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第三者意見

「NTNレポート2025」第三者意見書

写真:関西学院大学商学部長・教授・商学博士 阪 智香 様

関西学院大学商学部長・教授・商学博士
阪 智香 様

略歴:
現在、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)委員、金融庁金融審議会専門委員(サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ委員、サステナビリティ情報の保証に関する専門グループメンバー)、金融庁企業会計審議会委員、日本学術会議連携会員、日本経済会計学会理事、国際会計研究学会理事、日本会計研究学会評議員、日本公認会計士協会サステナビリティ能力開発協議会委員、日本公認会計士協会継続的専門研修制度協議会IES検討専門委員会専門委員、国際会計士連盟(IFAC) the International Panel for Accounting Education (IPAE) memberなど。著書に『日経文庫 サステナビリティ基準がわかる』(共著)など。日本会計研究学会学会賞等受賞。

NTNレポート2025の特筆すべき点

2025年3月に、SSBJからサステナビリティ開示基準が公表されました。この基準は、資本市場をターゲットとするNTNレポート2025(以下、NTNレポート)と視点を同じくしています。そこで、SSBJ基準を踏まえた上で、NTNレポートの特筆すべき点は、次の3つです。

(1) リスクと機会の分析

SSBJ基準では、重要性のあるサステナビリティ関連のリスクと機会が開示対象とされています。NTNレポートでは、事業環境ごとにリスクと機会を分類し、それぞれについての発現時期、影響度、対応策が開示されました。また、マテリアリティと中期経営計画が一体的に示され、人的資本経営も含まれました(P.18-19)。これにより、リスクと機会に関する具体的な開示項目であるコア・コンテンツとのつながりも見えてきました。

(2) ストーリーにもとづくコア・コンテンツ

NTNレポートは、価値創造に向けたストーリーを中心に据えて、4つの「コア・コンテンツ」の開示が展開されています。
「ガバナンス」と「リスク管理」に関しては、サステナビリティ対応を含む全社的に統合されたガバナンスおよびリスクマネジメントの体制が開示されています。今後は、リスク対応に加えて、「機会」を積極的に活用し企業価値の向上につなげていく姿勢や、現在進められている構造改革との関連性が示されることで、レポート全体のストーリーが一層深まると思います。
「戦略」に該当する開示内容は、「NTNが描くストーリー」における長期ビジョン(P.21)、変革を支える戦略(P.22)、事業戦略(P.32, 36)、「ステークホルダーとの共創」におけるロードマップ(P.45)、人材戦略(P.53)など、幅広い領域に及んでいます。特にリスクと機会(P.18–19)がビジネスモデルやバリューチェーンに及ぼす影響、戦略や意思決定への影響、さらにはレジリエンスの観点まで考慮されることで、サステナビリティ課題に対応したサプライチェーンの強靭化や、事業構造の転換とビジネスモデルの強化につながっていくことが期待されます。
「指標及び目標」とその実績(P.20, 54, 78)からは、2024年度目標が着実に達成されていることが読み取れます。あわせて、CO₂排出量の削減に向けた施策のロードマップなど、今後の方向性も具体的に示されています。

(3) 水資源と生物多様性への取り組み

NTNレポートでは、サステナビリティ開示基準の次のテーマとして注目されている水資源管理と生物多様性保全への取り組みが新たに開示されました(P.51)。水ストレス分析に基づく水リスク管理や、水ストレスの高い地域における再利用システムの構築などの取り組みが紹介されています。また、生物多様性の観点からリスクの高い事業所を特定し、具体的な対策が進められていることは、サステナブルでレジリエントなビジネスモデルへの転換に資するものといえます。

サステナビリティ基準がもたらす経営の変化

開示には、企業の行動を変える力があります。例えば、CO₂排出スコープ3のようなバリューチェーンに関する情報開示は、サプライチェーンの見直しにつながります。それは同時に、新たなビジネスチャンスを見出すきっかけにもなります。カーボンニュートラルの実現に向けては、企業グループの枠を超えた協働が不可欠であり、サステナビリティ開示基準は、バリューチェーン全体でビジネスのあり方を見直す契機となります。
この基準が求めているのは、サステナビリティ関連のリスクを抑制しつつ、収益機会を最大化する戦略とビジネスモデルの再構築です。経済的価値とサステナビリティ価値の双方を高めることにより、NTNがその競争力をさらに強化し、持続可能な経済社会の実現に大きく貢献されることを期待しています。

第三者意見を受けて

写真:執行役 ESG推進部担当 菊田 剛

執行役
ESG推進部担当
菊田 剛

阪先生には、貴重なご意見を賜り厚く御礼申し上げます。
国内外でサステナビリティ情報開示拡大の流れが加速する中、当社においても将来に向けた情報開示の準備を進めています。こうした状況下、SSBJのサステナビリティ開示基準の4つのコア・コンテンツと当社の開示情報との関連性をご評価いただき、大変光栄です。また、水資源管理と生物多様性保全に対するコメントは、当社が目指す「なめらかな社会」の実現に向けた歩みを後押しするものであり、大きな励みとなります。さらに、「開示には企業の行動を変える力がある」というお言葉は心に深く響きます。情報開示がサプライチェーンの見直しにつながり、同時に新たなビジネスチャンスを見出す契機になるというご助言は、NTNレポートの制作に携わる従業員一人ひとりの意欲を大いに高めるものだと思います。
今後も、透明性と実効性を備えた情報開示に取り組み、中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。