2017年度のCSR活動をご紹介します。
コンプライアンス
基本的な考え方と推進体制
当社は、コンプライアンスの徹底を企業の最重要課題のひとつとして捉えており、各種法令や社内規程の遵守にとどまらず、広く社会的規範を遵守することと定義し、グローバルに徹底していく体制を整備しています。
2015年4月に「コンプライアンス推進活動管理規程」を制定するとともにコンプライアンス委員会を発足、以降定期的に開催し、コンプライアンスの徹底・強化を図っています。同委員会では、リスク管理委員会で選定されたグローバルリスクのうち、法令違反につながる恐れのあるコンプライアンスリスクを取り扱っています。
各委員が、国内は事業所ごとのコンプライアンス推進活動管理者、海外は5地区総支配人室 内部統制課と連携しながら、リスク低減のための施策を立案・実施し、その活動内容と実施状況を取締役会に報告しています。また、内部通報制度を設けることで、コンプライアンスリスクの低減にも努めています。
コンプライアンス推進活動体制
業務行動規準
業務行動規準は、NTNグループ会社の役員および従業員一人ひとりが事業活動において遵守すべき基本的な業務行動の規準を定めたものです。
- 法規範の遵守
- 品質・安全性の追求
- 独占禁止法の遵守
- 調達先との公正な取引
- 契約の遵守
- 取引先との不正行為の拒絶
- 適正な表示
- 知的財産権の尊重
- 機密情報の適切な管理
- 安全保障輸出管理の徹底
- 各種業法の遵守
- 企業会計原則の遵守
- 国際ルールの遵守
- 環境保全の推進
- 積極的な社会貢献
- 労働関係法令・就業規則の遵守
- 安全で働きやすい職場環境の実現
- 人権尊重
- セクシュアル・ハラスメントの禁止
- 個人情報の適切な管理
- 公私の峻別
- 反社会的勢力との関係断絶
- 情報システムの適切な使用
- インサイダー取引の禁止
- 接待・贈答の自粛
- 適法な寄付・政治献金
主な取り組み
贈収賄防止の取り組み
■日本
当社では、日本および海外の贈収賄関連法令、社会規範を踏まえた社内規程類を整備し、国内外の公務員や取引先との贈収賄を禁止するとともに、役員・従業員による財物・利益の提供に関するルールと手続きを定め、運用しています。またルールに則った監査活動にも取り組んでいます。さらに、ビジネスパートナーによる贈収賄を防止するためのルール整備も推進しています。
国内子会社においては、当社の方針と整合性を取りながら、各社版の規程類の策定を進めています。
■海外地区
中国地区では、中国の贈収賄関連法令、社会規範を踏まえた社内規程類を子会社で整備し、公務員や取引先との財物・利益の授受についてルールと社内手続きを定め、運用しています。またそれらの運用状況についての監査活動にも取り組んでいます。
アセアン地区では、国ごとの関連法令、社会規範を踏まえた各国版の社内規程類の整備を進め、2017年6月のタイ版の施行に続き、シンガポール版、インド版を施行し運用を開始しています。
欧州、米州地区においても、地区、国ごとの関連法令、社会規範を踏まえたルール整備を順次推進しています。
■不正会計防止関連
国内外子会社への年間監査計画を立案し、計画に則った監査を実施しています。
■労働関連法令違反防止関連
時間管理に関する新しいルールの制定やシステムの導入による仕組みの強化を図り、その運用状況を継続的に確認しています。また人事部門による「ノー残業デー」時の巡回や管内放送等による従業員への意識付けも実施しています。
コンプライアンス教育・啓発活動
コンプライアンス研修の実施
■階層別研修
新入社員、中途入社社員、新任管理職などを対象にコンプライアンス全般に係る研修を実施しています。特に新任管理職向けには、職場のコンプライアンス徹底に活かせるよう、テキスト配布による自己学習とe-ラーニングによる理解度テストを実施しています。このテストでは合格点に達するまで繰り返し受験するよう義務付けており、知識の定着を促しています。
■事業所別研修
事業所ごとに重点を置くテーマを設定し、事業所のコンプライアンス推進活動管理者が個別に研修を実施しています。また、管理者および担当者は、年1回本社で行われる集合研修会に参加し、当社グループのコンプライアンス推進課題や研修活動のテーマや内容などについて情報共有や意見交換を行い、それぞれの活動に活かしています。
