「薄型動圧ベアファイト」の商品化で新たな販路を拡大2013年1月30日
HDD用で累計販売数10億個達成、薄型ファンモータ用途へ展開
NTN株式会社(以下、NTN)は、これまでに焼結含油軸受の内径部分に動圧溝を形成した「動圧ベアファイト*1」を量産し、その信頼性の高さからハードディスクドライブ(以下、HDD)用スピンドルモータや電子機器用冷却ファンモータなどに広く採用されております。
NTNでは、近年のHDD高容量化ニーズに対応するため、軸受の精度向上や材料開発、更なる小型化に向けた技術開発を進めた結果、ウルトラブック*2などに搭載される薄型ファンモータ*3用途に、高い信頼性と静粛性を兼ね備えた「薄型動圧ベアファイト」を開発し商品化しました。
ウルトラブックに使用されるファンモータには軸受の薄型化が要求される一方で、従来のファンモータと同等の冷却特性も求められます。このため、ファンモータを構成するインペラ(羽)のサイズは従来よりも大きくなっており、軸受への負荷は厳しくなります。また、ウルトラブックは手軽に持ち運べるため、軸受の使用環境や回転姿勢が多様化しており、より厳しい条件下における高い信頼性が求められておりました。
今回商品化した「薄型動圧ベアファイト」は、薄型ファンモータ用に動圧溝仕様や溝加工条件の最適化、新たな潤滑油の開発を行い、厳しい使用条件においても動圧軸受の特徴である非接触支持を維持し、高い静粛性と信頼性の確保を実現しました。
ウルトラブックをはじめとする超薄型ノート型PCの販売動向は依然好調で、今後はタブレット型PCをはじめとするモバイル機器の高機能化に伴い、ますます薄型ファンモータ需要の拡大が見込まれます。NTNのオンリーワン技術で内径面に動圧溝を形成した「動圧ベアファイト」は、この度、世界累計販売数10億個を達成しました。引き続き、更なる小型化や低トルク化、高速化に対応する軸受開発を行っており、「動圧ベアファイト」の販売拡大を推し進めてまいります。
※1 「動圧ベアファイト」:焼結含油軸受の内径部分に動圧溝を形成した流体動圧軸受。
※2 「ウルトラブック」:厚さ21mm以下などが求められる、軽量・薄型ノートパソコンの呼称。
※3 「ファンモータ」:パソコン内部の発熱による異常温度上昇を抑えるために設置される冷却装置。
薄型動圧ベアファイトの特長
- 軸受高さ1.8mmという薄型化を実現
- ファン停止時、軸との接触音解消のための動圧溝仕様や溝加工条件の最適化
- 耐熱性、耐湿性の更なる向上のために新たな潤滑油を開発
- 厳しい使用条件においても非接触支持を維持し、高い静粛性と信頼性を確保
商品写真
左:従来ファンモータ用動圧ベアファイト(φ2×φ4×6)
右:薄型ファンモータ用薄型動圧ベアファイト(φ2×φ4×1.8)
ウルトラブックPC用冷却ファンモータ
冷却ファンモータ断面
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NTN株式会社
広報・IR部