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2020年度のCSR活動をご紹介します。

ステークホルダー・ダイアログ

ステークホルダーのご意見を持続的な企業活動に反映するため、サステナビリティの各分野における学識経験者・有識者の方々とのダイアログを2015年から毎年実施しています。今年度は7月に第7回ダイアログを開催しました。
当社では昨年度、人権基本方針を定めました。また、SDGs対応のための13項目のマテリアリティを特定し、取り組みを開始しました。さらに本年5月には、TCFD提言への賛同を表明しました。今後、気候変動が事業にもたらすリスクおよび機会について分析を行い、目標を定めて活動を進めていきます。
今回のダイアログでは、これら当社の活動状況の評価と今後の進め方について、有識者の方々と意見交換を行いました。いただいたご提言を踏まえ、さらなる企業価値向上に向けて全社で取り組みを推進していきます。

出席者の所属および役職は開催当時のものです。

第7回

開催日

2021年7月

出席者

有識者

國部克彦様
國部 克彦様

神戸大学大学院
経営学研究科教授

貝﨑 勝様
貝﨑 勝様

オムロン株式会社
サステナビリティ推進室
担当部長

松岡 秀紀様
松岡 秀紀様

(一財)アジア・太平洋
人権情報センター特任研究員

梨岡 英理子様
梨岡 英理子様

株式会社環境管理会計研究所
代表取締役

NTN出席者

白鳥 俊則

執行役 
人事/CSR/情報企画/
総務/EHS統括担当

山本 正明

執行役
経営戦略本部長

野々 健二

執行役員
人事本部長(兼)総務/
EHS統括担当

木下 俊平

経営戦略本部
副本部長(兼)経営企画部長

持田 陽一郎

経営戦略本部
広報・IR部長

山﨑 雅之

EHS(環境・労働安全衛生)統括部長

川口 利幸

人事本部
副本部長(兼)人事部長

真野 竜馬

グローバル調達本部
調達・物流管理部長

増本 真明

CSR本部長

井口 耕平

CSR本部
コーポレートバリュー推進部長

ダイアログの様子

テーマ1 この1年間のサステナビリティ活動の評価と提言

NTN
当社では一昨年に発足したサステナビリティ委員会が中心となって、昨年度は人権基本方針を策定し、また、マテリアリティも特定しました。さらに本年5月には取締役会の決議を経て、TCFD提言にも賛同を表明しました。まずはこの1年間の当社の取り組みについて、評価をいただけますでしょうか。
有識者
NTNのサステナビリティ活動は、業種や企業の規模から見ても、先進的であるといえるでしょう。TCFD提言への賛同やマテリアリティに関しても、ほかのトップ企業と同じレベルの戦略を立てていらっしゃると思います。ただ、理念と実践が乖離しては意味がありません。これからは、戦略と取り組みをうまく結びつけていくことが重要です。
有識者
この1年間で、企業理念から価値創造プロセス、マテリアリティ、NTNの強みへと、ストーリーがうまくつながってきたという印象を持ちました。これをどのようにして事業と結びつけていくのか。また、その結果としての企業価値向上というところまでストーリーが出来上がると、さらに良くなるのではないでしょうか。
有識者
人権の取り組みについても、枠組みは作られつつあります。いつも企業の皆さまに申し上げるのは、仕組みは作るのも大変ですが、作ってからがもっと大変ということです。仕組みを社内に浸透させ、一人ひとりに理解してもらうための取り組みが、これから重要になってくるでしょう。

