2021年度のCSR活動をご紹介します。
カーボンニュートラルの実現
カーボンニュートラルの実現目標
当社グループは、「2035年度カーボンニュートラル(サプライチェーンを含めて2050年度)」という目標を設定し、事業活動におけるCO2排出量の削減と商品やサービスの提供を通じた環境貢献の取り組みを推進しています。
■当社グループのカーボンニュートラルの実現目標
CO2排出削減目標(スコープ1・2)
2030年度までに50%削減(2018年度比)
2035年度までにカーボンニュートラル達成
CO2排出削減目標(スコープ3)
2050年度までにカーボンニュートラル達成
気候変動への対応
CO2排出量削減の取り組み
自社の排出量(スコープ1(直接排出)、スコープ2(間接排出))
当社グループは、自社の事業活動全体において、CO2排出量および排出原単位の削減に取り組んでいます。そのデータの信頼性を担保するため第三者検証を受けています。これまでは、エネルギー使用量削減の観点から、ベンチマーク年度のロケーション基準手法の電力排出係数を用いてCO2排出量を算出していましたが、本年度よりマーケット基準手法の電力排出係数を用いてCO2排出量を算出する方法に切り替えを進めています。*2030年度は、2018年度比で△50%、2035年度カーボンニュートラルを目標として活動に取り組んでいます。
*海外事業所は、Emissions Factors 2021 (IEA)出典の排出係数にて算出
■CO2排出量・排出原単位【国内】
■CO2排出量・排出原単位【海外】
サプライチェーン排出量(スコープ3)
当社は、2050年度にサプライチェーン排出量(スコープ3)を含むカーボンニュートラルの目標を設定しました。現在は、日本の事業所を対象に、産業連関表の原単位を使用しスコープ3算定を行っています。全カテゴリーの中で、最大の排出量となっているカテゴリー1「購入した製品・サービス」は、その大半が原材料の鉄鋼材料や半製品である鍛造品、旋削品などの仕掛品の調達によるものです。使用する原単位の見直しなどスコープ3算定方法の改善を図り、実態に即した排出量の把握と削減に向けた活動を推進していきます。
■サプライチェーン排出量(スコープ3)
(単位: トン)
カテゴリー | 2021年3月期 | 2022年3月期 | |||
---|---|---|---|---|---|
構成比 | 前年度比 | ||||
1 | 購入した製品・サービス | 1,462,167 | 1,691,496 | 94.94% | 15.7% |
2 | 資本財 | 62,167 | 59,752 | 3.53% | -3.9% |
3 | スコープ1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動 | 8,039 | 9,158 | 0.51% | 13.9% |
4 | 輸送、配送(上流) | - | - | - | - |
5 | 事業から出る廃棄物 | 48 | 54 | 0.00% | 11.2% |
6 | 出張 | 461 | 1,305 | 0.07% | 182.8% |
7 | 雇用者の通勤 | 4,327 | 4,740 | 0.27% | 9.5% |
8 | リース資産(上流) <対象外> | - | - | - | - |
9 | 輸送、配送(下流) | 10,875 | 12,686 | 0.71% | 16.7% |
10 | 販売した製品の加工 | - | - | - | - |
11 | 販売した製品の使用 <対象外> | - | - | - | - |
12 | 販売した製品の廃棄 | 2,212 | 2,428 | 0.14% | 9.8% |
13 | リース資産(下流) <対象外> | - | - | - | - |
14 | フランチャイズ <対象外> | - | - | - | - |
15 | 投資 <対象外> | - | - | - | - |
カテゴリー1~15の合計 | 1,550,297 | 1,781,619 | 100.0% | -12.09% |
物流におけるCO2排出削減
当社グループは、物流効率化により商品輸送時のCO2排出量(スコープ3カテゴリー9)を削減しています。主な施策は「物流ルートの最適化による輸送距離の短縮」「モジュール外装箱の使用拡大による積載率の向上」「輸出コンテナへの積載率増加によるコンテナ本数削減」「木製パレットの再使用・再生利用(修理)の推進」「運送事業者へのアイドリングストップ徹底の要請」などがあります。2022年3月期、国内商品輸送時のCO2排出量は12.7千トンCO2/年(目標:12.3千トンCO2/年)CO2排出原単位は0.0375トンCO2/百万円(目標:0.0345トンCO2/百万円)でありCO2排出量とCO2排出原単位はともに目標未達となりました。未達となった原因は、主にコロナ禍や半導体不足による輸送効率の悪化(多頻度小ロット化)で、対策としてトラックの積載量の最適化などによる輸送効率向上を推進しています。
