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2023年

新技術
「動圧ベアファイト」の販売を拡大
2023年6月23日新商品ニュース

  • 電動化に伴い静音性ニーズが高まる車載装置向けなど新たな用途で採用が拡大
  • 歩留まりほぼ100%の環境に優しい製法で環境保護にも貢献

NTN株式会社(以下、NTN)は、独自に開発した流体動圧軸受「動圧ベアファイト」の販売を拡大しています。「動圧ベアファイト」は小型・軽量で優れた静音性を特長としており、自動車のEV・電動化に伴い、より高い静音性が求められる車載装置向け冷却ファンモータなど新たな用途への採用が拡大しています。

「動圧ベアファイト」は、すべり面で軸を受け、軸受すきまに油などの流体潤滑膜を介在させて回転を支える特殊すべり軸受です。独自の精密加工技術により、焼結含油軸受の内径面に深さ数µm*1のへリングボーン型動圧溝を設けているため、軸受すきまの全周で油膜を形成することができ、アンバランス荷重がかかる場合においても軸の振れ回りを抑え、高速回転に対応することが可能です。

  1. µm(マイクロメートル):1000分の1mm
写真:動圧ベアファイト軸方向断面図 動圧ベアファイト軸方向断面図
図:「動圧ベアファイト」(左)と一般的な含油軸受(右)の油膜と油の動き 「動圧ベアファイト」(左)と一般的な含油軸受(右)の油膜と油の動き

非接触で回転を支えるため優れた静音性が特長で、「動圧ベアファイト」を使用したファンモータの騒音(音圧)は、転がり軸受を使用した場合の約1/2に抑えることが可能です。また、ファンモータや小型モータに使用されるミニアチュア軸受(外径9mm未満の転がり軸受)を「動圧ベアファイト」に置き換えた場合、外径寸法を30%、重量を24%削減することが可能なため、搭載する装置全体の軽量・コンパクト化にも貢献します。「動圧ベアファイト」は1998年の発売以来、材料の変更や潤滑油の見直しなどの改良を重ねながら、ノートPCなどのモバイル端末のファンモータなどに多数採用いただいてきました。

近年、自動車の電動化が進み、これまで内燃機関車で発生していたエンジン音などのノイズがなくなるため、室内空間の快適性の向上に向けてこれまで以上に電装補機類には作動音の低減が求められています。「動圧ベアファイト」はこうしたニーズに対応する商品として、その優れた静音性などを高く評価いただき、新たな用途として車載向け冷却ファンモータへの採用が拡大しています。優れた静音性により快適な室内空間を提供するとともに、装置の小型・軽量化による自動車の燃費や電費の改善にも貢献しています。

さらに、「動圧ベアファイト」は金属粉末をプレス成形して製造するため、旋削や研削などの加工が不要で、投入した材料のほぼ100%を製品化することが可能です。材料を廃棄することなく、資源を有効に活用することで、環境にも優しく生産性の向上にも貢献する持続可能な製造方法も特長としています。

NTNは、本商品を、EV・電動化の加速に伴い静音性へのニーズがますます高まる車載装置などの自動車をはじめウェアラブル情報機器、一般家電など幅広い分野に展開いたします。「動圧ベアファイト」による低騒音などの快適性の提供や資源の有効活用を通じて、「なめらかな社会」の実現にも貢献してまいります。

特長 (※一般的なミニアチュア軸受との比較)

1. 高い静音性 騒音レベル 約6dB低減(音圧は約1/2)
2. 軽量・コンパクト 重量24%低減、外径寸法30%低減
3. 高温環境下における信頼性 耐熱100℃以上
4. 高回転精度 軸の振れ 1/3以下(NRRO*2:非繰り返し振れ精度)
5. 高い環境性能 歩留まり100%で投入資源のほぼ100%を製品化、廃棄材料なし
  1. NRRO(Non Repeatable Run-Out):
    軸受の回転精度を示す主な指標のひとつで回転に同期しない振れのばらつき幅

用途

車載機器・モバイル端末機器向け冷却ファンモータ、小型モータ

商品写真

写真:商品写真

適用例:車載装置用・PC用ファンモータ

図:適用例:車載装置用・PC用ファンモータ

騒音値比較結果

図:騒音値比較結果

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複合材料商品事業部 営業技術部 TEL:052-222-3332

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