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2021年

新商品
遊星ギヤ用保持器付き針状ころを開発
2021年5月25日新商品ニュース

ころクラウニングと保持器材料を見直し、厳しい使用条件に対応

NTN株式会社(以下、NTN)は、自動車用オートマチックトランスミッション(以下、AT)などに使用される遊星ギヤ向けに、高速回転対応と長寿命化、静音化を実現した保持器付き針状ころを開発しました。

近年、自動車の低燃費化を背景にATの多段化が進んでいます。ATの多段化に伴い、一部の遊星ギヤの回転数が高くなることがあり、遊星ギヤ用軸受には高速回転への対応が求められています。また、多段化により装置内の部品点数が増える一方で、重量を抑えるために、軸受を含む各部品は小型・軽量化が図られます。その結果、従来と同等のトルクを出力するために、軸受には高い負荷がかかります。さらに、AT内の各部品の回転抵抗を抑えて省エネ化を図るため、装置内のオイルは低粘度化する傾向にあり、軸受の使用条件はますます過酷になっています。

本開発品は、「浸炭鋼*1溶接保持器」と「高負荷条件用新クラウニング*2ころ」の開発により、こうした過酷な使用環境への対応を可能としました。

保持器は、これまで使用していた特殊低炭素鋼よりも高強度な浸炭鋼を採用し、疲労強度を向上させることで、高速回転性能を従来品比で約10%向上させることに成功しました。

ころについては、クラウニング部の真円度の向上により回転時のころの挙動を安定させることで、従来品よりも約8%の静音化を達成しており、より静粛性が求められる電動車両のニーズにも対応します。また、クラウニング形状を最適化することにより、傾き条件下においても、接触応力やエッジ応力の増加を抑制し、厳しい潤滑条件での表面起点型剝離寿命を改善します。

NTNは、本商品の提供を通じてATの多段化や小型・軽量化に寄与することで、車両の低電費化・燃費化に貢献してまいります。

なお、本開発品を5月26日~7月30日に開催される「人とくるまのテクノロジー展2021 オンライン」に出展いたします。

  1. 浸炭熱処理を施したはだ焼き鋼
  2. クラウニング:ころの面取りと転動面のつなぎ目に発生するエッジ応力を抑えるため、転動面から面取りにかけて数ミクロンの傾斜をつけること

特長(従来品比)

1. 高速回転性 約10%向上
保持器に浸炭鋼を採用し、疲労強度を向上
2. 長寿命化 ころのクラウニング形状の最適化により接触応力を低減
傾き条件下においても、接触応力やエッジ応力の増加を抑制し、厳しい潤滑条件での表面起点型剝離寿命を改善
3. 静音性 約8%の静音化(傾き条件下)
ころのクラウニング部の真円度向上により、挙動を安定化

用途

AT・CVT用遊星ギヤ、EV用減速機 等

商品写真

商品写真

適用箇所

適用箇所 オートマチックトランスミッション(AT)

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