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2023年度のCSR活動をご紹介します。

社外取締役 会談

NTNレポートでは、NTNの経営やサステナビリティの諸課題について、毎年社外取締役の皆さまの議論の場を設け、その内容を「社外取締役 会談」として掲載しています。
今年は取締役会議長の小松取締役と長年当社の取締役を務めていただいている川上取締役、昨年6月に取締役に就任された木谷取締役に、NTNの現状と課題について辛口の本音をお話しいただきました。

社外取締役 会談

テーマ1 中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2の振り返り

―NTN再生に向けた中期経営計画「DRIVE NTN100」Phase 2は、2024年3月期に最終年度を迎えました。3年間の取り組みを振り返っての評価をお聞かせください。

木谷様:

2022年3月期にスタートした「DRIVE NTN100」Phase 2(以下「Phase 2」)では、赤字から脱却し、利益率を上げ、キャッシュ・フローおよび財務体質を改善するための取り組みを進めてきました。2024年3月期はその最終年度にあたり、振り返りを行いましたが、残念ながら、「よくできました」と太鼓判を押せるような総括ではありませんでした。
数値目標のうち、売上高やフリー・キャッシュフローは目標を達成したものの、営業利益、営業利益率、棚卸資産回転率、ROIC、ROEが未達に終わりました。また、調達改革や新商品開発などに課題を残しました。生産再編については、軸受の外部生産委託を進めたものの、当初の計画からは遅れが生じています。
一方、良かったと思うのは、「価格の交渉」です。インフレコストを含めて、基本的にはすべてを売価に転嫁するという方策を採り、低採算取引についても値上げ交渉を進めました。現状では地域・客先により交渉の結果にばらつきがあるものの、Phase 2の最終年度に自動車事業が通期で営業黒字へ転じたことは、成果のひとつとして評価に値すると思っています。

小松様:

投資家からは、「Phase 2が目標未達であっても期待はしている。しかし、次の中期経営計画では本当に結果を出せるのか」という声も耳にしています。

写真:小松 百合弥 様

木谷様:

現状、企業価値の面においては、足下のPER、PBRの数値が示しているように国内の競合他社と比べて見劣りはしていません。むしろ優位にある状況です。ただし、海外の競合と比べると、彼我の差はまだまだ大きく、その差を詰めていくためにはさらなる改革と進化が必要ですが、体力的にまとまった額の投資ができないことが弱点だと認識しています。

川上様:

これまで投資が抑制されてきたのは、2010年の価格カルテルの影響が大きかったと思います。カルテルの問題を起こすと広範なダメージを負い、そのダメージを回復するのに10年単位の時間がかかると言われています。当社にとって、このマイナスの影響がようやく収束し、Phase 2の終わりになって解消してきたように感じています。

木谷様:

そうですね。当社はPhase 2の3年間、投資キャッシュ・フローを減価償却費以下の規模に絞り、合計600億円弱しか予算を組みませんでした。
また、リスクの面で言うと、かつてのNTNにとって、自動車事業の比率が高いことはリスクでした。しかし直近期においては、計画対比の実績という観点では、その自動車事業が当社の業績を支えており、代表的な商品であるハブベアリングとドライブシャフトは世界トップクラスのシェアを誇っています。軸受の利益率が高いのは依然として産業機械事業ではあるのですが、自動車事業における技術的な優位性を活かして、「選択と集中」を進めていくことで、利益率を改善していくことが大事だと考えます。

テーマ2 新中期経営計画「DRIVE NTN100」Final について

―2024年5月に発表されました、新中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalについてお聞かせください。

小松様:

新中期経営計画「DRIVE NTN100」Final(以下「新中計」)で最も大切なところは、これからの3年間で、利益改善や財務体質の強化に向けた構造改革を本気で終わらせるということです。このような認識は当社の取締役全員が共有しています。
確かに、以前に比べ、財務や営業利益率などの数値は改善しており投資家は一定の評価をしていると思います。しかし、利益率については投資家が求める水準には達していませんし、在庫回転率やキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)は改善していません。従業員の頑張りが、持続的成長を支えるに足るキャッシュ・フロー創出につながる仕組みが必要だと考えています。
このような問題を解消するため、新中計では、商品別にセグメントを切り、責任を明確化する体制へ、組織改革を行いました。これにより、個別のビジネスに関するデータを継続的にチェックすることがスムーズになり、事業継続の可否を議論する素地が整います。これらが、新中計の第一のポイントです。
第二のポイントは、OEMビジネスの競争力強化に向けて、生産再編を本格化し、構造改革をやりとげることです。リターンが資本コストを下回る商品を廃番にすることで、CCCが改善するものと思われます。

木谷様:

