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人材戦略

人事担当役員メッセージ

基盤の構築から実践へとフェーズを進め 人材獲得と育成、組織風土醸成を確かなものに 執行役 川端 恭弘

NTNが考える人的資本戦略の基本姿勢

当社グループを取り巻く環境や社会構造は、かつてない速さで変化し、取り組む課題は高度化しています。こうした変化を捉え、企業価値を持続的に向上させるには経営戦略を柔軟に変化させる必要があります。そして、それらを実行する「人」にも変化への対応が求められます。そのため、従業員が自律的に考え、社会課題の解決を通じて経済的価値、環境・社会的価値の向上に取り組むことが、人的資本経営の基盤になると考えています。
中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalでは、「人材獲得と育成」と「組織風土醸成」を掲げています。特に現中期経営計画においては、挑戦を後押しし、自律的成長を促すための人事制度や育成の構築に力を入れてきました。現在は基盤の構築を進めながら、現場での実践と定着を図る段階にシフトしつつあると捉えています。

人材獲得と育成では挑戦を尊び、自律的成長を育む制度づくりを推進

人材獲得と育成では、「経営戦略実現のために求められる専門能力の向上」、「グループ経営をリードする経営人材の育成」、「自律的成長とキャリア自律の実現」という3つのテーマを設定しています。事業環境の変化に対応するためには、年功的な考え方から脱却し、「どの仕事を誰が担うのか」を明確にした上で、個々の力を最大限発揮できる仕組みへの変革が求められています。管理職の人事制度では仕事基準へと変更し、ポストチャレンジ・プログラムなども導入しました。
これらの取り組みによって、現場では若い人材を積極的に抜てきしようという意識が生まれつつあります。新たなポジションに就いた従業員は、その職務で求められる役割や責任、対応する報酬の理解が進みます。今後は、挑戦を経た従業員の納得感や理解が職場や組織全体に波及していくことを期待しています。
ポストチャレンジ・プログラムは、ポストとともに必要な経験やスキルを示し、従業員が自身の経験やスキルを踏まえて挑戦できる機会を設けるものです。現時点では、制度の活用はまだ十分とは言えません。職場側が求めている役割と、応募する従業員側の共通理解をどのように深めていくかが課題だと捉えています。今後は、仕事内容や求めるスキルなどをより分かりやすく示し、募集するポストの拡充を図り、挑戦が自然に生まれる環境へと取り組みをさらに進めてまいります。
また、不確実な時代においてはグループ経営をリードする人材を計画的に育成することも重要です。経営トップ層と人事部門が一体となり、人材のプール化を進めるとともに、次世代経営人材育成プログラム(NTN Next Leader Program)も実施しています。2021年度から開始したこのプログラムは、延べ166名が修了し、財務やマーケティング、経営戦略などの講義を通して経営の視点を養うとともに、他部門との人脈構築や多様性の理解も深めています。
また、さらに若手層に対しても、自身のキャリアを考える機会を設けています。日々の業務に集中する中では、将来どのような仕事で会社に貢献したいかを考える時間を十分に持てない場合もあります。階層別研修やキャリアを考える場の提供を通じて、従業員が視野を広げ、自らの可能性に気づくきっかけをつくっています。大切なのは、会社が一方的に道を決めるのではなく、従業員自身が考え、挑戦や成長を選び取れることです。会社はその後押しを継続します。
当社には元来、職場において他者の意見や考えを受け止める文化があると捉えています。それを基盤として、変革させた制度を活用して従業員一人ひとりの自律的成長を促してまいります。

