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2023年度のCSR活動をご紹介します。

脱炭素社会への貢献

当社グループは、脱炭素社会に向け、「風力発電の普及、水素化社会への貢献」、「自動車EV・電動化への省エネルギー(基盤商品)」、「自動車EV・電動化への省エネルギー(新領域)」、「製造設備の高効率化」、「軸受再生ビジネス」の5つの取り組みに注力しています。

脱炭素社会に向けて、当社グループが注力する5つの取り組み

脱炭素社会に向けて、当社グループが注力する5つの取り組み

自然エネルギーを利用した持続可能な社会の実現

風力発電の普及、水素化社会への貢献

持続可能な社会の実現に向けたカーボンニュートラル達成のため、風力や太陽光を利用して発電する自然エネルギーや、燃焼時にCO2を排出しない水素が、次世代のクリーンエネルギーとして注目されています。

風力発電分野では、洋上風力発電などを中心に発電装置の大型化が進み、メンテナンスが容易にできないことから、構成部品のさらなる高耐久性、高信頼性、さらには稼働率向上に向けた高度な状態監視システムの要求があります。

水素関連分野では、高圧の水素圧縮機に用いられる樹脂製ピストンリングのさらなる長寿命化の要求があります。これまで培ってきた樹脂商品のトライボロジー技術を駆使して、市場ニーズに適合した商品を提供することにより、水素化社会に貢献します。

風力

カーボンニュートラル達成に向けて、風力発電市場が急速に拡大しており、陸上風力発電装置の設置台数は、増加傾向です。

当社では風力発電装置の稼働率向上を目的に、風力発電装置用状態監視システム(CMS)「Wind Doctor」を用いて稼働状況を風力発電事業者に配信するサービスを提供しています。一昨年から、風力発電装置のメンテナンスに特化した株式会社北拓(以下、北拓)と業務提携し、事業拡大を推進しています。当社のCMSを活用すれば、風力発電装置の稼働状態に変化が生じた場合、発電事業者に対して振動異常などの情報およびメンテナンスの必要性などをタイムリーに提案可能です。その提案内容をもとに発電事業者からメンテナンス依頼があった場合、北拓と共同で風力発電装置を点検し、異常部位の特定や補修軸受の手配を一括で実施しています。発電業者からはシステム化されたサービスを一連で受けることができると、ご好評をいただいています。

さらに近年、安定的かつ高効率の発電が可能な洋上風力発電装置の設置が進んでいます。洋上風力発電装置は陸上に比べて大型化し、メンテナンスも困難なため、構成部品の高耐久性、高信頼性が求められることに加えて、より高精度な状態監視も望まれています。陸上から洋上へのサービス拡大を図りつつ、モノ売り・コト売りの両輪メーカーとして、風力発電装置の市場拡大の実現に貢献してまいります。

Wind Doctor

Wind Doctor®

水素

水素は次世代エネルギーのひとつとして注目されており、活用のために「つくる、はこぶ、ためる、つかう」のあらゆる場面で技術開発が活発に進んでいます。当社はNEDOが公募した「競争的なサプライチェーン構築に向けた技術開発事業」において、九州大学などとともに「水素ステーションの低コスト化・高度化基盤技術開発プロジェクト」に参画しています。本プロジェクトでは、高圧水素ガス圧縮機に使用される耐久性・信頼性に優れた樹脂製ピストンリングの開発を推進しています。ピストンリングの開発には、長年にわたりエンジニアリングプラスチックしゅう動部品の開発・製造・販売で培ってきた樹脂材料に関するトライボロジー技術を活用しています。

当社はこれまで培ってきたトライボロジーやその評価技術に関するノウハウを活用して、水素環境下における関連商品を開発することで、水素インフラ整備の進展や次世代エネルギーの普及に貢献してまいります。

