2023年度のCSR活動をご紹介します。
ステークホルダー・ダイアログ
NTNは、ステークホルダーのご意見を企業活動に反映するため、2015年から、サステナビリティの各分野における学識経験者・有識者の方々とのダイアログを実施しています。今年度は6月に第10回ダイアログを開催しました。
今回は、「サステナビリティ情報の発信」および「人的資本経営」を、ダイアログのテーマとして設定しました。有識者としてご参加いただいたシスメックス様は、「安心をステークホルダーに届ける」ことを企業理念の根幹に据えて、2023年度から始まった長期戦略において、企業価値創造の源泉として人的資本を位置づけておられます。社会的価値と経済的価値を創出するサステナブルな企業となるべく、事業を運営しておられることから、当社が学ばせていただく点が多いと考え、お招きしました。
*出席者の所属および役職は開催当時のものです。
第10回
開催日
2024年6月
出席者
有識者
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國部 克彦様
神戸大学大学院
経営学研究科教授
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上妻 京子様
関西大学
商学部教授
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松井 有沙様
シスメックス株式会社
人事本部
人材開発部課長
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梨岡 英理子様(司会)
株式会社環境管理会計研究所
代表取締役
NTN出席者
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木下 俊平
執行役
グループ経営本部 副本部長/
経営戦略部/ESG推進部/
カーボンニュートラル戦略推進部/
内部統制推進部担当
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孝橋 宏二
執行役
グループ経営本部 副本部長/
コーポレート・コミュニケーション部/
ICT戦略部担当
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⻄垣⼾ 敬
グループ経営本部
経営戦略部長
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長尾 立雄
グループ経営本部
コーポレート・コミュニケーション部長
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林 友人
グループ経営本部
人材戦略部長
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田中 友子
内部統制推進部長
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石本 哲哉
グループ経営本部
ESG推進部長
テーマ1 サステナビリティ情報の発信
- 梨岡様
- 「サステナビリティ情報の開示とそれらに関わる保証の問題」について、ご意見をいただきたいと思います。まず、國部様に全体的なお話をいただき、上妻様には欧州対応の開示と保証についてコメントをいただけますでしょうか。
- 國部様
-
ESG関連の情報開示において、日本企業がどのように対応すべきかを中心にお話ししたいと思います。現在、最も大きな問題となっているのは、「活動の実践がないにもかかわらず、報告の基準ができていること」と考えています。
マテリアリティに関しても同じ問題があります。もともとマテリアリティの分析は、CSRや環境の情報開示におけるテーマの選別の基準で導入すべきものでした。しかし、現状は「大事なものが抜け落ちていないか」ということで、なるべく多くの項目をマテリアリティに含めなければならないと誤解されています。
その典型例は、「財務への影響」です。元来、化石燃料の資産を多く所有する企業がそれを使えなくなった時、資産の減損の可能性を考えることなどが議論の中心でした。しかし、CO2排出量の問題において、ほとんどの企業は若干の影響はあるにしても、その企業にとって財務的な重要性が低ければ開示しなくても良いはずで、ほとんどの企業がそうだと思います。しかし、規制強化に伴って、現実に起こっていない状況まで想定で考えて財務的影響を開示するとなると、意思決定者に有用どころか、ミスリードしかねません。
スコープ3は、非常に問題が多い情報開示の要求です。多くはカテゴリー1と11の比率が高いのですが、NTNの場合、部品の調達(カテゴリー1)が最多になります。しかし、調達先のCO2排出量については、調達量×排出係数で推定するしかありません。そうなると、排出量を下げるためには調達量を減らす方法しかなくなってしまいます。一方、自動車メーカーの一部は、子会社のCO2排出量を積み上げる方法を採用していますが、きちんと計算ができるのかという問題があるだけでなく、計算できたとしてもその情報をどう活用すべきかは誰もよく分かっていません。
このような問題がある中、ISSB(International Sustainability Standards Board)、SSBJ(Sustainability Standards Board of Japan)はともに、スコープ3の情報開示を要求しています。サプライチェーン全体の概要として企業内部で算定する意味はある程度あるでしょうが、それを財務報告書で毎年報告する意味があるとはとても思えません。ただし、経団連などが提唱している「削減貢献量」であれば、実際の企業の貢献が把握できるので、意味があると思います。
なお、マテリアリティ分析の第三者保証は本来的には不可能だと考えています。財務的なマテリアリティなら保証できますが、環境・社会については「CO2排出量が何トンなら良い」といった、根本となるインパクトの程度を評価する基準がありません。CO2排出量のみに取り組んだ結果、違う環境が悪化するといった弊害もあります。理論的には、サステナビリティに対するマテリアリティの保証は、プロセスの保証でしかありません。それを会計の保証と同じように考えるのは誤りです。このあたり、注意して対応する必要があります。 - 上妻様
-
EUのCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)への対応の前提として、すべてのサステナビリティ情報が連結で作成される必要があります。その上で、報告範囲はバリューチェーンが基本です。スコープ3についても同様であり、バリューチェーンの実績を収集するのが難しいのであれば、間接データを利用して開示を進めねばなりません。
また、NTNのマテリアリティ評価は、GRI(Global Reporting Initiative)スタンダードを参考にされているとのことですが、評価軸が「社会からの期待」「当社事業との関連性」になっています。GRIスタンダードでは、「自社が環境や社会に与える影響」から始まって、発生可能性、重大性(=深刻度)に基づき、実際にあるリスクと、潜在的リスクを評価していきます。「重大性」は、規模、範囲、修復不可能な特性の3つが評価軸になります。
マテリアリティ評価においては、バリューチェーンをベースにリスクマップを作ると良いでしょう。ただし、サステナビリティ報告のバリューチェーンはNTNの統合報告書にある企業戦略上の自社バリューチェーンとは異なり、直接・間接の取引先を含めたリスク評価や優先順位づけが必要になります。また、マテリアリティ評価は、DD(Due Diligence)プロセスを用いて実施します。CSRDでは、実施したDDプロセスを開示する必要もあります。
このように、マテリアリティ評価のマップを作り、バリューチェーンのどこで悪影響が発生するかを特定し、優先度が高い項目から経営課題として対応し、開示すると良いのではないでしょうか。また、将来的には、ISSA5000を適用した保証を受けることになると、基準を参照した開示ではなく、基準に準拠した開示が必要になります。
情報開示の媒体については、現在、有価証券報告書のサステナビリティ情報開示について、ISSBのIFRS S1,S2の日本版を、プライム上場企業に時価総額基準で段階的に義務づける検討がなされています。まずは、有価証券報告書上での開示から検討を始めてはいかがでしょうか。 - 國部様
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DDプロセスの開示が必要な場合はあるかもしれませんが、おそらく、NTNの場合はほとんどのケースでマテリアリティがあるとは言えないと思います。個別の課題として「これは環境に影響を与えている」という部分はあるでしょうが、全体に対する影響度が低い場合は重要であるとは言えないと思います。
冒頭に申し上げたように、ほとんどの会社が情報開示について誤解している状況で、どうすれば良いのかは難しい問題ですが、情報開示が形骸化しないように考えるべきだと考えます。 - NTN
- 國部様、上妻様のお話を伺い、開示の必要性やその範囲について見極めることの重要性、開示のゴールを見据えて仕組みづくりを優先すべきことがよく分かりました。
テーマ2 人的資本経営
- 上妻様
- 議論に入る前に質問させてください。ガバナンスについて、例えば人的資本課題と役員報酬を関連づけた取り組みを展開されていますか。
- NTN
- 役員を対象に2022年度から統一様式で導入した目標管理シートには、ESGに関する目標も含まれています。2024年度のシートには、社長の指示のもと、ダイバーシティを担当の垣根を超えて全執行役が取り組むことも盛り込みました。年度末の報酬委員会で、目標に対する達成度が評価され、役員報酬へと反映されます。
- 梨岡様
- シスメックス様は、ESG目標の役員報酬への連動に関して取り組んでおられますか。
- 松井様
- ESGの目標値は、まだ役員報酬に連動していません。現在、役員報酬体系の変更を計画中でして、その中でいかにESG項目の評価を報酬に連動させるかを検討しています。
- NTN
- 御社は、付加価値生産性をKPIとされていると伺いました。付加価値生産性の算出方法を決定する際、議論はありましたか。
- 松井様
- 人に対する投資のリターンをどのように測るかについて大きな議論がありました。エンゲージメントなど定性的な指標も選択肢にはありましたが、最終的には経営へのインパクトをより可視化するために、付加価値生産性という独自指標を用いることで合意しました。