従業員の声なき声にも思いを巡らせ、組織風土醸成を図る

組織風土醸成では、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」、「挑戦し、やりきる職場風土への変革」と「NTNスピリットに基づくマインド変革」を掲げています。
まず、グローバルで事業展開をしている企業として人材の多様性確保を常に意識しています。ただ、年齢や属性などによって特定の人材を優先するといったことをせず、人材それぞれの能力や適性を重視した結果として多様性が確保されていることが重要です。一方で、当社グループは事業の特性上、機械工学や材料工学系の人材が比較的多いため、それ以外の専門分野における能力を有する人材にも加わってもらい、今まで以上に多様な視点や発想が生まれる組織風土を目指すことを基本的な姿勢としています。
その上で、当社には、挑戦を前向きに受け止める土壌があります。挑戦を最後までやりきり、成果につなげていくためには、制度だけでなく従業員一人ひとりの意識の変革は欠かせません。
例えば、目標管理制度ではチャレンジ目標の設定を取り入れ、年3回の中間面談を通じて、目標や達成度について上司と部下が綿密にすり合わせる機会を設けています。その対話の中で、挑戦的な目標を掲げる従業員も現れています。
また、経営層と現場の接点を増やす取り組みも進めています。積極的にタウンホールミーティングやランチミーティングの場を設け、経営層が何を考え、どこに向かおうとしているのかを直接現場に伝えるとともに、現場の声に耳を傾ける機会を大切にしています。
さらに、従業員エンゲージメント調査も活用を進めています。個別の数値に一喜一憂するのではなく、いわば組織の状態を把握する健康診断として捉え、数値に表れた傾向は真摯に受け止めつつ、なぜその結果になったのか、その背景に何があるのかを深く考えることを重視しています。結果には現れない、声になりにくい思いにも配慮し、各職場での対話や改善活動である「より良い職場づくり活動」につなげることが重要です。まだ試行錯誤の段階ですが、実際にそれぞれの職場単位で、どうすればより良い職場になるかという意識の変化が生じつつあると捉えています。今後も、対話の質を高め、積極的に挑戦する組織風土を育ててまいります。

基盤の構築から、実践の積み重ねがより重要な段階へ
従業員がイキイキと働く、豊かな人づくりを推進

これまで触れたさまざまな基盤の構築は、一度枠組みを整えればすぐに結果が出るものではありません。当社がこれまで続けてきた働き方、そしてそれを通じて培われた意識を変えるには時間が必要です。当社グループの取り組みはまだ道半ばにあり、実践の積み重ねこそが「豊かな人づくり」を目指す上で重要だと捉えています。
仕事基準の制度への移行やポストチャレンジ・プログラム、キャリアを考える機会の提供、エンゲージメント調査を起点とした対話などを通じて、従業員が自らの役割や将来を考えるきっかけは着実に生まれています。こうした小さな変化を積み重ねることが、やがて組織全体の変化につながると信じています。
冒頭で触れたように、時代やニーズの変化に対応する経営戦略と人材戦略を連動させることが求められています。そして、中心にあるのは人です。経営環境が変わったときに、自ら考え、挑戦する人材を増やしていくこと。そして、多様な従業員がそれぞれの持ち味を生かし、事業活動を通じて成長し、イキイキと働ける組織をつくること。それが、当社グループの持続的な成長と企業価値向上につながると考えています。これからも基盤の構築と実践の積み重ねの両輪で人と組織の可能性を広げてまいります。

NTNの人材戦略

当社グループでは、ESG課題のひとつとして「豊かな人づくり」を掲げています。従業員が事業活動を通じて「成長」し、「イキイキと働く」ことができる企業グループであり続けるように企業文化を育み、人事制度や職場環境を整え人的資本の価値を最大限引き出し、成長させることで持続的に企業価値を向上させます。この「人的資本経営」の実践を通じて、さまざまな社会課題を解決し経済的価値、環境・社会的価値の向上に取り組む組織風土を醸成し、働きがいを持って仕事に取り組める多様な人材を育成することで「豊かな人づくり」の実現を目指します。
「豊かな人づくり」を実現するための人材戦略として、「変革に挑戦する次世代を担う人材の確保」「社員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」「安全・健康に働きイノベーティブな発想ができる職場環境の実現」「職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成」「人権の尊重」を5つの柱としています。
具体的な施策として、中期経営計画の基本方針である「事業構造の変革の加速」およびその変革を支える取り組みを実行し、当社グループとして目指す姿を実現するため、「人材獲得と育成」と「組織風土醸成」の両面から人材戦略を策定し、「経営戦略実現のために求められる専門能力の向上」、「グループ経営をリードする経営人材の育成」、「自律的成長とキャリア自律の実現」、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」、「挑戦し、やりきる職場風土への変革」、「NTNスピリットに基づくマインド変革」を重点に、それぞれの取り組みを推進しています。

