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経営成績および財務分析(2024年3月期)

経営成績の概況

経営成績

当期における世界経済は、持ち直しは継続しましたが、ウクライナおよび中東地域の情勢、物価上昇などの影響に加え、世界的な金融引き締めなどがある中、先行き不透明な状況も続きました。日本経済については、令和6年能登半島地震や一部自動車メーカの生産・出荷停止の影響などにより生産活動が低下し足踏みが見られたものの、個人消費や設備投資、雇用情勢は持ち直しまたは改善の動きがみられ、景気は緩やかに回復しました。海外においては、米国経済は、金融引き締めやインフレなどの影響が懸念されたものの、景気は回復しました。中国経済は、不動産市場の停滞に伴う影響などにより、持ち直しの動きに足踏みがみられ、アジアのその他新興国経済は緩やかに回復しました。欧州経済はエネルギー情勢や金融引き締めなどの影響で弱含みの状態にありました。

かかる状況下、2021年4月から開始した中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2で掲げた諸施策を実行し、事業構造の変革(Transformation)を加速するとともに、財務体質・組織体制を強化し、経営環境の変化にしなやかに対応できる企業体質の構築を推進してまいりました。

当期の売上高は836,285百万円(前期比8.1%増)となりました。損益につきましては、鋼材価格の上昇などはありましたが、売価転嫁などにより、営業利益は28,149百万円(前期比64.2%増)、経常利益は20,001百万円(前期比66.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,568百万円(前期比1.9%増)となりました。

セグメントの業績につきましては、以下のとおりであります。

(1)日本

販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで減少しました。産業機械市場向けは建設機械向けや変減速機向けで減少し、自動車市場向けは客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、売上高は364,457百万円(前期比0.1%増)となりました。セグメント損益は売価転嫁などはありましたが、諸資材の値上げなどがあり、15,222百万円のセグメント利益(前期比12.4%減)となりました。

(2)米州

販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで増加し、自動車補修向けで減少しました。産業機械市場向けは建設機械向けや農業機械向けなどで減少し、自動車市場向けは客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、売上高は276,411百万円(前期比13.5%増)となりました。セグメント損益は鋼材価格の上昇に伴う売価転嫁の推進などはありましたが、198百万円のセグメント損失(前期は6,854百万円のセグメント損失)となりました。

(3)欧州

販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで減少し、自動車補修向けで増加しました。産業機械市場向けは農業機械向けなどで減少し、自動車市場向けは客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、売上高は193,504百万円(前期比12.2%増)となりました。セグメント損益は鋼材価格の上昇に伴う売価転嫁の推進などはありましたが、2,227百万円のセグメント損失(前期は3,411百万円のセグメント損失)となりました。

(4)アジア他

販売につきましては、補修市場向けは産業機械補修向けで増加しました。産業機械市場向けは風力発電向けや工作機械向けなどで減少し、自動車市場向けは客先需要の回復などにより増加しました。全体としては、売上高は174,061百万円(前期比5.2%増)となり、セグメント損益は売価転嫁などにより、15,796百万円のセグメント利益(前期比26.0%増)となりました。

事業形態別の業績につきましては、以下のとおりであります。

(1)補修市場向け

為替の影響などにより売上高は138,946百万円(前期比3.7%増)となりました。営業損益は売価転嫁などはありましたが、鋼材価格の上昇などにより20,085百万円の営業利益(前期比9.8%減)となりました。

(2)産業機械市場向け

建設機械向けや農業機械向けの減少などにより売上高は126,544百万円(前期比9.3%減)となりました。営業損益は売価転嫁の推進などはありましたが、鋼材価格の上昇や規模の影響などにより4,630百万円の営業利益(前期比36.5%減)となりました。

(3)自動車市場向け

客先需要の回復などにより売上高は570,794百万円(前期比14.1%増)となりました。営業損益は鋼材価格の上昇などはありましたが、売価転嫁などにより3,433百万円の営業利益(前期は12,414百万円の営業損失)となりました。

次期の見通し

世界経済は、引き続き持ち直しが継続することが期待されますが、ウクライナおよび中東地域の情勢、物価上昇などの影響、世界的な金融引き締めなど、先行き不透明な状況もあり、これらの不確実性の高い事象が重要なリスクとなる可能性があります。

このような状況のもと、通期の業績予想といたしましては、売上高8,600億円、営業利益320億円、経常利益220億円、親会社株主に帰属する当期純利益は50億円を見込んでおります。為替レートは1US$=145円、1EURO=160円を想定しております。

