脱炭素社会への貢献
自然エネルギーを利用した持続可能な社会の実現
持続可能な社会の実現に向けて、カーボンニュートラルを達成すべく、風力や太陽光を利用して発電する自然エネルギーや、自然エネルギーから作られた、燃焼時にCO2を排出しない水素が、次世代のクリーンエネルギーとして注目されています。
水素を活用するためには「つくる、はこぶ、ためる、つかう」のあらゆる場面で技術開発が活発に進んでいます。当社はNEDOが公募した「競争的なサプライチェーン構築に向けた技術開発事業」において、九州大学などとともに「水素ステーションの低コスト化・高度化基盤技術開発プロジェクト」を提案し、採択されています。当社は本プロジェクトにおいて高圧水素ガス圧縮機に使用される樹脂製ピストンリングを開発しています。このピストンリングの開発では、耐久性・信頼性向上のため、長年にわたりエンジニアリングプラスチックしゅう動部品の開発・製造・販売で培ってきた樹脂材料に関するトライボロジー技術を活用しています。
(関連ニュース:NTNが参画する水素ステーションの低コスト化・高度化基盤技術開発プロジェクトがNEDO公募事業に採択|広報ニュース:2023年|ニュース|NTN株式会社)
2023年に本格稼働を開始した和歌山製作所ではオンサイトPPA※1モデルを導入し、工場設備から事務所まですべての使用電力をCO2フリー電力で賄うことで、通常の電力を使用する場合と比べて毎月のCO2排出量を約85%、年間589tの削減を見込んでいます。
(関連ニュース:和歌山製作所にオンサイトPPAモデルを導入|広報ニュース:2024年|ニュース|NTN株式会社)
※1)オンサイトPPA(Power Purchase Agreement)
自社敷地内に第三者であるPPA事業者が太陽光発電設備を導入し、PPA事業者に電気料金を支払うことで電力を調達する仕組みのこと。
当社は水素環境下におけるトライボロジー技術や評価に関するノウハウを活用して関連商品を開発することで水素インフラ整備の進展に貢献するとともに、自社工場の環境負荷軽減に継続的に取り組むことで、カーボンニュートラルの達成、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
エネルギーロスの低減
EV/電動化への対応
カーボンニュートラルの達成に向けて、自動車の電動化、EV化が進んでいます。EV車の課題のひとつに航続距離の延伸があり、電動駆動ユニットe-Axleで使用される基幹部品をはじめ、車載部品の小型/軽量化、高効率化が求められています。当社は、車両の電費改善のために、静的負荷容量を2倍に向上させて従来よりも小型の軸受に置き換えを可能とする革新的熱処理技術「HA-C」や、世界最高水準の伝達効率、低振動性を実現した「高効率・低振動ドライブシャフト」、従来品比で最大64%の低フリクション化を実現した低フリクションハブベアリングVなどの開発により、EV車の省エネルギー化に貢献します。
EVやHEVの省燃費化・省電費化、航続距離の延伸のために、電動駆動ユニットe-Axleで使用される基幹部品にはさらなる高効率化、小型・軽量化の要求が高まっています。当社は、コアコンピタンスのひとつである熱処理技術をさらに深化させて、設計面での軸受形状の変更を必要とせずに、一般的な鋼材で業界最高水準の高負荷容量化を実現する特殊熱処理技術「HA-C」を開発しました。
本技術は材料に硬く微細な析出物を多数分散させるなどの手法により、静的負荷容量の向上とともに、重荷重条件における転動疲労寿命を7倍以上に向上させています。この高負荷容量化により、従来よりも小型・軽量な軸受への置き換えが可能です。
さらに、本技術では、従来の熱処理技術では困難であった、高温寸法安定性、耐異物性、耐摩耗性も高い水準で両立しており、高温環境や希薄潤滑など、e-Axleの過酷な使用環境に対応が可能です。
本技術は当社の既存商品であるe-Axle向けの高速回転軸受や耐電食軸受などにも適用可能であり、e-Axleなどの自動車向け駆動装置で使用される転がり軸受が抱える技術課題を解決します。
今後、本技術の商品展開を進め、自動車向け駆動装置のさらなる小型・軽量化および省エネルギー化に貢献するとともに、新たな価値創造に向けた熱処理技術の不断の深化に取り組みます。
(関連ニュース:自動車向け駆動装置の小型・軽量化に貢献する特殊熱処理技術「HA-C」を開発|新商品ニュース:2024年|商品・技術情報|NTN株式会社)
当社は、EV車の航続距離延伸に向けて、主力商品であるドライブシャフト、ハブベアリング、軸受の低フリクション化・高効率化の追求とともに、e-Axle用軸受特有の課題である電食への対策など、多様な市場ニーズに対応する高機能商品の開発も進めています。
高効率化の市場ニーズに対して、ドライブシャフトでは、世界最高水準の伝達効率、低振動性を実現した「高効率・低振動ドライブシャフト」の量産を開始しました。当社従来品からの置き換えにより、電費で3.19%の改善効果が見込めます。
(関連ニュース:EV向けに高効率・低振動ドライブシャフトの提案を開始|新商品ニュース:2024年|商品・技術情報|NTN株式会社)
