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2021年度のCSR活動をご紹介します。

従業員との関係

人的資本の考え方

当社グループでは、ESG課題のひとつに「豊かな人づくり」を掲げています。「変革に挑戦する次世代を担う人材の確保」「従業員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」「職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成」「安全・健康に働き活躍できる職場環境の実現」「人権の尊重」を柱に、具体的な取り組みを進めています。

労働安全衛生の推進

安全衛生基本方針

当社グループで働くすべての人の安全と健康の確保は、経営の基盤として、あらゆる事業活動に優先する最も大切な価値であり、この基本姿勢のもと、安全で健康的に働き活躍できる職場環境の実現を目指します。
以下の6項目を基本原則にして、安全衛生基本方針を策定しています。
当基本方針を、従業員、株主、お客さま、取引先さまなどへ示すことで、従業員および組織の安全意識を高め、より一層の企業価値向上を図っていきます。

安全衛生基本方針の骨子

  • 1.法令等の遵守
  • 2.労働安全衛生マネジメントシステムの運用による継続的改善の推進
  • 3.危険・有害リスクの排除および低減
  • 4.教育訓練の推進
  • 5.心と身体の健康増進
  • 6.安全文化の醸成

安全重点施策

安全衛生基本方針のもと、次の3つの重点施策を柱として、安全衛生活動を推進していきます。

重点施策3本柱

重点施策3本柱

安全に強い人づくり

社内研修で各事業所に複数人のリスクアセスメント(RA)トレーナを養成し、職場単位でRAトレーナによるRA実施指導を行い従業員のRA能力向上を推進しています。同様に危険予知(KY)トレーナを養成し、職場単位でKY訓練を展開し従業員のKY能力向上を図り、不安全行動をしない・させない安全に強い人づくりをしています。
また、ヒューマンエラーを防ぐ取り組みとして職長に対し、状況認識・意思決定・コミュニケーション・リーダーシップのようなシステムや知識だけではカバーできない社会的スキルの向上を目的とした研修を実施しています。そのほか、セーフティアセッサ資格制度を活用し、設備の本質安全化を推進できる技術者を育成しています。

設備の本質安全化

設備に対して導入時、導入後一定期間経過時、設備や作業変更時、安全パトロール指摘時やヒヤリハット発生時にリスクアセスメント(RA)を行い、設備の本質安全化を図っています。
RAで顕在化されたリスクに対しては作業の見直しによる本質的対策から安全カバーやインターロックなどの工学的措置による安全対策を実施しています。次に管理的対策(手順書やルールなど)や保護具によるリスク低減を検討します。残されたリスクは全社統一の残留リスク管理運用に則り、残留リスク管理表に記載、これをもとに設備には残留リスクレベルを表示するシールを貼って見える化し、作業者へは当該設備の残留リスク教育を実施し危険個所の周知をしています。

安全を支える仕組みづくり

当社グループの安全を支える仕組みづくりとして労働安全衛生マネジメントシステムの導入を進めています。マネジメントシステムを継続的に運用していくことで法令遵守と安全衛生水準の向上を図っていきます。
当社の製造事業所のすべてで国際規格であるISO45001*1の認証取得を完了しています。
国内製造関係会社においても、2社がISO45001の認証取得を、8社がOSHMS*2の認証取得を、2社がGSC*3の評価取得を完了しています。現在4社の関係会社においてGSCの評価取得を推進中です。
海外関係会社においても3社がISO45001の認証を取得しています。

  1. ISO45001:労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格
  2. OSHMS:厚生労働省の「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針(OSHMS指針)」に準拠した国内規格
  3. GSC:厚生労働省の中小規模事業場労働安全衛生評価事業(グッド・セーフティ・カンパニー)

安心して働ける職場づくり

火災・自然災害などへの対策強化

当社グループは従業員の安全確保を最優先に、各拠点にて火災や地震などの災害を想定した総合防災訓練を毎年実施しているほか、個別訓練も定期的に実施しています。
また、リスクコンサルティング会社による製造拠点のリスク・サーベイを定期的に実施しています。火災や自然災害などに対するソフト・ハード面の対策状況の客観的評価を受けることで、更なる対策強化を図っています。
日本国内では災害発生時に従業員の安否状況を確認するための安否確認システムを導入しており、毎年全体の登録訓練を実施しているほか拠点別の訓練なども都度実施することで、万が一の災害発生時でも迅速に安否状況を確認できる体制の構築に取り組んでいます。

