小惑星探査機「はやぶさ」にもベアリング
去年の6月、約60億キロも宇宙を旅して地球に帰ってきた小惑星探査機「はやぶさ」。世界で初めて小惑星の微粒子(砂の成分)を持ち帰ったことが話題になったね。
宇宙を旅するときに、「はやぶさ」が動力として使っていたのが太陽電池パネルでつくった電気。この太陽電池パネルを開くための関節に、NTNの球面すべり軸受が採用されていたんだよ。この軸受は転動体がなく、すべる部分が丸みを帯びているから大きな荷重を受けながらスムーズに揺動して、軸を傾けることもできる。だから関節部分によく使われるよ。なかでも「はやぶさ」の軸受は宇宙で使うために特別なつくりになっていたんだ。
宇宙では空気がなく、たくさん放射線が降り注ぐから、グリースの油分が分解・蒸発してしまう。また、日なたと日かげの温度の差が何百度もあるから普通のグリースは使えない。そこで二硫化モリブデンという特殊な材料をすべり面に焼き付け、グリースの代わりにしたんだ。
NTNの球面すべり軸受は「はやぶさ」の宇宙の旅を支えていたんだね。