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CFOメッセージ

収益改善とフリー・キャッシュ・フローの
創出に注力して取り組みます

  • 代表執行役 執行役専務 CFO (最高財務責任者)
  • 大橋 啓二

2019年3月期の総括

新中期経営計画「DRIVE NTN100」(以下中計)の初年度である2019年3月期は、5期ぶりの赤字という厳しい結果となりました。営業利益と経常利益段階では黒字でしたが、減損損失170億円、独占禁止法関連損失21億円など、合計193億円の特別損失を計上しました。また、この減損実施分の税効果が計上できなかったことで税金費用が91億円発生し、親会社株主に帰属する当期純利益はマイナス70億円の最終赤字となりました。
今回の減損は、市場環境の悪化と国内の低い成長性を勘案し、固定資産を圧縮し今後さらに利益を生み出す体質への変革を目的に、国内の製造拠点および国内製造子会社の資産を対象として実施しました。
構造的背景としては、国内生産の投資効率の低下があげられます。国内に製造拠点および製造子会社が数多く存在する中、生産の分散化や人件費の増加などにより、設立当初の想定とは異なり、効率的な生産がしづらい構造となっていました。また、これに加えて、国内における本社費用の増加があげられます。国内市場が伸び悩む中、海外市場における事業拡大に注力し、研究・開発や生産技術、品質管理など、これまで本社主導で強固なサポートを行ってきました。合理的に算定できる費用は、海外子会社で負担していましたが、本社の費用負担は増加し、成熟した日本市場で得られる規模効果だけではこれらの費用負担を賄うことが難しい状況となっていました。
こうした構造的背景の中、直近では産業機械市場の需要急増による非効率な生産、鋼材や副資材価格の高騰による外部環境に起因した急激な費用の増加が発生しました。
また、これらの費用に加えて、新しい和歌山製作所やIT基幹システムの刷新など、将来の事業成長と資産の効率化を目指した投資がありました。これらは将来的には効率化によるプラス効果をもたらす投資ですが、現時点では一部償却負担や先行費用の増加により、利益を圧迫する形となりました。
これまでは厳しい外部環境においても、原価低減により国内事業は一定の利益を稼いでいましたが、国内市場の成熟化と、前述の費用負担の増加が重なり、構造的に利益が出にくい状況になった結果、今回の減損実施に至りました。

中長期的な収益改善を目指して

今回の減損に至った背景にもあるように、需要急増による非効率な生産対応、鋼材や副資材価格の高騰、将来のための投資による費用増の影響により、直近の営業利益率は低下しています。2020年3月期の営業利益率も低下する見通しですが、これは人件費に関係する部分の会計的な費用増に加えて、IT基幹システムに関係する償却費負担と経費の増加の影響を受けています。これら以外の費用については継続的に削減に取り組んでいます。また、減損実施を受け、今後さらなる国内市場の成熟化に備えて国内事業の収益改善を進めていかなければなりません。中期的には我慢の時が続きますが、次の100年の成長に向けた必要不可欠な投資は行う必要があると考えています。

「DRIVE NTN100」数値目標達成に向けて

中計の初年度を終えて、目標数値との乖離が生じたことは改めて認識しながらも、中長期の成長を支える経営基盤を強化する施策は継続し、さらに加速していく必要性を痛感しています。2年目の重点的な取り組みとしては、「マネジメント・コミットメント」でも述べたとおり、国内製造部門の構造改革である、①自前主義からの脱却、②調達改革、③事業再編の3つの施策を推進していきます。
さらに、2020年3月期は、収益改善とフリー・キャッシュ・フローの創出に注力して取り組みます。棚卸資産は、2019年3月期において非効率な生産や需要の急減などがあり、想定通りの削減には至っておりませんが、2020年3月期は補修市場向けの必要在庫は確保しながら、自動車市場向けと産業機械市場向けのOEMで確実な削減を実施します。また、2019年3月期は在庫と借入が増え、D/Eレシオが悪化したことから、2年目は設備投資については、有形固定資産の投資額を償却費の範囲内とすることを当面の基本的な考え方とし、中計の3年間では当初想定の1,500億円を1,300億円に減額することで、フリー・キャッシュ・フローの創出を優先します。国内製造部門の構造改革のひとつである「自前主義からの脱却」も、キャッシュ・フローを創出することがねらいです。改めて売価と生産の両面において収益重視の考え方を徹底し、各施策を実行してまいります。

EVAおよびROICで業績を評価

2019年3月期より、業績評価の体制の整備も進めています。従来の売上高、営業利益率といった利益管理に加え、株主に対する価値創造という観点から、企業価値の最大化に向けた事業運営を加速化させることを目的としてEVA、ROICも業績指標に組み込みました。中計初年度に思ったような成果が出せなかったことに対する2年目の打ち手として、より一層資本コストの概念を明確に取り入れ、引き続き評価体制の整備を行うことで、目標達成に結びつけることができると考えております。

CFOとしてこの10年の目標に向かってやるべきこと

当社は、「もの造り企業」から「モノとコトを通じて価値を届ける企業へ」変革しようとしています。CFOとして、この変革を支える経営基盤を確立します。より一層グローバルに事業が拡大する中、NTNグループ全体を総合的に管理し、グループ全体の資金効率や財務リスクを最適化するグローバルキャッシュマネジメントの進化を図ります。これまで以上にNTNグループ各社の状況を把握しグローバルで資本を最適に配分するとともに、財務規律を徹底することで、持続的な成長を支えてまいります。

主な経営指標

2019年3月期
実績
2020年3月期
予想
2021年3月期
目標
売上高 7,336億円 6,900億円 8,000億円
営業利益 269億円 150億円 570億円
 営業利益率 3.7% 2.2% 7.1%
親会社株主に帰属する当期純利益 -70億円 30億円 300億円
設備投資額 452億円 500億円 1,500億円/3年間
(うち無形200億円)
フリー・キャッシュ・フロー -224億円 0億円 450億円/3年間
棚卸資産回転率 3.8回転 4.0回転 4.5回転
ネットD/Eレシオ 1.2 1.2 1.0以下
自己資本比率 27.4% 26.9% 30%以上
ROE -2.9% 1.3% 10.0%以上
NTN-ROI *1 4.0% 2.1% 7.5%以上
配当性向・配当 15.0円 15.0円 15.0円以上
為替レート USD ¥110.9 ¥107.0*2 ¥110.0
Euro ¥128.4 ¥120.0*2 ¥115.0

*1 NTN-ROI:税引後営業利益÷(有形固定資産+棚卸資産)
*2 2020年3月期第2四半期以降の想定レート