健康経営の推進

健康宣言・禁煙宣言

当社は、従業員とその家族の健康が、当社グループの持続的に成長していく上での基盤であると認識しています。当社は「安全衛生基本方針」のもと、戦略的な健康経営の姿勢として、「健康宣言」を発布し、職場の健康づくり・心の健康づくり・身体の健康づくりの諸施策を推進しています。
また、2023年までに従業員の喫煙率を20%以下にすることを目指し、「禁煙宣言」を発布し、受動喫煙を含む喫煙の健康リスク低減に向けた取り組みを推進しています。

健康宣言

健康宣言

禁煙宣言

禁煙宣言

*健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。

健康経営優良法人(ホワイト500)2年連続の認定

当社の取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議から優れた健康経営を実践している企業として「健康経営優良法人2022(大規模法人部門)」の上位500法人である「ホワイト500」の認定を受けました。今年で2年連続の認定となります。
2022年度は、健康経営優良法人(大規模法人部門)に2,869法人が申請し、特に優良な健康経営を実践している法人として、当社も含め上位500法人が「ホワイト500」として認定されました。

健康経営優良法人(ホワイト500)の認定ロゴ

健康経営優良法人(ホワイト500)の認定ロゴ

健康経営の取り組みの変遷

「安全衛生基本方針」である安全衛生の理念は創業当初からの考えであり、当社は過去より健康経営に積極的に取り組んで参りました。
具体的には、身体の健康づくりは、1985年よりNTN健康保険組合とともに全従業員を対象にした体力測定や運動指導、健康教室などを実施してきました。メンタルヘルス対策は、2002年より産業カウンセラーによる全員面談の実施、2003年より生活状況調査(ヘルスチェックシート)に職業性ストレス簡易調査票項目を追加してメンタルヘルス指針に沿ったセルフケア中心の取り組みをするなど、早期から積極的に取り組んできました。受動喫煙防止対策は、2004年より取り組んでいます。
ワークライフバランス対策は、1980年代より労働組合とも協調して有給休暇取得率向上を図り、現在は平均取得率80%以上を維持しています。
これら健康経営の取り組みが、日刊工業新聞社の「進む健康経営」(2022年3月30日付)や、㈱ドクタートラストの取引先インタビューに紹介されました。

受動喫煙防止対策

オンライン禁煙プログラムの導入

2004年より本社・営業拠点の就業時間内禁煙を開始するなど、過去より積極的に受動喫煙防止対策に取り組んで参りました。また、従業員の禁煙意向度が高まる施策として、2008年より「禁煙チャレンジ(禁煙プログラム補助)」制度を開始しました。
さらなる禁煙施策の強化として、2021年より専門スタッフとメールやチャット相談できる「オンライン禁煙プログラム(禁煙プログラム補助)」を開始しました。

*禁煙に挑戦することを表明した従業員がニコチンパッチ等の費用の補助を受け、禁煙に取り組む制度。

NTNの喫煙率の推移

NTNの喫煙率の推移

禁煙サポーター制度の新設

当社では、喫煙率の低下に向け、禁煙支援施策を拡充し、禁煙に取り組みやすく、会社一丸となって禁煙をサポートする体制を整えています。
2021年より、禁煙挑戦者の従業員が自身の禁煙を応援する非喫煙者の従業員をサポーターとして応援する「禁煙サポーター制度」を新設しました。禁煙挑戦者が一定期間の禁煙に成功すると、禁煙挑戦者、サポーターには当社指定の健康アプリ上でポイントが付与され、ポイントは景品と交換することができます。
また、禁煙挑戦者・禁煙サポーターは当社独自のミニのぼりを使って職場に周知し、上司や同僚からの支援・サポートを図っています。

禁煙挑戦中、禁煙サポート中を示すミニのぼり

禁煙挑戦中、禁煙サポート中を示すミニのぼり 禁煙挑戦中、禁煙サポート中を示すミニのぼり

メンタルヘルス対策

復職支援の強化

過去よりメンタルヘルス不調の未然防止と早期対応に取り組むとともに、不調になっても戻りやすい環境づくりとして2000年から心の健康問題により休業した従業員の職場復帰支援を実施してきました。従来はメンタルヘルス不調のみの対象でしたが、私傷病も含めて適切な職場復帰対応ができるよう2021年に「私傷病休業者の復職支援マニュアル」を規程化し、従業員への周知も図っています。