- NTN
- 組織を定量的にモニタリングして、問題があれば、すぐに人事が介入する仕組みを整備されている点も素晴らしいですね。人材データベースはグローバルに構築されているのでしょうか。
- 松井様
- プラットフォームの構築はほぼ完了しています。個人情報の取り扱いには注意が必要ですので、グループ横断でのデータ・ガバナンス委員会を立ち上げ、ルールに基づいた運営についてモニタリングする体制を始めようとしています。組織のモニタリングにはガバナンスの要素が付随し、コストもかかります。
- NTN
- 個人情報の保護を目的として、EUでは、一般データ保護規則(GDPR;General Data Protection Regulation)も適用されています。慎重な対応が必要ですね。
- 國部様
-
付加価値生産性を使う際、労働から生み出される付加価値、資本から生み出される付加価値の2つを見ることになります。シスメックス様の場合は営業利益率が高く、分配をどうするかが重要な問題になると思います。付加価値の向上に伴って人件費の比率が上がれば、インセンティブが働きます。利益を生み出している源泉は人的資本であり、人的資本が利益を生むほど分配率も上昇するという関係が明確になっていると良いでしょう。最近、多くの企業で営業利益率の上昇に比例して、労働分配率は上昇せず、経済格差の問題が生じています。このような問題を改善することが、人的資本における社会的責任ではないでしょうか。
また、本来の人的資本経営の目的は、人件費の上昇が株主に対するネガティブ情報になってしまうことに対して、それを克服しようとするものです。一方、日本企業が言う人的資本経営は、女性の登用に偏る傾向にあります。もちろん、女性の雇用も非常に大きな問題です。しかし、日本企業における女性雇用の一番の課題は、日本的企業を前提とした雇用である点です。ひとつの会社に女性がずっといるのであれば、どんどん管理職にしていかねばなりませんが、個々の女性従業員が本当にそれを望んでいるかどうかは別の問題です。
ところで、男女を問わず、NTNが社会的に優秀な人材を育成するという人材戦略を打ち立て、それを外部に開示していくならば、人事が抱える離職の問題をどう考えるかが重要です。例えば、離職を減らそうとだけ努力するのではなく、ある程度の離職を許容することで、従業員が「ずっと同じ会社で働かねばならない」というプレッシャーから解放され、自由に社外へ移動できることは、社会全体にとってはプラスです。そういった施策を打つことで、結果的に優秀な人材が集まり、先進的な企業になっていくのではないでしょうか。人間の多様性だけでなく、働き方を多様にしていくことが、人間の幸せにつながると考えます。 - NTN
- 人的資本への投資において、教育した人材が辞めてしまう場合のリターンを、どのようにとらえたら良いのでしょうか。人材への投資は個人への投資・リターンという側面もあれば、企業風土への投資・リターンという側面もあるととらえられないでしょうか。
- 國部様
- 企業風土へのリターンは、人材を育て上げる力がつき、辞めた人材と同格レベル以上の人材が入社してくれるようになるということです。投資した人材が辞めたとしても、その他の従業員は「これだけ教育してくれる会社なんだ」と認識して、やる気が出る効果もあります。企業風土については長期的な視点で見るのがいいでしょう。
- 松井様
- 当社でも、人材育成の投資効果の測定について模索しています。アプローチの案としては、育成の種類を、広く学びの機会提供としてのゼネラルな育成と、事業にインパクトする育成に分け、後者を対象とした測定により注力すべきではと考えています。リーダー層における平均年齢の低下や退職率、特定ポジションに対する後継者候補の準備率などで、測定できる可能性があります。
- NTN
- 個人が得る給与以外にも、教育による見えない報酬があります。例えば、周りから支えられ続けることも個人への報酬です。それらもうまく測定できると良いですね。
- 國部様
- 人的資本経営においては、労働時間も重要な要素です。「もっと働きたいのに(時間の制約で)働けない」という声も耳にします。工場労働など職種によっては難しいでしょうが、今後、ITが発展していく中で、労働時間を労働者に任せることも大事になってくるのではないでしょうか。
- 松井様
- 人的資本には数多くのテーマがありますね。先ほどお話しした「投資効果の測定」のほか、「グローバル企業としての組織風土のアップデート」「次世代のリーダーの確保・育成」など課題は山積みです。引き続き、皆さんと議論していきたいです。
- NTN
-
株主、お客さまといったステークホルダーとのコミュニケ―ションはもちろん大切ですが、経営層と従業員との双方向のコミュニケ―ションも大切です。例えば「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」といった、従業員には分かりにくい用語については、もっとかみ砕いて説明することで、一人ひとりが自分事として理解する必要があります。当社はタウンホールミーティングや1 on 1ミーティングを始めており、これからも取り組みをブラッシュアップしていきます。
本日は、大変有益なコメントや議論をいただき、ありがとうございました。
- 第9回
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開催日
2023年5月
出席者
有識者
-
-
國部 克彦様
神戸大学大学院
経営学研究科教授
-
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山田 朗様
JMAC日本能率協会
コンサルティング
シニア・コンサルタント
-
-
近田 智也様
積水ハウス株式会社
執行役員
環境推進部長
(兼)温暖化防止推進室長
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清水 倫孝様
積水ハウス株式会社
ESG経営推進本部
エグゼクティブ・スペシャリスト
-
-
梨岡 英理子様(司会)
株式会社環境管理会計研究所
代表取締役
NTN出席者
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木下 俊平
執行役
グループ経営本部 副本部⻑/
経営戦略部/ESG推進部/
カーボンニュートラル戦略推進部担当
-
川端 恭弘
執行役
グループ経営本部 副本部⻑/
⼈材戦略部/⼈事部/
総務部担当
-
高橋 靖明
SCM戦略本部
副本部⻑
-
⻄垣⼾ 敬
グループ経営本部
経営戦略部⻑
-
山﨑 雅之
グループ経営本
カーボンニュートラル戦略推進部⻑
-
石本 哲哉
グループ経営本部
ESG推進部⻑
テーマ1 ESG経営の進め方
- NTN
-
昨年のダイアログで数々のご提言を受けて、当社では現在、中長期で時間軸を定めた経営戦略と具体的につなげたリスク・機会について、分かりやすい形でメッセージを発信できるよう、ボトムアップだけでなく、トップダウンでのESG経営に向けた活動を進めています。「カーボンニュートラル戦略推進部」の発足もその一環です。また、「NTN PROUD AWARD」は、グローバルに69のチームの参加があり、制度を見直してから初めての大会として、良い取り組みになったと思います。
マテリアリティについては、現在のSDGs達成のためのマテリアリティを、当社のパーパス実現のためのマテリアリティとして次期中期経営計画に盛り込めるよう検討を進めるとともに、一人ひとりがサステナビリティ活動を「自分事化」できる仕組みの構築を進めていきたいと考えています。
業界は違っても、先を進んでいる積水ハウス様の取り組みや、有識者の方々のご意見を参考にして、今後の当社のESG経営推進のヒントを得られたらと思います。 - 國部様
-
具体的な戦略を立て、それに沿って進んでいるのが分かります。業界的にサステナビリティに対する外部圧力が強くなっていますが、カーボンニュートラルの目標設定やマテリアリティの特定、それらの情報開示と、NTNの取り組みに不足している点や課題があるという状況ではないと感じています。つまり、「基盤」は問題ないと言えます。ただ、昨年も申し上げたように、基盤は「形式」だから作りやすいです。それを実際の企業の価値創造に結びつけることが重要です。ESG活動はすでに評価の仕組みができていて、評価が低ければ投資に影響する可能性もあるため、注力しないといけませんが、評価にあわせようとしすぎると形骸化してしまいます。だから、形骸化しない仕組みを考える必要があります。その点、「NTN PROUD AWARD」が価値創造のためのひとつの仕組みとして功を奏してほしいと強く願います。そこから新しい事業を持ち出して展開するのもいいでしょう。ただ、すぐに収益につなげようとするとうまくいきません。多少時間やコストがかかっても将来への投資と考えて取り組むのです。ESG経営で価値を創造することの難しさは、何ができるか分からないからすぐに目標を立てられない点にあります。しかし、分からない中でも、ベアリングやその技術・ノウハウを活かして何ができるかを考え続けることが大切で、そのために今ある資源を投入できる仕組みを作ることです。そうでないと、ESG経営はすぐに形骸化してしまいます。その点で、今後の課題として挙げられている「役職者の自分事化」は大切な視点です。より具体的な目標をもってタスクとして取り組んでいかれるのがよいでしょう。
一方で、コストを誰が負担するかという点もまた、非常に重要な問題です。次のテーマのカーボンニュートラルにも関係しますが、このコストの考え方には2つのベクトルがあると考えます。ひとつは、高い技術力で強力にカーボンニュートラルを推し進め、そのコストを顧客に納得してもらって商品価格に転嫁するというもの、もうひとつは業界が考える必要十分なレベルでカーボンニュートラルを追求し、その範囲内にコストを収めるというものです。どちらの戦略が妥当かは企業の技術力にも依存しますが、検証しながら戦略を深化させることが必要になります。また、外部の圧力がどれくらいのスピードでどの方向に進むのかも予測がつきません。地域によってもプレッシャーは異なるため、カーボンニュートラルに向けた動きの中で自社がどこに位置するのか、先回りして考えて戦略を立てることが必要です。 - 梨岡様
- 戦略が重要というお話がありましたが、戦略にESGをどのように統合されたのか、積水ハウス様の事例をお聞かせください。
- 清水様
-
当社は今年3月に第6次中期経営計画を発表しましたが、この取り組みは昨年6月から開始し、事業部門とコーポレート部門がともに議論を重ねてきました。具体的には、“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビジョンについて、次の中計で何を達成するのかという重点施策の検討を行いました。
