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2018年度のCSR活動をご紹介します。

従業員との関係SDGsとの関係

人材の育成・活用

基本的な考え方

当社は、「個人の成長がすなわち、企業の成長であり、個人の成長無くしてはNTNの企業理念の実現はできない」と考え、人材育成に取り組んでいます。
「創造力のある人材」、「個人として自立している人材」、「国際社会に通用する人材」を求める人物像とし、従業員一人ひとりが「自ら考え、自ら行動する」人材となることで持続的な成長を目指しています。
また、100年続いた「もの造り企業」から「モノとコトを通じて顧客に価値を届ける企業」への変革に向け、個人のより高い専門性の習得とともに、社会のさまざまな課題に対し複数の分野から必要な情報を組み立て、新たな領域にチャレンジするための専門領域の拡大にも取り組んでいます。
「人材」は企業の発展の基盤です。独創的な技術の創造により顧客のニーズを満たし、持続可能な社会への貢献に向け、高い成果を継続して達成できる革新的な人材の早期育成を目指し、「自ら高い目標を掲げ、課題を明確にして解決する力」、「目標達成への信念を持ち、課題に対し創意工夫する力」、「周囲を巻き込む力」などの向上に取り組んでいます。

階層別人材育成

年齢や資格などの階層に応じた能力の要求レベルに対応するために必要な考え方や知識、手法などを習得し業務遂行能力を高めることを目的として、「自ら考え、自ら行動できる」人材の育成プログラムを全階層で展開しています。
次の100年に向けて事業を拡大するためには、国内のみならず海外でも活躍することのできる人材を育成することが不可欠です。こうした人材の育成に向け、特に若手向けの海外経験プログラムを充実させています。将来の海外勤務を担う人材の育成として、1年間、海外事業所で語学研修とOJTによる業務スキル向上を図る「海外トレーニー制度」や、語学力と異文化で活躍できる能力の早期開発を目的に海外に3ヵ月派遣する学卒新入社員向けの「海外チャレンジ研修」などを展開しています。また、向学心の高揚を図り、優秀な人材や国際的人材の育成プログラムとして「留学・奨学制度」も活用しています。

技能・技術に特化した専門別人材育成

当社の固有技術や技能をマザー工場から世界の製造拠点に伝承できる人材の育成を推進しています。

世界QCサークル大会、NTN技能オリンピックを開催:グローバル現場力の強化

当社発祥の地、三重県で「世界QCサークル大会」と「NTN技能オリンピック」の国際大会を毎年開催しています。
「世界QCサークル大会」はグローバルで安全・品質・生産性の向上を図るとともに、さまざまな活動などを情報交換できる国際交流の場となっています。
また、「NTN技能オリンピック」では日ごろの訓練の成果を競い合うとともに、優れた若手技能者の交流などにより、固有技術の伝承の場として活用しています。

世界QCサークル大会

世界QCサークル大会

NTN技能オリンピック

NTN技能オリンピック

NTN生産技術者養成コース:マザー機能の強化

海外でも活躍できる生産技術のスペシャリスト養成を目的に「NTN学校」を開設していますが、2018年3月期から「NTN生産技術者養成コース」へと名前を変更し、より専門性の高い研修にリニューアルしました。この研修では、国内マザー機能を強化するリーダーとして活躍できる生産技術者の早期育成・輩出を目的に、生産技術者を目指す新入社員を対象とした、3年間でもの造りの基礎から生産技術の専門教育を受講する研修を実施しています。

NTN生産技術者養成コース:マザー機能の強化

スペシャリストとして海外の製造現場で活躍

品質に強い人材の育成

従業員の品質に対する意識向上を目的に、「QCベーシックコース」「QCアドバンストコース」などの品質専門教育を2019年3月期は127名の従業員に実施しました。
研修では、過去トラブル事例や、実際に発生したクレーム事例を用いた教育資料により、お客さまにご迷惑をかけた内容を具体的に紹介することで、品質の重要性を再認識する教育を行っています。
また設計・技術部門を対象とした不具合の真因を追求する「なぜなぜ分析」、不具合の未然防止を目的とした、FMEA、FTA、DRBFMなどの品質教育を強化し、不具合が発生しにくい設計開発を目指します。

