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2021年度のCSR活動をご紹介します。

資源循環・汚染防止

当社グループは、天然資源の持続的利用に配慮した3R(リデュース、リユース、リサイクル)を徹底し、原材料や水などの投入資源および廃棄物の削減などを総合的に推進するための枠組みを整備しています。また、商品および製造工程で用いる化学物質の管理を徹底するとともに、PRTR制度の指定化学物質を含有する調達品は、積極的に代替品への転換を進めています。廃棄物発生原単位およびリサイクル率やPRTR制度対象の取扱量については年度目標を設定し、達成に向けた取り組みを推進しています。

*特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律

資源循環の取り組み

マテリアルバランス

事業活動のマテリアルバランス(2022年3月期)

事業活動のマテリアルバランス(2022年3月期)

水使用量削減

2022年3月期の水使用原単位は、国内事業所の目標(2011年3月期比△24.7%)と、海外事業所の目標(2015年3月期比+14.1%)を達成することができました。2023年3月期も、水使用原単位低減の目標(国内事業所:2011年3月期比△25.5%、海外事業所:2015年3月期比△22.3%)達成に取り組みます。

水使用量・使用原単位【国内・海外】

水使用量・使用原単位【国内・海外】

水ストレス(2040年予想)と地域ごとの水使用量

当社グループは、水ストレス分析をAQUEDUCTにより行い、水リスク管理に活用しています。

*AQUEDUCT:世界資源研究所(WRI)が世界の水リスクを示した世界地図・情報を無料提供しているツール

2022年3月期 水使用量

水ストレス(2040年予想)と現状の水使用量

廃棄物の削減

廃棄物発生の抑制と高リサイクル率の維持

2022年3月期は、廃棄物発生原単位の低減に取り組み、国内事業所の目標(2011年3月期比△5.8%)を達成しました。2023年3月期は、更なる廃棄物発生の抑制に努め、国内事業所の廃棄物発生原単位抑制(2011年3月期比+0.7%)と、廃棄物リサイクル率の目標(国内事業所97.9%以上、海外事業所96.9%以上)達成に取り組みます。

廃棄物発生量とリサイクル率【国内・海外】

廃棄物発生量とリサイクル率【国内・海外】

切削用クーラントの廃棄量削減

NTN備前製作所(岡山県赤磐市)では、クーラント寿命前に切削用クーラントタンクを清掃する際、利用可能な切削用クーラントも同時に廃棄していました。そこで、清掃の際に切削用クーラントを保管タンクに一時保管し、清掃後にクーラントタンクに戻すことにしました。その結果、切削用クーラントの廃棄量を2,800リットル/年、クーラント原液使用量を171リットル/年削減できました。

*2022年3月期実績(2021年10月より実施)

切削用クーラント保管タンク(備前製作所)

切削用クーラント保管タンク(備前製作所)

廃棄物のマテリアルリサイクル化

当社グループでは、生産活動で排出される生産副産物のリサイクル率向上に取り組んでいます。有価物として売却できるように、社内で処理をして再資源化できる引き取り業者を選定し、循環型社会の形成を推進しています。

複合金属の細分化

精密樹脂製作所(三重県員弁郡)では、引取業者から「売却する複合金属の不純物割合が高いと、場合によっては有価物としての引き取りが不可である」と通知されました。そこで、複合金属を磁石により選別し、不純物を取り除くことで有価物として売却しやすく改善しました。コンテナに実際の写真を載せて分別先を掲示するなど工夫を施した結果、所内に正しく分別する習慣が浸透し、引取業者がより容易に有価物をリサイクルできるよう改善することができました。

