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2020年度のCSR活動をご紹介します。

当社の独創的技術の創造を通じて社会に貢献

13項目のマテリアリティのうち、ポジティブインパクトを強化する3項目は、独創的技術や商品によって社会貢献する取り組みです。それぞれの項目では、

  1. 低フリクション商品によるエネルギーロスの低減
  2. 大型風力発電装置の主軸用軸受の提供と、その振動や温度などを観測する状態監視事業の展開よる自然エネルギー社会の実現
  3. ハブベアリングにモータなどの汎用部品を組み合わせたモジュール商品の開発により自動車の安全運転と快適性の提案

をします。これらは、当社のコアコンピタンスを活かした「Technical Materiality Circle」活動として、技術の共有化、共通化による商品を開発し、持続可能な社会の実現を目指します。

Technical Materiality Circle

エネルギーロスの低減

産業界では、気候変動への対応としてCO2排出量削減に寄与する低トルク商品に注目が集まっています。自動車分野において、業界シェアNo.1を誇るハブベアリングは、新たに開発した低トルクグリースの採用や、シール形状と内部予圧の最適化により、フリクションを当社従来品比60%低減した「低フリクションハブベアリングⅢ」を市場展開しています。そのほか、フリクションが従来品比80%低減したトランスミッション向け「超低フリクションシール付玉軸受」も量産対応しています。さらに、しゅう動式等速ジョイントでは、最大操作角の見直しと最適設計により、当社従来品重量比29%低減した「サブアクスル・リア用小型軽量等速ジョイント」を開発し、小型・軽量化を進めています。
また産業機械分野では、フリクションが従来品比50%低減したロボット関節向け「サーボモータ用低発塵軸受」を量産対応しています。
これら商品のさらなる高効率化、小型・軽量化を進めることにより、産業界全体の省エネルギー化に貢献します。

サーボモーター用低発塵軸受、サブアスクル・リア用小型軽量等速ジョイント、低フリクションハブベアリングⅢ

ハブベアリングの低フリクション化

ハブの低フリクション化

自然エネルギーを利用した持続可能な社会の実現

陸上に加えて、今後は洋上風力発電の進展が期待されています。風車の安定稼働のニーズに応えるため、大型風力発電装置主軸用軸受として、実際の荷重分布下での寿命向上を目的とした左右列非対称自動調心ころ軸受を市場展開しています。さらに、自動調心ころ軸受特有の差動すべり下でも耐摩耗性に優れるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜をころ表面に処理し、軸受の信頼性を高めました。
一方、風車の稼働率向上を目的に、軸受振動や温度などを観測するモニタリング装置「Wind Doctor®」による状態監視(CMS:Condition Monitoring System)事業を展開し、風力発電事業者にご活用いただいています。今後は、AIアルゴリズムによる余寿命予測技術を開発し、軸受の計画保全や破損の未然防止に役立てていきます。
また、小型の風力発電装置を搭載した独立電源装置「グリーンパワーステーション(GPS)」を開発し、災害時の非常用電源として自治体に採用いただいています。GPSの拡販により、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

左右列非対称自動調心ころ軸受、グリーンパワーステーション

安全と快適の提供

自動車分野ではCASEに対応した電動化商品に注目が集まっています。ハブベアリングにモータ・ジェネレータを組み合わせた「eHUB」、ハブベアリングの機械設計、製造技術とモータ制御技術を融合し、ハブベアリングにタイヤの転舵角度を調整する機構を組み合わせた「sHUB」など次世代自動車に適応した、世界初の高機能モジュール商品を市場展開しています。さらに、車両走行性能の向上と、危険回避時の安全性向上を目的に、自動車後輪の転舵角を左右独立に制御可能とする「Ra-sHUB」を開発しました。「Ra-sHUB」は前輪駆動(FF)車の後輪に取り付け、ハンドルを切る転舵角度や車速から左右の車輪ごとに最適な角度を制御します。自動車メーカからは、将来の自動運転での貢献が期待されると高い評価をいただいています。
当社は、基盤商品にモータなどの汎用部品を組み合わせたモジュール品の開発により、新たな商品価値を生み出し、お客さまには安全・快適な商品を提供していきます。

 

Ra-sHUB(ラスハブ)

環境貢献商品の開発

当社は、企業理念として「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」を、環境基本方針の第1項には「自社技術による地球温暖化防止への貢献」を掲げて事業活動を展開しています。当社の主力商品である軸受やドライブシャフトなどは、最終製品のエネルギー損失低減に寄与するため、そのすべてが環境貢献商品ということができ、その中には、先人の功績としてすでに広く社会に普及しているものと、当社の技術力・開発力によりさらに環境貢献度を高めたものが含まれます。また、自然エネルギー商品は、再生可能エネルギーを創出することで、CO2排出量の削減につながる環境貢献商品です。
当社では、それらの環境貢献度を当社基準に基づいて数値化し、よりグレードの高い環境貢献商品の開発・提供によって企業理念を具現化するよう不断の努力を続けています。

環境貢献商品の定義

NTN商品の分類・グレードと定義

NTN商品の分類・グレードと定義

環境ファクタ・環境効率の算出方法

環境ファクタ・環境効率の算出方法

取り組み成果の推移

当社売上高の約5割を占める主要製品であるドライブシャフトおよびハブベアリングと、自然エネルギー商品の2021年3月期のCO2削減貢献量は132.3万トンとなり、近年の開発成果と言えるS~B-ecoグレードの環境貢献商品の売上比は、2021年3月期には51.6%となりました。

売上高の推移*4

売上高の推移

環境貢献商品グレード構成比の推移(ドライブシャフトおよびハブベアリングなど)

環境貢献商品グレード構成比の推移(ドライブシャフトおよびハブベアリング)

CO2削減貢献量*5

CO2削減貢献量