射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受「IMT軸受」を開発2023年6月13日
業界初となるセパレータ保持器の採用と内部設計の見直しにより長寿命化を実現
NTN株式会社(以下、NTN)は、業界初となるセパレータ保持器*1を採用し、業界最高水準の長寿命化と高速回転対応を両立した射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受「IMT*2軸受」を開発しました。電動式射出成形機のメンテナンスコスト低減やサイクルタイムの短縮化に貢献するとともに、クリーン環境にも対応します。
樹脂製品の製造に使用される射出成形機は、省エネルギー化や環境負荷の低減を背景に、従来の油圧式から、ボールねじとサーボモータを組み合わせた電動式が主流になっています。また、生産性の向上を目的に、射出成形機のメンテナンスコストの低減やサイクルタイムの短縮化が進み、ボールねじに使用される軸受には長寿命化や高速回転への対応が求められています。さらに、医療や食品分野などにおいてはクリーンルームなどの環境で射出成形機が使用されるケースも増えており、軸受の潤滑に用いられるグリースの飛散を防止するニーズも高まっています。
NTNが、このたび開発した射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受「IMT軸受」は、内部設計の見直しとセパレータ保持器およびシールの採用により、長寿命化と許容回転速度の向上、グリース飛散の防止を実現しました。ボールのサイズや個数など内部設計を見直すことで、アキシアル基本動定格荷重を従来品比で約1.2倍、定格寿命を約1.7倍、許容回転速度を約1.8倍に向上させており、高負荷容量と高速回転対応を両立しました。また、一般的に使用されるリング状の一体型保持器に比べて幅方向の寸法を抑えることができるセパレータ保持器を業界で初めて射出成形機用ボールねじ支持軸受に採用したことで、内部空間容積が当社従来品(一体型保持器)比で約30%増加しました。これにより、軸受の寸法を変えることなくグリースの飛散を防止するシールを追加することが可能で、軸受周辺の環境をクリーンに保つことができます。さらにグリース充填量の増加も可能となり、グリース寿命も向上しています。
日本ではすでに射出成形機の電動化が進んでいるほか、今後は中国や欧州などにおいても電動化が進んでいくことが予想されており、ボールねじ支持軸受の需要はさらに拡大していくと見られています。NTNは、本開発品をグローバルに提案し、電動式射出成形機の生産性向上やランニングコストの低減に貢献してまいります。
- リング状の一体型の保持器と異なり、分割してボールの間に装着する保持器
- Injection Molding Thrust ball bearingの略
特長 (* 当社従来品比)
1. 長寿命化 |
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2. クリーン環境に対応(グリースの飛散防止) | セパレータ保持器の採用により、軸受の片側にシールを装着 |
3. 高速回転対応 | 内部設計の見直しにより、許容回転速度を1.8倍*向上 |
4. 互換性 | 従来のシール無し軸受からの置き換えが可能 |
用途
射出成形機ボールねじ支持部
商品写真
構造(断面図)
使用箇所(赤丸部分)
お問い合わせ先
産業機械事業本部 事業戦略部 TEL:0594-24-1959