ESG経営については、第5次中期経営計画で基盤づくりを行ってきましたが、その中でキーになると考えたのが、先ほどもお話があった「自分事化する」ということです。第5次中計でも「全従業員参画」をESG経営の柱のひとつにしていましたが、その取り組みをより深化させ、積水ハウスグループらしい「全従業員参画型ESG経営」を推進することを、第6次中期経営計画におけるESG経営の戦略としました。他にも「創発型企業文化の醸成」ということで「SHIP(Sekisui House Innovation & Performance Awards)」と呼ぶ表彰制度を設けて、イノベーションを創出し続ける自律的な人や組織をつくる取り組みを実施しています。また、従業員に分かりやすいESG指標を設定することや、取締役の報酬に加えて、事業所の表彰にもESG指標を連動させる仕組みを構築するなど、透明性と実効性の担保にESG指標を活用する「ESG指標の設定・実践」にも取り組んでいます。さらにESG経営のさらなる推進によって資本コストの低減を図り、ROE向上とESG経営推進の相乗効果で企業価値を向上させるということも戦略として掲げました。 - NTN
- ありがとうございました。先ほどお話のあったコストについては、まさに当社も悩んでいるところです。当社の商品は、それ自体はエネルギー負荷を低減し、サステナビリティに貢献するものではありますが、製造工程では当然水や電力を消費しています。すべての商品の製造における環境負荷をゼロにするというのは難しいですが、例えば、風や太陽といった自然エネルギーだけで商品を作ってお客さまに価値を訴求するというように、商品別にセグメントを分けた方が、価格転嫁をしやすいのではないかと考えたりもします。積水ハウス様では、環境にかかるコストについてどのようにお考えでしょうか。
- 清水様
- 自社で吸収するところもありますが、基本的にはお客さまに付加価値を認めていただいて商品価格に反映するという考え方です。
テーマ2 カーボンニュートラル
- NTN
-
昨年7月に発足したカーボンニュートラル推進プロジェクトでは、「消費電力の見える化」「再生可能エネルギー電力の購入計画検討」「インターナルカーボンプライシング(ICP)の検討」の3つのチームを作り、各施策の具体化を検討してきました。今年3月31日で活動期間を終えて、その取り組みは4月に発足したカーボンニュートラル戦略推進部に引き継がれました。
各取り組みを通じて、国内ではラフなロードマップも作成しましたが、今後は、カーボンニュートラル推進委員会体制を確立し、グローバルに地区単位で取り組んでいくことを計画しています。中間年度目標の設定やグローバルでのCO2削減ロードマップ作成についての検証方法などの課題について、アドバイスをいただけますでしょうか。 - 山田様
- 高い目標に向けて体制が整ってきたと感じます。ロードマップ策定においては、まずどれくらいエネルギー使用量を削減できるかを想定したいですね。そのためには社内の省エネ専門家の技術を集大成し機器ごとの省エネ管理ポイントとやり切り度の評価基準を設定することです。これにより工場ごとのエネルギー削減余地を概略明確化できます。省エネ部分が分かると、残りの再エネでの削減必要量が明らかになり、それにかかるコストが見えてきます。省エネではカーボンニュートラル戦略推進部におかれた省エネ推進グループが担う役割は大きいと言えるでしょう。活動内容として「消費エネルギーの見える化」とありますが、何をどうやって「見える化」するかは明確でしょうか?まずは工程ごとに消費エネルギーがどの程度有効に活用されているのかを見える化することも一案です。これによりロスの総量が定量化され限界が見えてきます。すべてのロスを減らすことは不可能としても、限界が分からずやみくもに行う省エネ活動と、例えばこの工程は消費エネルギーの80%はロスであると分かった上で行う省エネ活動では取り組みの真剣度が違うと思います。また、固定化しているエネルギーについても考える必要があります。省エネは常に生産活動とリンクさせて議論すべきで、生産に寄与しないエネルギーはすべてロスと考えて、固定エネルギーを徹底的に減らす取り組みを進めていくとよいでしょう。QCD活動では製品ごと/工程ごとにリードタイム、作業工数、品質基準などが文書化され監視されています。エネルギー管理も同じレベルにすることで、目標達成に向けた道筋がより具体的なものになるのではないでしょうか。
- 國部様
- カーボンニュートラルの実現は避けては通れませんが、カーボンニュートラルがどういうことかというのを理解していないと、計画は立てられても計画の意味が理解できなくなると思います。例えば、再エネ活用で排出量の多くを削減する計画がありますが、NTNの現状ではCO2フリー電力の購入でまかなう比率が高いように思います。極言すると、買う電力がすべて再エネになればカーボンニュートラルは達成できてしまうわけです。しかしそれだと本当は何もすることがありません。むしろ、自社でどれくらいグリーンな電力の源を生み出すことができるのかという点が大事です。電力の自給自足を考えたとき、カーボンニュートラルも新たな意味をもつのではないでしょうか。
- 山田様
- 再エネの中で最も重要なのは「創エネ」です。省エネをやり切った後で最初に考えるべきは、どこで電力を作ることができるのかということです。まずはオンサイトでできるところがあるか、なければオフサイトでできないかを考えるなど、取り組みの優先度は高いと言えます。それで足りない部分は、CO2フリー電力を購入するという順番で取り組まれるのがよいと考えます。
- 梨岡様
- 今のお話をまとめると、各企業が自社のサイトで発電していくことが求められるのが本来のカーボンニュートラルということになると思います。このような取り組みについて、積水ハウス様の事例をご紹介いただきます。
- 近田様
-
当社ではこの1年間、賃貸住宅のZEH(net Zero Energy House)に力を入れてきました。戸建て住宅のZEHは普及段階に入ってきましたが、賃貸住宅ではまだまだ普及していないのが現状です。
賃貸住宅のZEHには、住棟ZEHと住戸ZEHの2種類あります。当社の賃貸住宅は後者の各住戸のエネルギー収支ゼロを目指す住戸ZEHを推進しています。前者は建物全体の省エネ性能は高いものの、住戸ごとにZEHかどうかが分からないため、入居者へ快適性や光熱費削減などのZEHメリットの訴求ができませんが、後者は訴求できるため、家賃を上げることもできます。今後エシカル消費者が増えるであろう何十年後かを見越して、初期コストはかかっても長期的に競争力のある住戸ZEHを建てようとオーナーに提案しているのが受け入れられている状況です。また、賃貸住宅ZEHに住んだ人にアンケートをしたところ、退去した後もZEHに住みたい人が8割という結果でした。つまりZEHファンを増やしているということになります。戸建て住宅も賃貸住宅もマンションもZEHに向かっていくという流れを、私たちは作ろうとしています。 - 梨岡様
- カーボンニュートラルを従業員が自分事化するきっかけがあったと伺いました。
- 近田様
- その通りです。当社は、2009年にZEHの前身となる当時としてはかなり省エネ性能の高い住宅を商品化し、同時に「価格営業」から「価値営業」に方針を変えました。高付加価値のものをお客さまに説明し、ご納得いただいた上で、それなりの価格で売るという方向に舵を切ったのです。営業担当者の中にも最初は戸惑いもありましたが、成功体験が出てくると、どんどん右に倣う人がでてきました。お客さまに納得いただくには商品価値を語れるようになる必要があり、皆でかなり勉強しました。これが今のカーボンニュートラルの自分事化につながっていると思います。
- NTN
- 衣食住の産業で付加価値がお客さまに認められ、それによって良い連鎖が生まれるのはいいビジネスモデルだと理解しました。一方で、当社のような衣食住から離れた産業ではどう取り組めばよいでしょうか。
- 近田様
- 我々にもサプライヤーはいます。サプライヤーには脱炭素建材を入れてほしいという話もしています。建設業界ではコストアップしてでも使いたいという流れも生まれています。同じように、ベアリングを使ういろいろな会社で脱炭素商品の要求が出てくるかもしれません。ただこれは一社だけの取り組みではなく、業界対業界で動く必要があるのではないかと感じます。
- 山田様
- 最近はサプライヤー側からの相談も多くなっています。例えば、納めている商材のLCA(Life Cycle Assessment)の結果を出してほしいとお客さまから言われている、というようなことです。完全に再生可能エネルギーで作った商品であれば、それは大きな差別化につながるでしょう。他社に先がけて取り組みができれば、これからの社会では強みになると考えます。
- 梨岡様
- 皆さま、本日のダイアログのまとめをお願いします。
- 近田様/清水様
- 3年間、ESG経営をやってきましたが、地道にコツコツやるしか成功例はないと実感しています。冒頭で「形を作ることはできる」というお話がありましたが、当社は形がなく、商品を売り出したあとでESGの波が押し寄せました。今は形を作る難しさを感じているところです。今後もお互いの情報を共有しあいながら取り組んでいきたいと思います。
- 山田様
- エネルギーロスの低減をうたわれています。ベアリングは回転物の摩擦などによるエネルギーロスを少なくする部品ですが、それでもロスは一定量あります。それが例えば世界中の自動車のハブベアリングでどれくらいのインパクトなのか、またそれを極限まで低減させる努力をしていることなどをきちんと説明していけば、ベアリングの重要性や関心がさらに高まるのではないでしょうか。あわせて、環境貢献商品の売り上げを伸ばしていくことも重要だと感じました。
- 國部様
- 今日のダイアログでは、経営につながるお話が多かった印象です。それだけ、環境への取り組みが経営につながっているものの、各企業がギャップに困っているということの表れでしょう。カーボンニュートラルは従来の生産や販売と同じやり方で対処できる問題ではありません。トップダウンで戦略的に取り組んでいくものだという視点をもつことが大切だと考えます。
- NTN
- 貴重な提言をいただき、ありがとうございました。この場は我々にとって気づきの場であり、本日いただいた提言をこれからの当社の取り組みにつなげていきたいと考えています。社内でも取り組みの意義を共有しながら一歩ずつ進めてまいります。引き続き助言をいただけると大変ありがたく思います。本日はありがとうございました。
