
工作機械主軸用「グリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニット」を開発2024年10月28日
- 高速回転環境下におけるグリースの潤滑寿命を長寿命化
- グリース潤滑軸受として業界最高水準の高速回転dmn値190万に対応!
NTN株式会社(以下、NTN)は、工作機械主軸用グリース潤滑軸受の長寿命化を可能とする「グリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニット」を新たに開発しました。グリース潤滑軸受の高速回転時の課題であるグリースの劣化を抑制し、高速回転領域であるdmn値*1190万におけるグリース潤滑軸受の採用を可能にします。これまで、高速回転用途で一般的に使用されてきたエアオイル潤滑からグリース潤滑への切り替えを後押しし、工作機械の省エネルギー化やカーボンニュートラルに貢献します。
- 軸受の回転性能を表す指標で、軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1)
工作機械主軸用「グリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニット」
マシニングセンターと工作機械主軸における適用箇所(赤丸部分)
開発の背景
工作機械は加工時間の短縮を目的に、主軸の高速回転化が進んでいます。主軸の回転を支える軸受の潤滑方法にはエアオイル潤滑とグリース潤滑があり、一般的にdmn値にして140万を超える高速回転用途にはエアオイル潤滑が用いられる傾向にあります。
エアオイル潤滑は長期にわたって安定した潤滑が可能である一方、圧縮空気やエアオイルの供給装置などの付帯設備が必要となるため、省エネルギー化を図りにくいという課題があります。グリース潤滑は、初期に封入したグリースで潤滑を行うため、エアオイル潤滑のような付帯設備が不要となる一方、軸受の発熱などによりグリースが劣化するために、高速回転用途では潤滑寿命が短くなります。
近年、カーボンニュートラルの達成を目的に工作機械の省エネルギー化が進められており、従来はエアオイル潤滑軸受しか対応できなかった高速回転領域にグリース潤滑軸受を適用するニーズが高まっています。
このたびNTNは、高速回転環境下におけるグリース劣化を抑制し、潤滑耐久性を確保することで、長期間の使用を可能とするユニット商品を開発しました。
開発品について
本開発品は、主軸用軸受に隣接する間座に独自の給油機構を内蔵した間座ユニットです。外輪間座と内輪間座には、給油機構に加えて、潤滑油タンク、センサーおよびセンサーによる検出データの処理回路、無線モジュール、自立電源を搭載しています。主軸の回転により発電し、電装品の駆動に必要な電力を供給するため、外部からの給電が不要で、単独での動作が可能です。
給油は基礎試験の結果やグリースの劣化メカニズムの解析に基づき、予め設定した時間間隔で行う仕組みとしており、グリースの潤滑寿命を延ばすことが可能です。将来的には内蔵センサーを用いて潤滑剤の枯渇状態を検出し、最適な給油タイミングで必要量の潤滑油を供給することで、さらなる長寿命化を図ります。
本開発品を用いることで、高速回転環境下におけるグリースの潤滑耐久性を確保し、dmn値190万の高速回転用途でもグリース潤滑軸受の適用が可能となります。
開発品の特長
| 1. 高速回転性能 | dmn値190万(グリース潤滑軸受として業界最高水準、当社従来品比35%向上) |
|---|---|
| 2. 長寿命 |
当社従来品比2.5倍以上の潤滑寿命を実現 今後、センサーにより最適なタイミングで給油する技術を確立し、15倍以上を目指す |
| 3. ワイヤレス | センサーと発電機を内蔵しているため、組み付け・取り扱いが容易 |
NTNは、今後、本開発品の実機における稼働試験などを通じて改良を進め、早期の市場投入を目指すとともに、グリースや保持器など軸受を構成するあらゆる要素の開発を進め、工作機械市場においてニーズが高まるグリース潤滑軸受の高速回転性能の向上に取り組んでまいります。
NTNは11月5日~10日に東京ビッグサイトで開催される「第32回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)」に本商品を参考出展します。
用途
工作機械主軸(マシニングセンター、複合加工機、旋盤) など
構造
連続運転時間(dmn値190万)の比較結果
