2023年度のCSR活動をご紹介します。
コンプライアンス
コンプライアンスに対する基本的な考え方
当社は、持続可能な社会に貢献し、「社会に必要な企業」であり続けるためには、社会からの信用を獲得することが必要不可欠であると考え、経営の基本方針の中にコンプライアンスの重視を掲げています。
当社では、コンプライアンスを各国の法令遵守に加え、社内規程、社会的規範も遵守することととらえており、役員および従業員が遵守すべき行動の指針を「業務行動規準」に定めています。
推進体制
当社は、グループ全体でコンプライアンスに関する諸規程の整備を行うとともに、「コンプライアンス委員会」と「公正取引監察委員会」を設置、運営し、両委員会の活動を軸にコンプライアンスを推進する体制を構築しています。
コンプライアンスに関しては、国内では各事業所および子会社でコンプライアンス推進活動管理者を選任し、コンプライアンス推進活動を実施しています。独禁法に関しては、法務部が子会社も含めて日本国内の独禁法遵守活動を統括しています。海外では各地区の総支配人室に設置している企画・内部統制部を中心に、各委員会で審議された活動計画を実施しています。定期的な研修会や重要課題に関する情報共有や意見交換を行うことで、グループ全体のコンプライアンス活動の充実化を図っています。
■体制図
主なコンプライアンス強化施策
| 分類 | 施策 | 開始時期 |
|---|---|---|
| 体制/方針/ルールの整備 | 安全保障輸出管理に関する社内規程類の制定 | 1993年 12月 |
| ヘルプライン(内部通報制度)の設置、運用 | 2003年 4月 | |
| 「業務行動規準」を制定 | 2003年 5月 | |
| 業務行動規準ガイドブックの配布(2018年に改訂版を配布) | 2003年 5月 | |
| 「ヘルプライン管理規程」の制定 | 2006年 11月 | |
| 公正取引推進室(現・法務部 コンプライアンス・公正取引推進グループ)を設置 | 2012年 4月 | |
| 「公正取引管理規程」など、独禁法遵守に関する社内規程類の制定 | 2012年 4月 | |
| 公正取引監察委員会を開催 | 2012年 5月 | |
| 「カルテル防止に向けた5原則」を策定、携帯カードの配布 | 2012年 8月 | |
| 独禁法遵守ハンドブック (現・「独禁法遵守の心得」2016年7月改訂)を配布 |
2012年 12月 | |
| CSRグローバル会議を開催 | 2015年 1月 | |
| 「コンプライアンス推進活動管理規程」の制定 | 2015年 4月 | |
| コンプライアンス推進活動管理者を設置 | 2015年 4月 | |
| コンプライアンス委員会を開催(年2回) | 2015年 4月 | |
| 取引先さま向けにコンプライアンスの内容を含む 「NTN CSR調達ガイドライン」を発行 |
2016年 4月 | |
| 7月26日を「コンプライアンスを考える日」として制定、 社長メッセージを発信(年1回) |
2016年 7月 | |
| 贈収賄防止に関する社内規程類の制定 | 2017年 4月 | |
| 贈収賄防止に関する社内手続き(財物・利益の提供管理)を導入 | 2017年 4月 | |
| 贈収賄防止に関する社内手続き(第三者管理)を導入 | 2019年 4月 | |
| 贈収賄防止に関する社内手続き(財物・利益の受領管理)を導入 | 2019年 8月 | |
| 改正公益通報者保護法の施行にあわせて「ヘルプライン管理規程」を改定 | 2022年 6月 | |
| 教育/啓発活動 | ニュースレター「法務情報」の発信 | 1997年 1月 |
| 重要関連部署を対象に法務部などによる特定テーマ(独禁法遵守、贈収賄防止、安全保障輸出管理、ハラスメント防止など)に関する研修を実施(随時) | 2012年 1月 | |
| 執行役員を対象に特定テーマ(独禁法遵守、贈収賄防止、安全保障輸出管理、ハラスメント防止など)に関する研修を実施(随時) | 2012年 8月 | |