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- 第8回
-
開催日
2022年6月
出席者
有識者
-
-
國部 克彦様
神戸大学大学院
経営学研究科教授
-
-
山田 朗様
JMAC日本能率協会
コンサルティング
シニア・コンサルタント
-
-
近田 智也様
積水ハウス株式会社
執行役員
環境推進部長
(兼)温暖化防止推進室長
-
-
清水 倫孝様
積水ハウス株式会社
ESG経営推進本部
エグゼクティブ・スペシャリスト
-
-
梨岡 英理子様(司会)
株式会社環境管理会計研究所
代表取締役
NTN出席者
-
山本 正明
執行役
経営戦略本部/
欧州・アフリカ州地区/
総務部/CSR本部担当
-
川端 恭弘
執行役
人事本部長/
グローバル人材育成部長/
EHS(環境・労働安全衛生)統括部担当
-
木下 俊平
執行役
経営戦略本部長
-
西垣戸 敬
経営戦略本部
経営企画部長
-
長尾 立雄
経営戦略本部
広報・IR部長
-
山﨑 雅之
EHS(環境・労働安全衛生)統括部長
-
真野 竜馬
グローバル調達本部
調達・物流管理部長
-
鈴木 好隆
生産本部
生産戦略部長
-
増本 真明
CSR本部長
-
井口 耕平
CSR本部
コーポレートバリュー推進部長
テーマ1 ESG経営の進め方
- NTN
- マテリアリティに即したESG経営を推進していくために、ロードマップを作成しました。今後マテリアリティをどのように全社に展開し、ESG経営を進めればよいか、ご意見をお聞かせいただけますでしょうか。
- 國部様
- マテリアリティとは「社会課題にとって重要である」ということであり、マテリアリティの解決が社会課題の解決につながることが本来のあり方です。しかしこれは企業にとって非常に難しいことで、企業のサステナビリティ経営体制を構築するために、マテリアリティが特定されているという印象を受けます。その意味では、NTNのマテリアリティも、現状ではサステナビリティ活動の重要な領域を決めるためのものになっているので、今後、13のマテリアリティの中からNTNの活動と社会の課題を結びつけて、社会課題の解決に戦略的に取り組んでいけるかという点が、重要になってくるのではないでしょうか。
- 清水様
- NTNのマテリアリティは、企業理念と結びつけながら、社会課題をポジティブインパクトの強化とネガティブインパクトの低減とに分けてロジカルに展開されているところが非常に良いと感じました。ガイドラインも参考にしながら真摯に取り組まれていて、企業としての考え方、価値観が表れているのではないでしょうか。それをどうやって今後取り組みにつなげていくかという点について、当社の事例を交えてお話しします。積水ハウスでは特定したマテリアリティを1年で見直しました。それは、従業員に展開したときに「自分事化」しきれないという課題が見えたからです。ESGやサステナビリティの取り組みは会社の一部の人間がやっていることにならないよう、従業員一人ひとりが経営課題を自分事化できる仕組みづくりを行っています。従業員の気づき、理解、共感、そして行動に移していくことが本当の意味でのESG・サステナビリティ経営につながることを期待しています。
- 山田様
- 全体として「なめらかな社会の実現」を目指すというのは、良いコンセプトだと感じました。また、13あるマテリアリティのうち、「当社の独創的技術の創造を通じて社会に貢献」の3つのマテリアリティには、NTNらしさが出ていると思います。一方で「グローバル企業にふさわしい経営・企業形態の形成」の10のマテリアリティについては、どの企業でも当てはまる内容であるため、具体的な指標を定め、定量化されてはどうでしょうか。そうすることで、外部にインパクトを示せるだけでなく、内部でも納得感をもって取り組みを進めることができます。
- NTN
- 当社の13のマテリアリティについては、従業員が納得して取り組めるものであるか、確認が必要だと思っています。網羅的であるというご指摘がありましたが、現状のマテリアリティについて、会社の取り組みをESGの視点で読み替えただけではないかととらえる者もいます。やっていることを拾い集めるのではなく、目標を示し、そのために何をしなければならないか、考える必要があります。
- 國部様
-
その点では、サステナビリティ活動を表彰する、新しいNTN PROUD AWARDには期待しています。表彰制度というものは難しくて、サステナビリティ活動を奨励する一方で、収益責任も求めていくとどこかで矛盾が生じます。それを克服するために、従業員が納得し、やる気をもって取り組んでもらえるように会社全体の制度を変えていかなくてはいけません。裏を返せば、制度さえしっかり構築できれば、それが呼び水になって、従業員がやる気をもって取り組むことができるようになります。
また、昨今のサステナビリティ経営では会社のパーパスが強調されますが、パーパスというのは元来、個人の存在意義のことです。その集合体がコモンパーパスであり、ひいてはコーポレートパーパスにつながっていくのです。コーポレートパーパスを個人のパーパスに分割するのではなく、従業員のパーパスに目を向けて、コーポレートパーパスがそれと合っているか、確認しながら進めていくのがよいでしょう。NTN PROUD AWARDも、文化になるまでやりきることが大切だと考えます。
テーマ2 カーボンニュートラル
- NTN
- 当社はロードマップで、2035年度までにスコープ1・2でカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げています。目標達成に向けた取り組みや組織の在り方について、ご意見をお聞かせください。
- 山田様
- 多くの企業で、2030年にカーボンニュートラル達成といった目標を立てていますが、具体的に目標達成に向けて何ができるのか、マスタープランを作ることが必要です。企業が徹底してすべきことは、まずはエネルギー使用量を減らすことです。再生可能エネルギーの購入など、エネルギーの質を変えるのはその次です。省エネルギーというと、どの企業もやりつくした感があるとおっしゃいますが、実際にはエネルギーが「見える化」できていない企業が多くあります。製造業ではQCD向上のためにプロセス管理を行いますが、それと同等にエネルギー管理も行わなければいけない時代になっています。各工程の目的・機能に立ち返って、工程に必要なエネルギーはどれだけか、実際はどれだけのエネルギーを使っているのか。その差はロスになっているので、そのロスを減らして、さらに改善できるところがないか考えていくのです。ユーティリティ設備面での省エネのアプローチはよくありますが、大切なのは工程側で管理することです。そこに立ち戻って議論をすることが、カーボンニュートラル達成の鍵になると考えています。
- NTN
-
私たちも、「どれくらい使っているのか」は見える化していますが、「どれくらい必要か」ということにも目を向けなければいけないということですね。この点、現在の日本の製造業共通の課題ですが、生産設備を理解できている技術者が少なくなってきています。必要なエネルギー量を見える化するためにも、生産技術・設備に精通していることが重要だと思いました。
TCFD提言(以下、TCFD)については、どのようにお考えでしょうか。 - 近田様
-
TCFDについて、積水ハウスは2018年に賛同し、2019年に初めて開示しました。最初はどう書けばよいか分からなかったのですが、機関投資家との対話を通じて試行錯誤しながらブラッシュアップを図っています。昨年度はシナリオ分析のやり方を変えました。TCFDに取り組む意義を考えたとき、気候変動対応の体制を会社の中につくるところまで活動を進めないと意味がありません。しかし、以前はリスク・機会の分析を環境担当の部署でほとんど行っており、分析結果が社内に十分に共有できていませんでした。TCFDへの対応が「開示のための作業」になってはいけません。ですから、全事業部門に対して、自分たちの事業のリスク・機会が何かを考えるように依頼しました。すると500以上も集まったのです。事業部門の中で考えるうちに、気候変動への対応が事業活動でも必要なことが共有され、自分事化されたのが非常によかったと思っています。また、実際に集まったリスクの中には、事務局では気づかなかったものもありました。今年度に開示するTCFDについては、自信を持って当社のリスク・機会であるということができます。
今後重要なことは、このリスクをどのようにマネジメントするかです。従来のリスクマネジメントの範囲にはおさまらないリスクもあり、そこへの対応が課題になってきます。さらに、新しくグループに加わった会社との調整も必要です。当然、その会社も同じように気候変動対応をしていますが、グループ会社である以上は一気通貫してマネジメントしなければいけません。その対応も考えているところです。 - NTN
- 当社は、昨年度TCFDに賛同し、今年度初めて開示しました。まだ開示のための作業になっているというのが実態です。また、積水ハウス様のカーボンニュートラルに向けた取り組みの中で素晴らしいと思う点は、ZEH(ゼロエネルギー住宅)の価値をお客さまにご理解いただいて、価格に反映できているところです。当社も環境貢献商品を作っていますが、価格に反映することまではできていません。カーボンニュートラルを目指すにあたっては当然コストがかかりますが、価格負担をどこがするのか。答えがないのが難しいところです。お客さまにどのようなシナリオで話をするか、議論をしたいと思います。
- 山田様
- 今後マテリアリティを考えていくときには、是非、各事業部の将来を担う若い世代を交えて議論をしてみてください。積水ハウス様の事例のように、事業部ごとにリスク・機会は異なります。自分たちでリスク・機会を考えてマテリアリティを特定し、ストーリーを考えていくことで、販売するときにも自然と商品の付加価値を語れるようになるのではないでしょうか。
- 國部様
- TCFDの情報開示事項が、実際に投資家の意思決定に有効かどうか誰も検証していません。ただ、コーポレートガバナンス・コードでも求められているので、対応は必要です。そのためには、自分たちできちんとガイドラインを読み、自社の開示で本当に必要な情報は何かを理解しなければいけません。そうでないと、「開示のための作業」になってしまいます。必要なのは、実質的な報告なのです。カーボンニュートラルも同じで、実質的な活動が最も重要です。つまり、再生可能エネルギーを購入することよりも、エネルギー構造を変えることが妥当か否かを検討すべきです。
- NTN
