HOME > 商品・技術情報 > 新商品ニュース:2018年 >  鉄道車両用「小型密封式車軸軸受ユニット」を開発

2018年

印刷する

新商品
鉄道車両用「小型密封式車軸軸受ユニット」を開発
2018年6月25日新商品ニュース

車軸軸受ユニットの密封性の確保と軸方向寸法の短縮を実現

NTN株式会社(以下、NTN)は、鉄道車両用の車軸軸受ユニットの幅寸法(軸方向寸法)を従来品比で約15%短縮した鉄道車両用「小型密封式車軸軸受ユニット」(複列円すいころ軸受)を開発しました。

列車の走行を支える車軸軸受ユニットには、一般的にメンテナンスフリーで60万km以上使用できる高い信頼性が要求されます。車軸の剛性が低い場合、車体重量によるたわみが大きくなり、車軸軸受ユニット部品間にフレッチング摩耗*1が発生します。その摩耗粉が軸受内部に侵入すると、軸受内部の潤滑不良や摩耗、はく離などの不具合につながるおそれがあります。これらの不具合の原因となる車軸のたわみを抑制するため、車軸軸受ユニットには軸方向寸法の短縮が求められています。

また、密封式の車軸軸受ユニットは、外輪に嵌合(かんごう)したオイルシールによってグリースの漏洩を防いでいますが、密封性を確保するためには、オイルシールと軸受回転部(内輪、ころ、保持器)の距離を長くし、軸受内部の空間を確保することが必要です。そのため、オイルシールは軸受幅の外側に配置され、車軸軸受ユニットの軸方向寸法の短縮には限界がありました。軸方向寸法の短縮には、オイルシールよりも構造が簡易なシールド板を使用する方法もありますが、オイルシールと比較するとグリース密封性の低さが課題となっています。

今回開発した鉄道車両用「小型密封式車軸軸受ユニット」は、オイルシールのスリーブ先端を外径方向に曲げて堰を設け、シールリップ部へのグリースの移動を抑制するとともに、シールリップ形状としめしろを最適化した新しいシールを採用しています。その結果、グリース密封性が向上し、オイルシールを軸受幅の内側に配置して軸方向寸法を短縮することが可能となりました。車軸軸受ユニットとして従来品と同等の定格荷重や高速性*2、グリース密封性などを確保しながら、軸方向寸法の約15%短縮により、車軸のたわみを約30%低減し、摩耗粉の発生を抑制することで、車軸軸受の耐久性の向上に貢献します。

NTNは、本開発品を車軸長さの短縮やシールド板のグリース密封性を課題としているお客さまに提案し、鉄道車両のさらなる安全で快適な走行に貢献してまいります。

  1. 接触部分に振動・繰返し荷重が加わることで発生する摩耗
  2. 軸受サイズ:内径φ130×外径φ240で、車速420km/h×120万km相当の回転試験を実施

特長

(1) 車軸軸受ユニットの軸方向寸法を約15%短縮、車軸たわみを約30%低減することで、車軸軸受の耐久性向上に貢献
(2) 従来品と同等の定格荷重、高速性、グリース密封性を実現

用途

高速/中低速旅客車両など

お問い合わせ先

産業機械事業本部 事業企画部  TEL 0594-24-1959

お問い合わせフォーム

商品写真

鉄道車両用「小型密封式車軸軸受ユニット」 鉄道車両用「小型密封式車軸軸受ユニット」

適用箇所

台車構造図 台車構造図

構造

開発品と従来品の比較 開発品と従来品の比較

印刷する