その他
更新日:2024.11.01
NTNの“ファン”を増やし、
「何かあったらNTNに」と
思ってもらえる基盤をつくる
エンドユーザー・販売代理店向け技術講習会
その他
更新日:2024.11.01
エンドユーザー・販売代理店向け技術講習会
軸受は、一定期間使い続ければ寿命がくる。思わぬ原因で損傷・破損することもある。そうして交換や補修が必要になった際、「よし、NTNに相談しよう」と思ってもらえる存在になれるよう、日ごろから必要に応じてサポートを提供するのが「エンジニアリング・サービス(技術サービス)」だ。 一般的に、軸受はメーカーが顧客の使用条件に合わせた軸受の選定と納入を行った後、顧客が軸受の使用や交換、運用保守を行う。NTNでは選定・納入に留まらず、軸受の選定から使用、運用保守までのすべてを支援する軸受ライフサイクルマネジメントを強化している。その取り組みの1つとして、軸受に関する困りごとがあるユーザーに対して必要な技術サポートを提供するとともに、これから軸受を扱おうというユーザーの担当者などに対して、軸受の正しい取り扱い方を習得してもらうための実演や講習会を行っている。国内であれば「テクニカル・サービスカー」を使った出張講習会を数多くこなし、国外に向けても、多言語の講習会をさまざまな形式で行っている。
そうして関係性を築き、NTNの“ファン”を増やす上で重要な役割を果たすエンジニアリング・サービスとは、どのようなサービスなのか。同サービスを支える軸受事業本部 グローバルテクニカルサービス部の3人に聞いた。

軸受事業本部
グローバルテクニカルサービス部
生木 岳司

軸受事業本部
グローバルテクニカルサービス部
王 本心

軸受事業本部
グローバルテクニカルサービス部
セリン・オン・フイツ
軸受の販売には2種類の形態がある。1つは、自動車メーカーなどが製造するさまざまな機械に合わせた商品を開発し、供給するもの(OEMビジネス)。もう1つは、工場の製造設備など、長く稼働させ続ける機械に対して、NTNの正規販売代理店を通じて補修または交換用の軸受を供給するものである。このうち後者をアフターマーケットビジネスといい、NTNは近年とても力を入れている。2024年3月期、アフターマーケットビジネスの売上比率は16%を超え、営業利益率は14.5%とNTNの屋台骨と言えるビジネスとなっているが、2035年度にはこの売上比率を40%にまで伸ばすことを目指しているのだ。
そのアフターマーケットビジネスにおいて、「困りごとがあったらNTNに相談しよう」と思ってもらえる存在になるために、日ごろからさまざまなサポートを提供し、お客さまとの信頼関係の構築を目指すのが、「エンジニアリング・サービス」の役割だ。グローバルテクニカルサービス部で長く同サービスに携わってきた生木岳司は言う。
「軸受は規格品です。つまり、軸受の交換が必要になった際、同じ品番のものであれば、メーカーを問わずどれでも使用可能です。その際、NTN商品を選んでもらうためにはやはり、日ごろのコミュニケーションや信頼関係の構築が重要です。そのために日々できることをやっていくのが、私たちの仕事です」
エンジニアリング・サービスが対象とするのは、国内企業だけではない。いまやグローバルな対応も必須である。そのためにも、近年、多言語で対応できるメンバーも加わった。それが、中国出身の王本心と、マレーシア出身のセリン・オン・フイツである。2人とも英語、中国語、日本語が堪能で、かつ機械系の専門教育を受けている。彼女たちが加わったことで、エンジニアリング・サービスはいま、これまでにない充実ぶりを見せている。
エンジニアリング・サービスの主な業務は、各種技術サポートと、軸受に関する講習会の開催だ。そのうち現在、多くの時間を割いているのが、後者の講習会である。軸受は繊細な部品であり、取り扱いを間違えると容易に損傷・破損する。実際に、軸受に生じるトラブルは、軸受の取り扱い方が正しくないことが原因になっているケースが少なくなく、正しい取り扱い方を習得してもらうことはとても大切なのである。
講習会は、NTNの桑名技術開発センター(三重県桑名市)でも行われるが、商品サンプルや、軸受の取付け・取外しに用いるメンテナンスツールを搭載した「テクニカル・サービスカー」による出張講習会のニーズも多い。テクニカル・サービスカーで全国各地のユーザーを訪問し、その場に講習会場を設営して、講習・実演を行うのである(車で運ぶことができない大型軸受の組み込みの実演だけは、事業所でのみ可能)。