テーマ2 マテリアリティの目標設定、経営への統合

NTN
昨年、SDGs対応のための13項目のマテリアリティを特定しました。現在は特定したマテリアリティの目標やKPIの設定、具体的な施策の立案を行っています。目標やKPIの設定については、定量目標が必要なのか、項目によっては定性目標でもよいのかということも含めて議論を進めているところです。また、特定したマテリアリティを従業員一人ひとりが「自分事化」できる方法についても模索しています。
有識者
マテリアリティについては、多くの企業が誤解していることがあります。それは、マテリアリティを「自社の重要性」ととらえていることです。マテリアリティとは、もともとは社会の重要課題に対して、自社がどのように影響を及ぼしているかということであって、自社の戦略的重要性ではありません。その点、NTNは誤解せずにマテリアリティを特定したのではないでしょうか。ただ、まだ具体的にどう関わっていくのかは見えてきません。サステナビリティ活動というのは、企業が持つ6つの資本を使って社会課題を解決することです。短期的には利益にならなくても、長期的にみると社会全体の利益につながっている、そのストーリーが大切なのです。
目標設定については、企業として真剣に社会課題に向き合い取り組もうとしているのであれば、定性的でも構わないと考えます。ただ、戦略的観点でみると、やはり定性情報では実際の活動状況が伝わりません。口先だけではないということを示すためには、定量情報も有効でしょう。また、定量目標を定めることで、従業員が取り組みやすくなり、活動の方向性が分かりやすくなるということもあります。
有識者
私は、マテリアリティの目標設定やKPIには「いつまで」という時間軸の考え方が重要と思っています。ただ、決して定量目標にとらわれることはないでしょう。定性的であっても、どのような価値につながっていくのかというストーリーが示せれば、ステークホルダーには伝わります。反対に言えば、定量的に示したとしても、ストーリーが説明できなければ意味がないのです。例えば、ダイバーシティでも、女性役職者数のKPIを設定したとして、その結果会社をどうしたいかまで考えることが大切です。
また、マテリアリティを全社に周知するには、企業理念とマテリアリティとを結びつけるのが良いでしょう。企業理念の実践がマテリアリティとつながっているという道筋を示すことで、従業員一人ひとりがマテリアリティを「自分事化」できるのではないかと考えます。
NTN
マテリアリティは年に1回、経営層も交えて見直しを図りたいと思っています。ただ、人権問題など当社だけではできないこともあります。どこまでやるべきか、走りながら考えているのが実情です。
有識者
人権については、サプライチェーンのすべてを見ることは現実には難しく、重要なサプライヤーに絞るなどある程度範囲を定めることも必要です。例えば、自社従業員はもとより、自社事業所内で働く派遣会社や委託会社の従業員なども対象として設定することもできると思います。自社事業所内で起きた人権問題には、企業として積極的に取り組む必要があるなど、重要性を絞ることもできると思います。
有識者
人権問題に関して言うと、オペレーション全般にわたって人権問題を洗い出すことが前提ではありますが、すべての範囲を見ることはできません。「ビジネスと人権に関する指導原則」でも、企業が優先順位を決めて取り組むことはうたわれています。

テーマ3 人権デューデリジェンス

NTN
当社では2019年12月に「経営の基本方針」を定めました。その中で人権の尊重を重視し、事業活動に取り組むことをうたっています。「経営の基本方針」は、当社の全ての方針の幹となるものです。つまり、国内外のグループ会社を含めた当社のあらゆる活動において、人権を尊重するということを意味しています。その後、昨年7月に「人権基本方針」を定め、当社だけでなくサプライチェーン全体にわたって人権デューデリジェンスの仕組みの構築に取り組むことを表明しました。また、マテリアリティのひとつとして「人権の尊重」を設定しました。さらに本年4月には、経営の基本方針のもと、改めて「調達基本方針」を定め直しました。現在は「CSR調達ガイドライン」を改訂し、サプライヤーに対しても人権への対応をお願いしているところです。
ようやく本格的な取り組みを始めたところですが、改めて人権デューデリジェンスの進め方や、取引先でのCSR推進について、ご提言をいただければと思います。
有識者
海外まで人権尊重の活動を浸透させるためには、企業理念と結びつけるのが有効と思っています。NTNが国内外で展開されている企業理念浸透活動と紐づけて人権尊重の取り組みをグループ全体に根付かせてはどうでしょうか。注意点として、国際人権基準は共通だとしても、人権の受け止め方は国・地域、また宗教などによって異なる場合があるということです。NTNのCSRアンケートでも、国・地域によって受け手の解釈が異なることがあります。それぞれに応じた対応が必要であるということも意識しながら進めていかれるとよいのではないでしょうか。
有識者
人権意識を社内にしっかり浸透させるためには、従業員に人権の取り組みの意義やリスク、または、取り組むことでお客さまに選んでもらえるなどのメリットについて理解してもらうことです。自社を超えた浸透については、人権問題はサプライチェーン全体でつながっていることを理解するのが重要ではないでしょうか。NTNも当社も、取引先を監査することはありますが、一方で別の企業にとってはサプライヤーでもあり、監査される立場になります。このように人権に関わる問題は上流から下流までつながっているという意識をサプライチェーン全体で持つようになることが大切と考えています。
有識者
自社だけで一次サプライヤーのその先、また先までさかのぼるのは大変です。多くの企業は、調達基準の中で、調査先のサプライヤー(元の企業にとっては二次サプライヤー)まで確認することを求めているようです。その連鎖で、第三、第四のサプライヤーまで調査をしていくということですが、やはり末端までは調査しきれないということがあります。中小企業の場合、言葉の定義が正しく理解できていないこともありますから、丁寧に説明をする、あるいは企業の規模でアンケートの内容を分けて、簡略化するようなことも必要かもしれません。

