2007年3月5日
『脳動脈瘤治療用センシングシステム』を開発
【世界初 脳血管カテーテル手術での指先力をセンシング】
NTN株式会社(以下、NTN)は、名古屋工業大学大学院の藤本英雄教授の研究チームと共同で、脳神経外科の血管カテーテル手術で使用される直径0.3mm程度の極細ワイヤを操作する外科医(術者)の指先の微小な力を測定・表示する「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)治療用センシングシステム」を開発しました。
医療現場では、患者の身体的負担を軽減するために小さな切開で手術を行なう低侵襲(ていしんしゅう)手術が増加しており、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤(血管壁が薄くなり、血管の一部がこぶ状に膨らむ)の破裂を防止する「脳動脈瘤塞栓手術*」もその一つであります。本手術では、カテーテルに挿入した極細ワイヤを操作し手術を行いますが、術者は瘤(こぶ)を誤って破裂させないように微小な力で極細ワイヤを送り出す必要があり、熟練が必要でした。
本開発品は、術者が極細ワイヤに掛けている指先の微小な力を測定し表示する世界初のシステムで、極細ワイヤの変位を光学的に検出することで実現しました。さらに、このセンサをカテーテルとワイヤを接続するYコネクタに一体化したため、従来の装置と互換性があります。
本システムにより、術中のワイヤ操作を監視することで、より安全な手術が実現できると共に、熟練した術者の操作力の視覚化により未熟な術者の早期育成に役立てることが期待できます。
なお、本センシングシステムは、本年10月に韓国で開催されたIEEE Sensors 2006国際会議で学術発表を行なっております。
(*)脳動脈瘤塞栓手術 | カテーテルと呼ばれるプラスチック製のガイド管を大腿部の動脈から脳動脈瘤まで挿入した後、カテーテル管中に極細ワイヤを挿入する。極細ワイヤの先端にはコイルと呼ばれる白金製の特殊なワイヤが連結されており、このコイルを脳動脈瘤に詰め込み瘤内部を閉塞させ、瘤の破裂を防止する。 |
【 特 長 】
(1) | 外科医(術者)の力を検出し視覚化 |
直径0.3mmの極細ワイヤにかかる力を歪量として光学的に非接触検出 | |
(2) | 従来使用しているYコネクタとの互換性あり |
カテーテル、極細ワイヤは従来品をそのまま使用可能 | |
(3) | ディスポーザブル |
Yコネクタ一体型センサは使い捨てであるため衛生的 |
【問い合わせ先】
商品化・知的財産戦略部 |
【写真】
シリコン製のダミー脳動脈瘤での動作確認モデル
(今後、動物でのテスト、医療現場でのテストへ繋げていく)
■実現手段
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