2017年度のCSR活動をご紹介します。
お客さまとの関係
グローバル品質の確保
基本的な考え方
当社は、もの造りのすべての基本理念となる「品質基本方針」のもと、グローバルでの製品品質の維持・向上に努め、お客さまに満足いただける品質づくりを目指しています。
品質基本方針
お客さまの要求機能、仕様を満足する適正品質の追求
- お客さまの要求変化に即応するものであること(適応品質)
- 競争品質に勝つものであること(競争品質)
- 企業に利益をもたらすものであること(経済品質)
品質スローガン
~品質で未来を造る~
主な取り組み
グローバル品質保証体制の強化
世界市場の需要に応じるため、当社は現地生産を進めグローバルでの生産体制を構築してきました。世界同一水準の品質や品質保証体制を確保するためには、マザー工場の生産体制を確実、かつ円滑に移管することが重要であり、特に品種移管や工程変更のルールを強化しています。これらのルール遵守や、生産拠点の標準書を比較し高位平準化を図るなど、立ち上げ時から安定した品質の確保に取り組んでいます。
鋼材のグローバル品質強化として、品質保証本部内に材料管理グループを設置し、グローバルで使用する鋼材の検査・合格基準の厳格化、一元管理を行い、品質の変動や製鋼メーカの変化点を早期に掴み、材料起因の市場不具合の未然防止を図っています。
G-QUICKによる品質情報の一元管理
世界中のお客さまからの製品調査依頼や苦情・クレームなどの品質情報を一元管理するシステム(G-QUICK)により、それらの情報を関係部署に即時展開し、早期問題解決が可能な体制を構築しています。
また基幹システムの再構築に伴い、G-QUICKも基幹システムと連携させた新しいシステムへのリニューアルに向け、取り組んでいます。
IATF16949認証取得
当社グループは、国内外の生産拠点で、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001認証取得を推進しているほか、自動車産業向け規格であるIATF16949認証も積極的に取得しています。2018年3月期の主な認証取得は下記の通りです。
このほか航空・宇宙産業向けの規格であるJISQ9100やNadcap、鉄道産業向けの規格IRIS(欧州)、CRCC(中国)の認証取得もしています。
主な認証取得(2018年3月期)
■ISO9001 —生産39拠点で取得済
国名 | 拠点名 | 取得 |
---|---|---|
日本 | 電動モジュール商品事業部 | 2018年3月期 |
ドイツ | NTN Mettman(Deutschland)G.m.b.H. | 2018年3月期 |
日本 | 自然エネルギー商品事業部 | 2019年3月期(取得済) |
■IATF16949 —生産36拠点で取得済
国名 | 拠点名 | 取得 |
---|---|---|
日本 | NTN精密樹脂株式会社(現 精密樹脂製作所) | 2018年3月期 |
日本 | NTNアドバンストマテリアルズ株式会社(蟹江工場) | 2018年3月期 |
日本 | NTNアドバンストマテリアルズ株式会社(亀山工場) | 2018年3月期 |
日本 | 電動モジュール商品事業部 | 2018年3月期 |
メキシコ | NTN MANUFACTURING DE MEXICO,S.A.DE.C.V. | 2018年3月期 |
アメリカ | NTN DRIVESHAFT ANDERSON,INC. | 2019年3月期(予定) |
* ISO/TS16949からの移行審査中の拠点含む
* 製造に関する国内外の連結子会社(量産開始前の拠点除く)対象
品質に強い人材育成に向けた取り組み
従業員の品質に対する意識および知識向上を目的に、「QCベーシックコース」「QCマネジメントコース」「QCアドバンストコース」などの品質専門教育を2018年3月期は112名の従業員に実施しました。また、新たな取り組みとしてQCサークル活動の支援者、および推進リーダー向け研修に、品質教育の講義を取り入れました。
直近の品質状況や課題、品質の重要性を再認識することで、職場の品質改善に積極的に取り組み、QCサークル活動を通じた品質向上を目指します。
QCベーシックコースでの
グループワークの様子
世界QCサークル大会
海外地区を含むすべてのQCサークルの代表が、改善事例や活動成果を発表し合い、共有することを目的に、「世界QCサークル大会」を2011年より毎年実施しています。本大会を通じて、グローバルでの安全・品質・生産性の向上を図るとともに、大会期間中には、国際交流の場を設けるなど、従業員同士がさまざまな考え方や多様な価値観を学び認めあえるよう推進しています。
世界QCサークル大会での
発表風景
品質月間活動
当社の品質向上を目指し、毎年11月に「品質月間」活動を全社で実施しています。
品質を守るために取り組むべき事や約束を、自ら決定・決意する「私のQuality First」宣言活動や、品質講演会、NTNオリジナルテーマやポスターの作成などを通じ、全社の品質意識の向上を目指しています。
顧客満足度の向上
基本的な考え方