復職判定会議の様子

復職判定会議の様子

ラインケア研修のウェブ化

管理職(課長・部長)向けのラインケア研修を従来の集合型からウェブ型研修に切り替えました。また、当ラインケア研修を、国内関係会社も含む全管理職の受講を可能とし、健康経営やメンタルヘルスに関する方針を全社に共有しました。

*ライン(職場の管理監督者)が従業員のメンタル不調を未然に防ぐことを目的にメンタルヘルスについて学ぶ研修。

ラインケア研修の様子

ラインケア研修の様子

生活習慣・運動習慣改善の取り組み

定期健康診断前からの啓発活動

NTN健康保険組合と協業し、定期健康診断の2ヵ月前から健診結果の改善に向けて、生活・運動習慣を促す啓発活動を開始しました。
具体的には、エレベーター前に階段を利用促進する掲示や、コピー機の画面に健康づくりスローガンの表示、食堂に脱肥満や歩行習慣アップを呼びかけるポスターを掲示するなど、全従業員に生活・運動習慣予防対策を呼びかけています。また、若い世代から生活習慣病を予防するため、40歳未満のメタボリックシンドローム該当者・予備群に向けて、産業保健スタッフから個別に生活習慣予防対策を促しています。
啓発後の健康意識や行動の変化を評価するために本社部門の従業員に対してアンケートを実施した結果、
本取り組みが生活・運動習慣改善の意識・行動変容に繋がることがわかりました。在宅勤務による運動不足やメタボリックシンドロームを予防するために、今後とも生活・運動習慣改善に向けた働きかけを、全事業所に横展開し実施していきます。

意識・行動変容に関するアンケート調査

意識・行動変容に関するアンケート調査

エレベータ前の運動促進掲示

エレベータ前の運動促進掲示

スポーツエールカンパニー3年連続の認定

認定ロゴ
認定ロゴ
 

従業員の健康増進のためテニス、サッカー、スキーなどの社内クラブ活動の国内大会やスポーツイベントの開催など、従業員のスポーツ活動を支援しています。また、従業員の健康に関する意識をさらに高めるため、在宅勤務者に向けたオンラインストレッチセミナーを開催するなどコロナ禍における健康づくりを進めており、これら従業員に向けたさまざまなスポーツ関連施策が評価され、従業員の健康増進のための積極的な取り組みを行っている企業としてスポーツ庁から「スポーツエールカンパニー2022」に認定されました。当社は今年で3年連続の認定となります。

オンラインストレッチセミナー

オンラインストレッチセミナー

特定保健指導(後期高齢者支援金の減算対象保険者(上位)の認定)

当社はNTN健康保険組合と協業し、2008年度より特定健康診査や特定保健指導に取り組んでおります。特定健康診査の受診率を向上するため、 巡回健診の導入を展開しています。また、特定保健指導は就業時間内に受講しやすい環境を整え、2021年度からは新型コロナウイルスによる影響にも対応できるようオンラインでの面談も導入しました。これらの積極的な取り組みにより年々特定健康診査受診率や特定保健指導実施率が向上し、当社のNTN健康保険組合は厚生労働省より「2020年度 後期高齢者支援金の減算対象保険者(上位)」との評価を受けました。

新型コロナウイルス感染症拡大への対応

感染症予防対策、体調管理

当社グループでは、新型コロナウイルス感染予防対策に関し、従業員およびその家族の安全確保を最優先に、感染予防と事業活動への影響の最小化に向けた施策を推進しています。
各国・各地域の情報収集を行い、公的要請への対応と出向社員の本邦一時帰国措置をはじめ、現地事情などに応じたタイムリーな対応を実施してきました。
また、出社前検温、手指消毒、密集を避けるなどの基本的な予防対策の徹底を図るとともに、働き方改革の一環で導入していた在宅勤務を拡大運用した対策を実施しています。
新型コロナワクチン接種も進み、世界全体での新型コロナウイルスの収束傾向が期待されていますが、引き続き、グローバルで連携し、情報をタイムリーに収集することで、状況変化に応じた対策を実施していきます。