また、ハブベアリングでは、軸受内部およびシール塗布グリースに、それぞれ新開発の低トルクグリースを適用することで、従来品比最大64%の低フリクション化を実現した「低フリクションハブベアリングV」を開発しました。当社従来品比で電費約0.75%の改善効果が見込めます。
(関連ニュース:「低フリクションハブベアリング」シリーズを拡充|新商品ニュース:2024年|商品・技術情報|NTN株式会社)
e-Axle用軸受の電食対策に対しては、多様化する要求機能に応えるため、軸受の外輪外径と幅面に樹脂絶縁層を射出成形することで、耐電圧1,000V以上の絶縁性を確保した「樹脂モールド絶縁軸受」を開発し、絶縁アイテムのラインアップに加えました。増加が見込まれるバッテリー電圧800Vにも対応が可能で、e-Axleで求められる幅広い温度環境でも使用できる耐久性も実現しました。
(関連ニュース:e-Axle向け「樹脂モールド絶縁軸受」を開発|新商品ニュース:2024年|商品・技術情報|NTN株式会社)
今後も自動車市場では、EV/HEVの航続距離の延伸や静粛性向上に対応する高効率、高機能な軸受の需要が拡大することが見込まれます。引き続き、当社のコアコンピタンスの活用、次世代技術の取り込みを通じて、商品ラインアップを充実し、市場ニーズを先取りした、カーボンニュートラルに貢献する商品開発を進めます。
製造設備の高効率化
一般的に、製造工場の電力消費のうちの約20~30%は、エアコンプレッサーの消費電力と言われています。このため、産業機械分野のカーボンニュートラル実現に対しては、エアコンプレッサーの消費電力の削減、すなわち、エアー使用量の削減が重要です。
主軸の高速化が進む工作機械において、一般にdmn値140万を超える高速回転環境下では主軸の支持用軸受としてエアオイル潤滑軸受が使用されていますが、当社は、エアー供給が不要なグリース潤滑軸受への置き換えを可能とする「高速・超寿命グリース」を開発しました。増ちょう剤、基油、添加剤の成分を見直し、かつ配合比率を最適化することで、グリース潤滑軸受として、業界最高水準となるdmn値190万を実現しました。
(関連ニュース:業界最高水準の高速回転性能! 工作機械主軸用グリース潤滑軸受向け「高速・長寿命グリース」を開発|新商品ニュース:2024年|商品・技術情報|NTN株式会社)
さらに、主軸の回転に伴って自己発電する電力を用いて、グリース潤滑軸受にあらかじめ設定した時間間隔で給油を行うことで従来比2.5倍以上の潤滑寿命を実現する「グリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニット」を開発し、高速回転環境下dmn値190万でのグリース潤滑軸受の耐久性を確保しました。現在、さらなる長寿命化を目指して、潤滑剤の枯渇状態のセンシングをもとにした給油制御の検討を進めています。
(関連ニュース:工作機械主軸用「グリース潤滑軸受向け潤滑油給油ユニット」を開発|新商品ニュース:2024年|商品・技術情報|NTN株式会社)
当社は今後も、グリース潤滑軸受の高速化、長寿命化、低トルク化など、製造設備のエアー消費量削減や省電力化に寄与する商品技術の開発と提供を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
環境貢献商品の開発
当社は、「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」という企業理念のもと、環境への配慮を重視したものづくりに取り組んでいます。特に、地球温暖化の防止に資する技術の開発に注力しています。
当社が製造する軸受やドライブシャフトなどの部品は、車両や機械のエネルギー効率を高めることで、環境負荷の低減に寄与します。これらはすべて環境貢献商品と位置づけられます。中には、すでに広く使用されている商品もありますが、当社の技術によって環境性能をさらに向上させた新商品も含まれています。
また、太陽光や風力などの自然エネルギーを活用する商品の開発にも取り組んでおり、これらはCO2の排出削減に貢献しています。
当社では、こうした商品の環境への貢献度を独自の基準で数値化し、より高いレベルの環境貢献商品を開発・提供することで、企業理念の実現に向けて継続的な努力を重ねています。
環境貢献商品の評価方法
当社では、1997年当時の性能を基準とし、現在の商品の環境性能を比較・評価しています。商品ごとに定めた基準に基づき、環境への貢献度に応じて「S~D-ecoグレード」までの5段階に分類しています。

これまでの成果
2024年度には、主力商品であるドライブシャフトやハブベアリング、ならびに自然エネルギー関連商品によって、約188.9万トンのCO2削減に貢献しました。これは、当社の環境貢献商品の開発が成果を上げている証しです。
また、2024年度には、環境貢献度の高い「S~B-ecoグレード」の商品の売上が、全体の約53.9%を占めるまでに成長しました。
■売上高の推移
■環境貢献商品グレード構成比の推移(ドライブシャフトおよびハブベアリングなど)
■CO2削減貢献量*