顧客満足度の向上に向けて、国内外の販売拠点では、お客さま・販売代理店さまごとに営業担当者、技術担当者を配置し、最善の解決策を迅速に提案できるよう努めています。
主な取り組み
顧客満足度調査
顧客満足度の向上に向けて、当社の製品およびサービス全般について定期的に調査を実施し、その結果をもとに必要な施策を立案・実施しています。また、IATF16949においても顧客要求事項9.1.2項「顧客満足」で、お客さまがどの様に受け止めているかについての情報を監視することが求められてます。
2018年3月期に実施した調査では国内外の101社から回答をいただき、以下の結果となりました。
顧客満足度調査 総合評価の結果
大変良い
29%
概ね良い
69%
やや改善が必要
2%
大幅な改善が必要
0%
営業TQM活動
当社では、国内の販売拠点でOJTのほかに各種教育研修を実施し、顧客満足度向上に向けて取り組んでいます。
2018年3月期は、お客さまの視点に立った戦略的アプローチが行われているかを検証するための「顧客戦略研修」を実施し、クロスSWOT分析
*を通じて、お客さまごとの戦略・戦術を明確にしました。
営業教育のベースとして、ミーティングや教育などを通して週次の活動を振り返る「営業TQM(Total Quality Management)活動」を実施し、お客さまの視点で考え、行動する能力を養成しています。また、集合研修としては、交渉力向上や意識・行動改革を主導する人材の育成を図る「チェンジリーダー研修」、若手を対象とした「戦略立案力強化 基礎研修」を実施し、自ら考え自ら行動できる営業担当者の育成にも努めています。今後も、変化する顧客ニーズへの対応を見据えた研修の実施に注力していきます。
チェンジリーダー研修の様子
* クロスSWOT分析:事業活動における要素を、強み・弱み・機会・脅威の4つの項目に分類し、各項目を評価・分析するSWOTをもとに、これらの項目をかけあわせることで、戦略・戦術を導き出すための手法
テクニカル・サービスカー
完全オーダーメイドの多機能なテクニカル・サービスカーを、世界各国で走らせ、当社商品を紹介する教材や展示品を搭載し、お客さま向けに軸受技術講習会を開催しています。軸受は繊細な商品のため、お客さま自身が取り付けや交換作業を行う際に必要な技術や手順の講習を行っています。
直接会話をすることで世界中のお客さまのお困りごとを聞き出し、ニーズの掘り起こしをしています。
■各国のテクニカル・サービスカー
日本
アメリカ
フランス
生産
基本的な考え方
当社では、世界シェア第1位のハブベアリング、第2位のドライブシャフトだけではなく、軸受についても、世界4極のどこからでも品質・コスト・納期に優れた商品をお客さまへ提供しています。
また、各生産拠点では、現地の材料と設備を使い、現地の人々がマネジメントする、「現地・現物・現人」のもと、グローバル生産体制の構築・整備を進めています。
主な取り組み
グローバル生産ネットワーク
日本、米州、欧州、アジアの各生産拠点で、お客さまのニーズに応じた需要地生産・最適地生産を積極展開しています。海外では今後も需要の増加が見込まれており、需要に応じて海外での現地生産を拡大していきます。
また、各拠点では現地調達・最適地調達にも積極的に取り組んでいます。
■ 地域別構成比
* グローバル生産を100としたとき(2018年3月期)
■海外生産比率の推移
2018年アメリカでドライブシャフトの部品工場を新設
製造前工程(Pre-Process)から自社で生産、転動体も内製
鍛造や旋削、熱処理といった製造前工程の内製化にも積極的に取り組んでいます。通常、設備投資負担が大きくなる製造前工程は、サプライヤーにアウトソーシングすることが多いですが、NTNでは国内・海外ともに重要な製造前工程を自社で行うことで、他社にはないメリットを生み出しています。
鍛造工程では「ニアネットシェイプ」と呼ばれる成形技術の向上に取り組み、製品に近い形状で成形することで、次工程である旋削工程での材料廃棄と加工時間を短縮し、後工程の効率化と環境対策を図ることができます。また、製品の性能や寿命に大きく影響する熱処理工程も内製化し、材料組成の研究や生産技術を社内に蓄積し、高周波焼き入れなど最新の熱処理技術の開発に取り組み、軸受性能と競争力の向上に寄与しています。さらに、構成部品である転動体(ボールやローラ)も自社で生産しています。
最新の技術を導入した
㈱NTN能登製作所の熱処理工場
■ベアリングの主な製造工程
製造技術・設備の開発
当社では創業時より製造設備を内製(設計・製作)しています。社内に生産技術研究所を有し、製造技術の研究・開発、製造設備の設計・製作を行っています。さらに現在、新興国の経済成長に合わせて省人化を図ることができるグローアップライン設備 *、ドライブシャフト構成部品の標準化に貢献する電子ビーム接合(EBW)の開発をはじめ、IoTやAI導入による次世代設備の開発も進めています。また、海外では機械保全の部門を強化し、現地で設備のオーバーホールや改造を実施できる体制を構築しています。
* グローアップライン設備:新興国での人件費構造に合わせ、半自動設備にロボットや搬送設備を後から追加
して省人化する設備