NTNオリジナルのテクニカル・サービスカーで北は北海道、南は沖縄まで全国のユーザーを直接訪問
生木は言う。「国内で講習会を受講するのは主に、(ユーザーの)軸受を扱う設計担当者と、製造現場の作業担当者です。設計担当者は軸受を選定しなければなりません。その際、オーソドックスな『深溝玉軸受』がいいのか、それともより大きな荷重を受けられる『ころ軸受』の方がいいのかといったことを判断する必要があり、その選定の方法などを学んでいただきます。また、現場の方向けの講習会であれば、軸受の取り扱い方について、すなわち、軸受を軸に入れる時はどうすればいいか、どういう工具を使うといいのか、といったことを伝えて、実演もします。
まだテクニカル・サービスカーでの講習会を行うようになる前のころ――。生木がユーザーの元を訪ねたところ、軸受の正しい取り扱い方法を知らないままで使っているケースが多いことに気づかされた。特にNTNが直接やりとりすることが少ないユーザーにそういうケースが多く見られた。そのことに気がつき、こちらから直接知識を伝えていく場が必要だと思ったことが、テクニカル・サービスカーでお客さまのもとに行って講習会をやることになるきっかけであったという。それが10数年前のことである。
その後、この取り組みは徐々に知られるようになり、一時は年間全国数百カ所をも回るようになった。2週間で西日本の数十カ所を回って講習会を行って、一度桑名に戻ってからまた2週間、今度は別の方面に出発する、というような具合だった。ただ、コロナ禍でいったんすべてがストップとなってしまった。以来、オンライン形式の講習会を開催するなどの工夫をし、コロナ禍が落ち着いた現在は、徐々に対面形式を回復させているところだという。

コロナ禍で生まれたオンライン形式の講習会は、
場所や人数の制約がないことから多数のユーザーから大好評となった

講習会では、軸受の組み込み方などを実演し、実際にやってみてもらうことが重要な意味を持つが、それを主に担っているのが王である。彼女はまだ、エンジニアリング・サービスを担当して1年半ほどではあるものの、彼女の実演はとても好評であるという。練習を重ねた上、生来の明るさとノリの良さで、実に楽しい実演をするのだ。静岡のある企業では、14、5年にわたってNTNの講習会が開かれてきたが、その営業部長は王の実演を見ていった。「今回の実演が一番よかったです」
「じつは去年も私が実演したのですが、その時は何も言われませんでした。まだ知識が十分でなくて、あまりうまく話せなかったんですね。でも今年は、すでにだいぶ回数も重ねてきているし、そう言ってもらえてよかったです。アンケートの中には、営業の方との掛け合いが『通販の番組みたいだった』という感想もありました。来年はもっと漫才みたいな感じにしたら、さらに面白がってもらえるのかな(笑)」
そう言って王は、楽しそうに笑う。彼女の実演は面白いだけではない。軸受の正しい扱い方をしっかりと伝え、喜ばれている。
「お客さんから『この場所の軸受がすぐ壊れてしまうのですが、どうしてでしょう』などと聞かれることがよくあります。よく聞いてみると、軸受を正しく取り扱っていないケースが多いんですね。例えば、組み込む時にハンマーで直接叩いていたり、膨張させるためにバーナーで直接あぶっていたりする方もいました。そういう場合に、実演によって正しい取り扱い方や、工具類の適切な使い方を伝えると『初めて聞いた』と言われるお客さまも多いです。正しい方法を丁寧に伝えるとすごく喜ばれますし、その上、その場で必要な工具類などを購入して下さるお客さまも毎回います。実演の大切さを感じています」

