HOME > サステナビリティ > 年度別アーカイブ > 2020年度 > 環境:資源循環・汚染防止

2020年度のCSR活動をご紹介します。

資源循環・汚染防止

汚染防止の取り組み

汚染防止は、事業所での油などの漏えい対策や商品に含まれる環境規制物質および工程で使用する化学物質の管理と削減に取り組んでいます。

PRTR制度対象化学物質の取扱量の削減

当社グループは、国内の製造工程で取り扱う化学物質の中で、PRTR制度の対象となっている化学物質の使用量の把握・削減に取り組んでいます。PRTR制度の対象化学物質の中で、特に取扱量の多い6物質(図参照)については、有害性の少ない物質への代替を図っています。

*特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律

PRTR制度対象化学物質の取扱量

PRTR制度対象化学物質の取扱量

有害な廃棄物の管理(国内)

NTNグループは、各国の法規制に基づき事業場で発生する廃棄物の処理を行っており、国内グループは「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)を遵守した廃棄物処理を実施しています。2021年3月期では、特に有害性の高い廃棄物である特別管理廃棄物の発生量は、492トン/年でした。

フロン排出抑制法及びR22 使用機器の計画的更新

国内グループは、フロン排出抑制法を遵守するため、空調設備などに使用される代替フロン類(HCFCs)の漏えい量を記録・管理しています。2021年3月期の漏えい量は1,912トン-CO2eでした。今後も漏えい量を厳格に管理し、R22(クロロジフルオロメタン)などの代替フロン類を使用しない機器への計画的な更新を推進します。

PCB処理特別措置法への対応

国内グループは、PCB特措法に基づき、PCB廃棄物を適正に管理し廃棄しています。高濃度PCB廃棄物は、2021年3月期963kgを廃棄し、2021年6月に全量廃棄しました。低濃度PCB廃棄物についても、対象機器の把握と管理を行い、法的な処理期限内での全量廃棄に取り組みます。

資源循環の取り組み

NTNグループは、事業活動におけるマテリアルフローを把握し、原材料・水など投入資源のリデュース・リユースと生産副産物などをリサイクルすることで、持続可能な資源の利用に取り組んでいます。水使用量と廃棄物発生量は、環境目標を設定し、削減に取り組んでいます。

環境負荷(マテリアルフロー図)

マテリアルフロー図(対象:国内・海外)

マテリアルフロー図(対象:国内・海外)

水使用量削減

2021年3月期の水使用原単位は、国内事業場の目標(2011年3月期比△17.0%)と、海外事業場の目標(2015年3月期比△21.7%)を達成することができました。2022年3月期も、水使用原単位低減の目標(国内事業場:2011年3月期比△24.7%、海外事業場:2015年3月期比△19.5%)達成に取り組みます。

水使用量・使用原単位【国内・海外】

水使用量・使用原単位【国内・海外】

水ストレス(2030年予想)と地域ごとの水使用量

当社グループは、水ストレス分析をAQUEDUCTにより行い、水リスク管理に活用しています。
*AQUEDUCT:世界資源研究所(WRI)が世界の水リスクを示した世界地図・情報を無料提供しているツール

2021年3月期 水使用量

水ストレス(2030年予想)と現状の水使用量

廃棄物の削減

廃棄物発生の抑制と高リサイクル率の維持

2021年3月期は、廃棄物発生原単位の低減に取り組み、国内事業場の目標(2011年3月期比+3.7%)を達成しました。2022年3月期は、更なる廃棄物発生の抑制に努め、国内事業場の廃棄物発生原単位維持(2011年3月期比△5.8%)と、廃棄物リサイクル率の目標(国内事業場98.6%以上、海外事業場97.5%以上)達成に取り組みます。

廃棄物発生量とリサイクル率【国内・海外】

廃棄物発生量とリサイクル率【国内・海外】

固形化装置による研削スラッジの再資源化

当社グループは、研削スラッジ固形化装置を開発し、NTNグローバルでの導入だけでなく、社外への販売を実施しています。金属部品の研削工程から排出されるスラッジは、金属の他にクーラント液を大量に含んでいますが、この装置を導入したことでクーラント液を分離し、スラッジを金属成分の高い固形物に圧縮することで、マテリアルリサイクル化を実現しています。また、分離したクーラント液は装置によりろ過され再利用しています。2021年3月期、NTNグローバルでは60台の装置が稼働しており、約5,200トンの固形化された研削スラッジを再資源化しました。

2021年3月期 研削スラッジ固形化装置実績

稼働台数 再資源化重量(kg/年)
国内事業所 48 3,753,330
海外事業所 12 1,447,010
合計 60 5,200,340

切削切粉の減容化

南京恩梯恩精密機電有限公司(中国)では、2020年6月に熱処理品の切削工程で発生する切粉の圧縮固形化装置を開発し導入しました。切粉は金属有価物としてリサイクル業者に売却していますが、切粉に含まれるクーラント液の分離ができず、品質向上が課題でした。この装置の導入により、円柱状に圧縮することで切粉からクーラント液を分離することができました。切粉は約1/20に減容化され、処理効率の向上により売却益が増加しました。