- いろいろなご意見をいただき、ありがとうございました。ESG経営でもカーボンニュートラルでも、自社の実態に即した活動が重要であること、また、従業員やお客さまとコミュニケーションをしっかりとることの大切さを改めて認識しました。今回の提言を踏まえて、引き続き当社のサステナビリティ活動を推進してまいります。
-
- 第7回
-
開催日
2021年7月
出席者
有識者
-
-
國部 克彦様
神戸大学大学院
経営学研究科教授
-
-
貝﨑 勝様
オムロン株式会社
サステナビリティ推進室
担当部長
-
-
松岡 秀紀様
(一財)アジア・太平洋
人権情報センター特任研究員
-
-
梨岡 英理子様
株式会社環境管理会計研究所
代表取締役
NTN出席者
-
白鳥 俊則
執行役
人事/CSR/情報企画/
総務/EHS統括担当
-
山本 正明
執行役
経営戦略本部長
-
野々 健二
執行役員
人事本部長(兼)総務/
EHS統括担当
-
木下 俊平
経営戦略本部
副本部長(兼)経営企画部長
-
持田 陽一郎
経営戦略本部
広報・IR部長
-
山﨑 雅之
EHS(環境・労働安全衛生)統括部長
-
川口 利幸
人事本部
副本部長(兼)人事部長
-
真野 竜馬
グローバル調達本部
調達・物流管理部長
-
増本 真明
CSR本部長
-
井口 耕平
CSR本部
コーポレートバリュー推進部長
テーマ1 この1年間のサステナビリティ活動の評価と提言
- NTN
- 当社では一昨年に発足したサステナビリティ委員会が中心となって、昨年度は人権基本方針を策定し、また、マテリアリティも特定しました。さらに本年5月には取締役会の決議を経て、TCFD提言にも賛同を表明しました。まずはこの1年間の当社の取り組みについて、評価をいただけますでしょうか。
- 有識者
- NTNのサステナビリティ活動は、業種や企業の規模から見ても、先進的であるといえるでしょう。TCFD提言への賛同やマテリアリティに関しても、ほかのトップ企業と同じレベルの戦略を立てていらっしゃると思います。ただ、理念と実践が乖離しては意味がありません。これからは、戦略と取り組みをうまく結びつけていくことが重要です。
- 有識者
- この1年間で、企業理念から価値創造プロセス、マテリアリティ、NTNの強みへと、ストーリーがうまくつながってきたという印象を持ちました。これをどのようにして事業と結びつけていくのか。また、その結果としての企業価値向上というところまでストーリーが出来上がると、さらに良くなるのではないでしょうか。
- 有識者
- 人権の取り組みについても、枠組みは作られつつあります。いつも企業の皆さまに申し上げるのは、仕組みは作るのも大変ですが、作ってからがもっと大変ということです。仕組みを社内に浸透させ、一人ひとりに理解してもらうための取り組みが、これから重要になってくるでしょう。
テーマ2 マテリアリティの目標設定、経営への統合
- NTN
- 昨年、SDGs対応のための13項目のマテリアリティを特定しました。現在は特定したマテリアリティの目標やKPIの設定、具体的な施策の立案を行っています。目標やKPIの設定については、定量目標が必要なのか、項目によっては定性目標でもよいのかということも含めて議論を進めているところです。また、特定したマテリアリティを従業員一人ひとりが「自分事化」できる方法についても模索しています。
- 有識者
-
マテリアリティについては、多くの企業が誤解していることがあります。それは、マテリアリティを「自社の重要性」ととらえていることです。マテリアリティとは、もともとは社会の重要課題に対して、自社がどのように影響を及ぼしているかということであって、自社の戦略的重要性ではありません。その点、NTNは誤解せずにマテリアリティを特定したのではないでしょうか。ただ、まだ具体的にどう関わっていくのかは見えてきません。サステナビリティ活動というのは、企業が持つ6つの資本を使って社会課題を解決することです。短期的には利益にならなくても、長期的にみると社会全体の利益につながっている、そのストーリーが大切なのです。
目標設定については、企業として真剣に社会課題に向き合い取り組もうとしているのであれば、定性的でも構わないと考えます。ただ、戦略的観点でみると、やはり定性情報では実際の活動状況が伝わりません。口先だけではないということを示すためには、定量情報も有効でしょう。また、定量目標を定めることで、従業員が取り組みやすくなり、活動の方向性が分かりやすくなるということもあります。 - 有識者
-
私は、マテリアリティの目標設定やKPIには「いつまで」という時間軸の考え方が重要と思っています。ただ、決して定量目標にとらわれることはないでしょう。定性的であっても、どのような価値につながっていくのかというストーリーが示せれば、ステークホルダーには伝わります。反対に言えば、定量的に示したとしても、ストーリーが説明できなければ意味がないのです。例えば、ダイバーシティでも、女性役職者数のKPIを設定したとして、その結果会社をどうしたいかまで考えることが大切です。
また、マテリアリティを全社に周知するには、企業理念とマテリアリティとを結びつけるのが良いでしょう。企業理念の実践がマテリアリティとつながっているという道筋を示すことで、従業員一人ひとりがマテリアリティを「自分事化」できるのではないかと考えます。 - NTN
- マテリアリティは年に1回、経営層も交えて見直しを図りたいと思っています。ただ、人権問題など当社だけではできないこともあります。どこまでやるべきか、走りながら考えているのが実情です。
- 有識者
- 人権については、サプライチェーンのすべてを見ることは現実には難しく、重要なサプライヤーに絞るなどある程度範囲を定めることも必要です。例えば、自社従業員はもとより、自社事業所内で働く派遣会社や委託会社の従業員なども対象として設定することもできると思います。自社事業所内で起きた人権問題には、企業として積極的に取り組む必要があるなど、重要性を絞ることもできると思います。
- 有識者
- 人権問題に関して言うと、オペレーション全般にわたって人権問題を洗い出すことが前提ではありますが、すべての範囲を見ることはできません。「ビジネスと人権に関する指導原則」でも、企業が優先順位を決めて取り組むことはうたわれています。
テーマ3 人権デューデリジェンス
- NTN
-
当社では2019年12月に「経営の基本方針」を定めました。その中で人権の尊重を重視し、事業活動に取り組むことをうたっています。「経営の基本方針」は、当社の全ての方針の幹となるものです。つまり、国内外のグループ会社を含めた当社のあらゆる活動において、人権を尊重するということを意味しています。その後、昨年7月に「人権基本方針」を定め、当社だけでなくサプライチェーン全体にわたって人権デューデリジェンスの仕組みの構築に取り組むことを表明しました。また、マテリアリティのひとつとして「人権の尊重」を設定しました。さらに本年4月には、経営の基本方針のもと、改めて「調達基本方針」を定め直しました。現在は「CSR調達ガイドライン」を改訂し、サプライヤーに対しても人権への対応をお願いしているところです。
ようやく本格的な取り組みを始めたところですが、改めて人権デューデリジェンスの進め方や、取引先でのCSR推進について、ご提言をいただければと思います。 - 有識者
- 海外まで人権尊重の活動を浸透させるためには、企業理念と結びつけるのが有効と思っています。NTNが国内外で展開されている企業理念浸透活動と紐づけて人権尊重の取り組みをグループ全体に根付かせてはどうでしょうか。注意点として、国際人権基準は共通だとしても、人権の受け止め方は国・地域、また宗教などによって異なる場合があるということです。NTNのCSRアンケートでも、国・地域によって受け手の解釈が異なることがあります。それぞれに応じた対応が必要であるということも意識しながら進めていかれるとよいのではないでしょうか。
- 有識者
- 人権意識を社内にしっかり浸透させるためには、従業員に人権の取り組みの意義やリスク、または、取り組むことでお客さまに選んでもらえるなどのメリットについて理解してもらうことです。自社を超えた浸透については、人権問題はサプライチェーン全体でつながっていることを理解するのが重要ではないでしょうか。NTNも当社も、取引先を監査することはありますが、一方で別の企業にとってはサプライヤーでもあり、監査される立場になります。このように人権に関わる問題は上流から下流までつながっているという意識をサプライチェーン全体で持つようになることが大切と考えています。
- 有識者
- 自社だけで一次サプライヤーのその先、また先までさかのぼるのは大変です。多くの企業は、調達基準の中で、調査先のサプライヤー(元の企業にとっては二次サプライヤー)まで確認することを求めているようです。その連鎖で、第三、第四のサプライヤーまで調査をしていくということですが、やはり末端までは調査しきれないということがあります。中小企業の場合、言葉の定義が正しく理解できていないこともありますから、丁寧に説明をする、あるいは企業の規模でアンケートの内容を分けて、簡略化するようなことも必要かもしれません。
テーマ4 TCFD提言に沿った取り組み
- NTN
- 当社は本年5月にTCFD提言に賛同しました。現在、サステナビリティ委員会、さらに、関連する部門長も加わった部署横断的なチームでシナリオ分析を進めているところです。今後の進め方について、アドバイスをお願いします。
- 有識者
- TCFD提言について、日本では賛同する企業が多くなり、改訂コーポレートガバナンス・コードでもTCFDまたはそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示が求められるようになりました。TCFD提言は、もともとは金融機関に対して気候関連のリスクと機会を踏まえた財務的影響の開示を求めたものです。もちろん、事業会社でもCO2を多く排出する企業においては、TCFD提言に沿った開示は必要でしょう。しかし、NTNのようにCO2排出量が社会全体の中でそれほどインパクトを持たない企業においては、定量目標の開示にこだわることなく、気候変動にかかるリスク・機会の両面について定性的に示していくことを考えてよいのではないかと思います。
- 有識者
- オムロンは2019年2月にTCFD提言に賛同しました。そこから、提言の枠組みに従って、どのような事業リスクや機会があるのか、議論を続けています。昨年は、エネルギーソリューション事業本部において、リスクと機会のシナリオ分析を実施しました。結果を事業計画へ反映するとともに、昨年の統合レポートや今年の有価証券報告書にも、TCFDの取り組みとして記載しました。今後も、その他の事業でどのようなリスクと機会があるかという視点で情報開示する予定ですが、定量情報にこだわらず慎重に進めているところです。