持続的な企業価値の向上

人材獲得と育成

経営戦略実現のために求められる専門能力の向上

事業構造を変革(事業ポートフォリオの変革)するには、ビジネスの構造を変えるような抜本的かつ主体的な行動や新領域へのチャレンジが必須であり、戦略実現に求められる組織能力や人材も変化しています。中期経営計画の基本方針である事業構造の変革や、それを支える戦略を達成するためには、それぞれに必要となる組織能力を獲得することが重要です。人材育成や適所への人材配置、採用の仕組みの強化,多角化による外部人材の獲得を組み合わせることで、組織能力の獲得を推進しています。

エキスパートコース

2024年4月に管理職層の人事制度を改定し、役職、専門性、働き方に応じたコース区分制を導入しました。そのひとつとして、特定分野・領域の専門性を磨く人材がそれぞれ活躍できるよう、エキスパートコース(専門系コース)を設定しました。導入以降、エキスパートコースの人数は、2023年度の6名から2025年度には12名へと増加しており、専門性を軸としたキャリア形成に対する理解や関心が社内において徐々に広がりつつあります。

職種限定採用(初期配属職種確約型採用)

新卒採用を取り巻く環境は、少子化に伴う人材不足や企業間の人材獲得競争の激化に加え、就職活動の早期化・長期化、学生のキャリア意識や価値観の多様化を背景に、大きく変化しています。特に近年は、学生が自身の専門性や適性に加え、職種や勤務地、働き方への明確な志向を持って企業選択を行う傾向が強まっており、個々の希望や適性を踏まえた採用手法が求められています。
当社では、こうした環境変化を踏まえ、新たに「初期配属職種確約型採用」を一部職種に導入し、採用選考時に初期配属職種のマッチングおよび確約を行っています。これにより、学生の入社意欲や配属職種に対する納得感を高めるとともに、入社後のキャリア形成をより具体的に描けるようになると考えています。また、専門性の高い人材を適材適所に配置することが可能となり、エンゲージメントの向上や早期離職抑制といった効果も期待しています。
今後も、学生のニーズや時代の変化を的確に捉えながら、柔軟な採用手法の検討・導入を進めてまいります。

(対象職種)

事務系採用:財務・経理職、IT企画職
技術系採用:研究・開発職、設計・開発職、生産技術職、品質保証職、情報系職種

キャリア採用の拡大

「なめらかな社会」の実現に向け、「豊かな人づくり」を人材戦略の基本方針に掲げ、将来の事業基盤を支える人材の確保に取り組んでいます。
新卒採用を継続的な人材確保の中核としつつ、人材の流動性が高まる環境を踏まえ、キャリア採用による外部人材の採用も重要な手段として推進しています。
キャリア採用では、即戦力となる人材の確保に加え、異なる専門性や経験を有する人材を受け入れることで、組織に多様な視点や発想を取り入れることを目的としています。異業種・異職種で培われた知見や実務経験を活かし、組織運営や業務遂行の高度化・効率化につなげています。
また、各事業の推進に必要な人材の確保を基本とし、高度な資格や専門的な技術・技能を有する人材の採用にも注力しています。
さらに、アルムナイ採用やリファラル採用などの制度を整備し、採用チャネルの多様化を推進することで、安定的かつ柔軟な人材確保基盤の構築を目指しています。

デジタル人材の育成

当社においてデジタル活用ができるビジネス人材として、全従業員のデジタルスキル底上げを図るべく「AI・データリテラシー講座」を開講し、AIリテラシー、データ分析などデジタルリテラシーを活用できる従業員のすそ野拡大、レベル向上を行っています。また、若手人材の早期育成にも注力しており、新入社員を対象にデータ分析の基本を学ぶオンライン研修を実施しています。日常業務や課題解決にデータを活用するための基礎的な考え方や手法を身につけることで、入社初期段階からデジタルを意識した業務遂行ができる人材の育成を目指しています。さらにデジタル技術により効率化を推進することができる「デジタル人材」、先端デジタル技術による変革を進めることができる「高度デジタル人材」を育成するため、ICT戦略部や生産技術本部、CAE研究所など各部門で専門的な教育を行い、デジタル変革を支えるために各レベルでの従業員のデジタルリテラシー向上を全社で進めています。

