工作機械主軸用「空冷間座付グリース潤滑軸受」を開発2018年10月30日
業界初、独自の軸受空冷技術により、工作機械主軸の高速化、高剛性化に貢献
NTN株式会社(以下、NTN)は、独自の空冷技術を採用し、グリース潤滑軸受の高速回転性能と剛性を約10%高めた工作機械主軸用「空冷間座付グリース潤滑軸受」を業界で初めて開発しました。これにより、グリース潤滑軸受の高速回転の使用限界を従来のdmn値*1140万から160万まで高めることができます。従来はエアオイル潤滑が必要であった高速のマシニングセンタや複合加工機などに、価格面や環境面でメリットのあるグリース潤滑軸受が使用可能になります。
近年、工作機械は複雑な形状の部品や、チタンなどの難削材の加工が増加しています。また、生産性向上の要求も多く、1台で複数の加工機能を持つ5軸加工機や複合加工機のニーズが増えています。これに伴い、主軸用軸受には従来品を上回る高速回転性能と剛性が求められており、特に潤滑油のタンクや供給装置などが不要で環境に優しいグリース潤滑での実現が強く望まれています。しかし、グリース潤滑軸受を高速回転させる場合、軸受の発熱が大きくなり、グリースの劣化を早めるため、回転中の発熱を低減することが課題でした。
この課題を解決するため、当社は2016年に商品化したエアオイル潤滑の「工作機械主軸用空冷間座付軸受」*2の技術を応用し、グリース潤滑軸受として新規に開発しました。
本開発品は軸受、内輪間座、外輪間座で構成されています。外輪間座には「空冷ノズル」を設けており、このノズルから冷却用の圧縮空気(以下、空冷エア)を内輪間座に向けて噴射することで、内輪間座や隣接する内輪を冷却することができます。これにより、空冷エアを供給しない場合の従来品に比べて軸受の高速回転性能と剛性を約10%高めることができます。
今後、加工工程の集約による生産性向上と環境負荷低減の要求が一層高まることが予想されています。NTNは高速回転性能と高剛性を両立し、低発熱をより高いレベルで実現するグリース潤滑軸受を提供してまいります。
NTNは、本開発品を11月1日~6日に東京ビッグサイトで開催される「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」に参考出展し、工作機械メーカやスピンドルメーカに提案してまいります。
- dmn値は、軸受の回転性能を表す値です。dmn値=dm(転動体中心径mm)×n(回転速度min-1)
- NTN TECHNICAL REVIEW No.84, (2016) No.52
特長
1. 高速回転性能 | 当社従来品(BNSタイプ)に比べて約10%向上 (dmn値:140万 ⇒ 160万) |
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2. 高剛性 | 当社従来品(BNSタイプ)に比べて約10%向上 |
用途
工作機械主軸(マシニングセンタ、旋盤、複合加工機)など
お問い合わせ先
産業機械事業本部 事業企画部 TEL 0594-24-1959
商品写真および適用箇所
主要寸法例 :φ70×φ110×62mm(軸受:背面組合せ)