■物流におけるCO2排出量、排出原単位
再生可能エネルギー導入
当社グループは、カーボンニュートラル実現の一環として、事業所内に各種スキーム(PPA*1、リース、自己投資)による自家消費型の再生可能エネルギーの発電設備を導入し、CO2排出量(スコープ2)の低減に取り組んでいます。
2022年3月期、国内412トン、海外8,210トンのCO2を削減しました。*2
*1 PPA(電力購入契約):屋根などに第三者の発電事業者が保有する太陽光発電設備を設置し、その電力を購入する契約
*2 国内事業所は、電気事業者別排出係数(環境省・経済産業省)、海外事業所は、Emissions Factors 2021 (IEA)出典の排出係数にて算出
■再エネ発電実績(2022年3月期)
地域 | 発電量(kWh) | CO2削減量(トン-CO2) |
---|---|---|
国内 | 1,021,348 | 412 |
フランス | 1,100,990 | 56 |
中国 | 13,279,603 | 8,154 |
合計 | 15,401,941 | 8,621 |
屋根への自己投資による太陽光発電設備を設置
光精軌工業(奈良県天理市)では、CVJ新工場の屋根に計350枚の太陽光パネルを設置しました。2021年7月より発電を開始し、2022年3月期、40トンのCO2を削減しました。*
また、オプションとして災害・非常用電源の機能を備えています。
*電気事業者別排出係数(環境省・経済産業省)出典の排出係数にて算出
■CVJ新工場(光精軌工業)
スコープ2マーケット基準排出量の把握
当社グループは、スコープ2の実質的な削減を推進していくため、本年度よりCO2排出量を国内事業所からマーケット基準*の排出量に切り替えます。海外事業所は、マーケット基準のCO2排出係数の調査を進めていきます。
*マーケット基準の排出係数:GHG Protocolの定義する電力調達先単位のCO2排出係数
再生可能エネルギー調達やクレジットによるオフセット
当社グループは、カーボンニュートラル実現の一環として、再生可能エネルギーやクレジットによりカーボンオフセットされた電力や都市ガスなどの調達を積極的に推進しています。
すでに名古屋支社(愛知県名古屋市)とNTN Antriebstechnik GmbH(NTN-AT、ドイツ)ではCO2フリー電力を導入し、今年度は、桑名製作所とNTN三重製作所(ともに三重県桑名市)でボランタリー・クレジットを活用したカーボンニュートラルLNG*を原料とする都市ガスを購入する予定です。
*液化天然ガス
■再エネ調達実績(2022年3月期)
拠点名 | エネルギー種 | 調達量(kWh) | CO2削減量(トン-CO2)* |
---|---|---|---|
名古屋支社 | CO2フリー電力 | 43,909 | 17 |
NTN-AT | 12,210,880 | 3,089 | |
合計 | 12,254,789 | 3,106 |
*国内事業所は、電気事業者別排出係数(環境省・経済産業省)、海外事業所は、Emissions Factors 2021 (IEA)出典の排出係数にて算出
■年間購入予定(2022年夏頃より購入開始)
拠点名 | エネルギー種 | 調達量(千㎥) | CO2削減量(トン-CO2) |
---|---|---|---|
桑名製作所 | カーボンニュートラル都市ガス | 1,400 | 3,211 |
三重製作所 | 1,800 | 4,128 | |
合計 | 3,200 | 7,339 |
ユーティリティーに使用するエネルギーの効率化
当社グループは、生産活動に伴うCO2排出量の削減の一環として、エア、空調、照明などユーティリティーに使用するエネルギーの効率化に取り組んでいます。高効率なコンプレッサー、空調、照明などの導入、定期的なエア漏れ対策や非稼働設備の電源オフなどでユーティリティー使用量を低減する地道な活動を行っています。
■主な省エネ施策(2022年3月期)
省エネ施策 | 実施事業所 | CO2削減量(トン/年)* | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|
国内 | 海外 | 国内 | 海外 | ||
コンプレッサー更新 | 6 | 1 | 215 | 440 | 国内:7台、海外:2台のコンプレッサーを更新 |
照明のLED化 | 15 | 13 | 659 | 247 | LED化完了度 国内:約70%、海外:約80% |
モーターとポンプのインバーター化 | 3 | 4 | 36 | 24 | モーター動力の周波数制御による節電 |
トランスの更新 | 6 | 0 | 44 | 0 | トップランナー式への更新 |
圧縮空気の漏れ修理活動 | 17 | 11 | 335 | 2,918 | エア漏れ検出器の使用 |
空調更新 | 8 | 5 | 280 | 104 | 新制御方式による室温最適化、インバーター式への変更 |
