2019年度のCSR活動をご紹介します。
気候変動への対応
省エネへの取り組み
NTNグループでは、生産活動に伴い排出するCO₂の削減のため、全社及び各事業場でCO₂削減目標を設定し、大規模な省エネ改修としてコンプレッサ、空調、照明などユーティリティ設備の省エネ化、日々の省エネとしてモータのインバータ化、エア漏れ対策、非稼動設備の電源オフ等の地道な活動に注力しております。
その促進のため、2016年度からCO₂削減のための設備投資に特化した予算「省エネわらしべ長者予算」を導入しました。これは省エネにより削減出来たエネルギー費用を翌年度予算として活用できる当社独自の仕組みであり、各事業場での創意工夫による自律的なCO₂削減活動に取り組んでいます。
NTN-SNR(フランス)
ヒートポンプによる廃熱利用
NTN-SNRは、2016年に7工場にて、エネルギーマネジメントシステム(ISO50001)を導入し、エネルギーパフォーマンスの向上を追求しています。電気および燃料を使用する生産設備のエネルギー損失の特定活動を2016年より進めた結果、コンプレッサ、クーリングタワーおよびボイラで多くの熱損失が発生していることがわかり、廃熱利用による省エネを行っています。セノー工場(フランス)、アルゴネ工場(フランス)、シビウ工場(ルーマニア)にクーリングタワーの廃熱をボイラで利用するヒートポンプを導入し、燃料消費量を2.7%削減することができました。
■ヒートポンプのシステム図
NTN-Bower Hamilton(アメリカ)
空調ユニットを屋根上設置から室内設置に変更し、エネルギー削減
NTN-Bowerハミルトン工場では屋根設置タイプの空調機ユニットを室内床設置タイプの空調機ユニットに更新しました。床置きユニットにする事により、温度調整が必要な場所に空気を効率的に送ることができる様になり、工場全体の温度を調整していた屋根設置タイプの空調機と比較して、100,000kWh/年(約53トンCO₂)削減できました。
■室内床設置タイプの空調機ユニット
恩梯恩阿愛必(常州)有限公司(NTN-RAB)(中国)
エアーコンプレッサ吸気ダクト設置による省エネ
恩梯恩阿愛必(常州)有限公司(NTN-RAB)はエアーコンプレッサ機に吸気ダクトを付加し、夏場の機器温度上昇による突発停止防止とエアーコンプレッサ効率の向上を図りました。室外の低い温度の空気を吸い込み圧縮する事により、エネルギー消費量が約2%改善され、17.9トンCO₂/月の排出量が削減できました。
■コンプレッサ用吸気ダクト
磐田製作所(日本)
表面処理用ボイラの燃料転換(A重油からLPG(ブタンガス))
磐田製作所では、自動車部品の鍛造工程の前処理として表面処理(ボンデ処理)を実施しています。同工程では工場で生じた排熱を利用して加熱した水をA重油を燃料とするボイラで更に加熱して使用しています。
今般、燃料転換による更なる省エネを図るため、LPGを使用した高効率ボイラに切り替えました。これにより、ボイラ効率は90%から97%に向上し、年間209トンのCO₂排出量が削減できました。また、燃料転換により、A重油に含まれるPRTR対象物質(主にメチルナフタレン)も削減でき、環境負荷が低減できました。
■ボンデ処理用ボイラ
照明のLED化実績(日本)
当社グループは省エネ投資として、国内外の事業場で照明のLED化を推進しています。2020年3月期は国内で1,217本、海外で1,127本の水銀灯や蛍光灯をLEDに交換しました。
再生可能エネルギー導入
太陽光発電と風力発電の実績
当社グループは、事業場内に再生可能エネルギーによる発電設備を導入し、自家消費しています。2020年3月期は、国内:620,623kWh/年(CO₂排出量換算236トン/年)海外:7,950,724kWh/年
(CO₂排出量換算3,957トン/年)を発電し、CO₂排出量の削減に取り組んでいます。
南京恩梯恩精密機電有限公司(中国)
事業場内への太陽光発電設備導入
南京恩梯恩精密機電有限公司(中国)は、事業場の屋根に計1.4万枚の太陽光発電パネルを設置しました。2020年1月より稼働しており、370万kWh/年の発電量が想定され、2,722トン/年のCO₂排出量を削減できる見込みです。
■屋根に設置した太陽光パネル(赤枠内が事業場の敷地)
NTN-Antriebstechnik GmbH(ドイツ)
再生可能エネルギー由来の電力に切り替え
NTN-Antriebstechnik GmbH(NTN-AT)が立地するドイツ