| 新任管理職、新入社員などを対象に、階層別に法務部によるコンプライアンス研修を実施(随時) | 2015年 4月 | |
| 事業所ごとにコンプライアンス推進活動管理者による独自のコンプライアンス研修を実施(随時) | 2015年 4月 | |
| コンプライアンス推進活動管理者・担当者を対象に、法務部による集合研修会を実施(年1回) | 2015年 4月 | |
| 子会社社長を対象に、法務部によるコンプライアンス研修を実施 | 2015年 12月 | |
| コンプライアンス関連事例や推進体制の紹介など、情報共有のためのデータベース「NTN's Compliance」を運営 | 2016年 8月 | |
| eラーニング(贈収賄防止・独禁法)を実施(年1回) | 2017年 4月 | |
| 監査/モニタリング活動 | 安全保障輸出管理に関する自己監査・内部監査を実施 | 1995年 10月 |
| コンプライアンス意識調査を実施 | 2008年 9月 | |
| 独禁法遵守に関する監査を実施 | 2012年 11月 | |
| 子会社社長のコンプライアンスに対する姿勢調査を実施 | 2017年 4月 | |
| 贈収賄防止規程類に関する監査を実施 | 2018年 5月 |
業務行動規準
NTNグループ会社の役員および従業員一人ひとりが事業活動において遵守すべき基本的な行動の指針として、26項目からなる「業務行動規準」を定めています。
これらを掲載した携帯カードと内容を分かり易く解説した「業務行動規準ガイドブック」を役員・従業員に配布しており、海外グループ会社においても、現地版のガイドブックを作成し、NTNグループ全体でのコンプライアンス推進を図っております。
<業務行動規準>
- 法規範の遵守
- 品質・安全性の追求
- 独占禁止法の遵守
- 調達先との公正な取引
- 契約の遵守
- 取引先との不正行為の拒絶
- 適正な表示
- 知的財産権の尊重
- 機密情報の適切な管理
- 安全保障輸出管理の徹底
- 各種業法の遵守
- 企業会計原則の遵守
- 国際ルールの遵守
- 環境保全の推進
- 積極的な社会貢献
- 労働関係法令・就業規則の遵守
- 安全で働きやすい職場環境の実現
- 人権尊重
- セクシュアル・ハラスメントの禁止
- 個人情報の適切な管理
- 公私の峻別
- 反社会的勢力との関係断絶
- 情報システムの適切な使用
- インサイダー取引の禁止
- 接待・贈答の自粛
- 適法な寄付・政治献金
「コンプライアンスを考える日」の活動
過去にカルテル行為の疑いを受け、公正取引委員会による立入検査のあった7月26日を、当社グループ全体でコンプライアンスの重要性を再認識するための活動を実施する「コンプライアンスを考える日」として制定しています。
「コンプライアンスを考える日」では、社長から国内外の当社グループの従業員に向けて事業活動におけるコンプライアンスの重要性を説くメッセージを発信するなど、従業員のより一層のコンプライアンス意識向上に向けた取り組みを行っています。
コンプライアンス意識調査の実施
従業員を対象に、「コンプライアンス意識調査」を年1回継続的に実施しています。
コンプライアンスに関する教育・啓発活動の成果や業務行動規準の浸透度などを評価するとともに、職場で内在するハラスメントやコンプライアンス違反がないかを匿名式で確認しています。本調査結果は、経年でモニタリングし、取り組み課題を抽出することで、次期の教育・啓発活動に活用しています。
社内風土に関する調査の実施
当社グループは、2018年3月期より不正防止活動の一環として、関係会社社長のコンプライアンスに関する姿勢と組織風土について、従業員の評価を調査しています。
企業内における不正は、動機・プレッシャー、機会、正当化のトライアングルが成立した場合に発生確率が高くなると言われており、規則・ルールや罰則の整備を進めると同時に、組織風土および環境の整備も重要なため、従業員の評価を通して、関係会社の組織風土の変化を定期的に確認しています。