品質保証部門以外の新任管理職を含め、品質専門教育を実施することで、品質への意識と対応力の強化を図っています。品質管理の基礎を習得させるとともに、職場を活性化させるために、リーダーの心得、やる気の引き出し方、部下の指導法などを教育プログラムに取り入れました。
また、QCサークル活動の支援者、推進リーダーに対しても品質の講義を取り入れ、サークル活動を通じた品質改善活動を推進しています。

ダイバーシティ

基本的な考え方

労働力人口の減少や、グローバル化の進展など、当社を取り巻く社会構造や経済状況は大きくかつ急速に変化しています。
当社は持続的な成長に向け「変革」に取り組んでおり、この「変革」に向けた重要な戦略のひとつがダイバーシティの推進です。
性別や国籍、文化、年齢、障がいの有無などに問われることなく、多様な価値観が融合し、柔軟な発想が生まれることが「変革」につながります。従業員一人ひとりが会社への誇りを持ち、仕事へのやりがいを感じながら、個人の能力を十分に発揮できる職場環境づくりに取り組むことで「変革」を加速させていきます。
ダイバーシティに関するあらゆる施策を推進することで、企業理念である「新しい技術の創造と新商品の開発を通じて国際社会に貢献する」ことを実現していきます。

女性活躍の推進

女性活躍のさらなる推進に向け、女性向けに各種研修を行っています。職場に同性が少ない女性にもステップアップをイメージしやすくし、キャリアアップを促すことを目的に「女性ステップアップセミナー」などを開催しています。
ほかにも、女性の研究・技術者の育成のため、女性の活躍を支援する大学、団体との情報交換を推進しています。また、当社は国立大学法人大阪大学が主催する大阪男女協働推進連携会議に参画しています。将来の女性研究・技術者の増加と育成を目的とした大阪大学「理女フェス!!」に協賛し、女子中高生とその保護者に対して、当社の女性活躍を支援する取り組みを紹介しています。
女性管理職数はほぼ横ばいですが、次の管理職候補である主任クラスの人材は順調に増加しており、今後ますますの女性の活躍を期待しています。

女性ステップアップセミナー

女性管理職と主任数の推移(NTNに在籍する従業員)

女性管理職と主任数の推移

育児と仕事の両立

育児と仕事の両立を支援するため、育児休職の取得予定者と、その上司に向け、関連した制度内容をまとめたハンドブックを整備しました。本人だけでなく、上司向けも作成したことで、休職予定者がより職場からの支援を受けやすい環境を整えました。また、休職者にはコミュニケーションツールを活用し、職場への連絡や各種申請書の入手を自分の都合にあうタイミングで行えるようにし、復職がスムーズにできるようにしました。また、当社では男性の育児休職の取得を推進しています。社内に厚生労働省が推進する「育MENプロジェクト」のポスターを掲示し啓発活動を行っています。また、取得した男性従業員の体験談をイントラネット上にインタビュー形式で掲載することで、男性従業員の育児休職取得を促しています。

採用活動

学卒採用女性比率*

障がい者雇⽤の推進

知的障がいのある方々が主役となって働ける職場を目指し、特別支援学校などと連携して、桑名・磐田・岡山の各事業所に障がい者雇用支援施設「夢工房」を開設しています。他にも、職場のバリアフリーの推進など、車いすの方でも働きやすい職場環境の構築に取り組んでいます。
製造現場や管理部門などあらゆる職場で、多様な方の特性を活かして働くことができる「共働」を目指しており、専門業務でも活躍いただいています。

夢工房での仕事風景

夢工房での仕事風景

シニアの雇用拡大

日本国内では少子高齢化が進む中、重要な働き手となっているベテラン社員の活躍を推進しています。ベテラン社員の知識や技術・技能を伝承するために、60歳で定年を迎えた後、ベテラン社員のキャリアを活かすことができる環境整備を行っています。
これまでのキャリアや保有スキル、勤務地などを総合的に勘案し、国内のグループ会社すべてを対象に継続勤務を可能にしています。こうした制度のもと、定年後の再雇用率は2019年3月期に定年を迎えた方全体の90%となりました。

働き方改革の推進

すべての従業員がやりがいを持って働き、仕事の責任を果たすとともに、個々人の生活の調和がとれる豊かな社会生活を送ることが可能な「働き方改革」を進めています。従業員一人ひとりがメリハリをつけて働けるよう、労働時間管理の徹底、ノー残業デーやフレックスタイム、インターバル制度を導入しています。また多くの従業員に活躍の機会を提供するため、多様なキャリア志向や育児・介護に対応したコース制度を導入するなど人事制度の改革にも取り組んでいます。