ダイアログの様子

テーマ4 TCFD提言に沿った取り組み

NTN
当社は本年5月にTCFD提言に賛同しました。現在、サステナビリティ委員会、さらに、関連する部門長も加わった部署横断的なチームでシナリオ分析を進めているところです。今後の進め方について、アドバイスをお願いします。
有識者
TCFD提言について、日本では賛同する企業が多くなり、改訂コーポレートガバナンス・コードでもTCFDまたはそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示が求められるようになりました。TCFD提言は、もともとは金融機関に対して気候関連のリスクと機会を踏まえた財務的影響の開示を求めたものです。もちろん、事業会社でもCO2を多く排出する企業においては、TCFD提言に沿った開示は必要でしょう。しかし、NTNのようにCO2排出量が社会全体の中でそれほどインパクトを持たない企業においては、定量目標の開示にこだわることなく、気候変動にかかるリスク・機会の両面について定性的に示していくことを考えてよいのではないかと思います。
有識者
オムロンは2019年2月にTCFD提言に賛同しました。そこから、提言の枠組みに従って、どのような事業リスクや機会があるのか、議論を続けています。昨年は、エネルギーソリューション事業本部において、リスクと機会のシナリオ分析を実施しました。結果を事業計画へ反映するとともに、昨年の統合レポートや今年の有価証券報告書にも、TCFDの取り組みとして記載しました。今後も、その他の事業でどのようなリスクと機会があるかという視点で情報開示する予定ですが、定量情報にこだわらず慎重に進めているところです。
有識者
TCFD宣言もそうですが、ここ1、2年で社会におけるESG情報開示の重要性は非常に高まりました。一方で、さまざまな指針が本来必要な範囲以上のことを要求しているのではないかとやや危惧するところでもあります。本来やるべきことよりも、さらに大きなことをやるべきと、多くの企業が思っているのではないでしょうか。世界各国の動きに表面的なところだけ追随しようとするのではなく、大切なのはそれぞれの動向を見ながら、自社で実践できることは何か、地に足の着いた取り組みを進めていくことです。報告書の中にだけあるESGではいけません。実態のある取り組みに期待したいと思います。
NTN
この1年間の当社の取り組みについて、評価をいただきました。当社の進むべき道は示したので、いただいた提言の内容を踏まえながら、今後はこのような理念や仕組みをグループ会社含む社内全体に浸透させ、活動を続けていきたいと思います。ありがとうございました。
第6回

開催日

2020年7月

出席者

有識者

國部克彦様
國部 克彦様

神戸大学
副学長

貝﨑 勝様
貝﨑 勝様

オムロン株式会社
サステナビリティ推進室
企画部長

松岡 秀紀様
松岡 秀紀様

ヒューライツ大阪特任研究員

梨岡 英理子様
梨岡 英理子様

株式会社環境管理会計研究所
代表取締役

NTN出席者

白鳥 俊則

執行役常務 人事/CSR/情報企画/総務/EHS(環境・労働安全衛生)統括担当

山本 正明

執行役
経営戦略本部長

野々 健二

執行役員 人事/総務/EHS(環境・労働安全衛生)統括担当

小澤 隆信

経営戦略本部副本部長
経営企画部長

持田 陽一郎

経営戦略本部
広報・IR部長

山﨑 雅之

EHS(環境・労働安全衛生)統括部長

川口 利幸

人事部長

増本 真明

CSR(社会的責任)
推進本部長

井口 耕平

CSR(社会的責任)推進本部
コーポレートバリュー推進部長

ダイアログの様子 ダイアログの様子

テーマ1 サステナビリティ推進活動

NTN
当社は、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、持続可能な「なめらかな社会」の実現を目指しています。当期の最も大きな取り組みは、サステナビリティ推進活動の管理規程を変えたことです。2006年にCSR活動の管理規程を定めましたが、当時の「Responsibility(責任)」の位置づけは、どちらかというとコンプライアンス寄りでした。コンプライアンスを強化する一方で、当社の価値創造プロセスにもあるように、社会の期待に応える会社でありたいという考え方から「責任」の意味合いを捉え直し、「CSR」を「サステナビリティ」という言葉に変えて昨年「サステナビリティ委員会」を発足させ、活動を始めました。
このサステナビリティ委員会では、「マテリアリティの特定」を審議内容の一つに据えています。現状は、若手・中堅社員を中心としたワーキングチームを立ち上げ、GRIスタンダードやメガトレンドを参照しながら、課題の洗い出し、評価をして、当社のマテリアリティを絞り込む取り組みを進めています。来年度に発表できるようにしたいと考えています。
有識者
マテリアリティの特定は大切ですが、どの企業も実践するのが非常に難しいと感じられているようです。それは、どの項目も重要であるからです。全部が重要ということになると、マテリアリティを特定する意味が分からなくなってしまいます。現状ではどの企業でも通じる大きなテーマを設定されているので、もう少し細かい項目を議論されてはどうでしょうか。また、日本企業のほとんどが、課題をマトリクスにプロットする際、「社会にとっての重要性」と「事業との関連性」の2軸で考えられていますが、本来GRIが求めているのは「事業との関連性」ではなく「ステークホルダーの意思決定への影響」です。そこについて、改めて検証されるのが良いと考えます。
有識者
オムロンでもマテリアリティを特定していますが、「人財マネジメント」や「リスクマネジメント」などはどこの企業でも当たり前のことになり、評価されなくなってきています。もっと「オムロンらしさ」を出していくよう、改良しているところです。同じように「NTNらしさ」を考えていかれたらよいと思います。また、さらに重要なことは、そのマテリアリティの対象とする期間と、マネジメント体制です。どのくらいの期間で、どのようにマテリアリティを経営で管理するのか、また、社外の評価をどのように取り入れるのかも考える必要があると考えます。
NTN
企業理念浸透活動についてもお伺いしたいと思います。2018年に100周年を迎えたことを機に、企業理念体系を改定し、従業員の拠り所となる「NTNスピリット」を策定して、企業理念を実践する取り組みを始めました。「認知」「共感・理解」「実践」の3つのステップで企業理念浸透活動を進めていますが、「実践」の取り組みである「NTN PROUD AWARD」については、2019年には2回目を開催しました。活動に共感する従業員も増えてきており、今後もグローバルに定着させていきたい考えています。一方で、会社表彰制度における「NTN PROUD AWARD」の位置づけ、企業理念の実践を業務目標や人事評価へどのように反映するのか、また、コロナ禍における企業理念浸透活動のあり方については課題があると考えています。
有識者
オムロンでも企業理念の実践を支える取り組みとして「TOGA(The OMRON Global Awards)」を2012年から開催しています。当社ではチームを単位とした社内の表彰制度はこの「TOGA」のみです。賞を獲得したときは、人事評価に記録されるようになっています。ただ、企業理念の実践と人事評価の反映は非常に難しく、現状では制度をどのように評価に結びつけるかを模索しているところです。
コロナ禍における企業理念活動のあり方について、当社ではまず従業員の健康・安全を第一に考えながら、メーカとしての供給責任、事業を通じた社会への貢献を果たしたいと考えています。スペインで当社の従業員が人工呼吸器開発に参画しましたが、これはトップが指示をしたわけではなく、自発的な行動でした。これこそ、企業理念が浸透し、実践されたことの好事例であると思います。
有識者
昨今は、CSR活動の中でも企業理念が非常に重要な位置づけとなっています。NTNの創業者精神である「開拓者精神」「共存共栄精神」は、非常にインパクトがあります。「開拓者」は「イノベーション」を、「共存共栄」は「Creating Shared Value(共通価値の創造)」を想起させ、NTNが社会課題を解決しようとする意志を感じさせます。

