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社外取締役×執行役によるクロストーク

社外取締役×執行役によるクロストーク

執行役
柳田 圭治

社外取締役
村越 晃

社外取締役
和田 浩美

執行役
楯岡 生也

中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalの進展と構造改革の手応え

柳田:

軸受事業は、OEMが市況の影響もあり想定よりも回復が遅れました。中国メーカーの価格攻勢など厳しさを増す事業環境ですが、徹底的に無駄を排除し、今後の成長戦略でしっかりと利益を創出する構造改革に取り組んでいます。まず、現在の中期経営計画期間で筋肉質な体制を再構築し、その後も市場環境変化に応じて柔軟に生産体制をアジャストできるよう、継続的に取り組んでおり、一部成果が出てきました。一方で、成長のためにアフターマーケット・ビジネスの拡大に取り組んでいます。長年OEMで培ってきた技術ノウハウを活用してお客さまの問題を解決するサービスで差別化による拡販を進めています。また、今後の成長で重要になるのは、より付加価値の高い商品を継続的に生み出すことです。専門チームを立ち上げ、これまで解決できなかった課題解決や新商品開発についても、短期間で成果につなげる取り組みを始動しました。技術開発力をさらに強化してまいります。

楯岡:

CVJアクスル事業でも構造改革に取り組み、特に「事業の再編」「設計改革」「調達・物流改革」「生産改革」「棚卸資産の削減」を総合的に進めることをテーマとして掲げています。なかでも、グローバルレベルの見える化を徹底してきました。拠点単位でヒト・モノ・カネをしっかり把握することで、取り組むべき課題と具体的施策との関係性が明確になってきました。事業の再編では、欧州・中国・米州などで具体的な進展があり、一定の固定費の最適化につながりました。今後も、各施策をさらに精緻化しながら構造改革を進めてまいります。一方で、次の成長に向けて、北米、インド、日本などを重点地域と位置づけ、地域特性を踏まえて利益を確保しながら販売を拡大していく成長戦略を展開します。その実現に向けて、生産と販売(自動車メーカーとのパートナーシップの深耕)の両面からアプローチする戦略を採り、必要な投資も行います。

写真:楯岡 生也

村越:

構造改革を進める背景要因は「グローバルレベルの競争環境変化」「固定費の高止まり」「在庫関連資産の高止まり」の3つがあると評価しています。競争環境変化は、ベアリングは多様な商品の重要部品ではありますが、技術革新の起きにくい商品です。差別化の難しさに対して、中国メーカーが価格攻勢を仕掛けたことが厳しかったです。固定費は、その環境変化に対して結果的に生産、販売体制が過大になり、財務的負担として現れるようになりました。在庫関連資産は、環境変化に対して最適化を図る中で、本来変動費として捉える在庫が固定費化していることが課題でした。連結売上高8,200億円レベルに対して、約2,200億円の在庫関連資産を抱えることは財務面では大きな負担です。執行役のお二人が指摘したように、生産拠点再編などによって固定費削減を進め、欧州や北米、日本でも手応えが出始めていると評価しています。他方で、在庫の削減については進展が遅いと見ています。伝統ある企業であるがゆえに、事業や商品によって工場が細分化されてきた経緯があるため、もう一歩踏み込んだ改革が求められると考えます。今後の成長は、アフターマーケットに軸足を移すのであれば、OEMを中心で、主として国内メーカー目線だった状況を転換していく必要があります。海外競合も含めて、どのような形で市場を開拓していくことが求められ、代理店戦略を含め、マーケティングをどこまで具体的に構築できているのか。今後の展開における具体性を、より明確に示す必要があります。

柳田:

アフターマーケットは市場そのものが、非常に多様で、まずは「どこまでを当社が狙う市場として定義するのか」を見極める必要があります(セグメンテーションとターゲティング)。例えば、代理店によっては、その先に1箱単位で注文するエンドユーザーが存在するケースもある一方で、別の販路では、鉱山などの大型専門設備用補修軸受、高額な工作機械や特殊設計の建機向けなどの補修軸受を求めるユーザーもいます。それぞれ求められる品質や数量が異なるため、マーケット志向で市場ニーズを細かく理解し適切に対応する必要があります。軸受は機械や設備の安定稼働に大きく影響する重要部品ですから、軸受技術や使用される機械に関するノウハウで、お客さまの問題を解決し差別化につなげる活動を進めています。技術サービスと同様に重要なことは、市場の隅々に素早く商品を供給できることです。グローバルで新規代理店の拡充と、共通在庫戦略で即納体制を強化しています。

楯岡:

CVJアクスル事業としても、自動車向けアフターマーケットへの対応は十分ではなかったと認識しています。そこで現在は、国別・地域のビジネス特性を踏まえながらNTNのブランドを重視し、グローバルで見ると商品ラインアップが十分でない地域もあるため、製造委託先の拡充を図りつつ、商品ラインアップや新分野への展開など具体的施策を進めている段階です。特に、日本の自動車メーカー向けOEMを中心に展開してきた経緯が強いため、グローバル視点への転換が重要です。その一環として、大手Buying-Groupとの契約を拡大することにより、欧米の市場に加えて、南米やアジアにも販路を拡大します。

和田:

外部視点で見ると非常に「もったいない」という感覚です。当社には、厳しい品質基準を求める日本企業向けOEMを通じて、長年培ってきた技術力があります。これをアフターマーケットも含めた、今後注力すべき領域に対して積極的に訴求していく必要があるものの、まだ十分ではないと感じています。痛みを伴う改革を進めると、財務面で強固になるものの、ある一面ではマイナスの印象を持たれかねません。だからこそ、元来有する技術力を示し、それを構造改革によってより研ぎ澄ませているのだということを発信し続けてほしいですね。

写真:和田 浩美 様

村越:

OEMのメンテナンスや交換需要に備えて一定の在庫を保有する必要があります。また、生産工程の途中で発生する仕掛品在庫もあり、さらに多数の生産・販売拠点が関係するため、在庫マネジメントは非常に難しい側面があることは理解しています。しかし、現在のような金利上昇局面では、在庫を多く抱えると資金が滞留し、金利負担の増加にもつながります。在庫の適正化は重要な経営課題になっていると考えています。

柳田:

ご指摘いただいた在庫削減は、事業部門として重大な課題だと認識しています。安全側に立って在庫数量を積み上げるのではなく、製販が連携しそれぞれの担当部門が需要予測精度を徹底的に高めた上で、「この在庫量は仕方ない」と安易に考えるのではなく、無駄な在庫の削減と拡販に必要な在庫はしっかりと確保して利益拡大につながる在庫戦略を強化しています。また、日本生産が多い軸受事業は、グローバル各地域の販売部門ときめ細かい製販の連携が難しい課題があります。各地域のトップマネジメントと協力して、需要変動に対応を強化する製販一体活動を始めています。

楯岡:

在庫圧縮については、現場の意識改革も含め、引き続き取り組むべき課題として捉えています。そこで現在は、「生産改革」と位置づけ、単なる設備更新にとどまらず、物流改革や棚卸資産の適正化まで含めた一体的な改革を進めています。こうした取り組みについては、徐々に効果も出始めています。まずは日本で標準化した仕組みを構築し、その上でグローバルへ展開していく考えです。和田さんからご指摘いただいた技術力についても、この「生産改革」を通じて、構造改革の推進力へとつなげていきたいと考えています。

執行と監督の明確な分離によるガバナンスの深化

村越:

当社は指名委員会等設置会社で、執行サイドに大きな権限委譲がなされ、監督と執行が明確に区分されています。業務執行の多くは報告事項にとどまりますが、社外取締役として、報告内容について不足があると感じれば、質問を通じて踏み込んだ議論形成を心がけています。生産再編などの重要テーマも多く、徹底した深い質問を行うことで、結果として執行と監督が非常に緊張感を持って議論できていると評価しています。目下、中期経営計画の具体的な改革アクションが報告事項に上がることが多いタイミングです。背景やスピード感など、多方面からかなり厳しい質疑をしており、良い意味で議論の時間が長くなっています。ただ、執行サイドの報告における具体性はケースによって物足りなさを感じます。現在、重要な決議事項については事前ブリーフィングを実施していますが、その場を活用して報告内容や議論のポイントを一層精緻に整理するなど、深化させていく必要があると考えています。