ザクセンアンハルト州は、風力発電装置が多く、再生可能エネルギー由来の電力が調達しやすい地域です。NTN-ATは、2020年4月より場内で使用する電力を再生可能エネルギー由来の電力に全量切り替えました。これにより約6,000トン/年のCO2排出量が削減できる見込みです。
当社グループでは、事業場内への太陽光や風力の発電設備の導入だけでなく、再生可能エネルギー由来の電力への切り替えも検討し、再生可能エネルギー調達率の向上に取り組んでいます。
■NTN-AT内に設置されたNTNグリーンパワーステーション(手前)と電力会社の風力発電装置
CO₂排出量・排出原単位
自社の排出量 スコープ1(直接排出)、スコープ2(間接排出)
■CO2排出量・排出原単位(国内)
■CO2排出量・排出原単位(海外)*
*CO2排出量・排出原単位(国内・海外)の対象事業場は「ISO14001(2015年版)取得状況と環境関連の管理項目」をご参照ください。
サプライチェーン排出量(スコープ3)
カテゴリ | 2020年3月期 | |||
---|---|---|---|---|
第三者検証*3 | 排出量(千トン-CO2) | 構成比 | ||
1 | 購入した製品・サービス | ○ | 1,833 | 89.8% |
2 | 資本財 | - | 164 | 8.0% |
3 | スコープ1,2 に含まれない燃料 およびエネルギー関連活動 |
- | 9 | 0.4% |
4 | 輸送、配送(上流)*1 | - | 13 | 0.7% |
5 | 事業活動から出る廃棄物 | - | 17 | 0.8% |
6 | 出張 | ○ | 1 | 0.1% |
7 | 雇用者の通勤 | ○ | 5 | 0.2% |
8 | リース資産(上流) | - | 0 | 0.0% |
9 | 輸送、配送(下流)*2 | - | - | - |
10 | 販売した製品の加工 | - | 0 | 0.0% |
11 | 販売した製品の使用*2 | - | - | - |
12 | 販売した製品の廃棄 | ○ | 0 | 0.0% |
13 | リース資産(下流) | - | 0 | 0.0% |
14 | フランチャイズ | - | 0 | 0.0% |
15 | 投資 | - | - | - |
16 | その他 | - | - | - |
合計 | - | 2,042 | 100.0% |
*1 省エネ法の対象範囲のみ
*2 算出困難のため、集計できていません。
*3 外部機関による第三者検証したデータ
物流におけるCO₂排出量削減活動
当社グループは、サプライチェーンにおけるCO2排出量を削減するため物流の効率化を進めています。主な施策として、輸出コンテナのラウンドユースや輸送経路見直しによる輸送距離の削減、トラック輸送時のエコドライブの徹底、リターナブル鉄コンテナ使用による包装資材の削減などに取り組んでいます。2020年3月期の国内の製品輸送時のCO2排出量は13,293トン/年で目標の13,990トン/年を達成しましたが、急激な売上減少による積載率悪化などの影響でCO2排出原単位は0.0358トン/百万円となり目標の0.0345トン/百万円を達成できませんでした。更なる原単位削減のため、施策の適用範囲の拡大や流動在庫の削減による物流効率の向上に全社で取り組みます。
■物流におけるCO2排出量、排出原単位
気候変動に対する適応
当社グループは、近年多発している激甚災害時に被災された地域住民の安全と安心を提供する新商品の開発により、社会に貢献しています。
⾃然災害激甚化に対応した商品群の開発
N3エヌキューブ、NTNグリーンパワーステーション
災害により電力供給が困難となった場合に緊急電源として使用できる風力・水力・太陽光の3種類の自然エネルギーによる発電装置と蓄電池を格納し、短時間で発電・電力供給が行える「N3 エヌキューブ」を開発しました。昨年9月の台風15号の災害により、電力供給が困難となった千葉県鋸南町へ「N3 エヌキューブ」を派遣し、携帯電話約1,000台への充電や無料のWi-Fi スポットの提供などの支援を行いました。また、「NTNグリーンパワーステーション」を活用して災害発生時の災害状況をいち早く把握する「拠点間長距離無線伝送実験」を国立大学法人大阪大学と実施し成功しました。本システムは安全迅速に災害情報を収集発信でき、電源喪失時の独立電源としても使用できることから各自治体への普及に向けた取り組みを進めていきます。
■千葉県鋸南町へ派遣された「N3 エヌキューブ」
■NTNグリーンパワーステーション