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2020年度のCSR活動をご紹介します。

第三者意見

「NTNレポート2021」第三者意見書

写真:関西学院大学商学部副学部長・教授 阪 智香 様

関西学院大学商学部副学部長・教授
阪 智香 様

略 歴:
関西学院大学商学部専任講師、助(准)教授を経て、2008年より教授。商学博士。
現在、日本学術会議連携会員、大阪府環境審議会委員、大阪市環境審議会委員、日本経済会計学会常務理事など。日本会計研究学会学会賞など受賞。
著書に『環境会計論』(東京経済情報出版) など。

2020年度は多くの企業にとって厳しい事業環境となりました。そんな中にあって、NTNでは、2020年度にマテリアリティの特定、人権基本方針の制定、そして、2021年には新トップのもと新中期経営計画をスタートさせ、TCFDへの署名と、変革を加速されました。
マテリアリティは、2015年に署名された国連グローバル・コンパクトをふまえて、13項目を特定されました。正(ポジティブインパクトの強化)と負(ネガティブインパクトの低減)を明確に区分することによって、独創的技術の創造によるチャンス獲得、社会的コストの低減やリスク回避、そして、グローバル企業として社会から求められる期待を着実に達成することによる社会貢献といった側面がバランス良く含められています。13項目中10項目をネガティブインパクトの低減にあてられていることには堅実さがみえますし、その10項目については、「NTNレポート2021」においてそれぞれ1~2頁にわたって充実した取り組み内容が報告されています。また、マテリアリティ13項目中7項目が「社会」であることも特徴です。日本企業は海外企業と比較して社会的項目への取り組みのスコアが低い傾向にありますが、「NTNレポート2021」では10頁分が社会項目にあてられています。特に、新しく制定された人権基本方針をもとにしたサプライチェーン全体での各種対応は先進的です。
「NTNレポート2021」の102頁にもあるように、NTNは多くのSRI/ESGインデックスに組み入れられています。FTSE Russell ESG Ratings(2021年7月時点)では、NTNのESG総合スコアは日本の評価企業中の上位28%に位置しています。ESGの中では「環境(E)」で高い評価を得ておりますが、マテリアリティでは社会に重点が置かれ、今後は「社会(S)」評価の向上も期待されます。
一方、ESG投資のメインストリーム化が進んでいることによって、財務的パフォーマンスとESGパフォーマンスの両方が求められる傾向がより強まっております。トップが直接語る詳細な価値創造ストーリー、NTNの強みやNTNを取り巻くリスクと機会の詳細な分析とその対応策などを通して期待できる将来の収益獲得能力が評価されていることが、NTNの株式時価総額が堅調であることに表れています。さらに、DRIVE NTN100の先の長期を見据えて、NTNの技術創造と新商品開発による社会貢献を実現していくためにも、いかに新しい事業機会を捉えて財務的基盤の強化につなげるかのコミュニケーションも期待されるでしょう。その時に、賛同を表明されたTCFD提言に沿って既に取り組まれているシナリオ分析も利用できます。カーボンニュートラルは、温暖化対策であると同時に成長戦略であり、国内産業振興も期待されています。2021年7月に発表された政府のエネルギー基本計画原案では、2030年度の総発電量に占める再生可能エネルギーの比率を36~38%に高めることが示されており、不確実性を残しつつも拡大が見込まれる風力発電やNTNの自然エネルギー商品、EV化対応などは、他社を巻き込み新しい事業機会につなげられる大きな可能性を持ちます。
また、Web開示のGRIガイドライン対照表に加え、「NTNレポート2021」では、SASBスタンダートの開示基準に基づく情報開示も始まり、KPI情報がさらに入手しやすくなりました。ESGやSDGsについては、これらの全てに対応するというよりも、自社の理念達成のために、どの要求に注力し対応すべきかを見定め、それをステークホルダーに表明することがますます重要になると思います。今後の100年を見据えて、筋の通ったぶれない経営がますます求められている時代であり、これまでの100年の歴史の中で大切にされてきた「開拓者精神」「共存共栄精神」をもとに展開されているNTNの取り組みに期待しております。

*FTSE Russell社によるESGレーティング。事業のESG リスク、およびそれに対する企業の取り組みを評価したもの。

第三者意見を受けて

写真:執行役 CSR本部担当 白鳥 俊則

執行役
CSR本部担当
白鳥 俊則

阪先生には、貴重なご意見を賜り厚く御礼申し上げます。

当社は、企業理念の実践を通じて、世界を取り巻く社会的課題の解決に貢献し、人々が安心して豊かに暮らせる「なめらかな社会」の実現を目指しています。2020年度は、SDGs目標達成に向けて、当社が優先的に取り組むべきマテリアリティを特定しました。それぞれのマテリアリティの捉え方についてご評価を頂き、今までの取り組みに確信を持て、ESGの取り組みで大事にすべきご提言を今後の取り組みに活かしていきます。

また、TCFD提言の賛同表明についても、お示しいただきました通り、シナリオ分析を活用することで、当社事業におけるカーボンニュートラル達成の取り組みや、当社製品・サービスによる脱炭素社会への貢献など、マテリアリティの施策・目標に結び付けて取り組んでいきます。

今回いただいた貴重なご意見を真摯に受けとめ、中長期にわたる企業価値の向上に努めてまいります。