HOME > 商品・技術情報 > 新商品ニュース:2024年 >  工作機械主軸用グリース潤滑軸受向けに高速回転に対応する樹脂保持器を開発

2024年

新商品
工作機械主軸用グリース潤滑軸受向けに高速回転に対応する樹脂保持器を開発
2024年10月21日新商品ニュース

  • 射出成形可能な樹脂保持器として業界最高水準となるdmn値135万の高速回転性能を実現

NTN株式会社(以下、NTN)は、工作機械主軸用のグリース潤滑軸受向けに、成形樹脂保持器として業界最高水準の高速回転性能dmn値*1135万を実現する樹脂保持器を開発しました。生産性に優れた成形樹脂保持器の高速回転化により、グリース潤滑軸受の適用範囲をさらに拡大し、工作機械の加工時間の短縮や省エネルギー化に貢献します。

  1. 軸受の回転性能を表す指標で、軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1)
写真:工作機械主軸用グリース潤滑軸受 工作機械主軸用グリース潤滑軸受
図:工作機械(マシニングセンター)と主軸 工作機械(マシニングセンター)と主軸

開発の背景

加工時間の短縮に向けて、工作機械の高速回転化が進む中、工作機械の主軸用軸受にも高速回転性能が求められています。主軸用軸受の潤滑方法にはエアオイル潤滑とグリース潤滑があり、一般的に高速回転に適しているのはエアオイル潤滑とされています。しかし、エアオイル潤滑はエアオイルの供給やオイルミストの回収などのための付帯設備が必要となるため、近年は省エネルギー化を目的としてグリース潤滑への切り替えが進むとともに、グリース潤滑軸受の高速回転対応へのニーズが高まっています。

このたび、NTNは材料と設計を最適化することにより、生産性に優れる成形樹脂保持器の高速化を実現しました。

開発品の特長

高速回転性能:dmn値135万(成形樹脂保持器として業界最高水準、当社従来品比20%向上) 解析や回転試験、強度試験を重ねて耐熱性の高い材料を採用することにより、高速回転に伴う発熱による変形を抑制します。本保持器は高速回転環境下においても十分な耐久性を有し、成形樹脂保持器を用いた軸受として業界最高水準となるdmn値135万の高速回転性能を実現します。成形樹脂保持器で従来は対応できなかった高速回転領域への適用が可能となり、エアオイル潤滑からグリース潤滑への切り替えを後押しします。

なお、本保持器は、形状を最適化し、軸受取り付け後の初期回転時のグリース挙動を制御することで、慣らし運転を含めた温度上昇を抑制し、長寿命化も実現しています。

NTNはこのたび開発した本保持器を当社のULTAGE(アルテージ)シリーズ*2を含む工作機械用のグリース潤滑軸受に適用し、エアオイル潤滑軸受からの切り替えをグローバルに提案してまいります。また、保持器以外にもグリースなど軸受を構成する各要素における開発を進め、グリース潤滑軸受のさらなる高速回転対応を追求することで、各種製造現場の生産性の向上および省エネルギー化に貢献してまいります。

NTNは、本商品を11月5日~10日に東京ビッグサイトで開催される「第32回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)」に出展します。

  1. ULTAGE(アルテージ)とは、究極を意味する【Ultimate】と、あらゆる場面での活躍を意味する【Stage】を組合せた造語で、精密軸受の究極を求めるNTNの考えを表現したものです。

用途

工作機械主軸(複合加工機、マシニングセンタ、旋盤)など

構造

図:構造

軸受の転走面におけるグリース挙動解析のイメージ

図:軸受の転走面におけるグリース挙動解析のイメージ

限界速度による開発保持器の耐久性評価

図:限界速度による開発保持器の耐久性評価

お問い合わせ先

お問い合わせフォーム

印刷する