エネルギーロスの低減

自動車EV・電動化への省エネルギー

カーボンニュートラルの達成に向けて、自動車の電動化、EV化が進んでいます。EV車の課題のひとつに航続距離の延伸があり、電動駆動ユニットe-Axleで使用される基幹部品をはじめ、車載部品の小型/軽量化、高効率化が求められています。当社では、車両の電費改善のために、潤滑油の低粘度化が進み過酷さを増すe-Axleの使用環境に対応する「同軸e-Axle遊星減速機用ニードル軸受ユニット」や、世界最小・最軽量を実現したリヤ用ドライブシャフト、従来品比で最大64%の低フリクション化を実現した「低フリクションハブベアリングⅤ」などの開発により、EV車の省エネルギー化に貢献します。

高機能軸受の提供(基盤商品)

EVやHEVの省燃費化・省電費化、航続距離の延伸のために、搭載される電動駆動ユニットe-Axleにはさらなる高効率化、小型・軽量化の要求が高まっており、e-Axleで使用される軸受の使用環境は潤滑油の低粘度化、回転速度の高速化など過酷さを増しています。当社は、シャフトと保持器の材料と熱処理条件の最適化、さらにころのクラウニング形状を最適化することで、従来品に比べてピーリング寿命を約30%向上、許容回転速度を約10%向上させ、希薄潤滑下での信頼性を高めた「同軸e-Axle遊星減速機用ニードル軸受ユニット」(保持器付き針状ころとシャフトのセット)を開発しました。

ドライブシャフトに関しては、小型・軽量化の要求がさらに高まっています。従来、リヤ用ドライブシャフトにはフロント用CVJが流用されてきましたが、リヤ用CVJに必要な作動角や機能に限定して設計を最適化するとともに、薄肉の中空シャフトとコンパクトブーツを採用することで、従来品比30%の軽量化、CVJ外径で3~5%小型化を実現したリヤ用の小型・軽量ドライブシャフト「Rシリーズ」を開発しました。燃費で0.05%の改善、CO2排出量で0.075g/kmの削減効果が見込め、後輪駆動を主とするSUV車やEV車にグローバルで採用いただいています。

今後、自動車市場においては、EV・HEVの高効率化、高機能化に対応した軸受の需要がさらに拡大することが見込まれます。引き続き、当社のコアコンピタンスの活用、次世代技術の取込みを通じて、商品ランアップを充実し、市場ニーズを先取りした、カーボンニュートラルに貢献する商品開発を進めます。

同軸e-Axle遊星減速機用ニードル軸受ユニット

同軸e-Axle遊星減速機用ニードル軸受ユニット

高機能モジュール商品の提供(新領域)

当社は、タイヤの回転を支える自動車の基幹部品であるハブベアリングの軽量化、長寿命化、高効率化を追求しています。これまで、ベアリングと周辺部品とのモジュール化を進め、小型・軽量化や車体への組付性の向上に貢献してきたほか、コアコンピタンスであるトライボロジー技術を活かし、材料・熱処理・グリース・シールなどの改良を進め、長寿命化と低トルク化を実現した商品を市場展開してきました。

脱炭素化社会の実現に向けて、EV車の航続距離延伸に対する課題解決のために、ハブベアリングにはさらなる低フリクション化が求められています。当社は、増ちょう剤を微細化することで耐久性はそのままに、さらに低粘度化した新開発のシール塗布グリースと軸受内部グリースを適用した、「低フリクションハブベアリングV」を開発しました。従来品比で最大約64%の低フリクション化を実現し、電費で約0.75%の改善効果を見込んでいます。

今後もトライボロジー技術の深耕を進め、EV車のさらなる高効率化・高機能化と、顧客の利便性の向上につながるモジュール商品の開発を通じて、カーボンニュートラル実現に貢献します。

低フリクションハブベアリングV

低フリクションハブベアリングV

製造設備の高効率化

カーボンニュートラルと経済成長の両立に向けて、製造業では電力などのエネルギー利用効率の向上とともに、生産性の向上も望まれており、特に製造設備のダウンタイムを最小限に抑えたいという要求が高まっています。近年では、DXやIoT技術の進展に伴い、場所や時間の制約を受けない装置の遠隔監視や自動モニタリング、取得した状態監視情報の活用による商品品質の安定化へのニーズも高まっています。このような製造設備の高効率化、状態監視ニーズに対して、当社はハードとソフトの両面での開発に取り組んでいます。