本調査結果は、関係会社社長に対して公開することで、常に社内や本社から見られているという意識づけによる「不正を起こす気にさせない」風土づくりと、従業員とのより良い関係づくりに活用しています。
2022年3月期より調査の有効性や効率性の向上を目的に、社長交代などがあった関係会社を対象とし、2024年3月期は11社(国内2社、海外9社)の従業員約650名を対象に調査しました。
■関係会社の社長の姿勢を「良い」と評価した従業員の割合(平均)
ヘルプライン(内部通報制度)
法令や業務行動規準、社内規程に違反する行為や違反する恐れのある行為に関する相談を記名・匿名を問わず広く受け付ける窓口として「ヘルプライン(内部通報制度)」を社内・社外に設置しています。守秘義務や、相談者や調査協力者に対する不利益な取り扱いの禁止などのルールを遵守して調査対応を行うことを「ヘルプライン管理規程」に定めた上で、ハラスメントなどの各種相談対応を行っています。またヘルプラインは、違反行為の通報手段としてだけでなく、業務行動規準遵守に関する疑問や意見を述べる手段、会社と役員、従業員および取引先さまとの良好な関係を維持する手段としても活用しています。日本においては、2022年、改正公益通報者保護法の施行にあわせて本規程を改定し、保護対象者の拡大や保護の強化など、法の趣旨に沿った運用を行っています。2024年3月期の内部通報件数は21件で、相談対応率は100%でした。また海外においても、各地区のニーズと実情にあわせて地区ごとの内部通報制度を順次整備・運用しています。
従業員へは各種コンプライアンス研修や業務行動規準ガイドブックへの掲載を通して周知を行っており、ヘルプライン認知度は93.8%でした(2024年3月期「コンプライアンス意識調査」結果)。今後も継続して周知活動および相談対応を行い、不正を早期に発見して従業員を守る企業として、従業員が安心して働ける職場づくりに取り組みます。
■体制図
贈収賄防止の取り組み
近年、当社ではコンプライアンスの中でも、贈収賄防止の取り組みに重点を置いており、さまざまな活動を行っています。
(1) 規程類・体制の整備
当社では、贈収賄に関する統括部門である法務部を中心に、日本および海外各国の贈収賄関連法令や社会規範を踏まえた社内規程類を整備し、運用しています。社内規程類では、国内外の公務員や取引先さまとの贈収賄を禁止するだけでなく、役員・従業員による財物・利益の提供に関するルールと手続き、ビジネスパートナーを介した贈収賄を防止するためのルールと手続きを定めています。また、民間の企業間の財物・利益の授受を規制する国もある中、役員・従業員による収賄を防止するとともに、公正な取り引きの徹底と、役員・従業員による利益相反行為の防止を図るため、財物・利益の受領に係るルールと手続きを定め、取引先さまからの接待・贈答などは原則としてお受けしないこととしています。
海外においては、国ごとの関連法令や社会規範を踏まえた各国版の社内規程類を整備、運用しており、それらに係る監査活動も随時実施しています。法務部では定期的に海外各地区の企画・内部統制部と双方の関連する取り組みについての情報共有や意見交換を行いながら、当社グループ全体で贈収賄を防止する体制を維持・管理しています。
(2) 教育・啓発活動
業務で関連する従業員に対しては、贈収賄防止についての啓発を行うとともに、贈収賄防止の基礎知識、社内規程や手続きに関するeラーニングの受講を必須としており、適宜、研修を実施しています。特に、各事業所と子会社ごとに選任しているコンプライアンス活動管理者・担当者へは、毎年研修を開催し、ルールの遵守状況などを共有しています。
また、法務知識の醸成やコンプライアンス違反リスク低減の目的で毎月発行・周知している「法務情報」においても、贈収賄に関する違反事例や制裁内容、法改正の概要などについても随時取り上げ、贈収賄防止に対する意識を高める取り組みを行っています。