テーマ2 人権

NTN
当社は今年、「人権基本方針」を策定しました。2015年に国連グローバル・コンパクトに署名したこと、また、昨年から指名委員会等設置会社へ機関設計を変更したこともあって、経営の基本方針がより明確化され、その中に「人権の尊重」があったことが「人権基本方針」策定につながりました。今後は、この「人権基本方針」をどのように運営するか、また対象となるサプライヤーの範囲や管理方法について検討していきたいと考えています。
有識者
人権デューデリジェンスは、仕組みを作ったり、外部に仕組みを作ったことを報告したりすることはできても、運用することは非常に難しいと感じます。従業員一人ひとりが人権について業務と結び付けるかたちで理解をするというのが、社内浸透のポイントです。人権リスクは、ひいては経営のリスクにもつながります。仕組みを作るにとどまらず、日常の中での教育を続けていかなければなりません。
サプライヤーの範囲(バウンダリー)については、実際にはTier1に調査を依頼するという企業が多いのではないでしょうか。
有識者
人権方針の適用範囲も重要です。オムロンの場合、調査の結果、当社の社員が過半数に満たない拠点もありました。このような事例から、直接雇用の社員だけに適応するのではなく、拠点で働く派遣社員や業務委託社員も対象とすべきであると考えています。
また、バウンダリーについては、当社もTier1の要求事項の中にTier2以降の調査も入れて対応しています。

テーマ3 環境

NTN
2020年3月期はコロナ禍で減産となったことで、CO2削減量は下がりましたが、原単位では数値が上がってしまいました。昨年のステークホルダー・ダイアログにおいて、CO2排出量が減ったことを示すのでなく、もともとの商品の使用時からどれくらいCO2排出量を削減できたか、変化を示すべきであるというご指摘を受けたため、昨年度から環境貢献商品を数値化するとともに、長期的にはCO2排出量ゼロを目指して目標を設定したいと考えています。具体的には、「商品の使用時に発生(消費)するCO2」と「NTNの事業活動で発生するCO2」の総量が「自然エネルギー商品の発電で削減されるCO2」によって相殺されることで目標を達成するイメージですが、これで「CO2排出量ネットゼロ」といえるでしょうか。
有識者
「CO2排出量ネットゼロ」については、人為的なCO2の「排出」と、植林による緑化促進などといった人為的な「吸収」の均衡を保つことと考えたほうが良いです。その意味では、考え方を「ネットゼロ」から転換したほうが良いかもしれません。ベアリング業界は製品の種類が固定されているため、CO2排出量の少ない事業に転換し大胆にCO2排出量を減らすということは難しいだろうと考えます。また、いまはSDGsやサーキュラーエコノミー(循環型経済)の考え方によって社会全体が低炭素化へ進んでおり、自動車業界自身がターゲットになっています。業界的には大胆なことはやりにくくても、主語を「自分の会社が」と考えて、社会に対してできることは何かという視点で気候変動を考えていくことが大切だと思います。