ワクチン休暇、小学校休業などに伴う特別休暇対応

当社では、従業員が新型コロナのワクチンを接種しやすいよう接種日や副反応が出たときに公休、公遅刻、公早退および公外出を認めています。また、新型コロナウイルス感染症に係る小学校休業などにより仕事を休まざるをえない従業員、およびコロナに感染した恐れがある子を看病したり、コロナに感染した子を看病する従業員の公休取得を認めるなど、従業員が安心して働ける環境づくりを整えています。

在宅勤務対応

在宅勤務における健康状況の調査

在宅勤務制度は2019年より導入しました。在宅勤務における健康状況について把握するべく、本社・営業部門を対象にアンケート調査を2020年・2021年に実施しました。
その結果、男女ともに、「肩こり・目の疲れ・腰痛」の不調を訴えており、健康相談室たよりの配信や、スポーツクラブへの補助などを実施し、運動不足解消を従業員に対し積極的に働きかけてきました。今後も在宅勤務における心身の不調を予防し、従業員自ら生活習慣の改善に積極的にとりくめる施策を展開していきます。

在宅勤務における健康状況の調査結果

在宅勤務における健康状況の調査結果

在宅勤務における健康状況の調査結果

1on1ミーティングの実施

在宅勤務では、上司と部下とのコミュニケーションの取り方など、これまでの出勤する働き方から大きく変容しつつあり、2020年・2021年に実施した在宅勤務者向けアンケートにて心の不安を感じている従業員がいる事がわかりました。
そこで、2021年より本社・営業部門の一般職・非正規社員を対象に在宅勤務における有効なコミュニケーションのひとつである「1on1ミーティング」を導入しました。在宅勤務下において、部下の業務目標の進捗確認や困りごとなどの相談に対し、コミュニケーションを円滑に行うことができる環境づくりが必要となっており、1on1ミーティングを通じて組織の活性化を目指します。

人材育成

人材育成に対する基本的な考え方

当社の人材育成は、「なめらかな社会」の実現に向けた「豊かな人づくり」という人事施策の基本的な考え方に基づき、業務目標を達成しかつ経営環境の変化に迅速に対処しうる人材の育成を通じて、職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成を図ることを目的としています。
この目的を達成するための、人材育成の基本方針として、①国際社会に通用する人材、②個人として自立している人材、③創造力のある人材、の3つの人材の育成を目指しています。また当社の人材育成は、個人の自己啓発とOJTを基本としていますが、これを促進するための機会と各種支援制度を設けるとともに、必要に応じたOff-JTとして各種研修を長期的視野に立って、体系的・計画的・組織的に継続して行っています。

*職場外における教育訓練

NTNの人材育成体制

職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成を目指し、「自ら考え、自ら行動できる」人材の育成プログラムを全階層で展開しています。次の100年に向けて事業を拡大するためには、国内のみならず海外でも活躍することができる人材を育成することが不可欠で、向上心の高揚を図り優秀な人材や国際的人材の育成プログラムとして、留学・奨学制度なども活用しています。また、社内e-ラーニングで会社知識・専門知識講座などのコンテンツを充実させることで全従業員の教育の底上げに取り組むとともに、若年層向けに手上げ式のビジネススキル向上プログラムを導入し、自律的に個々人のスキルやキャリアプランに即した能力開発に取り組んでいます。

研修体系

経営人材の育成

従来の管理職教育に加え、長期的な視点で経営課題に関する意思決定ができる次世代経営層候補者の裾野拡大を目的に、若手管理職を対象とした「NTN Next Leader Program」を新規に開講しました。
この研修は選抜制で経営に必要な思考・知識を体系的に学習するカリキュラムとなっており、これらの教育などを通じて経営層候補者の計画的・早期育成を図ります。

従業員のエンゲージメント向上のための職場づくり

公正な評価と処遇

当社は、一定期間における業務目標の達成度、仕事を行う上での貢献度および職務遂行能力の発揮度を考課し、昇給、賞与、昇進、昇格、教育訓練などへ適正に反映を行ない、人事管理の公正な運営を図るとともに、社業の発展のための「被考課者の職務能力の育成」につなげることで、従業員の一層の活性化、経営効率の向上を図ることを目的とした人事考課制度を運用しています。
その制度運用を徹底するため、考課者訓練を毎年実施しており、人事考課の結果が処遇に反映される仕組みの周知を図り、考課を人材育成につなげています。