- 有識者
- TCFD宣言もそうですが、ここ1、2年で社会におけるESG情報開示の重要性は非常に高まりました。一方で、さまざまな指針が本来必要な範囲以上のことを要求しているのではないかとやや危惧するところでもあります。本来やるべきことよりも、さらに大きなことをやるべきと、多くの企業が思っているのではないでしょうか。世界各国の動きに表面的なところだけ追随しようとするのではなく、大切なのはそれぞれの動向を見ながら、自社で実践できることは何か、地に足の着いた取り組みを進めていくことです。報告書の中にだけあるESGではいけません。実態のある取り組みに期待したいと思います。
- NTN
- この1年間の当社の取り組みについて、評価をいただきました。当社の進むべき道は示したので、いただいた提言の内容を踏まえながら、今後はこのような理念や仕組みをグループ会社含む社内全体に浸透させ、活動を続けていきたいと思います。ありがとうございました。
-
- 第6回
-
開催日
2020年7月
出席者
有識者
-
-
國部 克彦様
神戸大学
副学長
-
-
貝﨑 勝様
オムロン株式会社
サステナビリティ推進室
企画部長
-
-
松岡 秀紀様
ヒューライツ大阪特任研究員
-
-
梨岡 英理子様
株式会社環境管理会計研究所
代表取締役
NTN出席者
-
白鳥 俊則
執行役常務 人事/CSR/情報企画/総務/EHS(環境・労働安全衛生)統括担当
-
山本 正明
執行役
経営戦略本部長
-
野々 健二
執行役員 人事/総務/EHS(環境・労働安全衛生)統括担当
-
小澤 隆信
経営戦略本部副本部長
経営企画部長
-
持田 陽一郎
経営戦略本部
広報・IR部長
-
山﨑 雅之
EHS(環境・労働安全衛生)統括部長
-
川口 利幸
人事部長
-
増本 真明
CSR(社会的責任)
推進本部長
-
井口 耕平
CSR(社会的責任)推進本部
コーポレートバリュー推進部長
テーマ1 サステナビリティ推進活動
- NTN
-
当社は、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な「なめらかな社会」の実現を目指しています。当期の最も大きな取り組みは、サステナビリティ推進活動の管理規程を変えたことです。2006年にCSR活動の管理規程を定めましたが、当時の「Responsibility(責任)」の位置づけは、どちらかというとコンプライアンス寄りでした。コンプライアンスを強化する一方で、当社の価値創造プロセスにもあるように、社会の期待に応える会社でありたいという考え方から「責任」の意味合いを捉え直し、「CSR」を「サステナビリティ」という言葉に変えて昨年「サステナビリティ委員会」を発足させ、活動を始めました。
このサステナビリティ委員会では、「マテリアリティの特定」を審議内容の一つに据えています。現状は、若手・中堅社員を中心としたワーキングチームを立ち上げ、GRIスタンダードやメガトレンドを参照しながら、課題の洗い出し、評価をして、当社のマテリアリティを絞り込む取り組みを進めています。来年度に発表できるようにしたいと考えています。 - 有識者
- マテリアリティの特定は大切ですが、どの企業も実践するのが非常に難しいと感じられているようです。それは、どの項目も重要であるからです。全部が重要ということになると、マテリアリティを特定する意味が分からなくなってしまいます。現状ではどの企業でも通じる大きなテーマを設定されているので、もう少し細かい項目を議論されてはどうでしょうか。また、日本企業のほとんどが、課題をマトリクスにプロットする際、「社会にとっての重要性」と「事業との関連性」の2軸で考えられていますが、本来GRIが求めているのは「事業との関連性」ではなく「ステークホルダーの意思決定への影響」です。そこについて、改めて検証されるのが良いと考えます。
- 有識者
- オムロンでもマテリアリティを特定していますが、「人財マネジメント」や「リスクマネジメント」などはどこの企業でも当たり前のことになり、評価されなくなってきています。もっと「オムロンらしさ」を出していくよう、改良しているところです。同じように「NTNらしさ」を考えていかれたらよいと思います。また、さらに重要なことは、そのマテリアリティの対象とする期間と、マネジメント体制です。どのくらいの期間で、どのようにマテリアリティを経営で管理するのか、また、社外の評価をどのように取り入れるのかも考える必要があると考えます。
- NTN
- 企業理念浸透活動についてもお伺いしたいと思います。2018年に100周年を迎えたことを機に、企業理念体系を改定し、従業員の拠り所となる「NTNスピリット」を策定して、企業理念を実践する取り組みを始めました。「認知」「共感・理解」「実践」の3つのステップで企業理念浸透活動を進めていますが、「実践」の取り組みである「NTN PROUD AWARD」については、2019年には2回目を開催しました。活動に共感する従業員も増えてきており、今後もグローバルに定着させていきたい考えています。一方で、会社表彰制度における「NTN PROUD AWARD」の位置づけ、企業理念の実践を業務目標や人事評価へどのように反映するのか、また、コロナ禍における企業理念浸透活動のあり方については課題があると考えています。
- 有識者
-
オムロンでも企業理念の実践を支える取り組みとして「TOGA(The OMRON Global Awards)」を2012年から開催しています。当社ではチームを単位とした社内の表彰制度はこの「TOGA」のみです。賞を獲得したときは、人事評価に記録されるようになっています。ただ、企業理念の実践と人事評価の反映は非常に難しく、現状では制度をどのように評価に結びつけるかを模索しているところです。
コロナ禍における企業理念活動のあり方について、当社ではまず従業員の健康・安全を第一に考えながら、メーカとしての供給責任、事業を通じた社会への貢献を果たしたいと考えています。スペインで当社の従業員が人工呼吸器開発に参画しましたが、これはトップが指示をしたわけではなく、自発的な行動でした。これこそ、企業理念が浸透し、実践されたことの好事例であると思います。 - 有識者
- 昨今は、CSR活動の中でも企業理念が非常に重要な位置づけとなっています。NTNの創業者精神である「開拓者精神」「共存共栄精神」は、非常にインパクトがあります。「開拓者」は「イノベーション」を、「共存共栄」は「Creating Shared Value(共通価値の創造)」を想起させ、NTNが社会課題を解決しようとする意志を感じさせます。
テーマ2 人権
- NTN
- 当社は今年、「人権基本方針」を策定しました。2015年に国連グローバル・コンパクトに署名したこと、また、昨年から指名委員会等設置会社へ機関設計を変更したこともあって、経営の基本方針がより明確化され、その中に「人権の尊重」があったことが「人権基本方針」策定につながりました。今後は、この「人権基本方針」をどのように運営するか、また対象となるサプライヤーの範囲や管理方法について検討していきたいと考えています。
- 有識者
-
人権デューデリジェンスは、仕組みを作ったり、外部に仕組みを作ったことを報告したりすることはできても、運用することは非常に難しいと感じます。従業員一人ひとりが人権について業務と結び付けるかたちで理解をするというのが、社内浸透のポイントです。人権リスクは、ひいては経営のリスクにもつながります。仕組みを作るにとどまらず、日常の中での教育を続けていかなければなりません。
サプライヤーの範囲(バウンダリー)については、実際にはTier1に調査を依頼するという企業が多いのではないでしょうか。 - 有識者
-
人権方針の適用範囲も重要です。オムロンの場合、調査の結果、当社の社員が過半数に満たない拠点もありました。このような事例から、直接雇用の社員だけに適応するのではなく、拠点で働く派遣社員や業務委託社員も対象とすべきであると考えています。
また、バウンダリーについては、当社もTier1の要求事項の中にTier2以降の調査も入れて対応しています。
テーマ3 環境
- NTN
- 2020年3月期はコロナ禍で減産となったことで、CO2削減量は下がりましたが、原単位では数値が上がってしまいました。昨年のステークホルダー・ダイアログにおいて、CO2排出量が減ったことを示すのでなく、もともとの商品の使用時からどれくらいCO2排出量を削減できたか、変化を示すべきであるというご指摘を受けたため、昨年度から環境貢献商品を数値化するとともに、長期的にはCO2排出量ゼロを目指して目標を設定したいと考えています。具体的には、「商品の使用時に発生(消費)するCO2」と「NTNの事業活動で発生するCO2」の総量が「自然エネルギー商品の発電で削減されるCO2」によって相殺されることで目標を達成するイメージですが、これで「CO2排出量ネットゼロ」といえるでしょうか。
- 有識者
- 「CO2排出量ネットゼロ」については、人為的なCO2の「排出」と、植林による緑化促進などといった人為的な「吸収」の均衡を保つことと考えたほうが良いです。その意味では、考え方を「ネットゼロ」から転換したほうが良いかもしれません。ベアリング業界は製品の種類が固定されているため、CO2排出量の少ない事業に転換し大胆にCO2排出量を減らすということは難しいだろうと考えます。また、いまはSDGsやサーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方によって社会全体が低炭素化へ進んでおり、自動車業界自身がターゲットになっています。業界的には大胆なことはやりにくくても、主語を「自分の会社が」と考えて、社会に対してできることは何かという視点で気候変動を考えていくことが大切だと思います。
テーマ4 コロナ禍の事業活動の進め方
- NTN
- 当社は2021年3月期を「危機対応期間」とし、その重点施策として「従業員の健康と安全の確保」や「将来の成長に向けた準備」を掲げました。具体的には、テレワークの推進、SDGsへの対応に取り組んでいこうと考えています。緊急事態宣言後、当社も従業員の健康と安全を第一に考えテレワークを進めてきました。今後テレワークをより推進するにあたって、適用範囲や勤怠管理ルール、人事評価制度などをどのようにするかという課題が浮かび上がってきています。またSDGsへの対応、特に気候変動への対応にフォーカスしますと、社会ではTCFDへの賛同が増えてきています。当社では経営を巻き込んだ議論が今後の課題と認識していますが、どのような体制でどのように進めていけば良いか、ご意見をお伺いできればと思います。
