フィルム延伸機テンタークリップ用軸受の信頼性を向上2021年3月31日
耐グリース漏れ性と耐久性の向上により、プラスチックフィルムの生産性向上に貢献
NTN株式会社(以下、NTN)は、保持器とグリースの見直しにより、低トルクで耐グリース漏れ性と耐久性を大幅に向上させたフィルム延伸機テンタークリップ用軸受を開発しました。
プラスチックフィルム市場は、包装用途を中心に堅調に推移しており、近年は社会的関心の高まりを背景に、バイオプラスチック、リサイクル原料を使用した環境対応フィルムのほか、食品ロスの削減に貢献するバリアフィルムなどの需要が拡大しています。また、エレクトロニクス分野では、スマートフォンや液晶ディスプレイに欠かせないプリント基板にも耐熱性に優れるプラスチックフィルムが使用されています。
フィルム延伸機はプラスチックフィルムを加熱・搬送しながら薄く引き伸ばす装置です。テンタークリップは、同装置上でフィルムの両端をつかんでレールを走行し、ガイドローラとして複数の軸受が使用されます。
テンタークリップには、延伸機の全長に応じて1台あたり数千から数万個の軸受が使用されています。よって、摩擦損失や交換によるランニングコストを抑える必要があり、軸受には低トルクと優れた耐久性が求められます。また、テンタークリップの走行速度は生産性向上のために高速化する傾向にあります。一般的に軸受内部のグリースは高速・高温では漏れやすくなり、その結果、フィルムの汚染や不測のメンテナンスの必要性が生じます。よって、軸受グリースは耐漏れ性に優れることが要求されます。
このたび開発したテンタークリップ用軸受は、「非接触シール」、内径を拡大しグリースの保持性を向上させた「新開発保持器」、および耐熱性に優れる「長寿命グリース」の適用により、低トルク化、グリース漏れの抑制、耐焼付き性の向上をすべて実現した商品です。具体的な性能として、当社従来品(非接触シール形軸受)の低トルク性能を損なうことなく、グリース漏れ量を70%低減、耐焼付き性を40%向上させています。
なお、本開発品は、軸受温度が230°Cまで使用可能な中温仕様と、300°Cまで使用可能な高温仕様をラインアップし、汎用プラスチックフィルムからエンジニアリングプラスチックフィルムまでの幅広い延伸温度に対応可能です。
NTNは、本開発品を延伸機メーカ、クリップメーカ、プラスチックフィルムメーカのお客さまにご提案し、プラスチックフィルムの生産性向上とフィルム延伸機のランニングコストの低減に貢献してまいります。
特長
当社従来品(非接触シール形軸受)比
1. 高信頼性 | グリース漏れ量70%低減 |
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2. 高耐久性 | 耐焼付き性40%向上 |
3. 低トルク | 同等(軸受回転トルクが接触シール形軸受の1/4) |
用途
フィルム延伸機テンタークリップ用ガイドローラ
お問い合わせ先
産業機械事業本部 事業戦略部 TEL:0594-24-1959
商品写真
構造図
使用箇所:フィルム延伸機テンタークリップ
従来品との比較