グループ経営をリードする経営人材の育成

不確実な時代に経営戦略を実現するためには、当社グループをリードできる経営者を計画的に育成していくことが重要と考えています。成果を上げている人材を経営人材候補として人材プールを形成し、経営トップ層と人事部門が一体となった育成を行うほか、若手層を含む管理職を対象に経営者育成プログラムを実施し、中長期的な観点から経営者の育成を図っています。

人材育成体制

職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成を目指し、「自ら考え、自ら行動できる」人材の育成プログラムを全階層で展開しています。次の100年に向けて事業を拡大するためには、国内のみならず海外でも活躍できる人材を育成することが不可欠で、グローバル人材の育成プログラムとして全社員向けに手上げ式で英語のみで行う研修(グローバルビジネススキル研修)を他流試合形式で実施し、留学・奨学制度なども活用しています。また、社内eラーニングで会社知識・専門知識講座などのコンテンツを充実させることで全従業員の意識・知識の底上げ、能力向上に取り組むとともに、若年層向けに手上げ式のビジネススキル向上プログラムを導入、制度面では従業員のキャリア自律を促進する社内公募制度を実施し、自律的に個々人のスキルやキャリアプランに即した能力開発に取り組んでいます。管理職層には新任管理職向けだけでなく、一定の経験年数以上の管理職を対象に考課能力や部下への指導力向上を目的にした考課者訓練や次世代経営層の発掘、育成を目的とした研修(NTN Next Leader Program)も実施しています。

■主な研修体系

主な研修体系

経営人材の育成

従来の管理職教育に加え、長期的な視点で経営課題に関する意思決定ができる次世代経営層候補者のすそ野拡大を目的に、若手管理職を対象とした「NTN Next Leader Program(初級編/中級編)」を開講しています。
本プログラムは選抜制(一部公募制)で、初級編では「経営者視点でとらえ直す力、視野を広げる」ことを、中級編では「長期軸での戦略立案、組織変革をする力を養う」ことを中心に経営に必要な思考・知識を体系的に学習するカリキュラムとなっており、初級編・中級編での学びを活かして各部門の課題を抽出、変革案をまとめ、経営層に発表する機会も設けています。また執行役候補者の選抜によるサクセッションプランを導入しており、これらの施策などを通じて経営層候補者を早期に見出し、計画的育成を図ります。

自律的成長とキャリア自律の実現

自律的なキャリア展望やキャリア開発に基づく成長と、キャリア展望の実現を支援することで、従業員と組織の持続的成長を実現します。

キャリア支援体制

現在の経済や社会環境の変化を踏まえ、従業員一人ひとりが自律的に中長期的なキャリアを考える機会を提供するため、キャリア開発・支援体制の構築に取り組んでいます。自身のキャリアを主体的に考える「キャリアプラン(CP)研修」を若年層から中高年層にわたる幅広い年代層で実施し、従業員のエンゲージメントとモチベーション向上を通じて、組織の活性化、人材の定着、業績の向上など、企業の継続的成長につなげています。また、キャリアプラン研修をサポートするキャリア面談を行うことや従業員本人だけでなく、その上司である管理職向けにキャリア支援教育も実施し、部下と上司の関係性向上、部下の現職種への取り組み改善、将来を見据えたJR(ジョブローテーション)の実現を後押ししています。今後も従業員、企業双方の継続的成長を達成するため社内全体のキャリア支援体制のさらなる充実を進めてまいります。

ポスト・チャレンジ・プログラム

2024年4月より、課長や部長といったポストにチャレンジする従業員を募集する「ポストチャレンジ・プログラム」を実施しています。この制度は、従業員が希望するキャリアや働く場所を自ら選択できる機会を提供し、従業員のモチベーションを高め、組織の活性化を促すことを目的としています。当該制度を利用して異動した件数自体は決して多くありませんが、応募の有無にかかわらず、「次にどんな仕事に挑戦したいのか」「自分の強みはどこにあるのか」といった対話が、従業員の間で生まれ始めています。これまで表に出にくかったキャリアや志向について言語化される場面が増えてきたこと自体が、制度導入の一つの成果だと受け止めています。

