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第三者意見

「NTNレポート2026」第三者意見書

写真:関西学院大学商学部教授・博士(商学) 阪 智香 様

関西学院大学商学部教授・博士(商学)
阪 智香 様

略歴:
現在、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)委員、金融庁金融審議会専門委員、金融庁企業会計審議会委員、日本学術会議連携会員、日本社会関連会計学会副会長、日本経済会計学会理事、国際会計研究学会理事、日本会計研究学会評議員、日本公認会計士協会サステナビリティ能力開発協議会委員、日本公認会計士協会継続的専門研修制度協議会IES検討専門委員会専門委員、国際会計士連盟(IFAC)the International Panel for Accounting Education (IPAE) memberなど。著書に『日経文庫 サステナビリティ基準がわかる』(2025年、共著)、『会計ビッグデータで可視化する世界の企業ギガトレンド』(2026年、共著)など。日本会計研究学会学会賞等受賞。

NTNレポート2026の特筆すべき点

NTNレポート2026(以下、NTNレポート)では、中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalの総仕上げの年として、これまでの成果を総括し、次期中期経営計画につながる方向性が示されています。財務情報と非財務情報を結びつけ、企業価値創造の道筋がより明確に示されたことは、NTNレポートの大きな特徴です。

(1) 見えるリーダーシップ

サステナビリティと経営戦略を統合し、企業価値向上へ結びつける上で最も重要なのは、経営トップのリーダーシップです。NTNレポートでは、そのリーダーシップが「見える化」されています。
CEOメッセージからは、「持続可能な商品・サービスを見極め、社会に提供していく」という考えのもと、設計・調達・製造・販売の連携による競争力強化、AI・データ活用によるソリューションの提供、カーボンニュートラルへの取り組み、さらに人的資本経営やガバナンス強化を自ら主導する姿勢が伝わってきます。各執行役は担当領域について、中期経営計画の進捗や成果だけでなく、残された課題や今後の方向性を語っており、構造改革を最後までやり遂げる強い意思と責任感が伝わってきます。
さらに今年は、若手管理職による座談会が新たに掲載されました。現場で働く従業員自身の言葉を通して企業理念の実践や今後の挑戦が語られ、経営と現場が一体となって変革を推進する姿やそれぞれの立場で発揮されるリーダーシップが見えます。

(2) 構造改革が推進する企業価値創造

NTNレポートでは、価値創造プロセスにおいて、リスクと機会、競争優位性、ビジネスモデル、アウトプット・アウトカムの関係性がより整理され、それに沿って全体が構成されています。特に印象的なのは、「構造改革」が企業価値創造の中核に位置づけられている点です。事業ポートフォリオの見直しやアフターマーケット・ビジネスの拡大を通じて事業競争力と経営基盤を強化し、中期経営計画の成果と課題、次期中期経営計画への方向性を、一貫した価値創造の道筋として示しています。
2025年度は営業利益の改善に加え、営業CFやFCFの創出、棚卸資産の適正化など、「稼ぐ力」の向上が具体的な数値で示され、構造改革が着実に財務成果へ結びついていることが確認できます。

(3) ステークホルダーとの共創

NTNレポートでは、「ステークホルダーとの共創」を通じて企業価値を創造する姿勢がより明確になりました。投資家とのエンゲージメントを踏まえ、人材戦略では従業員エンゲージメントの向上やパーパス浸透に向けた取り組みが一層充実しています。また、CEO自らが国内外の拠点でタウンホールミーティングを開催し、従業員との直接対話を重ねており、人材を企業価値創造の源泉として位置づける姿勢がうかがえます。
さらに、AI・デジタル技術の活用、サプライチェーン全体での人権尊重の推進、環境への取り組み、ガバナンスの強化などが、持続的な企業価値向上を支える経営基盤として整理されています。

サステナビリティと企業戦略の統合

統合報告の本質は、財務資本だけでなく、多様な経営資本を活用して企業価値を創造する「統合思考」にあります。NTNレポートでは、企業理念を起点として、構造改革と、それを支えるAI・デジタル技術、人材、環境、人権、ガバナンスへの取り組みが、将来の競争力とキャッシュ創出力の向上へつながるひとつの価値創造ストーリーとして整理されています。
今後、NTNを取り巻く経営環境はさらに大きく変化すると考えられます。その中でも、100年以上培ってきた技術力、品質、現場力という強みを生かし、構造改革によって築いた経営基盤を土台として、NTNが持続可能な社会の実現と企業価値向上を両立する企業として、さらなる飛躍を遂げることを期待しています。

第三者意見を受けて

写真:執行役 ESG推進部担当 菊田 剛

執行役
ESG推進部担当
菊田 剛

阪先生には、貴重なご意見を賜り、厚く御礼申し上げます。
財務・非財務の両面から当社の取り組みをご確認いただき、企業価値創造の道筋がより明確になったと受け止めていただいたことを大変心強く感じています。特に、構造改革が財務成果へ結びつきつつある点や、ステークホルダーとの対話、従業員一人ひとりの声を変革につなげようとする姿勢をご評価いただいたことは、当社の歩みが正しいものであるとの自信を深めることができました。
また、この2年間の取り組みを通じて、サステナビリティと財務戦略を両輪で進めること、そしてその両者を経営の中で結びつけて収益力の向上と持続的な成長につなげていくことの重要性を改めて実感しており、その点にご着目いただいたことは、今後の大きな支えとなります。
今回いただいた貴重なご意見を真摯に受け止め、次期中期経営計画も見据えながら、取り組みの推進と情報開示のさらなる充実を通じて、変革を確かな成長へつなげてまいります。