ダイアログの様子

テーマ4 コロナ禍の事業活動の進め方

NTN
当社は2021年3月期を「危機対応期間」とし、その重点施策として「従業員の健康と安全の確保」や「将来の成長に向けた準備」を掲げました。具体的には、テレワークの推進、SDGsへの対応に取り組んでいこうと考えています。緊急事態宣言後、当社も従業員の健康と安全を第一に考えテレワークを進めてきました。今後テレワークをより推進するにあたって、適用範囲や勤怠管理ルール、人事評価制度などをどのようにするかという課題が浮かび上がってきています。またSDGsへの対応、特に気候変動への対応にフォーカスしますと、社会ではTCFDへの賛同が増えてきています。当社では経営を巻き込んだ議論が今後の課題と認識していますが、どのような体制でどのように進めていけば良いか、ご意見をお伺いできればと思います。
有識者
オムロンでは、2018年7月にSBTに科学的根拠に基づき温室効果ガスの排出量削減目標を策定することを表明し、その後、TCFDの話が出てきました。TCFDについては、全社統括が必要であることから、サステナビリティ推進室から経営層に対して、TCFDに賛同すべきとの提案を行いました。財務情報の紐づけはこれからですが、気候変動の課題に対しては、手を挙げないことが問題になると思っています。
有識者
気候変動に対するリスクマネジメントの開示については、日本企業は非常に遅れているといえます。リスク情報を開示すると不安を与えると考えられていますが、開示しない方が不安視されることがあるのです。
また、新型コロナウイルスへの対応は重要な問題です。大きな方向性として「“個”のウエイトが高まる」ことは間違いないと思っています。社会全体が組織から個人へと移行し、より働きやすい環境に変えていく中で、組織の勤務体系やポジションの見直しも抜本的に変えていく必要があるでしょう。
有識者
テレワークが進む中で、女性が家庭で仕事をしながら家事・育児もするような状態やDV被害にあうケースが課題になりました。企業がそのような課題に何をどこまでできるのか、今後は企業のあり方が問われるのではないかと思います。
有識者
このコロナ禍をきっかけに、サステナビリティ分野において目指すべき姿の時間軸が短くなってきていると感じます。オムロンでは、次の10年を見据えた計画の策定に着手していますが、もっと速いスピードで社会は変わるかもしれません。そういう観点で取り組んでいかないといけないと思っています。
有識者
NTNは一昨年に「コーポレートバリュー推進部」が発足しました。「バリュー(価値)」が重要であるのは自明のことですが、今後はCSR全体を「バリュー」の方向から考えてみてはどうでしょうか。気候変動に対して提供できるバリュー、サプライヤーに提供できるバリューは何かということを考えていくのです。ポストコロナの話を先ほどしましたが、これまではコンペティションの「競争」だったのが、これからは共に創る「共創」が重要になります。そのような観点で企業活動を進めることが良いと感じています。
第5回

開催日

2019年6月

出席者

有識者

國部克彦様
國部 克彦様

神戸大学大学院教授

貝﨑 勝様
貝﨑 勝様

オムロン㈱
サステナビリティ推進室 企画部長

松岡 秀紀様
松岡 秀紀様

ヒューライツ大阪特任研究員

梨岡 英理子様
梨岡 英理子様

環境管理会計研究所代表

NTN出席者

後藤 逸司

執行役専務
CSR(社会的責任)推進本部担当

仲野 浩史

顧問

野々 健二

EHS(環境・労働安全衛生)統括部長

山﨑 雅之

EHS(環境・労働安全衛生)統括副部長

川口 利幸

人事部長

井口 耕平

コーポレートバリュー推進部長

テーマ1 CSRマネジメント

ご意見
CSRのR(責任)の本質は、社会に必要とされる企業にあり、事業を通じて社会に貢献している姿をステークホルダーに分かりやすく示すことが重要である。「NTNレポート2018」ではそれを価値創造プロセスの中で表現しており、評価できる。次のステップでは各々の事業分野での活動を価値創造プロセスに横串でとらえ、経済的価値を創出しながら、社会的価値(なめらかな社会)も創出する姿を、より具体的に示すことが大事である。
企業理念の実践を強化する取り組みとしてオムロンでは2012年よりTOGA(The OMRON Global Award)を開始し、2018年は6万人を超える従業員が参加するまでになった。この継続力(発展性)の源泉は、経営層にチャレンジ精神を発揮することを奨励する土壌があり、その上で回を重ねるごとに共鳴の輪が広がり、多くの従業員が社会課題を解決することの意義を感じるようになった点にある。今年、「NTN PROUD AWARD」は2回目の開催となるが、やり続けることが変革につながるというオムロンの実績を踏まえ、継続的に開催できるよう本取り組みの意義を社内に根付かせてほしい。
「企業理念について考える会」、「NTNスピリットブック配布」、「NTN PROUD AWARD」など企業理念の浸透活動を精力的に取り組んでいることはとても良いことだが、企業理念浸透活動を推進する上で、個々の施策を体系立てて年間計画に落とし込むことが必要である。