インターンシップ・就業体験の拡大

当社では、将来を担う人材の育成と相互理解の促進を目的に、学生向けのインターンシップおよび就業体験プログラムを実施しています。本プログラムでは、メーカーにおける仕事の進め方や役割を体験し、働く意義への理解を深めることを目指しています。
プログラムでは、技術系職種に関しては、ベアリングや自動車関連製品の研究開発・設計開発・品質保証といった体験を、事務系職種に関しては、営業の模擬商談、マーケティング戦略立案、生産管理の工程計画、IT企画の立案などの実務体験を行います。先輩社員の支援のもとチームで課題に取り組み、ものづくりや事業運営に欠かせない協働、納期意識の重要性を学びます。
さらに、社員との交流やフィードバックの機会を通じて、当社で働くイメージや職場の雰囲気を具体的に感じていただける機会を設けています。本プログラムを通じて、学生は実務知識の習得に加え、自身の強みや課題を理解し、主体的な職業選択やキャリア形成につなげることが期待されます。当社としても、学生の新たな視点を取り入れ、次世代人材とともに持続的な成長を目指しています。

■インターンシップの様子

インターンシップの様子

組織風土醸成

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン

多様な専門性と経験を持つ人材で組織を構成し、その違いを力に変え、多様な視点や仮説を通じてイノベーションや日常的な価値創造を実現するために、個々人の能力を最大限発揮できる「従業員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」に取り組んでいます。

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの基本的な考え方

当社グループでは、国籍や文化、性別、年齢、障がいの有無などにとらわれず、さまざまな人材が自由な発想でより良いアイデアを出し、能力を最大限発揮できる「従業員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」に取り組んでいます。具体的には、中途採用の拡大によりさまざまなキャリアバックグラウンドを持つ人材確保を強化するほか、多様な人材を国内外の拠点の責任あるポジションに積極的に登用できる環境や制度を整備しています。
多様な価値観を尊重し認め合い、それらを融合することで柔軟な発想が生まれる組織づくりを進め、持続的に成長し続けながら、企業理念である「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」ことを実現してまいります。

多様な働き方の推進

多様な働き方の実現

在宅勤務制度やフレックスタイム制度を導入し、働く時間や場所の柔軟性を広げ、多様な従業員が活躍できる環境を整備しています。例えば、育児や介護がキャリアアップの妨げにならないよう、育児休業・介護休業制度について分かりやすく説明したハンドブックを作成し、従業員に制度の周知を行っています。さらに管理職でも育児や介護と管理職としての職務を両立して働くことができるように、時短勤務やフレックスタイム制度を利用できるWLBコースを設けています。
こうした在職者に対する取り組みにとどまらず、結婚・出産・不妊治療・介護・キャリアアップなどの事情で退職した従業員が復職できるNTNジョブリターン制度や、転職で退職した従業員が復職できるウェルカムバック制度を導入し、当社に在籍中や退職後に培ってきた経験や知見、ノウハウを活かすことができる環境を整備しています。
また、制度や施策の整備だけでは十分ではないとの認識に立ち、管理職研修において、これまで当たり前とされてきた考え方を学び直す機会を設けることとしました。ダイバーシティの推進を特別な配慮ではなく、働きがいの向上につなげるための前提ととらえ、多様な考え方や価値観を活かしながら、一人ひとりが力を発揮できる組織づくりを進めてまいります。

仕事と介護の両立支援

家族の介護を担う従業員の数が増えることが予想される昨今、「従業員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」を進めるためには、従業員一人ひとりの介護リテラシーの向上が重要だと認識しています。当社では、事前に介護に関するニーズ調査を行い、その結果を踏まえ、従業員が必要とする情報を盛り込んだ介護セミナーを実施しました。他にも、介護に対する心構えや利用できる制度などをまとめた「仕事と介護の両立支援ハンドブック」を発行するなど、介護を行う従業員に対する理解を促進する活動を推進しています。