研究開発費および設備投資額

研究開発費

当期における研究開発活動費はグループ全体で18,234百万円となり(前期比444百万円減)、対売上高比率は、2.2%となりました。

当社は、2021年4月より、中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2に取組んできました。「DRIVE NTN100」Phase 2では、持続可能な社会の実現に向けて13項目のマテリアリティを設定し、そのうちの3項目は、「エネルギーロスの低減」「自然エネルギーを利用した持続可能な社会の実現」「安全と快適の提供」とし、当社の独創的技術の創造を通じて社会に貢献するポジティブインパクトの強化に注力してきました。

研究開発では、上記3つのマテリアリティに対して、当社の持続的成長を目的に「基盤商品、基盤技術の強化」と「新たな領域の展開」の二軸で活動し、当社のコアコンピタンスを活かした製品開発に取り組みました。

設備投資

当社グループ(当社及び連結子会社)では、生産能力の向上・省人合理化並びに既存設備の維持更新・安全環境の改善・新商品研究開発等を主眼に設備投資を行っております。

日本では当社本社移転、和歌山製作所の建屋建設及び軸受製造設備導入、岡山製作所の等速ジョイント製造設備導入、及び株式会社NTN三重製作所の軸受製造設備導入等により13,508百万円の設備投資を行いました。米州では、NTN DRIVESHAFT,INC.の等速ジョイント製造設備増設、NTN DRIVESHAFT ANDERSON,INC.の等速ジョイント製造設備導入等により3,372百万円の設備投資を行いました。欧州では、NTN Europe S.A.の軸受製造設備増設、NTN TRANSMISSIONS EUROPEの等速ジョイント製造設備導入等により6,687百万円の設備投資を行いました。アジア他地域では、廣州恩梯恩裕隆傳動系統有限公司の等速ジョイント製造設備導入等により3,036百万円の設備投資を行いました。これらにセグメント間の設備移管等△15百万円を調整した結果、当連結会計年度の設備投資の総額は26,589百万円となりました。

なお、所要資金につきましては自己資金及び借入金によっております。

財政状態およびキャッシュ・フロー

資産、負債及び純資産の状況

流動資産は前期末に比べ33,904百万円(6.4%)増加し、562,928百万円となりました。これは主に商品及び製品の増加19,408百万円、現金及び預金の増加18,377百万円、受取手形及び売掛金の減少9,206百万円によります。固定資産は前期末に比べ6,522百万円(1.9%)増加し、347,324百万円となりました。これは主に機械装置及び運搬具の増加5,533百万円、繰延税金資産の増加3,117百万円、退職給付に係る資産の増加2,992百万円、無形固定資産の減少4,458百万円、投資有価証券の減少3,164百万円によります。この結果、総資産は前期末に比べ40,425百万円(4.6%)増加し、910,252百万円となりました。

流動負債は前期末に比べ9,168百万円(2.5%)減少し、359,906百万円となりました。これは主に短期借入金の減少36,229百万円、未払費用などのその他の増加11,135百万円、1年内償還予定の社債の増加10,000百万円によります。固定負債は前期末に比べ6,196百万円(2.4%)増加し、269,523百万円となりました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の増加22,084百万円、退職給付に係る負債の減少13,285百万円によります。この結果、負債合計は前期末に比べ2,972百万円(0.5%)減少し、629,430百万円となりました。

純資産合計は前期末に比べ43,397百万円(18.3%)増加し、280,822百万円となりました。これは主に為替換算調整勘定の増加29,454百万円、退職給付に係る調整累計額の増加8,635百万円、利益剰余金の増加6,604百万円によります。

キャッシュ・フローの状況

営業活動の結果得られた資金は65,103百万円(前期比30,884百万円、90.3%の増加)となりました。主な内訳は減価償却費41,802百万円、税金等調整前当期純利益16,551百万円の収入であります。

投資活動の結果使用した資金は24,970百万円(前期比11,112百万円、80.2%の増加)となりました。主な内訳は有形固定資産の取得による支出24,725百万円であります。

財務活動の結果使用した資金は30,212百万円(前期比3,046百万円、9.2%の減少)となりました。主な内訳は長期借入金の返済による支出76,031百万円に対して、長期借入れによる収入53,084百万円であります。

これらの増減に換算差額6,485百万円及び新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額184百万円を算入しました結果、当期末における現金及び現金同等物は127,266百万円となり、前期末に比べ16,590百万円(15.0%)の増加となりました。