多様な働き方の実現

在宅勤務制度やフレックスタイム制度を導入し、働く時間や場所の柔軟性を広げ、多様な従業員が活躍できる環境を整備しています。2021年4月より、在宅勤務制度については、本社・東京事務所を中心に制度の拡大を行うとともに、フレックスタイム制度を非正規社員に適用拡大するなど、より多くの従業員がワークライフバランスを実現できるよう、進めています。また、管理職にも、育児や介護と管理職としての職務を両立して働くことができるように、時短勤務やフレックスタイム制度を適用できるワークライフバランス職階を設け、育児や介護がキャリアアップの妨げにならないように取り組んでいます。
こうした在職者に対する取り組みに留まらず、結婚・出産・不妊治療・介護・キャリアアップなどの事情で退職した従業員が復職できるNTNジョブリターン制度を導入し、当社に在籍中や退職後に培ってきた経験や知見、ノウハウを活かすことができる環境を整備しています。
多くの従業員が十分に活躍できる職場づくりを進め、多様な働き方を実現していきます。

コロナ禍における柔軟な対応

コロナ禍における働き方においては、2020年4月の緊急事態宣言を受けた直後から、従業員の安全性確保と事業継続を目的に、フレックスタイム制度および時差出勤や在宅勤務制度の活用を推奨し、本社・営業拠点を中心に在宅勤務のためのネットワーク環境とコミュニケーションツールを迅速に整備して対応しました。
在宅勤務制度の登録者数はコロナ前の約300名から、2022年4月時点で約1,200名となり、技術・研究部門の本制度化も進んでいます。
また、地域の実情やニーズに応えるためにも、一時的な措置として、子の看護休暇制度について臨時休業などをした小学校などに通う子も対象となるように制度を拡充しました。
今回のコロナウイルス感染拡大をきっかけに、時間や場所に捉われない多様な働き方の実現に向け、アフターコロナを見据えた取り組みを進めています。

働き方改革に対応したコミュニケーションツール導入

「働き方改革」や新型コロナウイルス感染拡大防止のため、場所の制約を受けない柔軟なテレワークを実現できる環境の整備を進めています。テレワーク時のコミュニケーション活性化と生産性の向上を目的に、クラウドを活用したWeb会議、ビジネスチャット、スケジュール共有などの機能をもつコミュニケーションツールを導入しました。
また従業員がいつでもどこでも、業務を安心・安全に行えるよう、コミュニケーションツールの情報セキュリティの強化にも取り組んでいます。

RPA活用の推進

少子高齢化の進展により労働力人口の減少が避けられない日本社会において、働き方改革や人材不足への対応が大きな課題となっています。
当社では、これらの課題解決に向け、基幹システムの再構築とあわせて、RPA(Robotic Process Automation)の活用によるマニュアルワーキングの徹底的な自動化と業務プロセスの整流化・標準化に取り組んでいます。
特に、コロナ禍の日本において急速に普及が進んだ働き方改革では、「ペーパレス」「キャッシュレス」「押印レス」について、最新のIT技術を活用して業務改革に取り入れることで、業務効率の向上、付加価値の高い業務へのシフトを図っています。
今後は、間接業務におけるデジタル化の適用領域をさらに拡充し、組織全体の生産性向上につなげるとともに、企業価値の向上を目指していきます。

従業員エンゲージメントサーベイの実施

企業の持続的な競争力強化を実現するためには、従業員一人ひとりの能力が活かされ、公平公正に処遇されることはもとより、上司と部下、従業員間の良好な信頼関係、コミュニケーションが図られた、いわゆる風通しの良い職場づくりも重要と考え、従業員エンゲージメントの向上に取り組んでいます。
取り組みの実効性を高めるため、従業員の感じている想いや会社への期待を把握するエンゲージメントサーベイを2021年10月に実施いたしました。
従業員エンゲージメントの向上に向けた人事施策の展開や、職場改善活動の実施、働き方改革の施策、健康経営の推進と連動した取り組みを通じて、従業員一人ひとりの「働きやすさ」「働きがい」を実現していきます。

