2023年度のCSR活動をご紹介します。
第三者意見
「NTNレポート2024」第三者意見書
関西学院大学商学部教授・商学博士
阪 智香 様
略歴:
現在、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)委員、金融庁金融審議会専門委員、金融庁企業会計審議会委員、International Federation of Accountants (IFAC), the International Panel for Accounting Education (IPAE) member、日本公認会計士協会サステナビリティ能力開発協議会委員、日本公認会計士協会継続的専門研修制度協議会IES検討専門委員会専門委員、日本経済会計学会理事など。著書に『環境会計論』(東京経済情報出版)など。日本会計研究学会学会賞等受賞。
NTNレポート2024の特筆すべき点
SSBJからサステナビリティ開示基準の公開草案が公表されるなど、投資家向けのサステナビリティ開示の枠組みづくりが急ピッチで進んでいます。このような中で公表されたNTNレポート2024の特徴は、次の3つです。
(1) ターゲティング ― 投資家に焦点
昨年まではマルチステークホルダーを意識した開示でしたが、今年は、投資家に焦点を当て、NTNグループの成長と価値創造ストーリーを前面に出した開示に一新されました。開示媒体も、冊子ではなく、インタラクティブPDFによる Web開示となり、効果的なコミュニケーションの実現につながりました。
現在の価値創造プロセスを持続的に成長させるにあたり、リスク・機会を分析して成長事業を明確にし、そこに注力するためのビジネスモデル強化、バリューチェーン改革、経営基盤改革、研究開発、人材戦略が一貫して示されたことで、価値創造ストーリーが明瞭になりました。
サステナビリティについては、投資家の関心の高い、カーボンニュートラル、人権、ガバナンスに焦点を当て、それらが変革を支える戦略として位置づけられました。マルチステークホルダー向けの情報はWeb開示とすることでメリハリがつき、レポートの目的が明確になり、関連性(relevance)が格段に向上しました。
(2) コミットメント ― 「顔が見える」経営
新中期経営計画では、今後3年間に構造改革と組織体制再編を断行することが示されました。痛みを伴う改革には経営陣のコミットメントが欠かせません。レポートでは、経営陣が、変革を導く戦略について、指標・目標なども交えて自分の言葉で語り、コミットする姿を示しており、達成への期待が高まります。
(3) イキイキと働く ― 人材戦略
変革と価値創造を支えるのは人であるという認識は、長期ビジョンにも表れています(P.12, 52)。 「豊かな人づくり」を実現する人材戦略の5つの柱、「人材獲得と育成」と「組織風土醸成」の具体的な取り組み内容、目指す姿とのギャップなどの開示が充実しました(P.45-48)。この内容は、有価証券報告書における開示ともリンクしています。これらが従業員に浸透し、実現すれば、新中期経営計画も実現すると期待できます。
サステナビリティ開示が目指すもの
開示自体は、企業活動の目的ではなく、自社のリスク・機会に気づき、それに対応したビジネスモデルに変えることで、企業価値に結び付けることが重要です。
NTNレポート2024では、2035年を見据え、経済的価値(株主資本コストを上回るROE達成)と、環境・社会的価値(カーボンニュートラルの達成、豊かな人づくりの実現)のベクトルが同軸上に位置づけられました(P.9-10)。その上で、財務面とサステナビリティ面から、価値創造へのストーリーが、経営陣のコミットメントとともに具体的に開示されました。これは、サステナビリティ基準が目指すところでもあると思います。私にとっては、昨年の第三者意見でのリクエストを、鮮やかに反映されたことは驚きでもありました。
今年度中にはサステナビリティ開示基準の確定版の公表が予定されていますが、枝葉にとらわれ過ぎず、今回示された企業価値向上へのスピリットを今後の開示においても大切にしていただけたらと願っています。
第三者意見を受けて
ESG推進部担当
木下 俊平
阪先生には、貴重なご意見を賜り厚く御礼申し上げます。
サステナビリティ開示の枠組みが急速に進化する中で、当社が投資家の皆さまに向けたコミュニケーションを強化し、より明確で関連性の高い情報提供を目指してきたことをご評価いただき、大変光栄に思います。特に、ターゲティングの明確化、経営陣のコミットメントの可視化、そして人材戦略の具体的な展開についてのコメントは、当社の目指す方向や取り組みに対する自信となり、大きな励みとなります。また、昨年の第三者意見でのリクエストを反映した点についてもコメントをいただき感謝申し上げます。
サステナビリティ基準の確定版公表に向けて、新たなチャレンジに直面することとなりますが、今回いただいた貴重なご意見を真摯に受け止め、今後も透明性と実行を伴う開示と対話を追及し、中長期にわたる企業価値の向上に努めてまいります。