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2021年度のCSR活動をご紹介します。

第三者意見

「NTNレポート2022」第三者意見書

写真:関西学院大学商学部副学部長・教授 阪 智香 様

関西学院大学商学部教授
阪 智香 様

略 歴:
関西学院大学商学部専任講師、助(准)教授を経て、2008年より教授。商学博士。
現在、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)委員、日本学術会議連携会員、大阪府環境審議会委員、大阪市環境審議会委員、日本経済会計学会常務理事など。日本会計研究学会学会賞など受賞。
著書に『環境会計論』(東京経済情報出版) など

今回のレポートでは、価値創造ストーリーの記述が、昨年の16頁から40頁に大幅に拡充されました。「NTNの強み」については「投下資本」との関連づけ、リスク・機会と対応策、バリューチェーン上の強みとマテリアリティの取り組み、中期経営計画における事業戦略や財務体質・収益基盤の強化に向けた取り組みなどが、価値創造ストーリーに組み込まれました。サステナビリティ経営については、マテリアリティ、KPIと2023年3月期目標とのリンクづけもなされました。統合思考がより反映され、価値創造ストーリーが説得力のあるものとなり、各取り組みの位置づけも分かりやすくなりました。統合レポートとして、財務・非財務を包括的にカバーして概要を示しつつ、他の報告書・資料への入口となる役割が明確となりました。
価値創造ストーリーでは、6つのターゲット分野への研究開発資源の投入、選択と集中による事業・商品ポートフォリオの再構築、DX推進などが丁寧に説明されています。中期経営計画における競争力強化の戦略が着実に実行されており、CFOメッセージの再生シナリオと併せて、価値創造の方向性が示されています。
サステナビリティ経営については、各項目がマテリアリティのKPIと2023年3月期の目標に紐づけられ、CO2排出削減については、スコープ1と2は2035年度までにカーボンニュートラルという野心的な目標を設定されました。スコープ3も2050年度までを目標とすることが明記されました。この目標を目指す過程では、経済価値の創出を追求することにも言及されており、価値創造とのリンクが常に意識されています。
2021年5月に賛同を表明されたTCFD提言に基づく開示も追加され、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標の現状説明、シナリオ分析を用いたリスクと機会の認識と、企業の対応策も明記されました。現在、サステナビリティ開示の基準づくりが、グローバルレベルで急速に進んでいますが、NTNは、ISSBの公開草案を見据えたコア・コンテンツの開示がなされ、SASBスタンダードに基づく情報開示が昨年よりも拡充されました。グローバルに求められる開示への対応が進んでおり、企業評価の向上につながります。今後に向けて、戦略においては、リスク・機会が、企業の財政状態、業績及びキャッシュ・フローに与えると予測される財務的影響、指標と目標においては、リスク・機会に関連する資産や投資の金額などへの対応を進めることでレジリエンスの強化につながります。それらを示すことができれば、グローバル投資家からさらに信頼を得ることにつながると期待します。
また、「豊かな人づくり」を新たなテーマとして掲げ、人権の尊重、労働安全衛生の推進、人材育成、ダイバーシティの推進への取り組みが記載されたことも特筆すべきです。マネジメント・コミットメントで次世代を見据えた人材育成の強い意志が示され、人的資本主義の実現に向けた基盤づくりが進められていることが分かります。冒頭の「私たちが目指す「なめらか社会」」における従業員の心に響くメッセージは、このような基盤の上に培われたものなのでしょう。
ガバナンスについては、2022年度から、従業員のESG活動を表彰するNTN PROUD AWARDが新設されるとともに、執行役の評価制度にはESG項目が導入されました。これらは、ボトムとトップの両面からESGの取り組みを促進するツールとなると期待されます。
全体を通して、トップのリーダーシップが、各所に浸透しつつあり、持続的な成長に向かうストーリーが読み手に伝わるものとなっています。このレポートを、ステークホルダーにより分かりやすく伝えていくことで「共存共栄精神で協働」の実現にもつながるものと確信いたします。

第三者意見を受けて

写真:執行役 CSR本部担当 白鳥 俊則

執行役
ESG推進部担当
山本 正明

阪先生には、貴重なご意見を賜り厚く御礼申し上げます。
当社は、企業理念の実践を通じて、世界を取り巻く社会的課題の解決に貢献し、人々が安心して豊かに暮らせる「なめらかな社会」の実現を目指しています。2021年度は、2020年12月に特定したマテリアリティを具体的な行動につなげることを目的にKPIと2023年3月期目標を明確にしました。そのなかでカーボンニュートラル目標も設定しました。こうした当社の活動に対してご評価をいただき、今までの取り組みに確信を持つことができました。
また、お示しいただきましたサステナビリティ開示の基準づくりについて、投資家が企業に求めていることは、リスクと機会に関連する財務的影響、それらの指標と目標に関連付けたレジリエンスな対応の実行性にあること、この観点から情報開示の在り方を考えるよい気付きになりました。
今回いただいた貴重なご意見を真摯に受けとめ、中長期にわたる企業価値の向上に努めてまいります。