HOME > IR情報 > 財務・業績データ:経営成績および財務分析

経営成績および財務分析(2023年3月期)

経営成績の概況

経営成績

当期における世界経済は、一部の地域で足踏みが見られたものの、経済活動の正常化が進んだことで、緩やかな持ち直しが続きました。日本経済については、国内企業物価、消費者物価は上昇しているものの、個人消費は緩やかに持ち直しました。海外においても、米国経済、欧州経済、アジア他のその他新興国経済で持ち直しの動きが続きましたが、中国経済は新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により、弱さが見られました。また、世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱、ウクライナ情勢やエネルギー情勢、物価上昇などの影響、また世界的な金融引き締め等がある中、世界経済は不透明な状況が続きました。

かかる状況下、2021年4月から開始した中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2で掲げた諸施策を着実に実行し、事業構造の変革(Transformation)を加速すると共に、財務体質・組織体制を強化し、経営環境の変化にしなやかに対応できる企業体質の構築を目指します。

当期の売上高は773,960百万円(前期比20.6%増)となりました。損益につきましては、欧米の自動車市場向けを中心に鋼材価格上昇や固定費の増加などはありましたが、売価転嫁や規模、為替の影響などにより営業利益は17,145百万円(前期比149.2%増)、経常利益は12,047百万円(前期比76.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,367百万円(前期比41.2%増)となりました。

セグメントの業績につきましては、以下のとおりであります。

(1)日本

販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで増加しました。産業機械市場向けは建設機械向けや航空機向けなどで増加し、自動車市場向けは客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、売上高は364,064百万円(前期比13.4%増)となりました。セグメント損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加などはありましたが、売価転嫁や規模、為替の影響などにより17,382百万円のセグメント利益(前期比128.1%増)となりました。

(2)米州

販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで増加し、自動車補修向けで減少しました。産業機械市場向けは建設機械向けや農業機械向けなどで増加し、自動車市場向けも客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、売上高は243,569百万円(前期比36.3%増)となりました。セグメント損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加に伴う売価転嫁の推進、規模の影響などはありましたが、6,854百万円のセグメント損失(前期は7,427百万円のセグメント損失)となりました。

(3)欧州

販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで増加し、自動車補修向けで減少しました。産業機械市場向けは航空機向けや農業機械向けなどで増加し、自動車市場向けは客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、ウクライナ情勢の影響等はありましたが、売上高は172,441百万円(前期比20.2%増)となりました。セグメント損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加に伴う売価転嫁の推進、規模の影響などはありましたが、3,411百万円のセグメント損失(前期は4,265百万円のセグメント損失)となりました。

(4)アジア他

販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで増加しました。産業機械市場向けは建設機械向けなどで減少し、自動車市場向けは客先需要の低減などにより減少しました。全体としては、売上高は165,506百万円(前期比12.4%増)となり、セグメント損益は中国の都市封鎖に伴う操業停止や稼働率低下の影響などにより、12,538百万円のセグメント利益(前期比11.0%減)となりました。

事業形態別の業績につきましては、以下のとおりであります。

(1)補修市場向け

客先需要の拡大などにより売上高は134,039百万円(前期比19.5%増)となりました。営業損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加などはありましたが、売価転嫁や規模、為替の影響などにより22,270百万円の営業利益(前期比51.8%増)となりました。

(2)産業機械市場向け

建設機械向けや航空機向けの増加などにより売上高は139,499百万円(前期比10.6%増)となりました。営業損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加などはありましたが、売価転嫁や規模、為替の影響などにより7,289百万円の営業利益(前期比78.9%増)となりました。

(3)自動車市場向け

客先需要の回復などにより売上高は500,421百万円(前期比24.0%増)となりました。営業損益は鋼材価格の上昇や固定費の増加に伴う売価転嫁の推進、規模や為替の影響などはありましたが、12,414百万円の営業損失(前期は11,862百万円の営業損失)となりました。

次期の見通し

世界経済は新型コロナウイルスの影響に加えウクライナ情勢、半導体の供給不足等により、依然として厳しい状況にあるなか、緩やかに回復することが期待されます。ただし、今後の新型コロナウイルスの感染再拡大やウクライナ情勢などは不確実性が高い事象であることから、重要なリスクとなる可能性があります。

このような状況のもと、通期の業績予想といたしましては、売上高8,100億円、営業利益300億円、経常利益230億円、親会社株主に帰属する当期純利益は110億円を見込んでおります。為替レートは1US$=130円、1EURO=140円を想定しております。

