風力発電装置主軸用「DLCコーティング自動調心ころ軸受」を開発2020年10月19日
ころに高い密着力のDLCコーティングを適用し、耐摩耗性を大幅に向上
NTN株式会社(以下、NTN)は、ころの転動面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜*1を適用することで、耐摩耗性を大幅に向上させた風力発電装置主軸用「DLCコーティング自動調心ころ軸受」を開発しました。
風力発電装置の主軸用軸受(以下、主軸受)には、高負荷容量かつ取付誤差に対する許容能力に優れた自動調心ころ軸受が多く採用されています。主軸受は、風況条件により起動と停止を繰り返し、極めて低速な回転状態で使用されます。このような環境で使用される主軸受には、潤滑不足による軌道面ところの金属接触と自動調心ころ軸受特有の転がりすべり*2が原因で、軌道面に摩耗が発生し、はく離や割れといった不具合に進展するという課題があります。
本開発品は、ころの転動面に高い密着力によりはがれにくいDLC膜を適用することで軸受軌道面の耐摩耗性を大幅に向上させています。DLC膜は①母材との密着力を高めるための金属下地層、②下地層と最表層の急な硬度変化を避けるために設けた中間層、③非常に硬質な最表層の3層構造となっており、過酷な潤滑状態でも、密着力の高いDLC膜が継続的に高い性能を発揮します。DLC膜がない標準品の軌道面が、1ヵ月で摩耗からはく離に至る加速試験条件下において、本開発品はほとんど摩耗が発生しません。
本開発品は、すでに一部のお客さま向けに量産を開始しており、今後さらに提案を進めるとともに、特に軌道面の摩耗による早期損傷に対応する補修品としての販売も強化いたします。また、今回開発した被膜処理技術は、風力発電装置のコンパクト化を目的に2017年に開発した「左右列非対称設計*3」と組み合わせることも可能です。
NTNは、お客さまがニーズに合わせて本開発品のDLCコーティングや左右列非対称設計から最適なオプションを選んでいただけるよう商品ラインナップを拡充し、風力発電市場における販売拡大に取り組んでまいります。
- ダイヤモンド構造とグラファイト構造を有する炭素が不規則に混在した非晶質構造の硬質膜
- 転がりすべりとは、ころと軌道輪の接触部に生じる回転方向の速度差に起因するすべりのこと
- 2017年8月24日プレスリリース:風力発電装置主軸用「左右列非対称自動調心ころ軸受」を開発
https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news201700076.html
特長
1. | 軌道面の耐摩耗性を大幅に向上 |
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2. |
3層構造の高い密着力のDLC膜 下地層、中間層、最表層の3層構造で膜に高い密着力を付与。 境界潤滑*4、実機最大接触応力*5、転がりすべり条件でDLC膜のはく離なし |
- 油膜が薄くなり、油膜がない部分において局部的に2つの面が接触している状況
- 実際の風力発電装置で使用される際に最大荷重が発生する時の接触応力
用途
風力発電装置など、油膜形成が困難な厳しい潤滑条件下で使用される産業機械
お問い合わせ先
産業機械事業本部 事業戦略部 TEL:0594-24-1959
商品画像
適用箇所
風力発電装置主軸用自動調心ころ軸受のラインナップ
① | 標準設計品 |
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② | DLCコーティング品(耐摩耗性向上) |
③ | 左右列非対称設計品(コンパクト化) |
④ | DLCコーティング+左右列非対称設計品 (耐摩耗性向上+コンパクト化) |