある中、役員・従業員による収賄を防止するとともに、公正な取り引きの徹底と、役員・従業員による利益相反行為の防止を図るため、財物・利益の受領に係るルールと手続きを定め、取引先さまからの接待・贈答などは原則としてお受けしないこととしています。社内規程類の内容については、社内研修やeラーニングなどで啓発活動を行うとともに、贈収賄防止規程類に関する自己監査を年に1回実施し、周知を徹底しています。また国内子会社においては、当社の方針と整合性を取りながら、各社版の規程類を整備し、運用しています。
海外における取り組み
海外においては、国ごとの関連法令や社会規範を踏まえた各国版の社内規程類を整備、運用しており、それらに係る監査活動も随時実施しています。法務部では定期的に各地区の総支配人室 企画・内部統制部と双方の関連する取り組みについての情報共有や意見交換を行いながら、当社グループ全体で贈収賄を防止する体制を維持・管理しています。
ヘルプライン(内部通報制度)の運用と周知活動
国内では、法令や業務行動規準、社内規程に違反する行為に関する相談を広く受け付ける窓口として「ヘルプライン(内部通報制度)」を社内・社外に設置し、運用しています。窓口には、ハラスメントを含む労働関係法令や社内規程違反などが疑われる事案の相談が寄せられ、「ヘルプライン管理規程」に基づいて、守秘義務や、相談者や調査協力者に対する不利益な取り扱いの禁止などのルールを遵守して調査対応を行っています。各種コンプライアンス研修での紹介や業務行動規準ガイドブックへの掲載を通してヘルプラインについて周知を行い、違反行為の通報手段としてだけでなく、業務行動規準遵守に関する疑問、意見、不満を述べる手段、会社と役員、従業員および取引先さまとの良好な関係を維持する手段として活用できる体制を整備しています。2022年には、改正公益通報者保護法の施行にあわせて「ヘルプライン管理規程」を改定し、保護対象者の拡大や保護の強化など、法の趣旨に沿った運用を行っています。また海外においても、各地区のニーズと実情にあわせて地区ごとの内部通報制度を順次整備・運用しています。
コンプライアンス意識調査の実施
コンプライアンス意識調査を年1回継続的に実施し、コンプライアンスに関する教育・啓発活動の成果や業務行動規準の浸透度などを評価しています。また取り組み課題を抽出し、次期のコンプライアンス推進活動の拡充に活かしています。
「コンプライアンスを考える日」の活動
2016年には毎年7月26日を「コンプライアンスを考える日」として制定しました。「コンプライアンスを考える日」では、社長から国内外の当社グループの従業員に向けて事業活動におけるコンプライアンスの重要性を説くメッセージを発信するなど、従業員のより一層のコンプライアンス意識向上に向けた取り組みを行っています。
独占禁⽌法遵守の取り組み
当社は、独禁法違反をグループ全体のリスクととらえており、独禁法遵守の徹底のため、さまざまな取り組みを行っています。
(1)従業員の⽇々の意識づけ
独禁法遵守にかかる基本方針を、「CSR基本方針」や「業務行動規準」において明示するとともに、2012年8月には独禁法違反を起こさないため、また独禁法違反から自分を守るために必要な行動指針として「カルテル防止に向けた5原則」を策定しました。これらを掲載した携帯カードを従業員に配付し、意識の浸透を図っています。さらに、同年12月、独禁法遵守に関する諸規定の理解を促すため「独禁法遵守ハンドブック」を配付しました。2016年7月には、具体的な禁止行為事例集を追加し、同ハンドブックを「独禁法遵守の心得」と題した新たな冊子として刷新し、従業員に配付するとともに教材としても活用しています。
(2)競合他社との接触を予防・監視
役員・従業員に対して、展示会や会合などいかなる場合においても競合他社と接触する可能性のある場合は事前申請・事後報告を行うよう義務づけており、競合他社との接触状況を把握できる体制を構築しています。
(3)教育
役員・従業員の独禁法遵守に対する意識をより高めることを目的に、継続的に研修を実施しています。
今後も引き続き研修内容の充実に努め、公正で自由な競争の実現を図ります。
【2023年3月期の主な独禁法遵守に関する研修実績】
- 営業部門向け独禁法遵守研修
- 階層別独禁法遵守研修(職種や所属部門を問わず、新任管理職、新入社員を対象に実施)
- 海外各地区における独禁法遵守研修
(4)監査
当社における独禁法の遵守が関係法令、社内規程などに基づき、適正に実施されているのか実態把握と評価を行うため、定期的に監査を実施しています。
国内では、法務部の指示のもとで各部門の責任者が行う「自己監査」および経営監査部が行う「内部監査」を継続して実施しており、2023年3月期は、国内20部門を対象に実施しました。(下請法遵守の取り組みはこちら)
海外でも、各地区の企画・内部統制部が自己監査の指示や内部監査を定期的に実施しております。
監査の結果、重大な違反行為などは発見されませんでしたが、独禁法遵守体制のさらなる強化に向け、監査の中で指摘された事項について改善を行います。