仕事と育児の両立支援

当社は、従業員の子育て支援に関する高い水準の取り組みが認められ、2022年10月に「プラチナくるみん」認定を取得しました。
これらの取り組みに加え、弊社では育児・介護休業法の改正内容についても速やかに制度や運用へ反映し、法改正に的確かつ迅速に対応しています。
育児をする従業員に対しては、男女ともに、妊娠が分かってから産休・育休・復職までの育児に関連する社内制度や法律をまとめた産休・育休ハンドブックを配布し、制度の社内周知などを進めています。また、管理職向けの取り組みとして、管理職用育児サポートブックを配布し、管理職の出産・育児に対する理解を深め、出産・育児をする従業員が最大限に能力を発揮できるような環境を整備しています。ほかにも、育児など多様な人材が十分に活躍できる職場づくりを進めるために、管理職を対象とした「イクボスハンドブック」を配布し、部下の仕事と生活の両立支援の意識啓発に取り組んでいます。
さらに男性従業員の育休取得の促進においては、育休制度に関するeラーニングの実施、「仕事と育児の両立ハンドブック」の配布など、職場全体で育児を支援する制度について理解を深める取り組みを進めています。
こうした取り組みにより、2025年度の男性従業員の育休取得率は前年度の73.0%から89.6%に増加しました。

長時間労働の削減(労働時間の適正化)

当社では、働きやすい職場づくりおよび安全衛生の観点から、長時間労働の削減に向けた取り組みを進めています。
具体的には、入退館やパソコンのログによる勤務時間の管理を行い、一定の時間を超える勤務が見られる部門については、個人任せとするのではなく、職場全体で業務の進め方や役割分担の見直しなど、改善に向けた取り組みを行っています。
こうした取り組みにより、2025年度の管理職を除く従業員の月平均残業時間は4.1時間となりました。引き続き、過重労働の未然防止と働きやすい職場環境の実現の両立を図ってまいります。

シニア社員の活躍推進

定年前の50歳代後半の方を対象としたキャリアプラン研修を開催し、自分にとって望ましい生き方・働き方について自己選択・自己決定につなげています。
また、60歳以降の従業員については、モチベーションの向上と活躍推進による組織の活性化を目的に、定年再雇用制度を改定しました。業務内容や役割に応じた処遇とすることで、再雇用後も意欲を持って働ける環境づくりに取り組んでいます。
こうした制度のもと、定年後の再雇用率は2025年度に定年を迎えた方全体の89.0%となり、前年に引き続き、高い再雇用率を維持しています。

障がい者雇用の推進

誰もが活躍できる多様性のある組織づくりの一環として、障がい者の方の雇用を積極的に推進しています。さまざまな製造現場や間接部門の職場で「協働」し、持ち味を活かして活躍していただいています。ほかにも、障がいのある方々が主役となって働ける職場として、桑名・磐田・岡山の各事業所に専用職場「夢工房」を開設し、バリアフリー化の推進など、障がいを持つ方でも安全で働きやすい職場環境の構築に取り組んでいます。障がい者雇用率は、積極的な採用や定着化施策により2.64%(2025年度)となりました。

グローバル人材の活躍推進

留学生の採用

当社では、求める人物像として「自ら考え、自ら行動する」人材を掲げています。日本での留学・研究経験を通じて、多様な視点と高度な専門性を培ってきた外国籍人材は、新たな環境に果敢に挑戦し、自身の意思で道を切り拓く意欲と行動力を備えていると捉え、積極的に採用しています。
入社後は、機械、電気・電子、ソフトウェア、情報、財務・会計など、培ってきた知識を活かし、国内外の幅広い事業領域で活躍しています。また、外国籍社員が持続的に成長できるよう、日本語教育や配属部門ごとの研修を実施し、一人ひとりが能力を発揮しながら「イキイキと働く」ことのできる環境づくりを推進しています。
当社は、多様なバックグラウンドを有する外国籍人材を継続的に採用し、その活躍を支援することで、企業としての成長につなげています。

挑戦し、やりきる職場風土への変革

厳しい環境のもとで競合優位性を維持・向上させ、持続的に成長するには、これまで以上に独創的な価値の創出が必要となり、過去の成功や前例にとらわれることなく、常に新しい発想で挑戦する姿勢とそれを可能にする職場風土が重要と考えています。

