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2018年度のCSR活動をご紹介します。

社長と従業員のダイアログ

昨年度、当社は100周年を迎えました。それを機に企業理念体系を見直し、新たに「NTNスピリット」を制定しました。また、前中期経営計画「NTN 100」(2015年4月~2018年3月)からは「変革」をキーワードに事業構造の改革を打ち立て、現中期経営計画「DRIVE NTN100」(2018年4月~2021年3月)ではその取り組みをさらに加速するべくあらゆる施策を実行しています。
企業理念浸透活動を始めてから約2年。今回、初めて大久保社長と各ステークホルダーに関わりの深い従業員とのダイアログの場を設け、企業理念がどれだけ従業員に浸透しているのか、また、「変革」がどのように伝わっているのか、大久保社長と従業員とで、思いの丈を伝え合いました。

出席メンバー *【 】内は関わりの深いステークホルダー

大久保社長
 
井口 耕平
コーポレートバリュー推進部部長:ファシリテーター
Y.O.
大阪支社【顧客】
M.K.
コーポレートバリュー推進部【地域社会】
N.T.
グローバル人材育成部【従業員】
A.O.
EHS(環境・労働安全衛生)統括部【環境】
Y.K.
調達企画部【取引先】
T.H.
広報・IR部【株主】

テーマ1 この数年「変革」への挑戦を進めてきたが、入社時もしくは10年前と比べてNTNは変革していると感じるか。

Y.O.:

NTNは良い意味で“堅い”イメージを持たれていましたが、近ごろは従業員やステークホルダーから「変わったね」と言われることが多くなりました。(一昨年に始めた)TVコマーシャルの影響も大きいと思います。「なんてなめらか」という響きから、柔軟という印象を持たれるお客さまもいらっしゃいます。

M.K.:

私は新卒で入社して以来当社で働いていますが、「変革」を感じるのはまさに今日のこの場です。これまでは上意下達の雰囲気がありましたが、このような場が設けられたのは「変革」の第一歩であると感じます。

N.T.:

この10年で大きく変わったという実感はあまりありませんが、ここ数年、中期経営計画で「変革」という言葉が出てきて、「変わらなければならない」という意識が周囲に出てきた印象はあります。一方で、「変革」とは言うものの、それを受け止められる土壌はまだ十分には整っていないように感じます。「変革」を受け止められるように意識や風土を作っていく必要があると思います。

A.O.:

私は出先の技術対応と研究・技術開発を経験して、昨年本社に来ました。現場を見ていると、NTNスピリットを理解できてはいても実行に移せていない状況です。また、個々人は頑張っているものの、横のつながりが弱いことも感じます。今は環境部門にいますが、自部門だけではできないことも多くあります。ただ、皆さんが仕事の範囲を決めてしまっているため、なかなか進められません。

Y.K.:

私は調達部門に在籍しています。大きく変わったことといえば、ここ数年で海外との関わりが強くなったことがあります。ただ、本社は日本の本社としては機能しているものの、グローバル本社としてはまだ十分でありません。調達は各地で権限をもってやっていますが、海外の子会社とさらに相互理解、情報交換を進めて、調達部門として一枚岩になるために、また真のグローバル本社になるためにも、もう一段階の「変革」が必要です。

T.H.:

(前中期経営計画が策定された)2015年の入社時と比べて、業務の見直しが強く求められているようになったと感じています。業務の工数削減につながっています。会社全体としては、変えようと意識するものの、どのように変えるかまで考え切れていない印象があります。

大久保社長:

100年も続いた会社が、たった数年で変わるのは難しいと思います。しかし、きっかけは必要でしょう。見た目だけが変わっても本質が変わらなければ意味がありません。自分が変わったと思っているだけでは自己満足です。外から見て「変わった」と思われないといけません。100年の歴史はそう簡単には変えられませんが、言わないと変わらないから言い続けているのです。「変革」を打ち出してからまだ3、4年ですから、実感していない人が多いことは予想していました。

テーマ2 ステークホルダーに“なめらかな社会の実現”を約束しているが、どのようにすればよいか。

Y.O.:

お客さまに対しては、企業理念に掲げているように「新しい技術の創造と新商品の開発により国際社会に貢献する」ことが第一です。具体的には、ニーズを受け取り、シーズを読み取り、そこにNTNの面白みを加えて行動することですが、まだ行動面に課題があります。事業部としての指針はあるけれど、具体的なやり方がイメージしにくい状況です。

M.K.:

地域振興や社会貢献活動を通じて、地域の方とのコミュニティを深めていくことが大切です。次世代の育成という観点から「NTN回る学校」を開催し、子どもたちにベアリングや環境、省エネについて学ぶ場を提供しています。地域もNTNもともに成長していけるような関係を構築することが「なめらかな社会」につながると考えています。

N.T.:

人材育成部門としては、「風通しの良い職場を作る」ことです。「なめらか」の反対は「がさがさ」。心がかさつく職場は良くありません。制度や休暇なども大切ですが、職場内でコミュニケーションがきちんと取れて、自己実現ができる職場であることが重要です。ぶつかり合いながらも良いものを作り出すことのできる会社にしたいです。

A.O.:

環境については、各々が取り組むべきことと認識して主体的に関わっていかなければならないものだと感じています。例えば、お客さまがどのような環境情報を求めているのか、それはお客さまに接している営業担当が一番よく分かっています。だから営業担当とわれわれ環境部門が協力して対応しなければいけません。環境規制が厳しくなる中、1つの商品に環境負荷物質が含まれていることが分かると、すべての商品が環境規制に違反している可能性があるとみなされます。そのため、法規制に対する理解を深めてもらうための環境教育活動を推進していかなければなりません。