テーマ2 環境

ご意見
環境経営に積極的に取り組んでいる企業では長期ビジョンを数値目標(2050年CO2排出ゼロなど)で示し、バックキャスティングで目標を定め具体的な手段へと落とし込んでいる。中長期の視点で全社共通のメジャーを持ちCO2削減に取り組むことになるので、NTNにおいても環境目標の設定にこうした手法を検討することが望ましい。
環境貢献商品の環境貢献量を開示することは良いことである。ただ、世界的に見ると総量で排出があるのに“貢献”ととらえるのはどうかという見方もあるので、情報開示のあり方としては、総量削減の手段としてNTN商品が役立っていることを表現すれば良いと考える。

テーマ3 人権

ご意見
ESG投資の流れで、ここ2~3年で急速に多くの企業が「ビジネスと人権」について取り組みを始めている。人権は独立してあるものではなく、企業理念を礎に人権に対する基本方針があると社内展開しやすくなる。「企業理念」、「NTNスピリット」、「基本方針」の位置づけ・つながりを明確にし、人権に関する基本方針を策定していくことが重要である。

テーマ4 ガバナンス

ご意見
「NTNレポート2018」で紹介されている社外取締役対談から、NTNでは社外取締役の意見が積極的に出されていることが伺える。今回、経営への監督機能が最も強化できるとされている指名委員会等設置会社へ移行されたことは、その中で社外取締役のウエイトが増加し、社外取締役の意見が広く反映されることになり、ガバナンスの強化が図られると考える。
第4回

開催日

2018年6月13日

出席者

有識者

國部克彦様
國部 克彦様

神戸大学大学院教授

檜山 洋子様
檜山 洋子様

弁護士・米国NY州弁護士/
ヒヤマ・クボタ法律事務所

白鳥 和彦様
貝﨑 勝様

オムロン㈱
サステナビリティ推進室 企画部長

梨岡 英理子様
梨岡 英理子様

公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役

NTN出席者

仲野 浩史

取締役
CSR(社会的責任)
推進本部長

野々 健二

人事部長

小澤 隆信

経営企画部長

賀茂 邦男

調達本部長

楠瀨 将弘

総務・環境管理部長

井口 耕平

コーポレートバリュー
推進部長

テーマ1 企業理念

ご意見
企業理念の浸透には、表彰制度や従業員が自発的に手を挙げて参画する継続的なプロジェクト体制構築など「具体化させる仕組みを作ること」が重要です。NTNスピリットを従業員に考えさせ、自主的に企業理念と結びつけた行動を促すことが今後求められます。また、トップ自らが国内外の各拠点を回って企業理念の精神をダイアログという形で伝えるなど継続して活動を続けることも有効です。「NTN PROUD AWARD」を開催するだけでなく、結果や様子を動画で全従業員に発信するなど「共鳴の輪」を広げることを検討されてはいかがでしょうか。

テーマ2 マテリアリティ

ご意見
CSR活動を網羅的にされていますが、マテリアリティを決めて会社がどの方向へ向いているのかを示された方がさらに良くなると思います。重要なのは本社部門だけでなく、事業部門や技術部門などと協力し十分に議論し、さらに経営陣が議論したものを決めていくことです。マテリアリティ選定の手順は会社独自が決めることであり、点数化してマッピング分析をするだけではなく、中期経営計画と表裏一体にし、SDGsなどの社会課題も意識しながら最終的には、戦略的に評価することを念頭に置くのが良いのではないかと思います。

テーマ3 環境問題

ご意見
環境貢献商品をつくることは大変良いことです。ただ、商品のCO2削減量などの定量化については海外ではグリーンウォッシュ*1の危険もあり、日本と海外での情報発信には注意が必要だと思います。また、SBT (Science Based Target)*2イニシアティブにもとづく場合でも、単純に指標を出すだけでなく、測定の正確性に加え、その改善度も重視すべきです。スコープ3についても、測定だけでなく改善に結び付けることが必要で、重要なプロセスに注力をしてCO2を削減し、その効果を開示するところまで進めることができればベストです。
  • 1 グリーンウォッシュ:商品などがあたかも環境に配慮しているかのように見せかけること
  • 2 SBT:企業に対して科学的知見と整合した目標設定

テーマ4 サプライチェーンCSR・人権・ガバナンス

ご意見
すべてのサプライヤーに同じ基準を設けるだけでなく、重要サプライヤーについては特定して管理した方が良いでしょう。幅広い情報収集をお勧めします。
グローバルでの管理に関しては、内部統制も含め原則本社が担い、ローカルに任せきりにしないことが望ましいです。内部統制の機能強化とともに、従業員個々の意識を向上させることも重要です。特に人権に関しては、各海外地区の国内法では問題がなくとも、グローバルレベルで対応すべきであり、法律や文化の違う海外まで実効性を持たせられるような取り組みをされることをお勧めします。
第3回

開催日

2017年6月7日

出席者

有識者

國部 克彦様

神戸大学大学院教授

檜山 洋子様

弁護士・米国NY州弁護士/
エートス法律事務所

白鳥 和彦様

公益社団法人
新化学技術推進協会
部長研究員
前(株)積水インテグレーテッドリサーチ 主席研究員

梨岡 英理子様(司会)