多様な働き方の実現

在宅勤務制度の開始

多様な従業員に活躍してもらうためには、働く時間や場所の柔軟性を広げ、働き方の選択肢の幅を広げることが重要と考え、2017年3月期より段階的にトライアルを実施し、課題の洗い出しと対策を行った後、2019年4月より制度導入しています。在宅勤務は、「成果を重視する」意識を高めていくこと、より質の高い働き方につなげることのほか、育児・介護などとの両立を可能とするため、今後さらなる活用を目指しています。

NTNジョブリターン制度

やむを得ない事情で退職した従業員の復職制度です。従来の「マムバック制度」では結婚・出産・育児による退職者が再雇用の対象でしたが、2018年4月に「NTNジョブリターン制度」へとリニューアルし、介護による退職も対象としました。さらに、留学や転職などのキャリアアップや、配偶者の転勤による退職も再雇用の対象としたことで、当社に在籍中や退職後に培ってきた経験や知見、ノウハウを活かすことができる環境の整備に加えて、ワークライフバランスを推進しています。

充実した休暇・休職制度

当社は出産や育児、介護などによる休暇・休職の制度を法定以上に整備しており、多くの人材がキャリアを中断することなく、働き続けることができる制度づくりを行っています。
たとえば、育児短時間勤務制度では、適用範囲を「小学校3年生の3月末までの子を養育する者」までとするほか、育児時差勤務を東京・大阪地区で導入するなど、法定を超える取り組みを進めています。
こうした制度の整備のみならず、これが従業員にとって使いやすくなるよう制度に血をかよわせること、そして十分に活用できる職場の雰囲気づくりを進めています。

RPAの導入

働き方改革による間接部門の生産性向上に取り組んでいます。昨今、日本国内では少子高齢化が進み、生産人口の減少が言われています。こうした環境の中、今後も持続的に成長していくためには、人員を増やさずに事業を拡大できる体質づくりが必要不可欠です。そこで、本社・営業・技術・研究などの間接部門における定型・繰り返し業務について、RPA(Robotic Process Automation)の活用による自動化および効率化を推進しています。定型的な業務はRPAに任せ、高付加価値な業務に人員を集中することで、新商品の開発スピード向上などを実現します。
すでに導入している製品設計業務におけるRPAの活用では、設計の計算から作図の工程を自動化し、月間の作業時間を約73%減少させ20時間まで短縮する事例も生まれています。今後は適用部門の拡充を図るとともに、従業員一人ひとりが自分の業務の自動化・効率化を自ら考え進めていくことができるよう、さらなる意識改革、企業風土改革につなげていきます。

高い有給取得率

有給休暇の取得を促す活動は1980年代から始めました。当初からのキーワードは「ゆとり・豊かさ」で、ワークライフバランスの実現に取り組んできました。平均取得率は25年以上前から80%以上という高い水準を維持し、現在はさらに高いレベルを目指し、多能工化や積極的な職場のローテーション、取得しやすい職場風土づくりに取り組んでいます。

有給取得率の推移

有給取得率の推移

厚生労働省大阪労働局より「ベストプラクティス企業」として選定

当社は、働き方改革に向けて積極的な取り組みを行っている「ベストプラクティス企業」として厚生労働省大阪労働局より選定されました。これは、25年以上にわたって、年次有給休暇取得率が80%を超えていることや、RPAの活用による生産性の向上と長時間労働の削減の取り組みなどが評価されたものです。今後も、多様化する価値観やライフスタイルに対応する働き方改革に積極的に取り組んでいきます。

ベストプラクティス企業

大阪労働局長と働き方改革について意見交換

安全衛生

基本的な考え方

「安全はすべてに優先する」という人間尊重の精神に基づき、より安全でより良い生産を進めるため、職場の安全と衛生を確保し、健康で働きやすい職場環境の形成を促進しています。これらの実現を図るため、会社および従業員は、相互理解と信頼を深め、英知と情熱を注ぎ、協力し合い、その実現に向かって不断の努力をしています。