写真:村越 晃 様

和田:

取締役会での議論をさらに深め、充実したレビューの場としていくためには、執行サイドからの報告の精度をより高めていくことが重要だと考えています。単なる結果や進捗の説明にとどまらず、「当初のねらいは何で、それに対する進捗はどうなっているか。遅れが生じている場合はどのような対策を講じるか」といった戦略シナリオの筋道を立てて共有することが求められます。戦略の根本部分や背景を前提としてしっかり共有することで、問題点がより明確化され、監督側としても的確な議論ができると考えています。

楯岡:

ご指摘の通り、これまでは結果報告に重きが置かれがちであったことは真摯に受け止めています。計画に即した進捗状況の報告は重要ですが、構造改革を説明するのであれば、外部環境の変化を踏まえて、どのような事業構造へ転換することで、どのような改善が見込まれるかを示すことこそが構造改革の本質です。これまで以上に具体的に背景を示し、施策に対してその進捗と未達成の課題について、より精度高く説明できるよう努めます。

柳田:

私自身、取締役会での厳しい指摘や意見を通じて、社内の視点だけでは気づけなかった課題に気づくことができ、執行側としての計画策定にも大きな示唆を得ています。例えば、軸受事業は対象の市場そのものが非常に多様であるがゆえに、執行側からの説明が総花的になっていたのではないかと気づかされる場面がありました。より整理した形で全体像、本質課題と対策を理解していただける報告を準備する必要があると考えています。この結果、我々の検討がより洗練され本質に切り込めると感じています。今後も、報告の精度向上に取り組んでまいります。

写真:柳田 圭治

今後の成長に向けての期待と展開

和田:

中国メーカーの追い上げに対して、技術を武器にものづくりを極める方向で進むのか、より広い市場を狙える領域へ踏み出していくのかという視点は重要です。ベアリングであれば、基本性能の向上だけではなく、動かし方の評価など新しい方向も含めた検討ができるのではと考えます。だからこそ、成長の方向性の描き方が重要です。執行サイドには、構造改革に終始するのではなく、そうした未来を見据えた展開を期待しています。

村越:

和田さんが指摘された視点は重要だと考えています。例えば、ロボティクスが進展していけば、多様な動きをなめらかに制御する上で、ベアリングが必要とされる場面は確実に広がっていくはずです。そうした将来において、当社が競争のリングに立てる状態を整えておく必要があります。その前提として重要なのが、中期経営計画の残り1年で構造改革をしっかりやり切り、次の成長につながる体制を構築することです。取締役会としても、その実現に向けた監督機能を果たしてまいります。

柳田:

村越さんが指摘されたように、この1年間で構造改革をやり切ること、さらにその後も事業環境の変化に応じて適切な体制を維持することが重要だと考えています。まずは、将来の成長戦略に向けたベースをしっかり築くことが前提です。これまでに需要に対応する最適な生産体制の検討が完了しました。引き続き徹底的なコストダウンで利益を最大化します。市場ニーズに適応したスピーディーな技術開発、技術ノウハウを活用したサービスで差別化、グローバル製販連携強化で効率的な供給と在庫削減などといった取り組みを開始しましたので、確実に成果につなげます。中期経営計画の仕上げとなる1年で、次の成長に向けた方向性をしっかり確認したいと考えています。

楯岡:

事業部のメンバーに訴えたいのは、構造改革も一定の基盤整備ができてきたという点です。今後は市場の開拓と商品開発の両面でスピードアップが求められます。和田さんのご指摘のように、構造改革の先にある成長戦略につなげていくことが重要です。グローバルで方向性を共有して具体的な施策をさらに打ち出してまいります。