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2017年度のCSR活動をご紹介します。

ステークホルダー・ダイアログ

株主・投資家の皆さま、お客さま、取引先さま、従業員、環境、地域社会などの ステークホルダーに対する、企業の社会的責任(CSR)が求められています。
ステークホルダーのご意見を持続的な企業活動に反映するため、CSR各分野における学識経験者・有識者の方々とのダイアログを2015年から毎年実施し、持続的な企業価値の向上につなげています。

第4回

開催日

2018年6月13日

出席者

有識者

國部克彦様
國部 克彦様

神戸大学大学院
経営学研究科・教授

檜山 洋子様
檜山 洋子様

弁護士・米国NY州弁護士/
ヒヤマ・クボタ法律事務所

白鳥 和彦様
貝﨑 勝様

オムロン㈱
サステナビリティ推進室 企画部長

梨岡 英理子様
梨岡 英理子様

公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役

NTN出席者

仲野 浩史

取締役
CSR(社会的責任)
推進本部長

野々 健二

人事部長

小澤 隆信

経営企画部長

賀茂 邦男

調達本部長

楠瀨 将弘

総務・環境管理部長

井口 耕平

コーポレートバリュー
推進部長

テーマ1 企業理念

ご意見
企業理念の浸透には、表彰制度や従業員が自発的に手を挙げて参画する継続的なプロジェクト体制構築など「具体化させる仕組みを作ること」が重要です。NTNスピリットを従業員に考えさせ、自主的に企業理念と結びつけた行動を促すことが今後求められます。また、トップ自らが国内外の各拠点を回って企業理念の精神をダイアログという形で伝えるなど継続して活動を続けることも有効です。「NTN PROUD AWARD」を開催するだけでなく、結果や様子を動画で全従業員に発信するなど「共鳴の輪」を広げることを検討されてはいかがでしょうか。

テーマ2 マテリアリティ

ご意見
CSR活動を網羅的にされていますが、マテリアリティを決めて会社がどの方向へ向いているのかを示された方がさらに良くなると思います。重要なのは本社部門だけでなく、事業部門や技術部門などと協力し十分に議論し、さらに経営陣が議論したものを決めていくことです。マテリアリティ選定の手順は会社独自が決めることであり、点数化してマッピング分析をするだけではなく、中期経営計画と表裏一体にし、SDGsなどの社会課題も意識しながら最終的には、戦略的に評価することを念頭に置くのが良いのではないかと思います。

テーマ3 環境問題

ご意見
環境貢献商品をつくることは大変良いことです。ただ、商品のCO2削減量などの定量化については海外ではグリーンウォッシュ*1の危険もあり、日本と海外での情報発信には注意が必要だと思います。また、SBT (Science Based Target)*2イニシアティブにもとづく場合でも、単純に指標を出すだけでなく、測定の正確性に加え、その改善度も重視すべきです。スコープ3についても、測定だけでなく改善に結び付けることが必要で、重要なプロセスに注力をしてCO2を削減し、その効果を開示するところまで進めることができればベストです。
  • 1 グリーンウォッシュ:商品などがあたかも環境に配慮しているかのように見せかけること
  • 2 SBT:企業に対して科学的知見と整合した目標設定

テーマ4 サプライチェーンCSR・人権・ガバナンス

ご意見
すべてのサプライヤーに同じ基準を設けるだけでなく、重要サプライヤーについては特定して管理した方が良いでしょう。幅広い情報収集をお勧めします。
グローバルでの管理に関しては、内部統制も含め原則本社が担い、ローカルに任せきりにしないことが望ましいです。内部統制の機能強化とともに、従業員個々の意識を向上させることも重要です。特に人権に関しては、各海外地区の国内法では問題がなくとも、グローバルレベルで対応すべきであり、法律や文化の違う海外まで実効性を持たせられるような取り組みをされることをお勧めします。

第3回

開催日

2017年6月7日

出席者

有識者

國部 克彦様

神戸大学大学院
経営学研究科・教授

檜山 洋子様

弁護士・米国NY州弁護士/
エートス法律事務所

白鳥 和彦様

公益社団法人
新化学技術推進協会
部長研究員
前(株)積水インテグレーテッドリサーチ 主席研究員

梨岡 英理子様(司会)

