カーボンニュートラルの実現
気候変動への対応
当社グループは、気候変動への対応として、2050年度までに全サプライチェーンでカーボンニュートラルを達成することを目指しています。2030年度および2035年度を目標年として、自社内で排出されるCO2(スコープ1、2)の削減目標を設定し、省エネの推進や再生可能エネルギーの導入など、さまざまな施策に積極的に取り組んでいます。また、サプライチェーンで排出されるCO2(スコープ3)の削減を進めるため、2024年度には、まず国内での削減施策を立案・推進するためのワーキンググループを新たに設置しました。サプライヤーとの連携を密にし、「2050年度までにカーボンニュートラル達成」に向けた活動を推進します。
※当社では、GHG排出量のうち、エネルギー起源の二酸化炭素(CO2)排出量のみを対象に算定および報告しています。
■当社グループのカーボンニュートラル目標

カーボンニュートラル活動の推進体制
当社グループのカーボンニュートラル活動を推進するため、2023年4月にカーボンニュートラル戦略推進部を、同年7月にはカーボンニュートラル推進委員会および地区部会を設置し、グローバル推進体制を整備しました。カーボンニュートラル推進委員会は、執行役社長を委員長として、半年に1回、本社と世界各地をオンラインで繋いで開催し、グローバルでの情報共有、相互啓発、好事例の横展開を図っています。また、地区部会は、各地区の担当執行役を部会長として年4回開催し、各地区の実情に応じた施策検討および実績フォローを行い、その結果をカーボンニュートラル推進委員会で報告しています。
■カーボンニュートラル推進体制図


カーボンニュートラルロードマップによる進捗管理
当社グループは、カーボンニュートラル活動を効果的に進めるための指標として、カーボンニュートラルロードマップを作成しており、このロードマップにもとづいて、各段階での活動状況を綿密にフォローし、目標に向けた進捗を管理しています。ロードマップは各地区、各事業所で作成され、具体的な施策やタイムラインを詳細に示しており、全社一丸となってカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを推進しています。
■カーボンニュートラルロードマップ

各スコープでの削減施策
各スコープにおける取り組みの全体像を示します。社内で電化や省エネ、自然エネルギー発電の導入など、CO2排出削減の改善活動を推進するとともに、外部機関とも協業して活動を加速します。
■各スコープにおける取り組み

CO2排出量削減の実績と取り組み
自社の排出量(スコープ1(直接排出)、スコープ2(間接排出))
2024年度の実績は、スコープ1:82,669トン(国内:45,596トン 海外:37,073トン)、スコープ2:384,158トン(国内:180,974トン 海外:203,184トン)です。
なお、スコープ2については、国内事業所はマーケット基準手法の排出係数、海外事業所はロケーション基準手法の排出係数にて算出しています。
■スコープ1、2の実績・目標グラフ

取り組み事例
CO2削減への取り組み事例を紹介します。
熱処理設備の省エネ施策
熱処理設備のCO2排出削減に向け、燃料転換・電化、省エネ、雰囲気ガス対策の3つの施策を進めています。2017年以降、新たに導入した熱処理炉はすべて電気炉です。さらに、高効率断熱材を導入して熱処理炉の外壁からの熱損失を最小化し、燃料使用量を削減しています。また、普通焼入れ専用炉では、雰囲気ガス対策により、CO2排出量の削減を進めています。2024年度は熱処理設備の省エネ施策により676トンのCO2を削減しました。これは、国内スコープ1の2024年度削減量の約14%に相当します。
■熱処理設備における取り組み全体像(国内)

