「ULTAGE工作機械主軸用小径高速アンギュラ玉軸受」を開発2016年9月26日
小型スピンドルの低振動と長寿命を実現
NTN株式会社(以下、NTN)は、小型製品の加工や、精密微細加工などに用いられる小型スピンドル(小型主軸)の低振動と長寿命を可能にする「ULTAGE(アルテージ)* 工作機械主軸用小径高速アンギュラ玉軸受」(内径φ10mm~φ50mm)を開発しました。
近年、工作機械は、「マザーマシン(母なる機械)」としての基本性能である「高速、高剛性、高精度」に加え、省エネ、省スペースのための「小型化」や「高出力」「環境負荷軽減」など、新たな機能やコンセプトを持つ機種が次々と開発されています。このうち「小型化」については、新興国向けに低価格・省スペースの小型工作機械の開発が盛んなほか、スマートフォンをはじめとする小型製品の加工や、医療機器部品などを対象とした精密微細加工も増加しています。このような業界動向を受け、それらの回転を支える小型スピンドルのニーズが高まっています。
小型スピンドルは、内部の冷却と外部からの異物侵入防止のため、内部に圧縮空気を流す構造が多く用いられていますが、グリース潤滑支持軸受の場合、軸受シールが設置されていないこともあり圧縮空気により軸受からグリースが流出し、潤滑寿命の低下を招くことがあります。グリースの流出を抑えるためには、シールを取り付けた密封形軸受が有効ですが、反面、圧縮空気がスピンドル内部を流れにくくなり、冷却機能や異物の侵入防止機能が低下するという課題がありました。今回開発した「ULTAGE工作機械主軸用小径高速アンギュラ玉軸受」は圧縮空気による冷却と防塵機能を阻害せず、軸受内にグリースを多く保持する新設計シールを採用し、グリース保持性を改善するとともに、圧縮空気の流れやすさを確保しました。加えて、グリースの封入位置や量を工夫し、長寿命を実現しています。
また、小型スピンドルは加工精度や加工面のきめの細かさなど外観品質向上のため、「低振動」が求められています。本開発品は、軸受軌道面の精度を高める加工法を採用し、従来比約50%の振動低減を実現しました。
NTNは、本開発品を11月17日~22日に東京ビッグサイトで開催される「第28回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2016)」に出展し、各工作機械メーカやスピンドルメーカの新機種の開発に提案してまいります。
* ULTAGE(アルテージ)は、究極を意味する【Ultimate】とあらゆる場面での活躍を意味する【Stage】を組み合わせた造語で、精密軸受の究極を求めるNTNの考えを表現したものです。
特長
(1) 長寿命 |
当社従来品よりも高いシール性
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(2) 低振動 | 当社従来品比50%低減 |
(グリース潤滑、定位置予圧、軸受内径10mm 回転速度60000min-1、主軸内に圧縮空気(0.3MPa、30NL/min)供給時)
用途
工作機械用小型スピンドル等
お問い合わせ先
産業機械事業本部 事業企画部
商品写真
軸受内径10mm