- 有識者
- オムロンでは、2018年7月にSBTに科学的根拠に基づき温室効果ガスの排出量削減目標を策定することを表明し、その後、TCFDの話が出てきました。TCFDについては、全社統括が必要であることから、サステナビリティ推進室から経営層に対して、TCFDに賛同すべきとの提案を行いました。財務情報の紐づけはこれからですが、気候変動の課題に対しては、手を挙げないことが問題になると思っています。
- 有識者
-
気候変動に対するリスクマネジメントの開示については、日本企業は非常に遅れているといえます。リスク情報を開示すると不安を与えると考えられていますが、開示しない方が不安視されることがあるのです。
また、新型コロナウイルスへの対応は重要な問題です。大きな方向性として「“個”のウエイトが高まる」ことは間違いないと思っています。社会全体が組織から個人へと移行し、より働きやすい環境に変えていく中で、組織の勤務体系やポジションの見直しも抜本的に変えていく必要があるでしょう。 - 有識者
- テレワークが進む中で、女性が家庭で仕事をしながら家事・育児もするような状態やDV被害にあうケースが課題になりました。企業がそのような課題に何をどこまでできるのか、今後は企業のあり方が問われるのではないかと思います。
- 有識者
- このコロナ禍をきっかけに、サステナビリティ分野において目指すべき姿の時間軸が短くなってきていると感じます。オムロンでは、次の10年を見据えた計画の策定に着手していますが、もっと速いスピードで社会は変わるかもしれません。そういう観点で取り組んでいかないといけないと思っています。
- 有識者
- NTNは一昨年に「コーポレートバリュー推進部」が発足しました。「バリュー(価値)」が重要であるのは自明のことですが、今後はCSR全体を「バリュー」の方向から考えてみてはどうでしょうか。気候変動に対して提供できるバリュー、サプライヤーに提供できるバリューは何かということを考えていくのです。ポストコロナの話を先ほどしましたが、これまではコンペティションの「競争」だったのが、これからは共に創る「共創」が重要になります。そのような観点で企業活動を進めることが良いと感じています。
-
- 第5回
-
開催日
2019年6月
出席者
有識者
-
-
國部 克彦様
神戸大学大学院教授
-
-
貝﨑 勝様
オムロン㈱
サステナビリティ推進室 企画部長
-
-
松岡 秀紀様
ヒューライツ大阪特任研究員
-
-
梨岡 英理子様
環境管理会計研究所代表
NTN出席者
-
後藤 逸司
執行役専務
CSR(社会的責任)推進本部担当
-
仲野 浩史
顧問
-
野々 健二
EHS(環境・労働安全衛生)統括部長
-
山﨑 雅之
EHS(環境・労働安全衛生)統括副部長
-
川口 利幸
人事部長
-
井口 耕平
コーポレートバリュー推進部長
テーマ1 CSRマネジメント
- ご意見
-
CSRのR(責任)の本質は、社会に必要とされる企業にあり、事業を通じて社会に貢献している姿をステークホルダーに分かりやすく示すことが重要である。「NTNレポート2018」ではそれを価値創造プロセスの中で表現しており、評価できる。次のステップでは各々の事業分野での活動を価値創造プロセスに横串でとらえ、経済的価値を創出しながら、社会的価値(なめらかな社会)も創出する姿を、より具体的に示すことが大事である。
企業理念の実践を強化する取り組みとしてオムロンでは2012年よりTOGA(The OMRON Global Award)を開始し、2018年は6万人を超える従業員が参加するまでになった。この継続力(発展性)の源泉は、経営層にチャレンジ精神を発揮することを奨励する土壌があり、その上で回を重ねるごとに共鳴の輪が広がり、多くの従業員が社会課題を解決することの意義を感じるようになった点にある。今年、「NTN PROUD AWARD」は2回目の開催となるが、やり続けることが変革につながるというオムロンの実績を踏まえ、継続的に開催できるよう本取り組みの意義を社内に根付かせてほしい。
「企業理念について考える会」、「NTNスピリットブック配布」、「NTN PROUD AWARD」など企業理念の浸透活動を精力的に取り組んでいることはとても良いことだが、企業理念浸透活動を推進する上で、個々の施策を体系立てて年間計画に落とし込むことが必要である。
テーマ2 環境
- ご意見
-
環境経営に積極的に取り組んでいる企業では長期ビジョンを数値目標(2050年CO2排出ゼロなど)で示し、バックキャスティングで目標を定め具体的な手段へと落とし込んでいる。中長期の視点で全社共通のメジャーを持ちCO2削減に取り組むことになるので、NTNにおいても環境目標の設定にこうした手法を検討することが望ましい。
環境貢献商品の環境貢献量を開示することは良いことである。ただ、世界的に見ると総量で排出があるのに“貢献”ととらえるのはどうかという見方もあるので、情報開示のあり方としては、総量削減の手段としてNTN商品が役立っていることを表現すれば良いと考える。
テーマ3 人権
- ご意見
- ESG投資の流れで、ここ2~3年で急速に多くの企業が「ビジネスと人権」について取り組みを始めている。人権は独立してあるものではなく、企業理念を礎に人権に対する基本方針があると社内展開しやすくなる。「企業理念」、「NTNスピリット」、「基本方針」の位置づけ・つながりを明確にし、人権に関する基本方針を策定していくことが重要である。
テーマ4 ガバナンス
- ご意見
- 「NTNレポート2018」で紹介されている社外取締役対談から、NTNでは社外取締役の意見が積極的に出されていることが伺える。今回、経営への監督機能が最も強化できるとされている指名委員会等設置会社へ移行されたことは、その中で社外取締役のウエイトが増加し、社外取締役の意見が広く反映されることになり、ガバナンスの強化が図られると考える。
-
- 第4回
-
開催日
2018年6月13日
出席者
有識者
-
-
國部 克彦様
神戸大学大学院教授
-
-
檜山 洋子様
弁護士・米国NY州弁護士/
ヒヤマ・クボタ法律事務所
-
-
貝﨑 勝様
オムロン㈱
サステナビリティ推進室 企画部長
-
-
梨岡 英理子様
公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役
NTN出席者
-
仲野 浩史
取締役
CSR(社会的責任)
推進本部長
-
野々 健二
人事部長
-
小澤 隆信
経営企画部長
-
賀茂 邦男
調達本部長
-
楠瀨 将弘
総務・環境管理部長
-
井口 耕平
コーポレートバリュー
推進部長
テーマ1 企業理念
- ご意見
- 企業理念の浸透には、表彰制度や従業員が自発的に手を挙げて参画する継続的なプロジェクト体制構築など「具体化させる仕組みを作ること」が重要です。NTNスピリットを従業員に考えさせ、自主的に企業理念と結びつけた行動を促すことが今後求められます。また、トップ自らが国内外の各拠点を回って企業理念の精神をダイアログという形で伝えるなど継続して活動を続けることも有効です。「NTN PROUD AWARD」を開催するだけでなく、結果や様子を動画で全従業員に発信するなど「共鳴の輪」を広げることを検討されてはいかがでしょうか。
テーマ2 マテリアリティ
- ご意見
- CSR活動を網羅的にされていますが、マテリアリティを決めて会社がどの方向へ向いているのかを示された方がさらに良くなると思います。重要なのは本社部門だけでなく、事業部門や技術部門などと協力し十分に議論し、さらに経営陣が議論したものを決めていくことです。マテリアリティ選定の手順は会社独自が決めることであり、点数化してマッピング分析をするだけではなく、中期経営計画と表裏一体にし、SDGsなどの社会課題も意識しながら最終的には、戦略的に評価することを念頭に置くのが良いのではないかと思います。
テーマ3 環境問題
- ご意見
- 環境貢献商品をつくることは大変良いことです。ただ、商品のCO2削減量などの定量化については海外ではグリーンウォッシュ*1の危険もあり、日本と海外での情報発信には注意が必要だと思います。また、SBT(Science Based Target)*2イニシアティブにもとづく場合でも、単純に指標を出すだけでなく、測定の正確性に加え、その改善度も重視すべきです。スコープ3についても、測定だけでなく改善に結び付けることが必要で、重要なプロセスに注力をしてCO2を削減し、その効果を開示するところまで進めることができればベストです。
- *1 グリーンウォッシュ:商品などがあたかも環境に配慮しているかのように見せかけること
- *2 SBT:企業に対して科学的知見と整合した目標設定
テーマ4 サプライチェーンCSR・人権・ガバナンス
- ご意見
-
すべてのサプライヤーに同じ基準を設けるだけでなく、重要サプライヤーについては特定して管理した方が良いでしょう。幅広い情報収集をお勧めします。
グローバルでの管理に関しては、内部統制も含め原則本社が担い、ローカルに任せきりにしないことが望ましいです。内部統制の機能強化とともに、従業員個々の意識を向上させることも重要です。特に人権に関しては、各海外地区の国内法では問題がなくとも、グローバルレベルで対応すべきであり、法律や文化の違う海外まで実効性を持たせられるような取り組みをされることをお勧めします。
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- 第3回
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開催日
2017年6月7日
出席者
有識者
-
國部 克彦様
-
神戸大学大学院教授
-
檜山 洋子様
-
弁護士・米国NY州弁護士/
エートス法律事務所
-
白鳥 和彦様
-
公益社団法人
新化学技術推進協会
部長研究員
前(株)積水インテグレーテッドリサーチ 主席研究員
-
梨岡 英理子様(司会)
-
公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役
NTN出席者
-
仲野 浩史
取締役
CSR(社会的責任)推進本部
本部長
-
井口 耕平
創業100周年事業推進
プロジェクトリーダー
-
黒田 康之
CSR(社会的責任)推進本部
CSR部長
-
松谷 季之
総務・環境管理部長
テーマ1 創業100周年を迎えるにあたって
- 有識者