公正な評価と処遇

管理職層の目標管理制度において、基本目標の設定に加え、チャレンジ目標を設定することで、より高い目標への挑戦を促しています。あわせて、目標設定時の面談や期中の適時フォロー、期末のフォロー面談など、上司と部下の対話の機会を制度として組み込むことで、目標や進捗に関する認識のすり合わせを行いながら、目標達成に向けてやり切ることを促す仕組みを取り入れています。また、2025年度には、新しい評価制度の定着において中核的な役割を担う部門長層を対象に、考課者研修を新たに実施し、対象者の約半数にあたる85人に対して研修を行い、制度理解と運用力の向上を図っています。なお、残る対象者についても、2026年度に同様の研修を実施する予定としています。

NTN PROUD AWARD

当社では、2022年に、従業員のESG活動を称える社内表彰制度「NTN PROUD AWARD」を当社グループのグローバル全従業員を対象に制定しました。
本制度は日々の業務とマテリアリティを結びつけた活動を各チームが申請し、その申請案件の中から、先ずは世界6地区(米州、欧州、中国、アセアン、インド、日本)で優秀賞と特別賞の2つの優れた案件が選ばれ、その受賞チームがグローバル大会においてプレゼンテーションを実施し社長賞が決定されます。また社長賞受賞チームは、世界中の当社グループの経営幹部が集うグローバルマネージメントカンファレンスに招待され表彰されます。
2025年度に開催したグローバル大会では、世界各地区の審査を通過した7チームが出場し、その中でも特に優れた取り組みを行った2チームが、「社長賞」を受賞しました。
本制度を通じて、従業員一人ひとりのESG活動を奨励し、社会課題解決に向けた挑戦を促しています。

QCサークル

NTNのQCサークル活動は人材育成の一環として、全社で掲げている「なめらかな社会」の実現に向けた「豊かなひとづくり」への対応や「職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成」を達成すべく、サークル単位での品質向上、改善活動を行う中で、個人の成長が組織の成長、商品品質の向上、会社の成長につながる活動です。
サークル活動テーマは品質向上、改善や全体最適化を実現するために抽出した問題点から設定しています。その問題に対し、サークルメンバーとの議論やQC手法を活用し、解決に取り組んでいます。その活動を支援すべく「QCサークル推進者コース」、「QCサークル新任サークルリーダーパワーアップ研修」などへの参加を促進しています。また、日々の活動を全社に向けて発表する機会として「世界QCサークル大会」、「国内QCサークル大会」を開催し、全世界でサークル活動を通じて品質向上、改善活動推進と人材育成を支援しています。

NTNスピリットに基づくマインド変革

長期戦略の実現には、優秀な人材を惹きつけることが不可欠であり、そのためにはエンゲージメントの高い企業風土を醸成することが重要です。目指すべき意識・行動を明文化した「NTNスピリット」を従業員全員で共有し、自社がどのように在りたいか、何のために存在するか、一人ひとりが働く意義を見出すことで、自ら考え自ら行動する従業員を増やし、変革への本気の挑戦を生み出すことが、企業価値向上につながることはもちろん、従業員の成長や組織の一体感、そしてエンゲージメントの向上につながると考えています。

従業員のエンゲージメント向上のための職場づくり

従業員エンゲージメントサーベイの概要

本調査では、「従業員エンゲージメント」及び「社員を活かす環境」を軸とし、これらに影響を与える要因として、「戦略・方向性」「リーダーシップ」「成長の機会」「心理的安全性」など、複数の観点から組織の状態を把握しています。なお、2023年度の回答率は94%、2025年度は93%と、いずれも高い水準を維持しております。
調査結果は、経営層及び各部門へフィードバックしており、その内容をもとに、全社的な施策や人事制度への反映についても検討を行っています。また、エンゲージメント向上施策として、調査結果をもとに各職場が主体的に取り組む活動である「より良い職場づくり活動」を推進しています。本活動では、各職場において調査結果を踏まえた対話を行い、そこから抽出された課題や強みを具体的な職場改善につなげています。本活動を通じて、職場の状況について共通認識を形成するとともに、従業員一人ひとりが改善に向けた行動を自ら考え、実行することを重視しています。