事業活動で使用するエネルギーの削減
自社でのCO2排出量削減のため、ムダの見える化とエネルギー使用量の削減を進めています。国内各事業所での省エネ施策の成果はデータベース化し、好事例は海外事業所にも展開・共有しています。今後は海外事業所からもデータベースに登録できるようにし、双方向での情報共有を進めてまいります。また、2023年度から、新規設備投資の判断指標としてインターナルカーボンプライシングを導入し、低炭素経営を推進しています。
■エネルギー削減施策例
自然エネ発電の導入と再エネ電力購入の推進
導入実績
当社グループは、事業所内に各種スキーム(PPA、リース、自己投資)による自家消費型の自然エネルギー発電設備を導入し、CO2排出量(スコープ2)の低減に取り組んでいます。また、再生可能エネルギーやクレジットを活用し、カーボンオフセットされた電力の調達を積極的に推進しています。2024年度には、国内で46,576トン、海外で8,388トンのCO2を削減しました。
■自然エネ発電実績(2024年度)
| 地域 | 発電量(kWh) | CO2削減量(トン-CO2) |
|---|---|---|
| 国内 | 2,017,849 | 853 |
| メキシコ | 1,027,937 | 378 |
| タイ | 2,547,296 | 1,226 |
| インド | 9,727 | 7 |
| 中国 | 11,512,059 | 6,777 |
| 合計 | 17,114,868 | 9,241 |
■再エネ電力購入実績(2024年度)
| 地域 | 調達量 (kWh) |
CO2削減量(トン-CO2) |
|---|---|---|
| 国内 | 108,858,865 | 45,723 |
| 合計 | 108,858,865 | 45,723 |
活動事例
カーボンニュートラルの一環として、国内外の事業所で再生可能エネルギーの導入を進めています。日本ではPPAを活用した太陽光発電の導入を拡大しており、2024年度には和歌山製作所で11月から発電を開始し、桑名製作所、磐田製作所、精密樹脂製作所にも太陽光発電設備を設置しました。また、タイでは税制優遇を活用し、自己投資によって太陽光発電設備を設置しました。
2025年5月7日には、風力発電事業者であるコスモエコパワー株式会社と、当社として初めて、バーチャルPPA(発電量に応じた環境価値のみを直接購入する契約)を締結しました。
本PPAの対象となる発電所は、コスモエコパワー株式会社が運営する中紀ウィンドファームで、2021年4月に商業運転を開始し、当社も事業を展開する関西エリアに電力を供給しています。稼働中の風力発電機には、当社製のベアリング(軸受)に加え、運転状況の監視や予防点検などへの活用を目的とした状態監視システム(CMS:Condition Monitoring System)「Wind Doctor」が採用されています。
本PPAにより、当社は中紀ウィンドファームで生み出される年間約1,000万kWh相当の環境価値(非化石証書)を、今後16年間にわたって受け取り、年間約4,200トン(約1,700世帯分)のCO2排出量を削減できる見込みです。
また、国内の全生産拠点で、電力会社のCO2フリーメニューの導入、または取引市場からの非化石証書の調達を行っています。
■自然エネ発電の導入とCO2フリー電力購入の推進
■本バーチャルPPAのイメージ
■中紀ウィンドファーム
サプライチェーンのCO2排出量(スコープ3)
当社グループは、2050年度にサプライチェーン排出量(スコープ3)を含むカーボンニュートラルを目標としています。国内の事業所では、産業連関表およびIDEA(Inventory Database for Environmental Analysis)の原単位を使用し、スコープ3算定を行っています。サプライチェーンでのCO2削減を進めるため、削減施策の立案・推進を行うワーキンググループを新たに設置し、活動を推進しています。全カテゴリーの中で最大の排出量となっているカテゴリー1「購入した製品・サービス」は、その大半が原材料の鉄鋼材料や半製品である鍛造品、旋削品などの仕掛品の調達によるものです。そのため、まずは鉄鋼メーカーに対して製造方法の違いも考慮した排出量調査を行いました。今後は、サプライヤーへのヒアリング調査を進めるとともに、使用する原単位の見直し、スコープ3算定方法の改善を図り、実態に即した排出量の把握と削減に向けた活動をグローバルで推進してまいります。
■サプライチェーン排出量(スコープ3)[国内]
(単位: トン)
| カテゴリー | 2023年度*1 | 2024年度*1 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 構成比 | 前年度比 | 第三者 検証 |
||||
| 1 | 購入した製品・サービス | 2,189,792 | 1,988,472 | 93.17% | 90.81% | ○ |
| 2 | 資本財 | 46,432 | 51,942 | 2.43% | 111.87% | ○ |
| 3 | スコープ1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 | 54,783 | 51,901 | 2.43% | 94.74% | ○ |
| 4 | 輸送、配送(上流) | - | 255 | 0.01% | - | |
| 5 | 事業から出る廃棄物 | 16,905 | 15,919 | 0.75% | 94.17% | |
| 6 | 出張 | 1,285 | 1,278 | 0.06% | 99.46% | |