公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役

NTN出席者

仲野 浩史

取締役
CSR(社会的責任)推進本部
本部長

井口 耕平

創業100周年事業推進
プロジェクトリーダー

黒田 康之

CSR(社会的責任)推進本部
CSR部長

松谷 季之

総務・環境管理部長

テーマ1 創業100周年を迎えるにあたって

有識者
過去2年間のダイアログの結果を真摯に受け止め、評価・実行を行っている点は素晴らしく、誠実にご対応いただいていると感じます。また、2018年に創業100周年を迎えるにあたり、企業理念の浸透にまで踏み込んでおられます。企業理念の浸透にあたっては、具体的な行動に結びつけることが重要であり、そのためには、企業理念と従業員の具体的な行動をつなぐ何かを明示することが必要と考えます。そうすることにより、従業員一人ひとりの行動が社会貢献につながっていくと考えます。
NTN
当社の企業理念には創業時の開拓者精神、共存・共栄精神が込められており、それらを「独創的技術の創造」「社会への貢献」という言葉で表現しています。
この企業理念を次の100年に向けて浸透させるためには、従業員に日々の仕事と理念が結びついた形で説明をしていく必要があり、最終的には「判断するときの依り処」となることが理想です。従業員一人ひとりがお客さまに対してはもちろんのこと、社会に対しても貢献できる存在となれるよう取り組んでいきます。

テーマ2 グローバル展開におけるCSRの必要性

有識者
CSRをグローバルに推進していくためには、その地域の企業や社会と協力することが重要です。そのためには、企業理念の浸透のほか、マテリアリティの特定も有用ですので検討してください。また、ダイバーシティの推進が経営面で重要な要素になります。NTNは積極的に海外展開されていますが、ダイバーシティを推進していくためには、それだけでなく経営層のダイバーシティに対する理解の深耕も必要です。
NTN
各海外拠点が、事業活動をとおしてその地域に根差していけるよう、国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」なども視野にいれ、当社としてのマテリアリティを検討していきます。また、ダイバーシティにおいても、経営層を対象とした研修を実施するなどさまざまな施策を行っており、各海外拠点と互いの文化を尊重し合える環境づくりに取り組んでいきます。

テーマ3 環境

有識者
NTNは業務運営上の環境負荷削減はかなり高い水準にあると考えています。今後は、サプライチェーンでの環境負荷削減やイノベーションなど、長期的な視点で環境戦略を定め、これまでと異なった側面での活動を期待しています。
その際は、環境貢献量など第三者が見てわかる指標が必要になります。社会に貢献する商品は、自社だけでなく、他社とのコラボレーションも視野にいれることで広がっていくのではないかと考えます。
NTN

今後、工場における環境への取り組みだけでなく、環境面での価値創造にも注力したいと考えています。データの客観性についても重要だと認識しており、CO2データの第三者評価など、非財務指標として環境関連数字の見える化を進めています。また、環境貢献商品については、基準の策定を始めており、中長期的に効果のある商品を開発していきたいと考えています。

(以上、有識者の方々のご意見をとりまとめて記載しています。)

第2回

開催日

2016年6月9日

出席者

有識者

國部 克彦様

神戸大学大学院
経営学研究科・教授

檜山 洋子様

弁護士・米国NY州弁護士/
エートス法律事務所

白鳥 和彦様

(株)積水インテグレーテッドリサーチ 主席研究員

梨岡 英理子様(司会)

公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役

NTN出席者

仲野 浩史

取締役
CSR(社会的責任)推進本部
本部長

松谷 季之

総務・環境管理部長

黒田 康之

CSR(社会的責任)推進本部
CSR部長

テーマ1 NTNのCSR

第1回での
ご意見
  • 今後は、事業活動とCSR活動の一層の連携が重要である。
  • CSR活動の発展のためには企業活動に「価値創造」を組み合わせることが重要である。
その後の
対応進捗
  • 本業での省エネ・地球環境保全に加えて、自然エネルギー事業などの新事業でも、事業活動と自然エネルギー活用・地域社会への貢献とを連携させています。
  • 製品を通じた「価値創造」として、地球環境・地域社会・人材などへ配慮した、持続可能性のある社会への視点で、企業活動にCSR活動を組み込んでいます。
第2回での
ご意見
  • CSRの優先度と方向性をCSRのマテリアリティとし、非財務指標のKPIでその進捗を開示することが望ましい。マテリアリティは状況の変化に鑑み3年毎に変えるなどしても良い。
  • CSR目標(経営目標も)は、アクションプランだけでなく、低成長の時代にはベンチマークで維持していくことも必要。
  • 価値創造として、大きな方針のもと、マテリアリティを中長期的に考えていくことが大切。
  • 日本のエネルギー全体として地産地消をきちんとしていく必要がある。そこに貢献する事業はすばらしい。
  • レポーティングは(総花的でなく)今年の重点など分かりやすく伝えると良い。

テーマ2 グローバル

第1回での
ご意見
  • 海外を含めたネットワークを構築し、相互交流することでNTNがグローバルに結合できる。
その後の
対応進捗

経営会議、CSRグローバル会議などを英語で開催し、各種データベースの英語化、企業内電子ニュースの「e-Talk21」(英語版・日本語版併用)、季刊社内報「Blue Horizon」(英日併記)などで情報共有を推進しています。