*複合金属:社内で製造している金属を含んだ樹脂製品

島根県銑鉄鋳物組合と協業で鉱さいリサイクル事業を推進

NTN鋳造(島根県出雲市)では、島根県の全面的なバックアップのもと、官民一体となって鉱さいリサイクル事業を推進しています。現状、埋立処分になっている鉱さいは、リサイクル基準に適合するよう試験機を用いて、鉱さいの特性に応じた処理の実証に取り組んでいます。また、リサイクルできた鉱さいの新規市場開拓と商品化にも取り組んでいます。この取り組みにより、埋立処理されていた約930トンの鉱さいのうち、97%近くのリサイクル処理が見込めます(2022年3月期)。今後は不溶化剤投入機の導入を検討しており、ゼロエミッションに向けた活動を推進していきます。

研削工程で発生するスラッジ固形化

当社グループは、研削スラッジ固形化装置を開発し、NTNグローバルでの導入だけでなく、社外に販売しています。金属部品の研削工程から排出されるスラッジは、金属の他にクーラント液を大量に含んでいますが、この装置を導入したことでクーラント液を分離し、スラッジを金属成分の高い固形物に圧縮することで、マテリアルリサイクル化を実現しています。また、分離したクーラント液は装置によりろ過され再利用しています。2022年3月期、NTNグローバルでは60台の装置が稼働しており、約4,347トンの固形化された研削スラッジを再資源化しました。

2022年3月期 研削スラッジ固形化装置実績

稼働台数 再資源化重量(トン/年)
国内事業所 48 3,721
海外事業所 12 626
合計 60 4,347

研削スラッジ固形化装置(桑名製作所)

研削スラッジ固形化装置(桑名製作所)

生産副産物の再利用

当社グループは、生産によって排出されたクーラントなどの生産副産物をそのまま廃棄せずに、運用の改善や再生の可否について外部業者と協議することにより、積極的な再利用を推進しています。

油性クーラントの再利用

NTN 多度製作所(三重県桑名市)では、研削ラインで排出されるスラッジよりクーラントを回収しています。以前は、スラッジを廃棄物としてすべて処分していましたが、スラッジ固形化装置の導入により、年間60,000リットルのクーラントを回収し、固形化されたスラッジを有価物として処理することができました。

水・投入材料の削減

当社グループは、水使用量の削減や効率的な材料の投入に努めるとともに、水不足、資源枯渇などのリスク把握と管理の徹底を進めています。水使用量については、削減目標を設定し、目標に対する進ちょく管理と必要に応じた措置を実施しています。事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があるものについては、その影響を予測するとともに対策を検討・実行し、継続的に管理しています。

オイルスキマー能力改善による研削クーラント寿命改善

恩梯恩阿愛必有限公司(常州NTN、中国)では、研削盤から排出された研削クーラントをろ過し、機械に戻す「研削クーラント用フィルタータンク」に、クーラント液上面に浮いている油分をすき取るオイルスキマーが設置されています。しかしながら、クーラントタンクの仕切り版の構造が液上面に油を滞留させない構造になっていたため、効率的ではありませんでした。この度、液面上部に仕切り板を追加し、油を滞留させることにより、効率的に油を除去することができました。これにより、クーラント液の長寿命化につながり、クーラント液の交換周期を2倍に延長することが可能となりました。平均原液使用量は100リットルから50リットル/月に、平均廃液処理量は6,250リットルから3,125リットル/月に削減できました。

研削クーラント用フィルタータンク(常州NTN)

研削クーラント用フィルタータンク(常州NTN)

水溶性切削油の使用量削減

NTPT(タイ)では、定期的に切削クーラントを全量交換していました。この度、全量交換するタイミングで、クーラントをろ過装置で再生されたクーラントをタンクに戻して、不足分の希釈水とクーラント原液の補充量を削減しました。これらの取り組みにより、12.3㎥/年の水使用量の削減と0.6トン/年のクーラント原液の削減につながります。