ダイバーシティの推進

ダイバーシティ&インクルージョンの基本的な考え方

当社グループでは、国籍や文化、性別、年齢、障がいの有無などにとらわれず、さまざまな人材が自由な発想でより良いアイデアを出し、能力を最大限発揮できる職場環境づくりに取り組んでいます。
多様な価値観を尊重し認め合い、それらを融合することで柔軟な発想が生まれる組織づくりを進め、持続的に成長し続けながら、企業理念である「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」ことを実現していきます。

女性活躍の推進

女性のキャリアアップ

ダイバーシティを実現する上での大きなテーマとして女性の活躍推進およびジェンダーギャップの解消が挙げられます。
現在、当社グループの女性管理職比率はグローバルで14%であり、ほかの地域よりも低い水準となっている日本でも役職者増加に向けて取り組みを行っています。女性も責任あるポジションで重要な判断や意思決定に参画し、多様な意見や柔軟な発想によるイノベーションの創出を図るため、当社では、女性従業員に対してリーダー育成プログラムを導入し、ステップアップのための教育を計画的に実施するなど、女性が管理職にチャレンジできる環境を整備しています。女性の意識醸成や能力開発はもちろん、従業員全体の意識改革を図り、さらなる女性の活躍推進に取り組んでいきます。

女性管理職と主任の人数推移(当社に在籍する従業員)/ 4月1日時点

女性管理職と主任の人数推移(当社に在籍する従業員)/ 4月1日時点

認定マーク「えるぼし」取得

「えるぼし」の認定マーク
「えるぼし」の
認定マーク

当社は、各種取り組みを通じて女性のキャリア形成を進めているほか、仕事と育児の両立支援などを実施しています。これらが認められ、女性活躍推進に基づく優良企業として、2020年に「えるぼし」認定で最高位となる3つ星を取得しました。今後も性別にかかわらず多様な働き方を推進し、社内制度やキャリアなどに関する社内情報を周知することで、すべての従業員が就業しやすい環境を整備していきます。

育児と仕事の両立

子育てサポート企業認定「くるみん」取得

当社では2019年に子育てサポート企業として「くるみん」を取得し、従業員の育児と仕事の両立支援に向けて、職場環境を整える取り組みを実施しています。
育児をする従業員に対しては、男女ともに、妊娠が分かってから産休・育休・復職までの育児に関連する社内制度や法律をまとめた産休・育休ハンドブックを配布し、制度の社内周知などを進めています。また、管理職向けの取り組みとして、管理職用育児サポートブックを配布し、管理職の出産・育児に対する理解を深め、出産・育児をする従業員が最大限に能力を発揮できるような環境を整備しています。ほかにも、育児や介護など多様な人材が十分に活躍できる職場づくりを進めるために、管理職を対象とした「イクボスハンドブック」を配布し、部下の仕事と生活の両立支援の意識啓発に取り組んでいます。

男性の育休取得の推進

男性従業員の育休参加の促進施策として、社内での男性の育休促進ポスター掲示による啓発活動や、男性が育児参加することの重要性を学んだり、育児に関する社内制度の理解を深めることなどを目的とした「次世代育成支援推進セミナー(パパセミナー)」の開催などに取り組んでいます。
こうした取り組みにより、2021年度の男性従業員の育休取得率は2019年度に比べ約5倍に増加しました。

シニア社員の活躍推進

定年を迎えたベテラン社員のキャリアを活かすため、就労環境を整備し、モチベーションアップにつながる待遇面の見直しを行っています。
定年後は、これまでのキャリアや保有スキル、勤務地などを総合的に勘案し、国内のグループ会社すべてを対象に継続勤務を可能にしています。こうした制度のもと、定年後の再雇用率は2022年3月期に定年を迎えた方全体の90%となり、前年に引き続き、高い再雇用率を維持しています。
改正「高年齢者雇用安定法」(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)への対応においては、経験や知識が豊富で意欲のある従業員に70歳まで力を発揮してもらうために、定年延長を含めた65歳までの雇用制度のあり方について検討をしています。

障がい者雇用の推進

誰もが活躍できる多様性のある組織づくりの一環として、障がい者の方の雇用を積極的に推進しています。さまざまな製造現場や事務部門の職場で「協働」し、持ち味を活かして活躍していただいています。ほかにも、障がいのある方々が主役となって働ける職場として、桑名・磐田・岡山の各事業所に専用職場「夢工房」を開設し、地域雇用への貢献とともに、バリアフリー化の推進など、障がいを持つ方でも安全で働きやすい職場環境の構築に取り組んでいます。障がい者雇用率は、積極的な採用や定着化施策により前年度から大幅に増加し、2.65%(2022年3月期)となりました。