【2024年3月期の主な贈収賄防止関連の研修実績】
- 役員向け贈収賄関連法違反リスクeラーニング
- 従業員向け贈収賄関連法違反リスクeラーニング(製造現場を除く従業員対象)
- コンプライアンス推進活動管理者・担当者研修会
- 新任管理職・新入社員対象コンプライアンス研修
- 海外各地区における贈収賄防止研修
(3) 監査
当社における贈収賄防止の取り組みが、関連法令や社内規程などに基づき、適正に実施されているのか実態把握と評価を行うため、定期的に監査を実施しています。
国内では、法務部の指示のもとで各部門の責任者が行う「自己監査」および経営監査部が行う「内部監査」を年1回継続して実施しており、2024年3月期は、全部門を対象に実施しました。
海外でも、各地区の企画・内部統制部が自己監査の指示や内部監査を定期的に実施しております。
監査の結果、重大な違反行為などは発見されませんでした。今後も継続して贈収賄防止体制の強化に取り組みます。
なお、過去10年間において、当社グループで贈収賄関連法令への違反行為により各国当局から摘発を受けた事実はなく、これに伴う支出もありません。また、贈収賄防止に関する規程に違反したことを原因として懲戒処分を受け、または退職した者もおりません。
独占禁⽌法遵守の取り組み
当社は、独禁法違反をグループ全体のリスクととらえており、独禁法遵守の徹底のため、法務部および海外各地区の企画・内部統制部が、各国の法律や環境に合致したさまざまな取り組みを行っています。
(1) 従業員の⽇々の意識づけ
独禁法遵守にかかる基本方針を、「CSR基本方針」や「業務行動規準」において明示するとともに、2012年8月には独禁法違反を起こさないため、また独禁法違反から自分を守るために必要な行動指針として「カルテル防止に向けた5原則」を策定しました。これらを掲載した携帯カードを従業員に配付し、意識の浸透を図っています。さらに、同年12月、独禁法遵守に関する諸規定の理解を促すため「独禁法遵守ハンドブック」を配付しました。2016年7月には、具体的な禁止行為事例集を追加し、同ハンドブックを「独禁法遵守の心得」と題した新たな冊子として刷新し、従業員に配付するとともに教材としても活用しています。
(2) 競合他社との接触を予防・監視
役員・従業員に対して、展示会や会合などいかなる場合においても競合他社と接触する可能性のある場合は事前申請・事後報告を行うよう義務づけており、競合他社との接触状況を把握できる体制を構築しています。
(3) 教育・啓発活動
役員・従業員の独禁法遵守に対する意識をより高めることを目的に、継続的に研修を実施しています。
また、「コンプライアンスを考える日」において、毎年、経営トップ自らが「社長メッセージ」としてグループ全従業員に、「カルテルなど不正な行為による利益は決して求めていない」ということを繰り返し訴求しています。
今後も、引き続き研修や啓発活動の内容充実に努め、公正で自由な競争の実現を図ります。
【2024年3月期の主な独禁法遵守に関する研修実績】
- 役員向け独禁法遵守研修
- 営業部門向け独禁法遵守研修
- 階層別独禁法遵守研修(職種や所属部門を問わず、新任管理職、新入社員を対象に実施)
- 海外各地区における独禁法遵守研修
(4) 監査
当社における独禁法の遵守が、関係法令や社内規程などに基づき、適正に実施されているのか実態把握と評価を行うため、定期的に監査を実施しています。
国内では、法務部の指示のもとで各部門の責任者が行う「自己監査」および経営監査部が行う「内部監査」を継続して実施しており、2024年3月期は、国内19部門を対象に実施しました。
海外でも、各地区の企画・内部統制部が自己監査の指示や内部監査を定期的に実施しております。
監査の結果、重大な違反行為などは発見されませんでしたが、独禁法遵守体制のさらなる強化に向け、監査の中で指摘された事項について改善を行います。