■特定テーマに関する研修
独禁法遵守、贈収賄防止、安全保障輸出管理、ハラスメント防止などの個別テーマについて、関係部署を対象に定期的に個別研修を実施しています。また、国内外子会社社長向けコンプライアンス研修なども、必要に応じて随時立案・実施しています。
■海外地区における研修
海外地区では、内部統制課が中心となって当社の方針と整合性を取りながら地区ごとの特性やニーズを踏まえた研修活動を立案・実施しています。また、贈収賄防止については各地区のルールの策定進捗に合わせて、オンライン研修など各種研修活動を推進しています。
「コンプライアンスを考える日」の社長メッセージ
2016年より、NTNが次の100年も持続的に成長するための「あるべき姿」に向けて、コンプライアンス(企業倫理)の重要性について考える機会として7月26日を「コンプライアンスを考える日」に制定しています。当日は社長からグループ従業員に向けて、独禁法遵守や贈収賄防止はもとより、研究開発や技術、製造、品質といったビジネスのあらゆる現場において、引き続きグループとしてコンプライアンス徹底に取り組んでいく旨のメッセージ゙を発信しています。
コンプライアンス意識調査の実施
コンプライアンス意識調査を年1回継続的に実施し、コンプライアンスに関する教育・啓発活動の成果や業務行動規準の浸透度などを評価しています。また取り組み課題を抽出し、次期のコンプライアンス推進活動の拡充に活かしています。
コンプライアンス関連データベース「NTN’s Compliance」の運営
コンプライアンスに関連する情報共有のためのデータベースとして「NTN’s Compliance」を運営し、当社グループ内のコンプライアンス関連事例などを紹介しています。
ニュースレター「法務情報」の発信(月1回)
コンプライアンスや各種法令に関する最新動向、法令違反事例といった最新情報を紹介し、従業員の意識向上を図っています。
ヘルプライン(内部通報制度)の運用と周知活動
国内では、ハラスメントや贈収賄、独禁法違反といった、法令や業務行動規準、社内規程に対する違反行為に関する相談を広く受け付ける窓口として「ヘルプライン(内部通報制度)」を社内・社外に設置し、運用しています。窓口に寄せられた相談については、守秘義務を徹底した上で、コンプライアンスに関する相談内容はコンプライアンス委員会に、競争法(独禁法・下請法)に関する相談内容は公正取引監察委員会に報告され、さらに運用状況の取締役会への報告(年1回)を通じて、内部通報の情報を両委員会の活動および当社グループ全体のコンプライアンス強化に活かす体制としています。相談窓口については、各種コンプライアンス研修での紹介やCSRガイドブック、イントラネットなどへの掲載を通じて周知を行い、利用の促進を図っています。海外においても、各地区のニーズと実情にあわせて地区ごとの内部通報制度を順次整備・運用しています。
■内部通報の流れ
独占禁止法遵守の取り組み
独禁法および下請法遵守の徹底のため、代表取締役社長を委員長とし、取締役会の直轄組織である「公正取引監察委員会」の指示のもと、「公正取引推進部」を中心に活動を推進しています。
公正取引推進部では、社内研修・e-ラーニングなどで啓発活動を行うとともに、独禁法遵守に関する自己監査、競合他社との接触を予防・監視するための事前申請などを通じ、競合他社との接触状況の全体像を把握できる体制を構築しています。なお、2018年3月期の主な啓発活動として、①独禁法遵守研修(8月、受講者379名)、②営業コンプライアンス研修(1月、同585名)、③e-ラーニング(独禁法)(11~12月、同1,430名)を実施しました。また2016年より、7月26日を「コンプライアンスを考える日」とし、社長メッセージを通じてコンプライアンスの重要性を再確認する機会としています。
海外においても、各地区の内部統制課との連携により、地区主体の研修、事前申請、自己監査などを行う体制を構築し、各地区の競争法に対応した遵法体制を整備しています。