調査結果の考察―当社の強み

調査結果からは、「個人の尊重」「教育・研修」「心理的安全性」などの項目において、肯定的回答率が高く、個々人が尊重され、学びやすい環境や、上司との信頼関係を基盤とした職場運営が行われている点は、当社の強みであると認識しています。

調査結果の考察―当社の伸びしろ

一方で、「戦略・方向性」や「リーダーシップ」、「業務プロセス・組織体制」といった項目では、肯定的回答率が相対的に低い結果も確認されており、会社の方針や将来像が現場に十分に伝わっていないことや、部門を超えた連携、スピード感に課題が残っていると受け止めています。特に、経営層が描く方向性と、現場での実感との間に認識のギャップが存在している点は、今後重点的に改善に取り組むべき課題であると考えています。
これらの課題を踏まえ、当社では、経営層と従業員との相互理解を深める取り組みとして、タウンホールミーティングを継続的に実施しており、経営が何を考え、どこに向かおうとしているのかを直接伝える機会を設けています。2025年度は、国内(32拠点)、海外(27拠点)で合わせて4,000人を超える従業員が参加し、社長や執行役が会社の目指す姿や何に注力していくかを説明し、コミュニケーションを深めました。
さらに、組織課題を表層的な対応にとどめることなく、構造的に把握していくための取り組みも進めており、調査結果を起点とした分析を通じて、制度や施策の改善につなげていくことを目指しています。今後も、エンゲージメント調査を組織の「健康診断」として活用し、継続的な改善と対話を通じて、エンゲージメントの向上と組織風土の変革を進めてまいります。

タウンホールミーティングの様子 タウンホールミーティングの様子 タウンホールミーティングの様子

より良い職場づくり活動

従業員エンゲージメント調査を単なる現状把握にとどめることなく、各職場における具体的な改善活動につなげるための取り組みとして、「より良い職場づくり活動」を推進しています。
職場を変えるのは制度や仕組みだけではなく、日々の業務の中で交わされる対話そのものが、認識のずれを解消し、新たな気づきや行動を生み出すきっかけになると考えています。このため当社では、対話を起点とした組織開発のアプローチを取り入れ、職場ごとの主体的な改善活動を進めています。
本活動の中核となるのが「職場対話」です。
職場対話とは、職場のメンバー全員が集まり、エンゲージメント調査の結果をもとに、自らの職場の現状や課題について対話を行い、より良い職場の実現に向けた具体的なアクションを導き出す場を指します。
対話を通じて、職場の状況に関する共通認識を形成し、強みや課題を自分たちの言葉で捉え直すことで、従業員一人ひとりの主体的な行動につなげていくことを重視しています。
こうした対話を効果的に進めるため、当社では組織開発のアプローチを取り入れた支援策を整備しています。
その一つが、南山大学 中村教授の監修のもと作成した「職場対話デモ動画」です。本動画では、実際の職場対話の進め方を具体的な場面を通じて示しており、対話の進行方法やファシリテーションのポイントを視覚的に理解できる内容としています。学術的な知見に裏打ちされた対話手法を共有することで、各職場において一定の質を保ちながら対話活動を推進できるようにしています。
また、「職場対話進行の手引き」を作成し、対話の進め方や議論のポイントを整理することで、各職場が手引きに沿って円滑に対話を進められる環境を整備しています。
各職場においては、これらのツールを活用しながら、調査結果をもとに対話を実施し、課題の抽出から具体的な改善アクションの設定までを主体的に行っています。
対話を通じて得られた気づきを起点に、自らの職場の課題を自分事として捉え、実際の行動へとつなげていくことで、職場ごとの特性に応じた改善が進められています。

■南山大学 中村教授の監修のもと作成した「職場対話デモ動画」

南山大学 中村教授の監修のもと作成した「職場対話デモ動画」

■「職場対話進行の手引き」(一部抜粋)

「職場対話進行の手引き」(一部抜粋)

指標および目標

中期経営計画実現に向けて重点とする取り組みに関する指標および目標は次の通りです。

■指標および目標一覧

指標および目標一覧

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