ハードの面では、業界初となるセパレータ保持器を採用することで、業界最高水準の長寿命化と高速回転対応を両立した射出成形機用ボールねじ支持転がり軸受「IMT軸受」を開発しました。電動式射出成形機のメンテナンスコスト低減やサイクルタイムの短縮化に貢献するとともに、環境にも対応します。

ソフトの面では、一般社団法人Edgecrossコンソーシアムが提供する産業用IoTプラットフォーム「Edgecross」に対応した軸受診断エッジアプリケーション「Bearing Inspector for Edgecross」の販売を開始しました。簡単かつ迅速に軸受の異常診断ができるだけでなく、運転や停止、回転速度など設備の稼働状況を生産現場でリアルタイムに収集・分析することができるため、設備の保全も可能です。

さらに、ハードとソフトを兼ね備えたモジュール商品として、標準の転がり軸受に発電機、センサーおよび無線デバイスを内蔵したセンサー内蔵転がり軸受「しゃべる軸受」を開発し、この度2023年“超”モノづくり部品大賞「機械・ロボット部品賞」を受賞しました。軸受の回転により自己発電し、センサーや無線通信デバイスを動作させ、センシング情報を自動で発信します。またセンサーを軸受に内蔵しているため、装置ハウジングにセンサーを外づけする場合に比べ、感度よく軸受の状態を検出し、より早期での異常検知が可能です。

当社は今後も製造設備の稼働率向上、生産性向上を実現する商品・サービスの開発と提供を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。

しゃべる軸受

しゃべる軸受

軸受再生ビジネス

当社は、製紙用超大形軸受、鉄鋼用大形軸受、鉄道車両用軸受など、さまざまな機械設備で使用された軸受の再生事業への取り組みを進めています。世界各地のこれらのお客さまからのご要求に対し、軸受技術ノウハウに基づく軸受の最適な再生サービスを提供します。さらに、軸受の適切な取扱い方法のトレーニングや機械設備の状態監視サービス、使用後の軸受や潤滑剤の分析サービスなどもあわせて、「安全と快適の提供」や「エネルギーロスの低減」、「資源循環・汚染防止」などの当社グループのマテリアリティに対する総合的な取り組みを拡大していきます。

環境貢献商品の開発

当社は、企業理念として「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」を、環境基本方針の第1項には「自社技術による地球温暖化防止への貢献」を掲げて事業活動を展開しています。当社の主力商品である軸受やドライブシャフトなどは、最終製品のエネルギー損失低減に寄与するため、そのすべてが環境貢献商品ということができ、その中には、先人の功績としてすでに広く社会に普及しているものと、当社の技術力・開発力によりさらに環境貢献度を高めたものが含まれます。また、自然エネルギー商品は、再生可能エネルギーを創出することで、CO2排出量の削減につながる環境貢献商品です。
当社では、それらの環境貢献度を当社基準に基づいて数値化し、よりグレードの高い環境貢献商品の開発・提供によって企業理念を具現化するよう不断の努力を続けています。

環境貢献商品の定義

NTN商品の分類・グレードと定義

当社では、1997年頃の性能を持つ商品をベンチマークとし、商品ごとに定めた環境ファクタ基準に照らして、環境貢献商品をS~D-ecoグレードの5段階に分類しています。

NTN商品の分類・グレードと定義

環境ファクタ・環境効率の算出方法

当社では、商品の環境貢献度を数値化するため、以下の①式および②式で定義される環境ファクタおよび環境効率を採用しました。

環境ファクタ・環境効率の算出方法

取り組み成果の推移

当社売上高の約5割を占める主要商品であるドライブシャフトおよびハブベアリングと、自然エネルギー商品の2023年度のCO2削減貢献量は161.3万トンとなり、近年の開発成果と言えるS~B-ecoグレードの環境貢献商品の売上比は、2024年3月期には55.7%となりました。

売上高の推移

売上高の推移

環境貢献商品グレード構成比の推移(ドライブシャフトおよびハブベアリングなど)

環境貢献商品グレード構成比の推移(ドライブシャフトおよびハブベアリング)

CO2削減貢献量

CO2削減貢献量