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2016年

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新技術
高強度の「焼結合金」を開発
2016年6月27日新商品ニュース

鋼材製機械部品への置き換えが可能に

NTN株式会社(以下、NTN)は密度7.6 g/cm3以上、疲れ強さ*1 660 MPa*2(最大応力1467 MPa)以上を達成した高強度の焼結合金を開発しました。これにより、従来の焼結合金では適用が限定的であった歯車・ブッシュなど切削加工が必要な機械部品を置き換えることが可能となりました。

焼結合金は切削加工をせずに複雑な形状の部品を安価にかつ大量に生産できるため、自動車分野などで採用されています。しかし、従来の焼結合金製部品(以下、従来焼結品)は内部に空孔が存在するため、溶製鋼から切削加工で製造する部品(以下、一般鋼材品)に比べて信頼性や疲労特性が劣り、適用範囲が限定されていました。

NTNは2012年に高密度の焼結合金を開発、さらに、研究を重ね、原料粉末、成形および熱処理などの各種工程で最適化を行い、より高密度、高強度化を図ってきました。

今回は独自の熱処理プロセスを採用することで、疲れ強さを当社従来焼結品比約2倍となる、一般鋼材品並みの660MPaまで向上させ、従来焼結品では不可能だった多くの機械部品を開発品で置き換えることが可能になりました。歯車の歯面強さの指標となる面圧強さは、2.3 GPa*3以上を達成しています。

今後NTNは、開発品を機械部品へ適用するだけでなく、NTNがコア技術を保有する樹脂部品や磁性部品と複合化したユニット・モジュール商品へ適用します。自動車の低燃費化や電動化、産業機械部品の高性能化などに貢献し、地球環境への負荷低減を追及していきます。

  1. 大きい負荷応力ほど少ない負荷回数で破断し、負荷応力の減少とともに破断に要する負荷回数は増加します。ある応力値以下では破断しない場合があり、この最大応力振幅値を疲れ強さや疲れ限度または疲労限度と呼びます。
  2. 歯元曲げ疲労試験法による(応力比0.1)。
  3. 二つの円筒試験片の外径同士を押し当て、試験片に速度差を与えて回転させることで相対的に滑らせた時、はく離が生じなかった応力最大値。

特長

従来焼結品比
(1) 歯元曲げ疲れ強さ[応力比0.1] 660 MPa 1.9倍
(2) 面圧強さ[すべり率25 %] 2.3 GPa 1.4倍
(3) 密度 7.6 g/cm3 1.1倍

用途

歯車、カム、ブッシュなどの機械部品

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複合材料商品事業部  営業技術部  

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