研究開発費および設備投資額

研究開発費

当期における研究開発活動費はグループ全体で18,678百万円となり(前期比1,234百万円増)、対売上高比率は、2.4%となりました。当社は、2021年4月より、中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2に取組んでおります。「DRIVE NTN100」Phase 2では、持続可能な社会の実現に向けて13項目のマテリアリティを設定し、そのうちの3項目は、「エネルギーロスの低減」「自然エネルギーを利用した持続可能な社会の実現」「安全と快適の提供」とし、当社の独創的技術の創造を通じて社会に貢献するポジティブインパクトの強化として取組んでいます。

研究開発活動は、上記3つのマテリアリティに対して、当社の持続的成長を目的に「基盤商品、基盤技術の強化」と「新たな領域の展開」の二軸で進めています。「新たな領域の展開」では、成長が期待される6つのターゲット分野を設定し、それら分野に対して、当社のコアコンピタンスを活かした製品の開発に取組んでいます。

設備投資

当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産能力の向上・省人合理化並びに既存設備の維持更新・安全環境の改善・新商品研究開発等を主眼に設備投資を行っております。

日本では、当社和歌山製作所の建屋建設及び軸受製造設備導入、磐田製作所の等速ジョイント製造設備増設等により9,293百万円の設備投資を行いました。米州では、NTN DRIVESHAFT,INC.の等速ジョイント製造設備増設、NTN DRIVESHAFT ANDERSON,INC.の等速ジョイント製造設備増設等により4,176百万円の設備投資を行いました。欧州では、NTN Europe S.A.の軸受製造設備増設等により5,841百万円の設備投資を行いました。アジア他地域では、NTN NEI Manufacturing India Private LTD.の等速ジョイント製造設備増設等により3,005百万円の設備投資を行いました。これらにセグメント間の設備移管等△63百万円を調整した結果、当連結会計年度の設備投資の総額は22,253百万円となりました。

なお、所要資金につきましては自己資金及び借入金によっております。

財政状態およびキャッシュ・フロー

資産、負債及び純資産の状況

流動資産は前期末に比べ16,993百万円(3.3%)増加し、529,024百万円となりました。これは主に商品及び製品の増加11,181百万円、原材料及び貯蔵品の増加7,045百万円、仕掛品の増加6,317百万円、受取手形及び売掛金の増加4,253百万円、現金及び預金の減少16,986百万円によります。固定資産は前期末に比べ2,649百万円(0.8%)減少し、340,802百万円となりました。これは主に機械装置及び運搬具の減少4,335百万円、建設仮勘定の増加1,867百万円によります。この結果、総資産は前期末に比べ14,344百万円(1.7%)増加し、869,827百万円となりました。

流動負債は前期末に比べ47,869百万円(14.9%)増加し、369,074百万円となりました。これは主に短期借入金の増加27,714百万円、電子記録債務の増加7,459百万円、支払手形及び買掛金の増加6,250百万円によります。固定負債は前期末に比べ54,526百万円(17.2%)減少し、263,327百万円となりました。これは主に長期借入金の減少50,453百万円によります。この結果、負債合計は前期末に比べ6,656百万円(1.0%)減少し、632,402百万円となりました。

純資産合計は前期末に比べ21,000百万円(9.7%)増加し、237,425百万円となりました。これは主に為替換算調整勘定の増加12,054百万円、利益剰余金の増加9,039百万円によります。

キャッシュ・フローの状況

営業活動の結果得られた資金は34,219百万円(前期比25,263百万円、282.1%の増加)となりました。主な内訳は減価償却費42,048百万円、仕入債務の増加額11,443百万円の収入に対して、棚卸資産の増加額15,044百万円の支出であります。

投資活動の結果使用した資金は13,858百万円(前期は2,512百万円の収入)となりました。主な内訳は有形固定資産の取得による支出19,705百万円、無形固定資産の取得による支出4,020百万円に対して、定期預金の払戻による収入8,709百万円であります。

財務活動の結果使用した資金は33,258百万円(前期比8,042百万円、19.5%の減少)となりました。主な内訳は長期借入金の返済による支出52,832百万円に対して、長期借入れによる収入22,541百万円であります。

これらの増減に換算差額2,112百万円を算入しました結果、当期末における現金及び現金同等物は110,675百万円となり、前期末に比べ10,785百万円(8.9%)の減少となりました。