先ほど申し上げた投資の規模について、新中計では、減価償却費に見合う約1,200億円を投資キャッシュ・フローとして見込んでいます。これはPhase 2の2倍の規模に相当します。
加えて、Phase 2にはなかった施策として、特別損失を予算に組み込みました。売れない商品や売れても儲からない商品を廃番にすると、生産設備などの改編が必要となり、時には特別損失が発生します。このような痛みを乗り越えてでも、日々の収益性、稼ぐ力を上げようという思いが込められています。この点はとても評価できることだと思いますし、構造改革が進むだろうと期待が持てます。

小松様:

構造改革を進めるスピードが遅いと傷が深くなってしまうことが危惧されます。ですから、私は「スピード感が大切」と以前から申し上げてきました。
このような面に対して、新中計では、人事評価の基準として「在庫水準」が採用されました。人事評価とリンクのない施策は動きませんので、今回、人事にメスを入れたことは評価できると思います。
また、トップダウンの指示に対する現場責任者の対応も、構造改革を進めるスピードに大きく関わってきます。Phase 2の3年間、鵜飼社長は「赤字の商品はやめていい」とずっと言い続けてきました。それがPhase 2の3年目にやっと実を結んできました。これから新中計へ移行することによって、社長の指示に対する現場の対応もさらに速くなってくるのではないでしょうか。

川上様:

同感です。ガバナンスに関わる話になりますが、NTNは2019年に「指名委員会等設置会社」という、日本ではまだ数少ない機関構成の株式会社になりました。
指名委員会等設置会社のメリットは、業務執行の意思決定を取締役会というボードではなく、執行役が責任を持って決定できることです。このことから、スピード感を持って施策を決定することが可能になっています。
ただこれまで、長きにわたる監査役会設置会社での業務執行プロセスの文化が根づいていて、指名委員会等設置会社の機動性が十分に発揮できていなかったように思います。
新中計では、軸受事業、CVJアクスル事業という商品軸へ組織体制が変わり、業務執行の意思決定のプロセスとラインがより明確化されました。このような商品軸による組織体制は、指名委員会等設置会社という機関構成と相性が良いものと思われます。これから、構造改革のスピード感が一層上がっていくと期待しています。

写真:川上 良 様

木谷様:

従来は地域軸が強く、事業別のグローバルな統率力に課題がありました。組織改編と同時に決裁権限見直しもされて縦軸がしっかり入り、海外事案の決裁権限が事業本部長にも与えられることで、改善が図られると思います。これも大いに期待できる点だと思います。

テーマ3 ガバナンスの現状について

―指名委員会等設置会社における、指名委員会・報酬委員会・監査委員会という委員会のメンバーとしての活動についてお聞かせください。

木谷様:

監査委員会では委員長として、前任者の軌跡をたどりながら手探りで取り組みを進めてきました。現場の監査は、これまで海外を含め延べ62ヵ所行いました。現場におけるエラーの把握や経営陣のインタビューを通じて、その裏側にある内部統制上の問題を委員会で突き詰め、改善策を提案しています。
監査委員長として日々遭遇するさまざまな問題については、3ヵ月に1回、取締役会で報告します。この報告に対して、CEO以下、取締役の方々がビビッドに反応して、スムーズに対策を打っていただいており、とても良い手ごたえを感じています。
しかしながら、我々の取材力にはまだ課題があると感じています。これからは経営監査部や内部統制推進部と協力して、監査の精度をより高めていき、優先順位を明確にしながら、監査を進めていきます。このような活動によって、現場のエラーを防止するとともに、会社全体のガバナンスレベルを向上させていきたいと思います。

写真:木谷 泰夫 様

小松様:

報酬委員会では、執行役の報酬について議論しています。これまで、報酬の制度や評価について、数多くの議論を重ねてきました。22年度および23年度は、各執行役のパフォーマンスについて厳しくメリハリのある評価をしましたし、役員報酬の中身、つまり、固定と業績連動の比率が6:4であるのを見直し、業績連動の比率を増やす方向へ変更する提案も行いました。
このような提案に対し、社長がきちんと検討してくださっているという点において、受容度の高い報酬委員会だと思います。そのおかげで、執行役それぞれに個人目標を設定し、それに対してプラスマイナスの評価をする施策も浸透してきました。
これから新中計の目標が達成され、好循環が生まれたら、執行役の報酬として、固定費はそのままに業績インセンティブの比重を高めていただくことも提案しています。
また、当委員会の課題として、各執行役の目標設定が妥当かどうかの検証作業があります。この課題については、今後、執行役のレポートに対して、報酬委員会でチェックすることで解決するのではと考えています。
なお、執行役の業績連動報酬を決定する指標については、売上高、営業利益率、ROIC、棚卸資産回転率などのKPIを採用しており、他社に比べて先進的だと評価しています。

川上様:

指名委員会は、2021年に大久保前社長から鵜飼社長に継承された際、有効に機能したと考えています。当時、NTNが置かれていた厳しい状況と環境の中で議論を重ねて、「この方が一番適切だ」という方を選ぶことができたと思います。
指名委員会の課題として認識しているのは、サクセッションプランです。当社が、中長期的に、さらには100年後にどうあるべきかを考えた上で、どのような人物にリーダーになっていただきたいのか、それをどのような基準で選ぶのか、また、そのためにどのようなキャリアプランが良いのかとなると、なかなか難しく、議論の途上というところです。 途上である今は、次世代人材についてはグローバルにキャリアを積んでいただき、その取り組みと成果を見ながら、適切な人材をどう選ぶべきかについて委員会で議論しています。
また、サクセッションプランではガバナンスの強化の視点も大切で、NTNも「ガバナンスの強化」をマテリアリティとしています。このNTNのマテリアリティは、年2回開催するサステナビリティ委員会で検討・チェックが行われ、その結果が取締役会に報告され議論されています。また、マテリアリティは時代や社会の変化に応じて、常に見直し・改善の対象となっています。
「マテリアリティが何か」というのは大きな問いであり、誰にとってのマテリアリティなのかは、常に考えていくべきことです。現在、NTNがマテリアリティとして特定している事項に漏れはないと思いますが、変化が速い社会情勢の中で、検証と見直しをしていくことを忘れてはならないと思います。

テーマ4 今後に向けた抱負について

―NTNは新中期経営計画のもと、新たな一歩を踏み出しました。今後に向けての抱負をお聞かせください。

木谷様:

私は監査委員会と指名委員会に所属していますが、これまで、どちらかというと活動量が多かったのは監査委員会に関する活動の方です。現場を訪問しながら、多くの方々にインタビューしています。そういった活動の中で、内部統制上の綻びを見逃さないことが肝心と思っています。とはいえ、会社としてすべての問題に対して同等に対応することは体力的にも無理があるので、監査委員として優先順位を明確化しながら、意見具申していき、実効性のある改善が図られていくことをサポートしていきたいと思っています。
併せて、これから指名委員としての活動も増えていくことと思います。中堅幹部層の顔ぶれをしっかりと把握し、インタビューを通じてどのような人材がいるのか理解した上で、次代を背負うべき人材の要件と照らし合わせながら認識を高めていき、指名委員会の活動に貢献していきたいと思います。

川上様:

法律家の一般的なイメージとして、コンプライアンスに照らして、これはダメ、あれはダメと、ブレーキを踏んでいる姿を思い浮かべる方が多いのかもしれません。株主からNTNの社外取締役に弁護士が選任されている意義は、もちろんコンプライアンスの遵守が基礎にあります。しかしながらリスクの軽重にかかわらず一切リスクは取らないとなると、会社として成り立ちません。会社として、リスクをとらなければならない場面もあると思います。違法、不適切、非合理的な行為は論外ですが、NTNが経営判断としてリスクをとらなければならない時には、良きナビゲーターとして、どんなリスクが存在するのか、その法的評価とコンプライアンスに与える影響を明らかにし、合理的かつ適切な判断を行える環境を作り上げる存在でありたいと考えています。

小松様:

2020年に取締役に就任し、2022年からは取締役会の議長を務めています。4年以上当社の取締役会を見てきて、経営のスピードはかなり上がってきました。ただ、先ほど申し上げたように在庫やCCCの改善など課題は多いです。新中計で掲げた目標達成に向けて、さまざまな施策が始まっていますが、それをしっかりモニタリングして、できないところは原因を追究し、どうすればできるのか、一緒に考えていくことが私たち社外取締役の役割です。新中計は“Final”と名づけられました。この3年で当社の改革が終わり、再生が果たせるよう、しっかり役目を果たしていきたいと考えています。

新任取締役メッセージ

写真:新任取締役 塔下 辰彦 様

社外取締役
塔下 辰彦

私は、鉄鋼製品流通の世界で営業とともに国内外での事業経営に長らく携わりました。直近では鉄鋼商社の経営責任者として、「時代の変化に適応し、成長し続ける組織」を創るべく企業理念の再定義を行い、収益構造の変革に取り組んでまいりました。
これらの経験を通じて、成果とともに多くの失敗により得た知識・教訓を活かし、NTNの持続的な企業価値向上、ステークホルダーの皆さまの価値創造に資する継続的活動に尽力してまいる所存です。
先ずは、取締役ならびに執行役、そして従業員の皆さまとの緊密なコミュニケーションを心掛け、現場に足を運び情報共有、実情把握に努めてまいります。同時に議論においてはOpen-mindedな意見交換により、健全な緊張感を醸成できるように努めたいと存じます。
経営計画の遂行においては、中長期の視点と着実な成果を常に意識し、従業員の皆さまとともに当社が抱える諸課題に速度を上げて取り組んでまいる所存です。当社へ引き続きのご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。