*国内事業所は、電気事業者別排出係数(環境省・経済産業省)、海外事業所は、Emissions Factors 2021 (IEA)出典の排出係数にて算出
インテリジェンスLED導入による電力使用量削減
NTN Transmissions Europe(NTE、フランス)では、LED照明への交換プロジェクトを推進しています。導入したLED照明器具は、照度センサーにより、生産設備の配置や従業員の有無、日中の自然光の状態に応じて、照らす範囲を最適化することが可能となるインテリジェンス機能を備えています。また、これらの器具の取り付けは、障害者や職業復帰を目指す人々の雇用を促進する外部の会社に委託されています。このプロジェクトにより電灯電力使用量の削減に取り組みます。
■インテリジェンスLED(NTE)
ヒートポンプによる暖房用ボイラーの燃料削減
NTN-SNR ROULEMENTS(SNR France、フランス)では、ボイラーの熱を冬場の暖房に利用しています。この度、ヒートポンプを使用してクーリングタワーの廃熱を暖房に利用することで、ボイラーの燃料消費量とクーリングタワーの水使用量を削減できました。2022年3月期、42トンのCO2排出量を削減しました。*
*Emissions Factors 2021 (IEA)出典の排出係数にて算出
■ヒートポンプ暖房用ボイラー(SNR France)
人感センサーでの空調制御による電力使用量削減
NTN NEI Manufacturing India(NNMI-Chennai、インド)では、空調の制御に人感センサーを用いることで、無駄な運転をなくし、電力使用量を削減しました。このシステムの導入により2022年3月期、約3.6トンのCO2を削減しました。*
*Emissions Factors 2021 (IEA)出典の排出係数にて算出
■エアコン制御 人感センサー(NNMI-Chennnai)
生産設備の省エネルギー化
当社グループは、製造工程の加工機や熱処理設備で発生するCO2排出量(スコープ1)の削減に取り組んでいます。主要なCO2排出源である熱処理設備は、第一段階の省エネ施策としてLPG*や都市ガスへの燃料転換を主要な設備で完了しています。今後は、再生可能エネルギーの使用を前提とした高効率な高周波加熱設備や電気炉の採用拡大だけでなく、製造時および使用時にCO2を排出しないグリーンアンモニアやグリーン水素などの採用を検討し、多様なエネルギー源を活用したカーボンニュートラル化を推進していきます。
*液化石油ガス
熱処理炉外壁の断熱性向上
当社グループは、熱処理炉の外壁に断熱材の追加や断熱塗装による熱処理工程のエネルギーロス低減に取り組んでいます。これらの施策により、都市ガスや電力使用量削減と炉体からの放熱量が低下し、CO2排出量削減と作業環境の改善を実現しています。
■施工例(2022年3月期)
事業所名 | 施策 | 対象設備 | CO2削減量(トン-CO2) |
---|---|---|---|
三重製作所 | 断熱材追加 | 都市ガス式炉 | 19 |
能登製作所 | 断熱塗装 | 電気式炉 | 58 |
熱処理炉の天然ガスと空気の混合率制御による燃料効率向上
NTN-BOWER Hamilton Plant(アメリカ)では、熱処理炉の加熱ガスバーナーの天然ガスと空気の混合率を適宜制御することにより、燃料効率を上げることができました。特に熱処理炉稼働始時の混合率を最適化することができたため、効率的に稼働することができるようになりました。これにより天然ガスの使用量が、昨年度比で13.6%減少しました。
事業所のエネルギー見える化
当社事業活動のエネルギー消費設備として、圧縮空気、空調、照明などのユーテリティー関連と熱処理・加工設備があります。主要なエネルギー消費設備の一つであるコンプレッサーについては、高効率タイプやインバーター機導入などの省エネ投資を計画的に実施しています。省エネ効果を把握するため、コンプレッサー圧縮空気の吐出量(㎥)と電力消費量(kWh)からエネルギー効率(kWh/㎥)の見える化を推進しています。エネルギー効率の監視を行い、コンプレッサーのトラブル早期発見や効率的なメンテナンスの実施に活用しています。今後、エネルギー見える化の対象設備拡大を検討していきます。
気候変動への適応・風水害への対策検討・実施
当社グループは、⼤規模な地震や風⽔害などの⾃然災害に対するリスク管理を徹底しています。気候変動により激甚化する自然災害への予防策や災害発⽣時の被害を最小限に抑える実行計画を策定し、定期的な避難訓練を実施しています。この訓練で得られた改善点を踏まえて、BCP(事業継続計画)への継続的な取り組みを行います。
災害時緊急電源用グリーンパワーステーションを設置
NTN羽咋製作所(石川県羽咋市)では、2021年12月、事業所の敷地内に災害時の緊急電源用としてNTN製「グリーンパワーステーション」を設置しました。災害発生時、スマートフォンなどの充電所として、従業員のみならず近隣の住民の方にも活用いただきます。