安全を支える仕組みづくり

「EHS(環境・労働安全衛生)統括部」を設置

2018年10月1日付でEHS(環境・労働安全衛生)統括部を設置しました。
世界的に関心が高まるEnvironment:環境、Health:健康・衛生、Safety:安全を一体的に進めることで、環境、労働安全衛生のさらなるマネジメント強化を図り、当社グループのより一層の実効性向上を図っています。

グローバル標準の安全管理体制

当社では、グローバルすべての生産拠点において「労働災害ゼロ」の職場を目指し活動しています。
社長を最高責任者、担当役員を会社総括安全衛生管理者とし、日本国内は各事業本部長、海外は各地域の総支配人が管理責任者としたグローバル安全管理体制の下で、労働災害ゼロの職場づくりを推進しています。
労働災害が発生した場合、原則国内は24時間以内、海外は48時間以内に当社グループ内で構築されているシステムにて情報の共有を図ります。特に、重傷災害など、EHS統括部が必要と判断した労働災害は、各地域とグローバル安全衛生会議を開催し対策内容の検討を行い標準化を図っています。

安全に強い人づくり

指示された作業を適正に行うだけの教育ではなく、自ら考えて行動できる(考動)教育を推進しています。具体的には、実機やバーチャル危険体感機を活用した安全教育を若年層や経験の浅い従業員を中心に実施しています。
危険に対する感受性を向上させるため、危険予知訓練を積極的に実施しています。また、個人の危険に対する感受性や危険に対する敢行性を評価するプログラム(安全行動特性調査)を導入し、上司・部下のコミュニケーションツールなどに活用しています。

本質安全を追求した設備づくり

安全パトロール、HHT-K*、安全モデルマン活動などで摘出した危険箇所はリスクアセスメントを実施し安全対策を実施しています。
リスクアセスメントは、「ケガの程度」「発生の可能性」「危険に近づく頻度」の各項目でリスクを見積り、リスク低減措置に対する優先度を設定する手法です。リスク低減措置では本質的対策(危険な作業の廃止や変更)、工学的対策(カバーやインターロックの設置)、管理的対策(手順書の作成)、保護具の使用の順で検討しています。また、残留リスクについても設備にシールで明示し管理を徹底しています。

*HHT-K : ヒヤリ・ハット、気がかり

労働安全衛生大会を開催

全社総括労働安全衛生管理者をはじめ、国内の全事業所の労働安全衛生責任者が一堂に集まり労働安全衛生大会を開催しました。大会で毎年トレンドとなるテーマを選定し講演会が行われ、今年はヒューマンエラーの本質と撲滅をテーマとした基調講演がありました。各事業所の安全活動についての発表で優良事例を共有したほか、安全優良職場の表彰なども行われ、労働安全衛生の質の向上に努めています。

参加者全員で指差呼称を実施

労働安全衛生マネジメントシステム(JIS Q 45100*)を認証取得

当社で働くすべての人の安全と健康の実現に向け、これまでの安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)から、JIS Q 45100への認証切り替えを進めてきました。
桑名製作所で業界初となる認証を取得し、2019年6月までに国内主要事業所での認証取得を完了しました。P(Plan)・D(Do)・C(Check)・A(Action)による法令遵守およびさらなるリスク低減による安全衛生水準の向上を継続的に推進しています。

*JIS Q 45100:
労働安全衛生マネジメントの国際規格ISO45001に、4S(整理、整頓、清掃、清潔)活動や危険予知(KY)活動といった職場で日常的に行われている安全衛生活動や、昨今、より高い関心を集めている働く人の健康確保の取り組みなど、日本的な活動を要件に加えた規格。

健康経営*への取り組み

当社は従業員の健康の維持・増進に向けた積極的な取り組みが、会社の持続的な成長に影響を与える経営上の重要な要素であることに鑑み、健康保険組合とも連携しながら、従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮できる働きやすい職場環境の実現を目指し諸施策を推進していきます。

職場の健康づくり

  • ・ワークライフバランスの推進と長時間労働の防止
  • ・職場内のコミュニケーションのさらなる活性化
  • ・病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取り組み

こころの健康づくり

  • ・ストレスチェックの実施結果を踏まえた職場環境の改善
  • ・セルフケア、ラインケアによるメンタル不調者の未然防止
  • ・メンタルヘルス相談体制の充実

からだの健康づくり

  • ・健康診断結果による適切な保健指導と生活習慣の改善
  • ・健康保険組合と協業したデータヘルス計画の着実な実施
  • ・配偶者健診受診率の向上

*健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。