自身のキャラクターと日々の勉強と学習による「通販番組」さながらの実演シーンは講習会で大人気に

NTNの販売拠点は現在、世界27カ国に広がっており、エンジニアリング・サービスの対象は海外にも及ぶ。その場合、当然、英語など多言語での対応が必要となるが、これまでは対応できる人間が少なかった。しかし最近、マレーシア出身のセリンが入ったことで、できることが大きく広がったという。彼女はこの記事のインタビュー時、エンジニアリング・サービスの担当になってまだ半年ほどだったが、すでに大きな存在感を見せていた。
「まだ自分はこの部署に入ったばかりで、講習会の経験は少ないのですが、先日オーストラリアから販売代理店の方が来て2週間の研修を行った時に、英語でのレクチャーを担当しました」
海外の販売拠点の多くは、まだ歴史がそれほど長くない。そのため、一度日本に来るなどしてNTNの軸受について学んでもらい、その上で現地で販売を進めてもらうことがあるが、これまでは、言語の問題で意思疎通が不完全になってしまう部分があった。しかし王が入り、さらにセリンが加わったことによって、そうした問題は解消された。現在では、海外各地の販売拠点と細かなやりとりをすることが可能になった。
「先日オーストラリアから来た方々は、これまで日本側とのコミュニケーションが十分ではないところがあったことがわかりました。今回2週間一緒に過ごして、私も彼らと信頼関係を築けたので、これからは密にやりとりをして、NTN商品の拡販に向けてアイデア交換を重ねていきたいと思っています。私自身、これからたくさん勉強することもありますし、もっと頑張らないといけません。だからこそいま、大きなやりがいを感じています」
セリンはいま、ほぼ毎朝、部長から1時間の軸受に関するレクチャーを受けているという。彼女はこれまでの部署では深溝玉軸受の開発に注力していたが、これからはすべての軸受のラインアップを頭に入れて、適切な軸受を提案したりしなければならないからだ。彼女が成長することが、NTN全体にとっても大きな意味を持つのだろう。一方、王はセリンが部長からレクチャーを受けていることを知って、自分も新しいことを学ぶチャンスだと思い、一緒に受けることにしたという。
王もセリンも、とても明るく、そして向上心に溢れていた。日本で働くことについて思うことを聞くと、王は「うちの会社の人はみんな付き合いやすくて、優しくて親切です。聞いたらなんでもすぐ答えてくれますし、ほんとにこの会社に来てよかったです、定年まで働きたいです(笑)」と満面の笑顔で話す。一方セリンは、「みんなよく教えてくれて、とても教育が手厚いなって感じます」と言って、さらに続けた。
「どんな質問をしても答えてくれて、人の層が厚いです。そして、何をするにもひとつひとつきちんとやっていることが、日本のモノづくりのレベルの高さにつながっているのだろうなあとも感じています」
NTNで働くことを、二人がとても楽しんでいるのが伝わってきた。社内の環境もまた、多様な文化圏の人たちへと開けたものになっているのだろう。
アフターマーケットビジネスのさらなる飛躍が求められる中、エンジニアリング・サービスはこれからますますの成長が必要となる。3人には、それぞれどのような目標があるのだろうか。尋ねるとまずは生木が言った。
「私はこれまで長く、国内外の販売代理店向けの講習会をやってきました。代理店さんが販売を伸ばしてくれることはNTNの販売が伸びることそのものなので、代理店さんにしっかりと知識をつけてもらうことはとても重要な課題です。そのことを改めて意識して、しっかりと自分の仕事をやり続けていきたいです」
続いて王だ。
「実演の方は、これからますます漫才のようにして(笑)、NTNのファンを増やすことを目指したいです。一方、自分としては、社内の若手や新人の教育をもっとうまくやれるようになりたいです。文系の新人もいる中で、どうやったら軸受についてわかりやすく説明できるか。その点をもっと工夫していくつもりです。でも私は、質問されてわからないところがあったらすぐ、『生木さん、生木さん!』って質問します(笑)。いつも優しく答えてくださるので、本当にありがたいです」
そうして生木も王も笑う中、最後にセリンがこう話した。
「自分が円滑にコミュニケーションを取ることで、海外の販売代理店さんやお客さんにいま以上に手厚い技術サポートを提供できたら、現地の売上アップにつながると思っています。だから頑張りたいです。他社と競合する場合も、今回ダメでも次があります。そこで勝てばいいんです。そして一度NTNの商品を使ってもらえるようになったら、NTNの魅力を知ってもらい、さらに次の年もその次の年も、NTNの商品を使い続けてもらえることを目指します。そのためにも、私がもっと知識をつける必要があるので、いまは親切な周りの方たち(笑)から、もっともっと知識を吸収していけるように、頑張ります」


生木、王、セリン。3人は、とてもいい関係を保ちつつ、エンジニアリング・サービスを盛り上げているのが伝わってきた。2035年度にアフターマーケットビジネスの売上比率を40%に――。彼らの姿を見ていると、それも実現できそうな気がしてくる。
3人の技術と明るさは、これからますます、NTNのファンを増やし続けていくに違いない。
今回の開発によってNTNは、ソフトウェアを作るという新たな道を歩き出した。そのことはきっとこれから、組織にも個人にも大きな力を与えることになるだろう。三人が話す姿が、そんな未来を想像させた。
※取材内容、および登場する社員の所属はインタビュー当時のものです。