2016年

NTN株式会社(以下、NTN)は、既存の用水路壁面に乗せるだけで設置できる出力1kWの小水力発電装置(以下、NTNマイクロ水車)の開発を進めてきました。

このたび、福島県須賀川市の「新安積疏水(しんあさかそすい)」において、本年6月から8月の3か月間、地元自治体・団体等の協力をいただき、発電性能、水路への影響、保守性等の検証を行い、実証試験が終了しました。安積疏水は日本三大疏水のひとつで、猪苗代湖より奥羽山脈を経由して導水される水路です。実証試験は河川法に基づき農林水産省の承認と、それに基づく安積疏水土地改良区(福島県郡山市)の許可を得て、国土交通省の登録後、須賀川市の農業従事者の方々などの協力もいただき、開始しました。

一般的な水力発電装置は、水路を堰き止めて水位の落差を利用するものですが、落差形成のための高額な工事費用が課題になっています。「NTNマイクロ水車」は、自然の水流による発電が可能で、既存の用水路の壁面に簡易的な工事で設置できます。

「NTNマイクロ水車」は、独自の翼形状と、NTNの低トルク軸受を使用し流水のエネルギーを高効率で電力へ変換することができます。実証試験では、翼径90cm、流速2m/s時に1kWの発電電力となる試験結果を得ることができました。「NTNマイクロ水車」は、水路内に直列に多数の装置を配置しても水流の干渉が少なく、台数に応じた出力を得ることが出来ます。実証試験では、水路長100mに最大10台の「NTNマイクロ水車」を設置しました。

NTNは、今回の実証試験で「NTNマイクロ水車」の検証を終了し、本年12月より販売開始に向けて商品化を進めてまいります。この農業用水路等の流水による自然エネルギーを電力に変換する「NTNマイクロ水車」は、地域社会の経済、あるいは産業の発展に寄与する商品と考えます。

本年7月から販売を開始した風力と太陽光を活用したハイブリッド街路灯に続き、今後も自然エネルギーを活用する商品の開発を通じて低炭素化社会の実現に貢献してまいります。

ご参考

「NTNマイクロ水車」について

外観

構造および構成例

特長

• 用水路の壁面へ容易に設置ができる(大がかりな工事が不要)
• 同一水路に複数台、直列設置しても装置間干渉が少なく出力が得られる
• 水のエネルギーを逃さない独自の翼形状と低トルク軸受で高効率発電

仕様

※既存の農業用水や工業用水に設置することができます。

お問い合わせ先

自然エネルギー商品事業部   事業推進部