障がい者雇用率推移(NTN単体)

障がい者雇用率推移(NTN単体)

グローバル人材の活躍推進

留学生の採用

当社では、国籍に関わらず、多様な価値観や高い能力を有する留学生を積極的に採用しています。日本とは異なる文化的背景を持ち、新しい視点や発想で能力を発揮し、さまざまな職場で活躍しています。

人事担当役員メッセージ

川端 恭弘
企業価値向上に向けた「豊かな人づくり」を
着実に進めてまいります。
執行役
人材戦略部担当
(兼)人事部担当
川端 恭弘

ESG課題のひとつ「豊かな人づくり」をどのように目指していくのか。そのための「多様性と個性の尊重」、「エンゲージメントの向上」、「組織の活性化」の実現に向けた取り組みについて、人事担当執行役がご説明します。

「豊かな人づくり」を目指し、着実な取り組みを

近年の急激な環境の変化に適応しながら、さまざまな社会課題を解決し社会価値、環境価値、経済価値の向上を図るには、組織と人材の変革が必要です。そのためには、価値向上に取り組む組織風土を醸成し、働きがいをもって仕事に取り組める多様な人材を育成する必要があります。その実現を目指し、当社グループでは、ESG課題のひとつとして「豊かな人づくり」を掲げています。さらに「変革に挑戦する次世代を担う人材の確保」「従業員の多様性を尊重した働きがいのある環境づくり」「職場の学ぶ文化と育成する風土の醸成」「安全・健康に働き活躍できる職場環境の実現」「人権の尊重」をより具体的な方針とし、ひとつひとつ具体的な施策に着実に取り組んでまいります。
同時に、私たち人事部門も変化に対応していかねばなりません。「高度化・可視化・連動化・効率化・グローバル化」の5つのキーワードを指針とし、より高くより広い視点で変革と基盤強化を進めてまいります。

変革に挑戦できる次世代の育成

従業員の働きがいを高めることや変革への挑戦を後押しする風土の醸成には経営層や幹部層が重要な役割を担っています。2021年度より次世代の経営幹部候補者を計画的・早期に育成し、候補者の裾野を広げることを目的とした育成プログラムを大幅にリニューアルし再スタートしました。2022年度からはさらに研修の内容を見直し受講対象者も増やします。
不透明・不確実で変化が激しい時代においても将来の事業基盤を支え変革に挑戦できる人材を育成していきます。

“従業員の思い”を人事施策に

厳しい業績が続く中、従業員の働きがいを高め組織を活性化することが今まで以上に重要と考え、本社・営業部門を対象に「従業員意識調査」を実施しました。調査結果は執行役全員で共有しており、従業員の「NTNを良い会社にしたい」という思いをしっかりと受け止めることができました。今後は調査対象者の拡大も検討していきます。
ただ往々にしてこのような調査後には拙速に結果を求めがちですが、まずは従業員の思いを職場の改善活動などに反映させ根付かせていくことが重要であると考えます。また、「従業員意識調査」に限るのではなく普段から従業員の声に耳を傾けることの大切さを再認識しました。今回の調査結果はもちろん多様な“従業員の思い”を人事施策に反映させていきます。

国や地域によって“違うこと”を認識する重要性

2022年度より始動する新会社表彰制度「NTN PROUD AWARD」は、グローバルな視点で従業員のESG活動を讃えることを目的に新設しました。これによりESG経営への理解をさらに深め、当社グループの一員としての意識を高めることができ、方針や戦略を世界中の従業員により浸透させやすくなると考えています。
私の海外赴任の経験からも、国や地域により法規制や文化、宗教、慣習が異なる中、日本と同じ考えで制度や施策を実行することは難しいと考えます。ただ言い換えれば、日本と海外が“違うこと”を認識して物事を進める場合と、認識せずに進める場合との差は大きいはずです。互いに“違うこと”を認め合いながら新たな発見や発想を見出せるように、グローバルな視点も加えて多様な人材がいきいきと働くことができる職場環境づくりを進めます。