地域の水リスク評価の実施

当社グループは、水リスクにさらされている地域(拠点)を把握し、水に関する管理の徹底や事業計画への盛り込みを進めています。

貯水タンクの増設

襄陽恩梯恩裕隆傳動系統有限公司(襄陽NTN、中国)では、事業所周辺地域の断水が年に数回発生しており、そのリスク対応として「貯水タンク」を増設して対応しています。貯水タンクは、容量2トンのタンクを合計6個設置し、計12トンの水を蓄えることが可能です。断水時には、飲料水や洗面所・トイレ用の水として利用することが可能であり、約8時間利用できます。

貯水タンク(襄陽NTN)

貯水タンク(襄陽NTN)

焼却処分量削減

当社グループは、最終処分量の削減のため、廃棄物の焼却処分(サーマルリサイクル)やマテリアルリサイクルによるリサイクル率の向上に取り組んでいます。リサイクル過程では、焼却やエネルギー使用によるCO2などの環境負荷が発生するため、廃棄物の減容化や繰り返し使える運搬資材の採用により、リサイクル量を減らす取り組みを実践しています。

木製から樹脂製へのパレット変更による木屑の削減

NTN三重製作所(三重県桑名市)では、場内(生産ライン内)の精密部品である製品の保管および運搬に「木製パレット」を使用しています。「木製パレット」は、耐久性に乏しく、木くず(ささくれや破片など)の廃棄物が発生していました。そこで5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の観点からも、廃棄物が発生しない「樹脂製パレット」に変更し、これらの問題を解決するとともに、将来的には、傷んだ「樹脂製パレット」をパレットメーカーにて回収・再生させて繰り返し使用できるよう計画しています。

場内で使用されている樹脂製パレット(三重製作所)

場内で使用されている樹脂製パレット(三重製作所)

包装資材の削減

当社グループは、包装資材などの使い捨てプラスチック使用量削減の目的から、お客さまと相談のうえ、通い箱使用や簡易包装への代替を検討しています。商品の品質を確保しつつ、包装材などの代替が可能なものについては、引き続き検討していきます。

植物由来の包装材の使用

廣州恩梯恩裕隆傳動系統有限公司(中国)では、現在、包装材の30%が植物由来のものに変更されて、環境に優しい素材に切り替わっています。さらに使い捨てプラスチックの使用量削減の目的から、事業所内で何ができるかを検討したところ、既存の包装材仕入先から緩衝材として使用するサトウキビのクズの提案を受けて、採用に向けた検討をすることになりました。2022年末の採用を目指して引き続き検討していきます。

汚染防止の取り組み

PRTR制度対象化学物質の取扱量の削減

当社グループは、国内の製造工程で取り扱う化学物質の中で、PRTR制度の対象となっている化学物質の使用量の把握・削減に取り組んでいます。PRTR制度の対象化学物質の中で、特に取扱量の多い6物質(図参照)については、有害性の少ない物質を使用する製品への代替を図っています。

*特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律

PRTR制度対象化学物質の取扱量(2022年3月期)

PRTR制度対象化学物質の取扱量(2022年3月期)

有害な廃棄物の管理(国内)

当社グループは、各国の法規制に基づき事業所で発生する廃棄物の処理を行っており、国内グループは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)を遵守した廃棄物処理を実施しています。2022年3月期では、特に有害性の高い廃棄物である特別管理廃棄物の発生量は、559トン/年でした。

フロン排出抑制法への対応

国内グループは、フロン排出抑制法において、法対象機器の空調設備ついて、代替フロン類(HFC)の漏えい量や実施した点検・整備の記録を管理しています。2022年3月期の国内グループ全体での漏えい量は1,497トン-CO2e(NTN単体:1,347トン-CO2e)でした。今後は、事業所の規模に応じた管理体制の強化や、主な法対象機器であるR22(HCFC-22)などを使用しない空調設備への切り替えを推進します。

PCB処理特別措置法への対応

国内グループは、PCB特措法に基づき、PCB含有機器を把握・管理し、適正な廃棄を計画的に進めています。引き続き、低濃度PCB含有機器の調査を継続しており、法的な処理期限内での全量廃棄に取り組んでいます。