また、海外トレーニー・国際インターンシップ制度や海外工場からの研修受入れなどで相互の人的交流を図っています。

第2回での
ご意見
  • CSRグローバル会議は、地域毎に課題も違う中、エリア毎の課題の共有などで役に立つ。
  • For New Technology Networkの、ネットワークとしての広がり・つながりが大切。

テーマ3 コンプライアンス

第1回での
ご意見
  • 情報の共有化と透明性が重要である。
その後の
対応進捗

海外各地区の総支配人室に内部統制課を設置し、海外グループ企業のコンプライアンス推進体制を強化しつつ、各地域での事情や特性を踏まえ、地域ごとの施策を推進し、本社で全体統括管理し、内部監査部門でモニタリングしています。

第2回での
ご意見
  • コーポレートガバナンス・コードへの対応はきちんとされている。コーポレートガバナンス・コードは、本来は中長期的思考であり、すべてのステークホルダーのためにあると述べられており、中長期的な価値創造を示すことが大切。
  • コンプライアンスのシステムだけでは対応できないこともあり、現場と経営との距離で防げることもある。頑張れが圧力にならないよう、コミュニケーションとフィードバックのプロセスが大切。

テーマ4 環境

第1回での
ご意見
  • 「価値創造」といえる環境商品の紹介をして欲しい。
その後の
対応進捗

「価値創造」領域として自然エネルギー事業、自動車の電動化・安全革命でのEV事業、人との協働・共生のロボット事業、ビッグデータを活用したサービス・ソリューション事業などを展開します。自然エネルギー事業では、垂直軸風車、小水力発電装置などによる電力を、EVの充電や野菜工場の照明などに活用するエネルギー循環型モデルの実証実験としてグリーンパワーパークを設立しました。

第2回での
ご意見
  • グリーンパワーパークは、企業だけでなく、地域を含めて社会的基盤を強化していく良い取り組みで、社会貢献としても好ましい。
  • ベアリングそれ自体にコアとしてまだまだ可能性があるのでは。回りやすい・止まりやすいなど回転・動くことの付加価値がもっとあるのでは。新しい役割も期待したい。

テーマ5 創業100周年と今後の課題

第2回での
ご意見
  • 100周年に向けて、「価値創造」の見せ方にもう一工夫をお願いしたい。企業が持続していく際に立ち戻るところとして企業理念があり、従業員が誇りに思えるような100周年を迎えてほしい。
  • 従業員にコンプライアンス以外のCSR意識調査などグローバルにしてはどうか。理念の浸透確認には調査が必要。

第1回

開催日

2015年5月22日

出席者

有識者

國部 克彦様

神戸大学大学院
経営学研究科長・教授

檜山 洋子様

弁護士・米国NY州弁護士/
エートス法律事務所

白鳥 和彦様

(株)積水インテグレーテッドリサーチ 主席研究員

梨岡 英理子様(司会)

公認会計士/(株)環境管理会計研究所 代表取締役

NTN出席者

仲野 浩史

取締役
CSR(社会的責任)推進本部
本部長

松谷 季之

総務・環境管理部長

持田 陽一郎

CSR(社会的責任)推進本部
CSR部長

ダイアログ要旨

  • B to B(Business to Business 一般消費者でなく企業間ビジネスを対象とする)企業としては、NTNのレポートは充実している。今後は、事業活動とCSR活動の一層の連携が重要である。
  • CSR活動は、システムを構築した後は、ルーティン業務になりがちで、さらなる発展が難しい。発展のためには企業活動に「価値創造」を組み合わせることが重要である。
  • グローバル化には、世界中の従業員に自社の全体像やCSRなどを知ってもらうことが重要。海外を含めたネットワークを構築し、相互交流することでNTNがグローバルに結合できる。また、グローバルな価値観や職種・仕事の適性によって適材適所な働き方ができる仕組みを提供することが大事である。
  • コンプライアンスで問題を起こす企業は、企業風土に問題がある。コンプライアンスの仕組み(システム)が整備されていても、機能していない場合があり、情報の共有化と透明化が重要である。また、世界各国で法令遵守の度合いが異なり、各国、一つひとつ体系的に整理することが大切である。
  • 環境への取り組みにおいて、リデュース・リユース・リサイクルのうちリサイクルは限界まで進められている。今後はリデュースの対応が課題となる。また、「価値創造」といえる環境商品の紹介をして欲しい。

いただいたご意見から抽出することができた課題は、優先順位をつけ、短期に、中長期に対応してまいります。今後も、継続的にステークホルダー・ダイアログを開催し、環境・社会・ガバナンスなどの問題に、積極的に取り組んでまいります。