| 7 | 雇用者の通勤 | 4,667 | 4,643 | 0.22% | 99.49% | |
| 8 | リース資産(上流) <対象外> | - | - | - | - | |
| 9 | 輸送、配送(下流)*2 | 17,582 | 15,938 | 0.75% | 90.65% | ○ |
| 10 | 販売した製品の加工 <対象外> | - | - | - | - | |
| 11 | 販売した製品の使用 <対象外> | - | - | - | - | |
| 12 | 販売した製品の廃棄 | 5,233 | 3,995 | 0.19% | 76.34% | |
| 13 | リース資産(下流) <対象外> | - | - | - | - | |
| 14 | フランチャイズ <対象外> | - | - | - | - | |
| 15 | 投資 <対象外> | - | - | - | - | |
| カテゴリー1~15の合計 | 2,336,679 | 2,134,343 | 100.00% | 91.34% | ||
*1「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver3.4)」(環境省)に記載の排出係数を使用して算出
*2 カテゴリー9の検証範囲は、「単体及び国内グループ会社が荷主の国内物流」に限定
サプライヤーとの協業および物流の効率化
サプライヤーに対して、当社の事業方針を説明するESG説明会などの場で、当社のカーボンニュートラルに取り組む背景や目標を共有するとともに、省エネ事例を紹介するなど協業に向けた活動を展開しています。また、将来的に、CO2フリー電力を使用して生産された鋼材を調達するための情報収集や検討を進めるとともに、物流ルートの最適化による輸送距離の短縮など、物流の効率化を図ることで商品輸送時のCO2排出量の削減に取り組んでいます。
■サプライヤーとの協業および物流の効率化
GXリーグへの参画
当社は、経済産業省が主導する「GXリーグ」に設立当初から参画しています。「GXリーグ」は、2050年カーボンニュートラルの実現と社会変革を見据えてGX(グリーントランスフォーメーション)への挑戦を行い、持続的な成長実現を目指す企業が産官学で連携し、経済社会システム全体の変革と新たな市場の創造のための議論や実践を行う場として2023年に発足し、2024年から本格的に活動が始まっています。当社のカーボンニュートラル活動の方向性と合致することから、2022年4月に「GXリーグ基本構想」に賛同したことに引き続き、「GXリーグ」に参画しました。カーボンニュートラル実現に向けた当社活動を今後より一層加速させるとともに、「GXリーグ」を通じて他の参画企業や団体と連携することにより、社会全体の脱炭素化と新たな経済成長の機会創出に貢献してまいります。
また、GXリーグは、2024年度「市場ルール形成の場」において、3つのWGを組成しており、その一つである「GX人材市場創造WG」にメンバーとして参画しました。このWGでは、2023年度に策定されたGXスキル標準Ver.1の拡充に向けた検討、スキル標準の活用による、GXを推進していく上での課題解決に向けた議論を行いました。得られた知見を自社内に展開し、GX人材の育成を中心としたカーボンニュートラル活動に有効活用してまいります。
サステナビリティ・リンク・ローン
サステナビリティ活動と連動した資金調達によって、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速するため、2023年10月に農林中央金庫とサステナビリティ・リンク・ローン契約を締結しました。農林中央金庫のご支援のもと、融資条件に連動する達成目標(SPTs)や適用金利、レポーティングなどの要件を定めたサステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワークを策定しました。本フレームワークでは、当社グループが掲げる脱炭素化に向けた目標「2035年度カーボンニュートラル達成(サプライチェーンを含めて2050年度)」の実現に向けた中間目標の達成状況をSPTsとして設定しており、今後はSPTsの達成を目指し、CO2排出量削減の取り組みを加速させてまいります。なお、他にも明治安田生命保険相互会社、株式会社中国銀行など、2024年12月までに計12社と契約を締結しています。
社内教育
カーボンニュートラル活動を推進するにあたり、従業員全員の参加が不可欠です。そのため、従業員のさらなる理解と活性化を目的として、カーボンニュートラルに関する社内教育を実施しています。まずは、役員をはじめ、幅広い職種を対象にスキルアップNeXt社の「GXアセスメント」を受験し、自社の現在のGXに対する理解度を確認しました。この結果をもとに、社内教育プログラムの確立を進めています。また、身近にあるカーボンニュートラルに関する話題を、カーボンニュートラルニュースとして定期的に配信し、理解や関心を深める活動をしています。ニュースの配信は日本語版と英語版で作成し、海外の事業所にも発信しています。海外事業所では、現地の言語に翻訳して現地従業員に展開するなど、有効に活用されています。
第三者による検証意見書
2024年度のCO2排出量に対する第三者検証(SGSジャパン株式会社)を受審し、スコープ1、2およびスコープ3カテゴリー1、2、3、9において、その算出方法に問題がないことを確認しました。
■第三者による検証意見書
| 検証意見書 | (PDF: 794KB) |
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