切粉の圧縮装置

切粉の圧縮装置

圧縮前の切粉

圧縮前の切粉

圧縮後の切粉

圧縮後の切粉

汚泥脱水による廃棄物の削減

常州恩梯恩阿愛必有限公司(中国)では、湿式タンブラー工程から発生する廃液を場内で処理する設備があります。廃液に含まれる固形分は沈殿槽で汚泥として集積され、重機を用いてコンテナに移し替えて廃棄していました。その際、移し替えによる汚泥からの悪臭発生や漏れた汚泥による地面への汚れなどがありましたが、自動で廃液から汚泥を脱水除去する汚泥プレスフィルター装置を導入し、これらの問題を解決しました。この装置により汚泥を完全脱水し、37.5トン/年の廃棄物を削減しました。

脱水した汚泥

脱水した汚泥

塗装工程におけるVOC排出量の削減

襄陽恩梯恩裕隆傳動系統有限公司(中国)では、塗装工程から排出される揮発性有機化合物(VOC)を削減するため、処理プロセスを改善しました。中国では、2020年に「重汚染天気重点業界緊急排出削減制定技術指針」が改訂されました。本法律は、行政が大気汚染の急激な悪化を緩和するための基準を定め、取り組みが不十分な事業場に緊急の操業停止や大幅な減産を指示する場合があります。この排ガス処理プロセスの導入により、VOCの排出量を約50%削減し、比較的軽度の減産措置となる改善につながりました。

排ガス処理施設

排ガス処理施設

落ち葉や芝生の堆肥化による廃棄物の削減

NTN Kugellagerfabrik (Deutschland) GmbH (ドイツ)では、場内の植栽からでる落ち葉や刈り取った芝生を一般ゴミとして事業所外で焼却処分していましたが、事業所内で自然分解による堆肥化に取り組みました。この取り組みにより、植栽から発生する廃棄物を削減することができました。

堆肥置き場の様子

堆肥置き場の様子

軸受再生ビジネスの拡大

当社グループでは、製品の信頼性・サービス向上と循環型社会への貢献のため、軸受再生ビジネスに2018年より取り組んでおり、顧客からの要請を受け、当社が顧客より使用後の軸受を預かり、軸受機能を再生させる新たな事業です。再生処理した軸受は、製品寿命が拡大するため、新たに製品を製造する場合より必要な原材料やCO2排出量の削減、顧客の廃棄物の削減につながります。今後は、軸受の状態監視サービスと組み合わせた最適な再生サービスの提供などによる新規サービスの創出や適用できる商種を増やし、社会へのネガティブインパクトの最小化に結び付けるビジネスモデルとして拡大を図ります。

事業部 対象製品(例) サービス内容

アフターマーケット事業

製紙プラントの大形軸受

製紙プラントの大形軸受

工作機械スピンドル

工作機械スピンドル

製紙プラントの大形軸受

再生処理により、軸受の交換期間は、最大約2倍になり、設備の長時間稼働に貢献

高精度を要する工作機械、半導体製造装置、光学機械の各種スピンドル

再生処理により、高速性能と精度維持

産業機械事業

地下鉄車軸軸受

地下鉄車軸軸受

地下鉄車軸軸受(中国)

現地事業場で専用のメンテナンスラインを設置、2022年3月期より事業化

環境会計

国内グループは、環境保全に効率的に取り組むため、環境省のガイドラインに基づく分類にて、環境保全のコストおよび効果の定量化を行っています。2021年3月期の環境保全コストは、環境貢献商品の研究開発を含み約33.6億円であり、環境保全対策に伴う経済効果は約7.0億円でした。

環境保全コスト

(百万円/年)

分類 設備投資額 費用 総合計
金額 主な内容 金額 主な内容








公害防止コスト 24 環境設備(集塵機、ブロアなど) 321 環境施設(集塵機、排水処理施設)の保守・点検・維持管理など 345
地球環境保全コスト 116 省エネ設備(コンプレッサ用インバータ、LED照明、高効率空調機器など) 103 省エネ設備設置・保守・点検・維持管理など 219
資源循環コスト 0 節水・雨水利用設備、研削スラッジ固形化装置 709 廃棄物リサイクル・
減量化対策、
一般・産廃の処理費用
709
上下流コスト 0 12 グリーン調達にかかわる分析 12
管理活動コスト 0 355 環境マネジメントシステム(EMS)にかかる
人件費、情報開示(広告、NTNレポート)場内の緑化・美化
355
研究開発コスト 482 試験機購入費、試作費用など 1,231 エコ商品(軸受、CVJ、電動モジュール、自然エネルギー商品など)の研究開発 1,714
社会活動コスト 0 2 社外の緑化・美化 2
環境損傷対応コスト 0 5 土壌調査・対策費用 5
合計 622 2,739 3,361
(参考)
2020年3月期合計
1,095   3,371   4,466

環境保全対策に伴う経済効果

(百万円/年)

項目 金額 主な内容
地球環境保全コスト・効果 61 空調・コンプレッサ・照明の省エネ効果など
資源循環コスト・効果 642 金属スラッジなどの有価物売却益など
合計 703  
(参考)
2020年3月期合計
900  

環境保全効果

指標 2020年3月期 2021年3月期
CO2総排出量 27.1万トン 23.8万トン
廃棄物の削減 リサイクル率 97.6% リサイクル率 98.1%