Y.K.:

取引先さまとお会いするときに「NTNは誠実な方が多い」と言っていただけることがよくあります。これは先輩方や工場の方が真摯に取り組んでこられた結果であると思います。調達業務を通じて、当社のファンになっていただき、安定供給、原価低減、品質について一緒に取り組んでいくことが、「なめらかな社会の実現」につながると思います。

T.H.:

株主やアナリスト、新聞記者の皆さまに情報を発信する中で、NTNのファン作りをすることが必要です。一般の方が「なめらかな社会」とは何かをイメージすることは難しいと感じています。例えば、機械がなめらかに動くこと、自然エネルギー商品の循環型社会の構築、ベアリングを通じて人の心もなめらかにするということが考えられます。「なめらかな社会」について、具体的な目標があると、よりイメージしてもらいやすくなるのかもしれません。

大久保社長:

「なめらか」の意味はひとつではありません。それぞれの人が「なめらか」について考えることが重要です。NTNの創業者精神は「開拓者精神」と「共存共栄精神」ですが、新しいことを取り入れるのは「開拓者精神」に通じます。「変革」には終わりがありません。変わったと思ってもまた次の「変革」が始まります。新しいことを取り入れないと変わることはできないのです。
それから、NTNは営利企業ではありますが、それは最終的には社会に貢献するためです。それが「共存共栄精神」です。NTNだけでなく、最終的にはどの会社も世の中に貢献することを願っています。「NTN回る学校」の取り組みでベアリングを知ってもらう。会社に興味をもってNTNに入社してくれたら嬉しいですが、他の会社で活躍してもらうのでも良いです。ベアリングを通じて環境にも興味を持ってもらう。そのきっかけとなればそれもひとつの社会貢献です。

テーマ3 会社を良くするために、何をすればよいか。

M.K.:

今日まで「変革」は堅くて大きいイメージがあって、言葉だけが先走っているように思っていました。今日の話から、小さいことからでも取り組んでみること、新しいことが楽しいこと、「変革」の根源がそこにあることに気づきました。NTNがグローバル化する中で、企業理念や創業者精神の浸透の重要度は高まっています。この社長の思いを多くの従業員に伝える機会が必要と感じます。

Y.O.:

「NTNスピリット」は従業員の指針、判断基準として良いと感じています。グローバルに展開することでNTNの力がより大きく強くなると信じています。他社でも「WAY」が浸透している会社はマネジメント力が強い。「NTNスピリット」の浸透がとても大切です。

A.O.:

CO2削減や温暖化防止は、すべての人が直面している大きな課題です。従業員一人ひとりが当事者意識を持つことが大事です。例えば、商品の環境貢献度を適切に評価開示し、これをベンチマークに全社各部で、商品の環境性能を改善していければと思います。

T.H.:

社内報を作成していて、社長の考えを発信することが重要だと感じています。今日のダイアログでもいろんな「なめらか」の捉え方がありましたが、社長の「なめらか」はどのようなイメージでしょうか。

大久保社長:

いろんな場面で使う言葉ですね。「なめらか=○○」といった定義はなく、それぞれのポジションで理想を追っていけばよいのではないでしょうか。ただ、「なめらか」のフレーズはとても良い響きがあり、大切にしていきたいですね。

Y.K.:

コミュニケーションのなめらかさもあります。世界の調達先には会ったことがない人もいます。FACE to FACEで会話をして、調達方針を伝えることの重要さを実感しています。

N.T.:

人材育成については、本社の人材育成部門だけでなく、各職場で“人づくり”をしています。国内・海外の各拠点と情報共有や意見交換を今まで以上に行い、より良い人材育成施策を打ち出したいと考えています。また、今後は管理職の部下との関わり方がより重要になってくると思います。管理職にとって、どのようなスキルが大切と考えられていますか。

大久保社長:

人材育成については、確かにその国の文化・慣習により多種多様です。しかし国籍が異なっても同じ人間同士、必ず分かり合えます。採用システムや学校教育など異なる面は尊重しながら、共通項についてグローバルに考えていけば良いのです。管理職については、人を教育するという大それたことではなく、自分の知っている知識を部下に教えていけばいい。新しい仕事がきたときも、まずは自分で理解し、納得してから部下に頼む。仕事の成果が良かったときは、部下にフィードバックする。注意もするが、良かったときはそう伝えてあげてほしいと思います。そういう会社であってほしいと願っています。

井口:

皆さん、ありがとうございました。本日のダイアログでは、「変革」、そして「企業理念」が職場の中でどれだけ浸透しているのか、大久保社長との対話を通じて率直なところをお聞きしました。“浸透”には具体的な形や答えがあるものではなく、一人ひとりの心の中にあるものです。大久保社長から「変革」は会社が行うものではなく、そこで働く従業員が変えていく意識を持つことが大事だとお話しいただきました。今日、ここにいる皆さんも社長と直接お話をしたことで共感し、また自ら実践していこうという気持ちになったのではないでしょうか。今回、社長と従業員のダイアログを初めて開催しましたが、従業員の意識が高まるとても良い機会になったと感じます。今後も継続していくことで「変革」への意識は連鎖すると思います。こうした意識をNTNグループ全社に広げていき、当社が目指す「なめらかな社会の実現」に貢献できればと考えます。