「高負荷すべり軸受ユニット」を開発 2014年3月26日
業界初!特殊樹脂しゅう動材*1を用いた外輪と軸受鋼の内輪を組み合わせ、すべり軸受の摩擦・摩耗特性を大幅に向上!
NTN株式会社(以下、NTN)は、新たな配合の特殊樹脂しゅう動材を用いた外輪と軸受鋼の内輪を組み合わせることにより、従来の樹脂すべり軸受に比べ、摩擦・摩耗特性と耐荷重性を大幅に向上させた「高負荷すべり軸受ユニット」を開発しました。
複写機やプリンタを代表とする事務機器の回転部には、様々な軸受が使用されています。従来は、回転精度や耐久性に優れる転がり軸受が主に使用されていましたが、事務機メーカからの低コスト要求が高まる中、NTNでは樹脂製すべり軸受の性能向上を進め、転がり軸受からの置き換えを図ってきました。しかし、転がり軸受に比べると、樹脂製すべり軸受は摩擦・摩耗特性が劣ることから、荷重負荷が比較的低い用途に限られていました。
今回開発した「高負荷すべり軸受ユニット」は、特殊充填材を配合したPPS*2樹脂しゅう動材を用いた外輪と軸受鋼の内輪を組み合わせ、さらに外輪と内輪の間のしゅう動面にフッ素系グリースを塗布しました。これにより、従来の樹脂すべり軸受と比較し、摩耗量が最大1/3、摩擦係数が最大1/2となりました。この結果、耐荷重性が最大2倍に向上し、より高負荷条件での使用が可能となります。さらに、軸受と軸が直接しゅう動する従来のすべり軸受と異なり、外輪と内輪がしゅう動するため、取り付ける軸の材質や表面粗さが回転トルクや耐久性に及ぼす影響を考慮する必要がなく、軸の設計自由度も高まります。
また、外輪内径を凸曲面、内輪外径を凹曲面で構成して調心性*3を持たせ、軸やロールのたわみ、ミスアライメント*4を軸受内部で吸収することで、軸受の取り付けやメンテナンス性を向上させました。
NTNは、本開発商品を高負荷条件に使用可能な軸受として、複写機やプリンタメーカに提案を開始しました。今後は事務機器以外にも、食品機械、医療機器など他分野での用途展開も図ってまいります。
*1: | 相対する部品同士をすべらせて動かすときの接触面に使用する材料 |
*2: | Poly Phenylene Sulfideの略 |
*3: | 軸や内輪の中心軸に対して、外輪を傾斜調整することで取り付け誤差等を吸収させる性能 |
*4: | 軸やハウジングとの取り付け誤差 |
特長 (PPS樹脂すべり軸受との比較)
(1) | 特殊樹脂しゅう動材を用いた外輪と軸受鋼内輪の組み合わせ | |
⇒ | 摩擦・摩耗特性の向上により、耐荷重性最大 2倍 | |
⇒ | 軸の設計自由度向上(軸材質、表面あらさの影響なし) | |
(2) | 調心設計で安定したしゅう動性 | |
⇒ | 軸受の取り付けやメンテナンス性を向上 |
お問い合わせ先
複合材料商品事業部 営業技術部
商品写真
サイズ例:内径25mm×外径37mm×幅7mm
適用例
・事務機器、食品機械、医療機器など