公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役

NTN出席者

仲野 浩史

取締役
CSR(社会的責任)推進本部
本部長

井口 耕平

創業100周年事業推進
プロジェクトリーダー

黒田 康之

CSR(社会的責任)推進本部
CSR部長

松谷 季之

総務・環境管理部長

テーマ1 創業100周年を迎えるにあたって

有識者
過去2年間のダイアログの結果を真摯に受け止め、評価・実行を行っている点は素晴らしく、誠実にご対応いただいていると感じます。また、2018年に創業100周年を迎えるにあたり、企業理念の浸透にまで踏み込んでおられます。企業理念の浸透にあたっては、具体的な行動に結びつけることが重要であり、そのためには、企業理念と従業員の具体的な行動をつなぐ何かを明示することが必要と考えます。そうすることにより、従業員一人ひとりの行動が社会貢献につながっていくと考えます。
NTN
当社の企業理念には創業時の開拓者精神、共存・共栄精神が込められており、それらを「独創的技術の創造」「社会への貢献」という言葉で表現しています。
この企業理念を次の100年に向けて浸透させるためには、従業員に日々の仕事と理念が結びついた形で説明をしていく必要があり、最終的には「判断するときの依り処」となることが理想です。従業員一人ひとりがお客さまに対してはもちろんのこと、社会に対しても貢献できる存在となれるよう取り組んでいきます。

テーマ2 グローバル展開におけるCSRの必要性

有識者
CSRをグローバルに推進していくためには、その地域の企業や社会と協力することが重要です。そのためには、企業理念の浸透のほか、マテリアリティの特定も有用ですので検討してください。また、ダイバーシティの推進が経営面で重要な要素になります。NTNは積極的に海外展開されていますが、ダイバーシティを推進していくためには、それだけでなく経営層のダイバーシティに対する理解の深耕も必要です。
NTN
各海外拠点が、事業活動をとおしてその地域に根差していけるよう、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」なども視野にいれ、当社としてのマテリアリティを検討していきます。また、ダイバーシティにおいても、経営層を対象とした研修を実施するなどさまざまな施策を行っており、各海外拠点と互いの文化を尊重し合える環境づくりに取り組んでいきます。

テーマ3 環境

有識者
NTNは業務運営上の環境負荷削減はかなり高い水準にあると考えています。今後は、サプライチェーンでの環境負荷削減やイノベーションなど、長期的な視点で環境戦略を定め、これまでと異なった側面での活動を期待しています。
その際は、環境貢献量など第三者が見てわかる指標が必要になります。社会に貢献する商品は、自社だけでなく、他社とのコラボレーションも視野にいれることで広がっていくのではないかと考えます。
NTN

今後、工場における環境への取り組みだけでなく、環境面での価値創造にも注力したいと考えています。データの客観性についても重要だと認識しており、CO2データの第三者評価など、非財務指標として環境関連数字の見える化を進めています。また、環境貢献商品については、基準の策定を始めており、中長期的に効果のある商品を開発していきたいと考えています。

(以上、有識者の方々のご意見をとりまとめて記載しています。)

第2回

開催日

2016年6月9日

出席者

有識者

國部 克彦様

神戸大学大学院教授

檜山 洋子様

弁護士・米国NY州弁護士/
エートス法律事務所

白鳥 和彦様

(株)積水インテグレーテッドリサーチ 主席研究員

梨岡 英理子様(司会)

公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役

NTN出席者

仲野 浩史

取締役
CSR(社会的責任)推進本部
本部長

松谷 季之

総務・環境管理部長

黒田 康之

CSR(社会的責任)推進本部
CSR部長

テーマ1 NTNのCSR

第1回での
ご意見
  • 今後は、事業活動とCSR活動の一層の連携が重要である。
  • CSR活動の発展のためには企業活動に「価値創造」を組み合わせることが重要である。
その後の
対応進捗
  • 本業での省エネ・地球環境保全に加えて、自然エネルギー事業などの新事業でも、事業活動と自然エネルギー活用・地域社会への貢献とを連携させています。
  • 製品を通じた「価値創造」として、地球環境・地域社会・人材などへ配慮した、持続可能性のある社会への視点で、企業活動にCSR活動を組み込んでいます。
第2回での
ご意見
  • CSRの優先度と方向性をCSRのマテリアリティとし、非財務指標のKPIでその進捗を開示することが望ましい。マテリアリティは状況の変化に鑑み3年毎に変えるなどしても良い。
  • CSR目標(経営目標も)は、アクションプランだけでなく、低成長の時代にはベンチマークで維持していくことも必要。
  • 価値創造として、大きな方針のもと、マテリアリティを中長期的に考えていくことが大切。
  • 日本のエネルギー全体として地産地消をきちんとしていく必要がある。そこに貢献する事業はすばらしい。
  • レポーティングは(総花的でなく)今年の重点など分かりやすく伝えると良い。