- 過去2年間のダイアログの結果を真摯に受け止め、評価・実行を行っている点は素晴らしく、誠実にご対応いただいていると感じます。また、2018年に創業100周年を迎えるにあたり、企業理念の浸透にまで踏み込んでおられます。企業理念の浸透にあたっては、具体的な行動に結びつけることが重要であり、そのためには、企業理念と従業員の具体的な行動をつなぐ何かを明示することが必要と考えます。そうすることにより、従業員一人ひとりの行動が社会貢献につながっていくと考えます。
- NTN
- 当社の企業理念には創業時の開拓者精神、共存・共栄精神が込められており、それらを「独創的技術の創造」「社会への貢献」という言葉で表現しています。
この企業理念を次の100年に向けて浸透させるためには、従業員に日々の仕事と理念が結びついた形で説明をしていく必要があり、最終的には「判断するときの依り処」となることが理想です。従業員一人ひとりがお客さまに対してはもちろんのこと、社会に対しても貢献できる存在となれるよう取り組んでいきます。
テーマ2 グローバル展開におけるCSRの必要性
- 有識者
- CSRをグローバルに推進していくためには、その地域の企業や社会と協力することが重要です。そのためには、企業理念の浸透のほか、マテリアリティの特定も有用ですので検討してください。また、ダイバーシティの推進が経営面で重要な要素になります。NTNは積極的に海外展開されていますが、ダイバーシティを推進していくためには、それだけでなく経営層のダイバーシティに対する理解の深耕も必要です。
- NTN
- 各海外拠点が、事業活動をとおしてその地域に根差していけるよう、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」なども視野にいれ、当社としてのマテリアリティを検討していきます。また、ダイバーシティにおいても、経営層を対象とした研修を実施するなどさまざまな施策を行っており、各海外拠点と互いの文化を尊重し合える環境づくりに取り組んでいきます。
テーマ3 環境
- 有識者
- NTNは業務運営上の環境負荷削減はかなり高い水準にあると考えています。今後は、サプライチェーンでの環境負荷削減やイノベーションなど、長期的な視点で環境戦略を定め、これまでと異なった側面での活動を期待しています。
その際は、環境貢献量など第三者が見てわかる指標が必要になります。社会に貢献する商品は、自社だけでなく、他社とのコラボレーションも視野にいれることで広がっていくのではないかと考えます。 - NTN
- 今後、工場における環境への取り組みだけでなく、環境面での価値創造にも注力したいと考えています。データの客観性についても重要だと認識しており、CO2データの第三者評価など、非財務指標として環境関連数字の見える化を進めています。また、環境貢献商品については、基準の策定を始めており、中長期的に効果のある商品を開発していきたいと考えています。
(以上、有識者の方々のご意見をとりまとめて記載しています。)
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- 第2回
-
開催日
2016年6月9日
出席者
有識者
-
國部 克彦様
神戸大学大学院教授
-
檜山 洋子様
弁護士・米国NY州弁護士/
エートス法律事務所
-
白鳥 和彦様
(株)積水インテグレーテッドリサーチ 主席研究員
-
梨岡 英理子様(司会)
公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役
NTN出席者
-
仲野 浩史
取締役
CSR(社会的責任)推進本部
本部長
-
松谷 季之
総務・環境管理部長
-
黒田 康之
CSR(社会的責任)推進本部
CSR部長
テーマ1 NTNのCSR
- 第1回での
ご意見 -
- 今後は、事業活動とCSR活動の一層の連携が重要である。
- CSR活動の発展のためには企業活動に「価値創造」を組み合わせることが重要である。
- その後の
対応進捗 -
- 本業での省エネ・地球環境保全に加えて、自然エネルギー事業などの新事業でも、事業活動と自然エネルギー活用・地域社会への貢献とを連携させています。
- 製品を通じた「価値創造」として、地球環境・地域社会・人材などへ配慮した、持続可能性のある社会への視点で、企業活動にCSR活動を組み込んでいます。
- 第2回での
ご意見 -
- CSRの優先度と方向性をCSRのマテリアリティとし、非財務指標のKPIでその進捗を開示することが望ましい。マテリアリティは状況の変化に鑑み3年毎に変えるなどしても良い。
- CSR目標(経営目標も)は、アクションプランだけでなく、低成長の時代にはベンチマークで維持していくことも必要。
- 価値創造として、大きな方針のもと、マテリアリティを中長期的に考えていくことが大切。
- 日本のエネルギー全体として地産地消をきちんとしていく必要がある。そこに貢献する事業はすばらしい。
- レポーティングは(総花的でなく)今年の重点など分かりやすく伝えると良い。
テーマ2 グローバル
- 第1回での
ご意見 -
- 海外を含めたネットワークを構築し、相互交流することでNTNがグローバルに結合できる。
- その後の
対応進捗 - 経営会議、CSRグローバル会議などを英語で開催し、各種データベースの英語化、企業内電子ニュースの「e-Talk21」(英語版・日本語版併用)、季刊社内報「Blue Horizon」(英日併記)などで情報共有を推進しています。 また、海外トレーニー・国際インターンシップ制度や海外工場からの研修受入れなどで相互の人的交流を図っています。
- 第2回での
ご意見 -
- CSRグローバル会議は、地域毎に課題も違う中、エリア毎の課題の共有などで役に立つ。
- For New Technology Networkの、ネットワークとしての広がり・つながりが大切。
テーマ3 コンプライアンス
- 第1回での
ご意見 -
- 情報の共有化と透明性が重要である。
- その後の
対応進捗 - 海外各地区の総支配人室に内部統制課を設置し、海外グループ企業のコンプライアンス推進体制を強化しつつ、各地域での事情や特性を踏まえ、地域ごとの施策を推進し、本社で全体統括管理し、内部監査部門でモニタリングしています。
- 第2回での
ご意見 -
- コーポレートガバナンス・コードへの対応はきちんとされている。コーポレートガバナンス・コードは、本来は中長期的思考であり、すべてのステークホルダーのためにあると述べられており、中長期的な価値創造を示すことが大切。
- コンプライアンスのシステムだけでは対応できないこともあり、現場と経営との距離で防げることもある。頑張れが圧力にならないよう、コミュニケーションとフィードバックのプロセスが大切。
テーマ4 環境
- 第1回での
ご意見 -
- 「価値創造」といえる環境商品の紹介をして欲しい。
- その後の
対応進捗 - 「価値創造」領域として自然エネルギー事業、自動車の電動化・安全革命でのEV事業、人との協働・共生のロボット事業、ビッグデータを活用したサービス・ソリューション事業などを展開します。自然エネルギー事業では、垂直軸風車、小水力発電装置などによる電力を、EVの充電や野菜工場の照明などに活用するエネルギー循環型モデルの実証実験としてグリーンパワーパークを設立しました。
- 第2回での
ご意見 -
- グリーンパワーパークは、企業だけでなく、地域を含めて社会的基盤を強化していく良い取り組みで、社会貢献としても好ましい。
- ベアリングそれ自体にコアとしてまだまだ可能性があるのでは。回りやすい・止まりやすいなど回転・動くことの付加価値がもっとあるのでは。新しい役割も期待したい。
テーマ5 創業100周年と今後の課題
- 第2回での
ご意見 -
- 100周年に向けて、「価値創造」の見せ方にもう一工夫をお願いしたい。企業が持続していく際に立ち戻るところとして企業理念があり、従業員が誇りに思えるような100周年を迎えてほしい。
- 従業員にコンプライアンス以外のCSR意識調査などグローバルにしてはどうか。理念の浸透確認には調査が必要。
-
- 第1回
-
開催日
2015年5月22日
出席者
有識者
-
國部 克彦様
神戸大学大学院
経営学研究科長・教授
-
檜山 洋子様
弁護士・米国NY州弁護士/
エートス法律事務所
-
白鳥 和彦様
(株)積水インテグレーテッドリサーチ 主席研究員
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梨岡 英理子様(司会)
公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役
NTN出席者
-
仲野 浩史
取締役
CSR(社会的責任)推進本部
本部長
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松谷 季之
総務・環境管理部長
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持田 陽一郎
CSR(社会的責任)推進本部
CSR部長
ダイアログ要旨
- B to B(Business to Business 一般消費者でなく企業間ビジネスを対象とする)企業としては、NTNのレポートは充実している。今後は、事業活動とCSR活動の一層の連携が重要である。
- CSR活動は、システムを構築した後は、ルーティン業務になりがちで、さらなる発展が難しい。発展のためには企業活動に「価値創造」を組み合わせることが重要である。
- グローバル化には、世界中の従業員に自社の全体像やCSRなどを知ってもらうことが重要。海外を含めたネットワークを構築し、相互交流することでNTNがグローバルに結合できる。また、グローバルな価値観や職種・仕事の適性によって適材適所な働き方ができる仕組みを提供することが大事である。
- コンプライアンスで問題を起こす企業は、企業風土に問題がある。コンプライアンスの仕組み(システム)が整備されていても、機能していない場合があり、情報の共有化と透明化が重要である。また、世界各国で法令遵守の度合いが異なり、各国、一つひとつ体系的に整理することが大切である。
- 環境への取り組みにおいて、リデュース・リユース・リサイクルのうちリサイクルは限界まで進められている。今後はリデュースの対応が課題となる。また、「価値創造」といえる環境商品の紹介をして欲しい。
いただいたご意見から抽出することができた課題は、優先順位をつけ、短期に、中長期に対応してまいります。今後も、継続的にステークホルダー・ダイアログを開催し、環境・社会・ガバナンスなどの問題に、積極的に取り組んでまいります。
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