テーマ2 グローバル

第1回での
ご意見
  • 海外を含めたネットワークを構築し、相互交流することでNTNがグローバルに結合できる。
その後の
対応進捗

経営会議、CSRグローバル会議などを英語で開催し、各種データベースの英語化、企業内電子ニュースの「e-Talk21」(英語版・日本語版併用)、季刊社内報「Blue Horizon」(英日併記)などで情報共有を推進しています。

また、海外トレーニー・国際インターンシップ制度や海外工場からの研修受入れなどで相互の人的交流を図っています。

第2回での
ご意見
  • CSRグローバル会議は、地域毎に課題も違う中、エリア毎の課題の共有などで役に立つ。
  • For New Technology Networkの、ネットワークとしての広がり・つながりが大切。

テーマ3 コンプライアンス

第1回での
ご意見
  • 情報の共有化と透明性が重要である。
その後の
対応進捗

海外各地区の総支配人室に内部統制課を設置し、海外グループ企業のコンプライアンス推進体制を強化しつつ、各地域での事情や特性を踏まえ、地域ごとの施策を推進し、本社で全体統括管理し、内部監査部門でモニタリングしています。

第2回での
ご意見
  • コーポレートガバナンス・コードへの対応はきちんとされている。コーポレートガバナンス・コードは、本来は中長期的思考であり、すべてのステークホルダーのためにあると述べられており、中長期的な価値創造を示すことが大切。
  • コンプライアンスのシステムだけでは対応できないこともあり、現場と経営との距離で防げることもある。頑張れが圧力にならないよう、コミュニケーションとフィードバックのプロセスが大切。

テーマ4 環境

第1回での
ご意見
  • 「価値創造」といえる環境商品の紹介をして欲しい。
その後の
対応進捗

「価値創造」領域として自然エネルギー事業、自動車の電動化・安全革命でのEV事業、人との協働・共生のロボット事業、ビッグデータを活用したサービス・ソリューション事業などを展開します。自然エネルギー事業では、垂直軸風車、小水力発電装置などによる電力を、EVの充電や野菜工場の照明などに活用するエネルギー循環型モデルの実証実験としてグリーンパワーパークを設立しました。

第2回での
ご意見
  • グリーンパワーパークは、企業だけでなく、地域を含めて社会的基盤を強化していく良い取り組みで、社会貢献としても好ましい。
  • ベアリングそれ自体にコアとしてまだまだ可能性があるのでは。回りやすい・止まりやすいなど回転・動くことの付加価値がもっとあるのでは。新しい役割も期待したい。

テーマ5 創業100周年と今後の課題

第2回での
ご意見
  • 100周年に向けて、「価値創造」の見せ方にもう一工夫をお願いしたい。企業が持続していく際に立ち戻るところとして企業理念があり、従業員が誇りに思えるような100周年を迎えてほしい。
  • 従業員にコンプライアンス以外のCSR意識調査などグローバルにしてはどうか。理念の浸透確認には調査が必要。
第1回

開催日

2015年5月22日

出席者

有識者

國部 克彦様

神戸大学大学院
経営学研究科長・教授

檜山 洋子様

弁護士・米国NY州弁護士/
エートス法律事務所

白鳥 和彦様

(株)積水インテグレーテッドリサーチ 主席研究員

梨岡 英理子様(司会)

公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役

NTN出席者

仲野 浩史

取締役
CSR(社会的責任)推進本部
本部長

松谷 季之

総務・環境管理部長

持田 陽一郎

CSR(社会的責任)推進本部
CSR部長

ダイアログ要旨

  • B to B(Business to Business 一般消費者でなく企業間ビジネスを対象とする)企業としては、NTNのレポートは充実している。今後は、事業活動とCSR活動の一層の連携が重要である。
  • CSR活動は、システムを構築した後は、ルーティン業務になりがちで、さらなる発展が難しい。発展のためには企業活動に「価値創造」を組み合わせることが重要である。
  • グローバル化には、世界中の従業員に自社の全体像やCSRなどを知ってもらうことが重要。海外を含めたネットワークを構築し、相互交流することでNTNがグローバルに結合できる。また、グローバルな価値観や職種・仕事の適性によって適材適所な働き方ができる仕組みを提供することが大事である。
  • コンプライアンスで問題を起こす企業は、企業風土に問題がある。コンプライアンスの仕組み(システム)が整備されていても、機能していない場合があり、情報の共有化と透明化が重要である。また、世界各国で法令遵守の度合いが異なり、各国、一つひとつ体系的に整理することが大切である。
  • 環境への取り組みにおいて、リデュース・リユース・リサイクルのうちリサイクルは限界まで進められている。今後はリデュースの対応が課題となる。また、「価値創造」といえる環境商品の紹介をして欲しい。

いただいたご意見から抽出することができた課題は、優先順位をつけ、短期に、中長期に対応してまいります。今後も、継続的にステークホルダー・ダイアログを開催し、環境・社会・ガバナンスなどの問題に、積極的に取り組んでまいります。